防災備蓄の勘定科目は消耗品費でいい?国税庁の質疑応答事例と、40万円に変わった特例

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会社の防災備蓄を買ったあと、最初に止まるのは金額ではなく勘定科目です。長期保存できるものを資産に計上すべきなのか、それとも買った年度の経費でよいのか。判断がつかないまま領収書だけが手元に残る、という状態はめずらしくありません。

この点について、国税庁は質疑応答事例「非常用食料品の取扱い」で考え方を公表しています。地震などの災害に備えて長期保存食を購入・備蓄した場合、購入した時点で損金の額(消耗品費)に算入して差し支えない、という内容です。例として挙げられているのは賞味期間25年、実耐用80年程度とされるフリーズドライ食品。25年もつ食品でも、資産ではなく消耗品費として扱ってよいと示されているわけです(出典:国税庁 質疑応答事例/2026年8月29日確認時点)。

先に結論。非常食(飲食料品)は、国税庁の質疑応答事例で「購入時=備蓄時の消耗品費でよい」と示されています。一方でヘルメットや発電機など食べ物以外は、1単位あたりの金額で置き場所が変わります。そしてその金額の線引きは、確認日の時点で出どころによって表記が割れています。

なお、この記事は「買ったものをどう処理するか」だけを扱います。何をどれだけ備えるかという量の話は、企業の防災備蓄は従業員数×9L・9食で出す|東京都条例と国の指針の違いにまとめてあります。数量の根拠はそちらに委ね、ここでは経理の手前で迷う部分だけを順番に並べ直します。

そしてもう一つ、先に置いておきたい一文があります。ここで紹介するのは国税庁と財務省が公表している内容とその出典だけです。自社の処理として成立するかどうかの最終的な判断は、顧問税理士または所轄の税務署に確認してください。同じ「防災グッズ」でも、契約形態や設置方法によって答えは変わります。

この記事でわかること

  • 非常食を購入時の消耗品費にしてよいと国税庁が示した根拠と、その4つの理由
  • 消耗品費の損金算入時期は「消費した日」が原則で、「取得した日」は条件つきの例外だということ
  • 食べ物以外を仕分ける10万円・20万円という線と、判定は1単位ごとに行うというルール
  • 中小企業者等の特例の金額が、確認日時点で30万円と40万円に割れている状況
目次

非常食は、買った年度の消耗品費にしてよいと国税庁が示している

質疑応答事例とは、国税庁が実際に寄せられた照会とその回答を整理して公表している資料です。法令そのものではありませんが、課税庁の考え方が読める一次情報にあたります。

そのなかの「非常用食料品の取扱い」では、災害用に長期保存食を購入して備蓄した場合、購入時(備蓄時)の損金の額に算入して差し支えないとされています。勘定科目としては消耗品費。25年もつ食品を、買った年度の費用にしてよいという整理です。

意外に思えるかもしれません。長く効果が続くものは資産、という感覚が経理には染みついているからです。ところが同事例は、その感覚を4つの角度から外しにいきます。

  • 食料品は、それ自体が消耗品としての特性を持っている
  • 効果が長期に及ぶとしても、減価償却資産にも繰延資産にも含まれない
  • 棚卸資産の「消耗品で貯蔵中のもの」に当たるとしても、備蓄をもって事業の用に供したと認められる
  • 消火器の中味など類似の物品も、取替え時の損金として扱われてきた先例がある

3つ目が、実務ではいちばん効きます。倉庫に積んであるだけで使っていないように見えても、「備蓄している状態そのものが事業の用に供している状態だ」という読み方をしているわけです。災害用の備蓄は、使わないことに意味がある。その性質を踏まえた整理だと読めます。

根拠として同事例に挙げられている条文は、法人税法施行令第10条第6号、第13条、第14条第1項第6号、そして法人税基本通達2-2-15です(出典:国税庁 質疑応答事例「非常用食料品の取扱い」情報基準日 令和7年8月1日現在/2026年8月29日確認時点)。最後の通達が、次の章の主題になります。

原則は「消費した日」、例外が「取得した日」である

法人税基本通達2-2-15とは、消耗品費などの損金算入時期を定めた通達です。ここを読むと、「買った年度に落とせる」が無条件ではないことがわかります。

原則 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得費用は、その棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金に算入する
例外 事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用の印刷物、見本品その他これらに準ずるものは、継続適用を条件に、取得した日の属する事業年度の損金算入も認められる

そして例外にはさらに括弧書きの限定がついています。対象は「各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、経常的に消費するものに限る」。つまり毎年だいたい同じくらい買って、だいたい同じくらい使っていくもの、という条件です(出典:国税庁 法人税基本通達2-2-15/2026年8月29日確認時点)。

落としやすいのは「継続適用」と「経常的に消費」の2語です。ある年だけまとめて大量に買い、翌年から買わない——という買い方が、この例外の想定と噛み合うかどうかは処理を決める前に確認したいところ。非常用食料品については前章の質疑応答事例が別に用意されていますが、それ以外の物品まで同じ形で通るとは限りません。

ここで一度、備蓄を「買って終わり」ではなく回していくものとして見ておくと判断がしやすくなります。何年ごとに何を入れ替えるのかは防災グッズの買い替え期限一覧|3年・5年・7年・10年で替えるものと点検カレンダーに一覧があります。入れ替えの周期が決まっていれば、毎年おおむね一定量を買う形に近づき、経理の説明もしやすくなるはずです。

食べ物以外は、金額で置き場所が変わる

9月1日の防災訓練が終わったあと、給湯室の脇に段ボールの山ができて、机の上に領収書の束が残る。中身は保存水とアルファ米、ヘルメット、簡易トイレ、投光器、それに発電機が1台。これを一枚の伝票にまとめたくなりますが、そこで手が止まります。

少額の減価償却資産とは、金額や使用可能期間が小さいために、資産計上せず費用として処理できる資産のことです。飲食料品以外の防災用品は、この線引きの土俵に乗ります。

区分 金額・期間の線 扱い 出どころ
少額の減価償却資産 使用可能期間1年未満、または取得価額10万円未満(いずれかに該当) 事業供用した事業年度に損金経理した金額を全額損金算入できる タックスアンサーNo.5403
一括償却資産 取得価額20万円未満 事業年度ごとの合計額を3年間で均等償却する規定を選択できる タックスアンサーNo.5403
中小企業者等の特例 取得価額の基準は確認日時点で表記が割れている(次章) 要件を満たす法人が、年間の上限つきで全額損金算入できる タックスアンサーNo.5408ほか

上の2つは全法人に共通で、期限の定めもありません(出典:国税庁 タックスアンサーNo.5403/2026年8月29日確認時点)。

もう一つ、見落とすと結論が変わる決まりがあります。取得価額の判定は、通常1単位として取引されるその単位ごとに行うというルールです。同ページでは、機械なら1台または1基、工具や器具備品なら1個・1組・1そろい、という例が示され、応接セットは椅子とテーブルを1組として判定するとされています。

読者の買い物に翻訳すると、こうなります。ヘルメットを50個買って合計が数十万円になっても、線を引くのは1個ずつ。10万円未満という線は、ヘルメット1個ずつで見れば普通は下回ります。一方、発電機のように1台の値段が大きいものは、その1台だけで10万円や20万円の線に触れることがある。伝票の合計額ではなく、箱から出てくる1つの単位で見る——この視点の切り替えが、防災備蓄の経理でいちばん実務的な要点です。

30万円の特例は、確認日の時点で表記が割れている

中小企業者等の少額減価償却資産の特例とは、一定の中小企業者等が取得した少額の減価償却資産について、上限つきで全額を損金算入できる期限つきの措置です。そしてここが、この記事でいちばん注意して読んでほしい章になります。

2026年8月29日に3つの一次情報を確認したところ、金額の基準と対象法人の書きぶりが一致していませんでした。並べます。

出どころ 取得価額の基準 対象法人・上限 情報基準日・状態
国税庁 タックスアンサーNo.5408 30万円未満 青色申告法人かつ常時使用する従業員500人以下(特定法人は300人以下)/年間合計300万円が上限 情報基準日は令和7年4月1日現在。適用期間は平成18年4月1日〜令和8年3月31日と表示されており、確認日時点でその期限をすでに過ぎている
国税庁 措置法通達67の5-2 40万円未満 (金額の判定単位を定めた通達) 本文が40万円未満に改正済み。改正履歴に「令8年課法2-9『三十五』により追加」と明記
財務省 令和8年度税制改正の大綱 40万円未満(現行:30万円未満)に引き上げ 対象法人から、常時使用する従業員数が400人を超える法人を除外 適用期限を3年延長するとされている

つまり、税制改正の中身は通達と大綱にすでに反映されているのに、多くの人が最初に開くタックスアンサーの表示だけが古いまま残っている、という状態です。検索して最初に出てきたページの数字をそのまま使うと、30万円と40万円のどちらで判断したのか説明がつかなくなります。

金額の基準は、処理の直前に必ず最新の表示を確認してください。この記事の3行の表も、2026年8月29日という一日を切り取ったものにすぎません。数字が動いている最中の論点は、記事ではなく一次情報で締める。それが安全です(出典:国税庁タックスアンサーNo.5408、国税庁 措置法通達67の5-2、財務省「令和8年度税制改正の大綱」/いずれも2026年8月29日確認時点)。

延長後の適用期限がいつまでになるのかは、大綱本文に具体的な日付の明記がありませんでした。逆算すれば数字は出ますが、それは計算値であって公表値ではないため、この記事では「3年延長される」という表現にとどめています。

そなえぐらし管理人
数字が割れているとき、記事としては片方を選んで言い切るほうが読みやすくなります。それでも今回は割れている事実のほうを載せました。読者が処理を間違えたときに困るのは、記事ではなく担当者の方なので。

全員に配るなら福利厚生費という考え方もある

福利厚生費とは、従業員に対して一律に提供される費用のうち、交際費等から切り分けられるものを指す区分です。防災備蓄でこの区分が話題になるのは、備蓄品を各自に配付するケースがあるからでしょう。

国税庁のタックスアンサーNo.5261では、専ら従業員の慰安のために行われる運動会・演芸会・旅行などに通常要する費用が交際費等から除かれること、そして創立記念日等に従業員等におおむね一律に供与される費用や慶弔見舞金なども福利厚生費に含まれることが示されています。根拠として挙がっているのは措置法61条の4、措置法令37条の5、措置法通達61の4(1)-1および61の4(1)-10です(2026年8月29日確認時点)。

鍵は「おおむね一律に」の5文字。役員だけ、あるいは特定の部署だけに配る形になっていないかどうかが、区分を考えるうえでの分かれ目になります。誰に何を配ったかの記録は、買った時点で残しておくほうが後が楽です。

配る中身そのものに迷ったら、帰宅困難者の備え|会社から歩いて帰る前に確かめる3つと、職場に置く3日分の中身を先に見てください。職場に置く3日分の構成が決まれば、一律に配るのか共用の倉庫に置くのかも決めやすくなります。

ここまでの4つの分かれ道を、自分の買い物に当てはめる順番にしておきます。

  • その品目は飲食料品か。酒類を除く食品・飲料水なら、非常用食料品の質疑応答事例の土俵に乗る
  • 飲食料品でないなら、1単位あたりの取得価額は10万円未満か。ヘルメット1個、投光器1台という単位で見る
  • 10万円以上なら、20万円未満か。一括償却資産や中小企業者等の特例を検討する範囲に入る
  • 従業員等におおむね一律に配付するものか。配付先の記録が残っているか

消費税は食べ物とそれ以外で分かれる

軽減税率とは、対象品目の税率を8%(消費税6.24%+地方消費税1.76%)に据え置く仕組みです。対象は、酒類・外食を除く飲食料品などとされています(出典:国税庁 タックスアンサーNo.6102/2026年8月29日確認時点)。

この区分をそのまま防災備蓄に当てはめると、線はきれいに引けます。保存水やアルファ米、レトルト食品といった非常食の仕入れは軽減税率8%の対象。ヘルメットや懐中電灯、簡易トイレ、発電機などの防災用品は標準税率10%の対象です。同じ日に同じ発注書で買っても、税率は2つに分かれる。

備蓄品は1回の発注に食品と非食品が混ざりやすい買い物です。納品書を受け取った段階で2つに割っておくと、勘定科目の判断と税率の判断が同時に片づきます。

この記事が当てはまらないケース

当てはまらないケースとは、今回確認した資料の射程の外にある論点のことです。短く3つ挙げます。

  • 個人事業主の方/今回確認したのは法人税の取扱いに関する資料だけです。所得税での扱いは調べていないため、この記事の内容をそのまま当てはめないでください
  • 被災したあとに出ていく費用/国税庁の「災害に関するFAQ」では、取引先の役員・従業員への災害見舞金は原則として交際費等に当たるものの、取引関係の維持・回復を目的として復旧過程で行うものは交際費等に該当せず損金算入できること、従業員等への見舞金は福利厚生費となることが示されています。ただし、事前の防災備蓄の購入・経理処理そのものを扱った項目は同FAQには見当たりませんでした(2026年8月29日確認時点)
  • 建物に固定する防災設備/据え付けや配線工事を伴うものは、消耗品費の話ではなく別の判断が必要になります

科目が決まったら、次は「何を何個」——品目別の考え方と具体例

ここまでで物差しは2本そろいました。飲食料品かどうか、そして1単位あたりいくらか。あとはその2本を、実際に倉庫へ運び込まれる箱に当てていくだけです。よく買われる品目を、この記事の論旨に沿った順番——食べ物、水、簡易トイレ、そして金額で分かれる用品——に並べ直しておきます。

品目 先に見る物差し 置き場所の目安 この記事での根拠
非常食(アルファ米など) 飲食料品かどうか 購入時(備蓄時)の消耗品費 質疑応答事例「非常用食料品の取扱い」
保存水 飲食料品かどうか 同上 同上
簡易トイレ 1単位あたりの取得価額 10万円未満なら少額の減価償却資産の範囲 タックスアンサーNo.5403
ヘルメット 1単位あたりの取得価額 金額次第で工具器具備品。判定は1個ずつ タックスアンサーNo.5403
防災リュック(セット品) 1単位あたりの取得価額 金額次第で工具器具備品。1組・1そろいで判定 タックスアンサーNo.5403

まずは食べ物から。尾西食品の「アルファ米12種類セット」(型番SE×12AY)は、アルファ化米を12種類詰め合わせた商品です。種類が分かれているぶん、共用の倉庫に積む形でも、従業員に1人ずつ渡す形でも配り方を組みやすい。科目の面から見れば、これは議論の余地なく飲食料品で、前章までの整理がそのまま当てはまります。消費税も軽減税率8%の側です。

次が水。アイリスオーヤマの「長期保存水」は1本2Lで、6本入りの箱で届きます。1箱で12L。前掲の企業備蓄の記事で整理したとおり、1人1日3L×3日=9Lを目安に置くなら、1箱で1人分をわずかに上回る計算になります。人数から箱数を出すときは、合計金額ではなくこの「1箱12L」から割り算するほうが早い。

ここで一度、翻訳を挟みます。食品と水がなぜ簡単かというと、金額をいっさい見なくても行き先が決まるからです。単価が高かろうが安かろうが、飲食料品であるという一点で消耗品費の側に入る。逆に言えば、金額表を作る手間が要るのは、次から先の非食品だけということになります。

三つ目は簡易トイレです。「トイレの女神PREMIUM」の150回セットは、商品名のとおり150回分をまとめた大容量タイプ。メーカー公式の仕様ページまでは確認できていないため、ここで書けるのはこの回数だけにとどめます。ただ、経理の側から見れば回数がわかれば十分で、従業員数×1日あたりの想定回数×日数を置けば、必要な箱数がそのまま出ます。

そして簡易トイレには、備蓄品のなかでは珍しく「期限」がついて回ります。使用期限をメーカーがどう公表しているかは携帯トイレに使用期限はある?メーカー8社の公表値を1社ずつ確かめたで1社ずつ確かめました。期限があるということは、いつか入れ替えるということ。毎年おおむね一定量を買って古い分を落としていく形になれば、前章で触れた「各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、経常的に消費するもの」という例外の条件にも近づいていきます。買い切りの備品ではなく、毎年の経費として計画に載せられる品目だと考えておくと扱いやすいはずです。

ここから先は、物差しが金額に切り替わります。トーヨーセフティーの折りたたみヘルメット「MOVO No.105」は、たたんだ状態で保管できる作業・防災用のモデル。重量や素材はメーカー公表値を確認できていないので触れませんが、折りたためるという一点は、机の下やロッカーに人数分を置く前提の職場では効いてきます。

科目の話に戻すと、ヘルメットは前章の「1単位ごと」がそのまま効く典型例です。50人分をまとめて発注すれば伝票の合計は大きくなりますが、線を引くのは1個ずつ。工具器具備品として資産に載せるかどうかを考えるのは、1個あたりの単価が10万円の線に触れたときだけで足ります。

もう一つ、備品の棚卸しから抜け落ちやすいのが社用車ぶんの備えです。営業車のダッシュボードやトランクに何を積むかは総務の管轄から外れがちで、購入の記録も部署ごとにばらけます。車の脱出用ハンマーの選び方|割れない窓ガラスの見分け方と、置き場所の決め方で扱っているような「1台に1つ」置くものは、台数×単価で一覧にしておくと、判定の単位が台数とそのまま一致して数えやすくなります。

最後が防災リュックです。アイリスオーヤマの「BRS-33」は、33点の防災用品をひとまとめにしたセットで、メーカー公式によれば重量は約2.0kg。中身が最初からそろっているぶん、購入の記録が1行で済むのがセット品の利点でしょう。

ただしセット品には、判定の単位という論点がついてきます。タックスアンサーNo.5403は、応接セットを椅子とテーブルで1組として判定する例を挙げていました。リュックも、袋と中身を別々に数えるのではなく1組として見るほうが、この例示の考え方には沿います。実際にどう扱うかは、いつもどおり顧問税理士に確認してください。

品目リストの並べ方。まず「食品か、そうでないか」で2つに割る。そうでない側だけを「1単位あたりの単価」で並べ替える。この順番で作れば、勘定科目の判断と消費税8%・10%の判断が、同じ1枚の表の上で同時に片づきます。

買う前に、助成金の受付期間を見ておく

助成金とは、要件を満たす事業者に対して費用の一部が交付される制度です。勘定科目より先に締切が来るものなので、購入計画のある方は日付だけ先に押さえておいてください。

東京都中小企業振興公社の「BCP実践促進助成金」は、従業員用の防災備蓄品、発電機、安否確認システムなどを対象経費としています。単独型は上限500万円(助成率1/2、小規模企業者は2/3)、連携型は上限1,000万円(助成率1/2)。受付期間は次のとおりです(2026年8月29日確認時点)。

第2回 2026年9月9日(水)9時 〜 9月15日(火)17時
第3回 2027年1月8日(金)9時 〜 1月15日(金)17時(予定)

今回調べたのは東京都の制度のみです。東京都以外の自治体、および区市町村単位の助成金は未調査のため、所在地の自治体にも同種の制度があるかどうかは各自でご確認ください。

よくある質問

以下は、勘定科目を決める手前でつまずきやすい4つの疑問です。

防災備蓄の勘定科目は、結局どれにすればいいですか

非常用食料品については、購入時(備蓄時)に消耗品費として損金の額に算入して差し支えないと国税庁が質疑応答事例で示しています。食品以外は1単位あたりの取得価額によって扱いが変わります。自社の帳簿でどの科目を使うかは、既存の科目体系との整合も含めて顧問税理士にご相談ください。

賞味期限が切れた備蓄を入れ替えるときは、どう考えますか

今回確認した資料のなかに、入れ替え時の処理を直接示したものはありませんでした。ただし質疑応答事例は、備蓄した時点で損金算入して差し支えないという整理をしています。入れ替え分の取扱いを含めて、実際の処理は所轄税務署または顧問税理士に確認してください。

ヘルメットは資産に計上する必要がありますか

国税庁のタックスアンサーNo.5403では、取得価額の判定は通常1単位として取引される単位ごとに行うとされ、工具・器具備品は1個・1組・1そろいという例が示されています。1個あたりで10万円未満、または使用可能期間が1年未満であれば、事業供用した事業年度に損金経理した金額を全額損金算入できる規定があります(2026年8月29日確認時点)。

個人事業主でも同じ扱いになりますか

今回確認したのは法人税の取扱いに関する資料のみです。所得税での扱いは確認していないため、同じと考えてよいかどうかについてはお答えできません。税理士または所轄税務署にご確認ください。

今日やることは1つ

やることは、領収書の束を「分ける」だけです。科目を決めるのは、分けたあとで構いません。

  1. 飲食料品とそれ以外に分ける納品書を見ながら、保存水・アルファ米などの食品と、ヘルメット・投光器などの用品を2つの山にします。この時点で消費税の8%と10%も分かれます。
  2. それ以外の山は、1単位あたりの金額を書き出す合計額ではなく、1個・1台・1組の単価を並べます。10万円未満、20万円未満、それ以上の3つに色分けできれば十分です。
  3. その一覧を顧問税理士に見せる「防災備蓄で、非常食は質疑応答事例のとおりでよいか。食品以外はこの単価で判定してよいか」と聞けば、話が最短で進みます。

防災備蓄の経理でややこしいのは、金額そのものより、食べ物とそれ以外で通る道が違うところでした。国税庁は非常用食料品について道を1本示しています。その先の分岐は、単価と配り方で決まる。

最後にもう一度。この記事に書いたのは、国税庁と財務省が公表している内容とその出典だけです。自社の処理として確定させる前に、必ず顧問税理士または所轄の税務署に確認してください。とくに中小企業者等の特例の金額は、確認日時点で出どころによって表示が割れています。最新の表示を、その日にご自身の目で確かめるのがいちばん確実です。

参考・出典

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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

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