帰宅困難者の備え|会社から歩いて帰る前に確かめる3つと、職場に置く3日分の中身

※本記事にはプロモーションが含まれます。

地震で電車が止まったとき、最初にやるべきことは「歩いて帰る準備」ではありません。まず、その場から動かない。これが国の示している原則です。内閣府(防災担当)の「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」(令和8年1月改定)は、発災直後に「むやみに移動を開始しない」ことを基本原則として掲げています。

理由は、あなたの安全のためだけではありません。徒歩の帰宅者が一斉に道路へ出ると、救助・救命、消火、緊急輸送にあたる緊急車両が通れなくなり、応急活動全体が遅れる。だから「一斉帰宅を抑える」という考え方が公的な対策の土台に置かれています。

とはいえ、「動くな」と言われても、実際に会社の机の前に立たされたら困るのは持ち物と段取りのほうです。この記事は総務担当者向けの解説ではなく、通勤しているあなた自身が「今日、何を用意して、その日どう判断するか」を決めるための整理です。

この記事でわかること

  • 発災直後に動かないことが原則とされている理由(緊急車両の通行と応急活動)
  • 歩いて帰ってよいかを判断する距離の目安(10km/20kmの区切り)と、その注意点
  • 職場に置く3日分の量=飲料水9L・主食9食・毛布1枚と、来客分の10%上乗せ
  • デスクの引き出し1段に収める最小構成と、家族への連絡手段(171・公衆電話)

なお、この記事が扱うのは「職場・外出先にいる自分」の備えです。家に置く水や食料の量は考え方が別になるため、人数と日数から必要量を出す方法は家庭の備蓄品リスト完全版(人数×日数の早見表つき)のほうで整理しています。

目次

一斉帰宅を抑えるのが公的な原則になっている理由

大規模災害の発生直後に多数の人が同時に徒歩で帰宅を始めることを避け、当面はその場や職場にとどまってもらう。これが一斉帰宅抑制という考え方です。内閣府のガイドラインが「むやみに移動を開始しない」を基本原則としているのは、この一斉帰宅が応急活動の妨げになるためです。

一斉に帰宅を始める → 徒歩帰宅者が道路にあふれる → 救助・消火・緊急輸送の車両が通れない → 応急活動全体が遅れる。動かないのは、自分のためであると同時に、救助を待っている人のためでもあります。

規模の話をしておきます。東京都が2022年5月25日に公表した被害想定では、都心南部直下地震が冬の夕方に発生した場合、都内の帰宅困難者は約453万人と見込まれています。10年ぶりの見直しで、2012年の前回想定(約517万人)からは減りました。ただ、減ったといっても、その日のうちに家へ帰れない人が数百万人規模で残るという構図は変わっていません。

公表年 想定地震・条件 都内の帰宅困難者 出典
2012年 前回の被害想定 約517万人 東京都
2022年 都心南部直下地震・冬の夕方 約453万人 東京都(2022年5月25日公表)

数百万人という数字は、大きすぎてかえって実感が湧きません。乱暴に言い換えれば、「あなたの職場のフロアにいる人のほとんどが、その日は帰れない側に入る」という程度の話です。自分ひとりが例外的に不運なのではなく、全員が同じ状況に置かれる。だから、席を立って駅に向かうという判断が、そのまま数百万人ぶんの渋滞になります。

会社側にも根拠があります。東京都帰宅困難者対策条例(平成24年3月30日公布、平成25年4月1日施行)は、第7条第1項で事業者に従業者の施設内待機による一斉帰宅抑制の努力義務を、第7条第2項で従業者の3日分の飲料水・食糧その他必要な物資の備蓄の努力義務を定めています。この条例は2026年8月18日時点で改正記録がなく、制定時のまま現行です。

「会社に3日分あるはず」と思っている人ほど確認しておきたいのですが、条例が定めているのは努力義務です。備蓄があるか、何人分あるか、どこに置いてあるかは会社によって違います。総務に一度聞いておくだけで、この記事の後半の準備量が変わります。

歩いて帰ってよいかは、距離・到着時刻・呼びかけの3つで決める

自宅までの距離と、その日の状況を突き合わせて「歩き出す/とどまる」を決める。それが徒歩帰宅の可否判定です。感覚ではなく、先に基準を決めておくのがコツです。

距離については、内閣府・中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループ最終報告(平成25年12月)が区分を示しています。帰宅距離が10km以内の人はほぼ全員が帰宅可能、10〜20kmでは1km長くなるごとに帰宅困難になる人の割合が増え、20kmを超えるとほぼ全員が徒歩帰宅困難、という整理です。

職場から自宅までの距離 公的想定での位置づけ その日にとる行動の目安
10km以内 ほぼ全員が徒歩で帰宅可能とされる帯 安全確認と公的機関の呼びかけを待ったうえで、明るいうちに着けるなら検討する
10〜20km 1km長くなるごとに帰宅困難になる割合が増える帯 体力・履物・同行者の有無で分かれる。迷ったらとどまる側に倒す
20km超 ほぼ全員が徒歩帰宅困難とされる帯 その日は歩き出さない前提で、職場での3日分を用意しておく

この区分は2013年に公表された想定に基づく目安であり、令和8年1月改定のガイドライン本体に同じ数値が載っているかどうかまでは確認できていません。体力・道路状況・天候・履物によって実際の可否は変わります。所要時間についても、歩く速さの個人差が大きいため、この記事では時間ではなく距離の区分だけを公表値どおりに示しました。

自宅までの距離を、今日ここに書き込んでおく

判定の材料は、災害が起きてから調べるものではありません。地図アプリで職場から自宅までの徒歩ルートを一度引いて、距離を控えておく。それだけで、当日の判断が「なんとなく」から「あらかじめ決めてあること」に変わります。

  • 職場から自宅まで、徒歩ルートの距離は約______km(10km以内/10〜20km/20km超のどれか)
  • 途中で引き返す地点は______(ここを過ぎて不安なら職場に戻る、と決めておく場所)
  • ルート上の大きな橋・地下道・古い建物の並ぶ区間は______
  • 途中で立ち寄れる公衆電話の場所を1か所______
  • 同じ方向に帰る同僚______さん(ひとりで歩き出さないための相手)
歩いて帰るか職場で待機するかを、自宅まで10km以内・明るいうちに着ける・自粛の呼びかけがないという3つの条件で分ける判定図

3つ目の「呼びかけ」は、距離とは別の軸です。自治体や国が移動の自粛を求めている段階なら、10km以内でも歩き出さない。逆に言えば、判断材料の1つは自分の外側にあります。

歩くと決めた場合の支えについても触れておきます。九都県市(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県とさいたま市・千葉市・横浜市・川崎市・相模原市)は、コンビニエンスストアやガソリンスタンド、ファストフード店などと協定を結び、徒歩帰宅者に水道水の提供、トイレの利用、道路情報の提供、休憩場所の提供などを行う「災害時帰宅支援ステーション」を運用しています。令和7年(2025年)10月末現在で協定締結事業者は32団体・20,782箇所。歩く道は無人の荒野ではなく、味方のネットワークが敷かれていると考えてよい規模です。

職場に置く3日分は「水9L・主食9食・毛布1枚」で数える

職場の3日分は、従業員1人あたりに必要な量を日数で掛け算して出します。内閣府のガイドラインが示している目安は、次のとおりはっきりしています。

飲料水:1日3L × 3日 = 9L/主食:1日3食 × 3日 = 9食(アルファ化米・乾パン・ビスケットなど調理不要のもの)/毛布:1人1枚。加えて、来客など外部の滞留者向けに、従業員数のおおむね10%分を上乗せして備蓄することが推奨されています。

職場に置く3日分として、飲料水9L・主食9食・毛布1枚・来客ぶん10%上乗せを品目と数量の対応で示した図

9Lという数字は、聞いた瞬間はぴんと来ません。重さにすると約9kg、2Lペットボトルなら4本と500mLを2本ぶんです。デスクの下に置くには、正直かなり場所を取ります。この重さを実感すると、「20km超なのに歩いて帰る」という選択がなぜ現実的でないかも同時に見えてくるはずです。水を担いで歩けないなら、水のあるところにとどまるほうが理屈に合います。

水・主食・毛布のほかにも、ガイドラインは次の品目を例示しています。

  • 簡易トイレ
  • 医薬品
  • 懐中電灯
  • ラジオ
  • 軍手

ただし数量の目安が明示されているのは水・主食・毛布の3つだけ。その他の品目の個数は、各社・各自で決める部分です。

会社の備蓄と、自分の引き出しの備えは役割が違います。会社側は人数分の水と食料を面で確保するもの。個人側は、その水と食料が配られるまでの数時間と、夜を越すための細かい不便をしのぐものです。デスク単位で何をどこまで置くかは、会社に置く防災グッズ(デスクの引き出しに入る最小構成)で品目ごとに整理しています。

そなえぐらし管理人

編集部として悩んだのが、この記事で「会社の備蓄がある前提」で書くかどうかでした。結論としては、あるかどうかを確認するところまでを読者側の作業に入れています。条例は努力義務で、実態は会社ごとに違うので。

デスクの引き出し1段に入る最小構成をつくる

会社の備蓄が届くまでと、夜を越す一晩をしのぐために、自分の手元に置いておく最少の道具。それが最小構成です。判定基準はひとつ、引き出し1段に収まり、いざというとき片手で持ち出せるか。ここでは編集部の基準で品目を絞り、それぞれの公表スペックとともに挙げます。

明かりと電源:手が空くものを選ぶ

停電した執務室で必要なのは、スマホのライトではありません。スマホは連絡手段として温存したい。そのうえで、置いておくだけで周囲が見えるものが要ります。

GENTOSのLEDランタン「EX-136S」は、公表重量355gのランタン型です。懐中電灯と違って床や机に置いて面で照らせるので、両手が空きます。引き出しに横向きで収まるサイズ感かどうかは、購入前に寸法を確認してください。

電源側は、置きっぱなしにできるかが分かれ目です。エレコムの半固体モバイルバッテリー「EC-C61MN」は公表重量220g。半固体電解質を採用した製品ラインで、職場の引き出しのように温度が上がりやすい場所に置く前提の人が候補に入れやすい一台です。容量や対応機種、保管温度の条件は公式サイトで最新を確認してください。

スマホの電池を減らさないことは、それ自体が備えです。通信規制がかかっている間、電話をかけ直し続けると電池だけが減ります。この点は後半の連絡手段のところでもう一度触れます。

食べ物:口に入れるまでの手数で選ぶ

非常食というと保存期間ばかりが話題になりますが、職場で効いてくるのは「開けてから食べるまでの手数」です。夜9時の会議室で、袋を開けて手を汚さずに食べられるか。

尾西食品の「携帯おにぎり」は鮭・わかめ・昆布が1袋42g、五目おこわのみ1袋45gの4種8袋セット。おにぎり形に成形して食べるタイプで、白飯以外の味が混ざっているぶん3日続けても飽きにくい構成です。戻し方と必要な水の量は製品表示を確認してください。

もう一段「手数ゼロ」の枠も1つ入れておきます。水がなくても、袋を開ければそのまま食べられるものです。大塚製薬の「カロリーメイト ロングライフ」は公表重量48.5g。名称のとおり長期保存を想定した製品で、具体的な保存期間は公式サイトで最新の表示を確認してください。引き出しの隙間に差し込める厚みなのが、この枠での利点です。

会社に3日分の主食9食があるとしても、配られるのは発災直後ではありません。手元の数食は、その空白を埋めるためのものだと考えると量を決めやすくなります。

トイレと体の清潔:ここを削ると一晩がつらい

職場に泊まると決めた夜、いちばん効いてくるのはここです。断水すればトイレは流せません。使用後の携帯トイレをどこに置くかという問題が、すぐに部屋の空気の問題に変わります。

クリロン化成の「BOS 臭わない袋」ストライプパッケージ Lサイズ90枚入りは、使用後の携帯トイレや汚れ物を入れて口を縛る用途で使われている袋です。Lサイズは口を縛りやすく、90枚という枚数は職場の引き出しに1つ置いて同僚と分ける前提でも足ります。

体を拭くものも、1枚あたりの大きさで使い勝手が変わります。アイリスオーヤマの「大判からだふき KRD-20」は20枚入り。詳しい仕様はAmazonの商品ページの表示(2026年8月10日確認)を確認してください。顔と首まわりを拭けるだけで、翌朝の気分がかなり違います。

女性の場合、ここに生理用品が加わります。職場のロッカーに1周期ぶんを置いておくかどうかは、必要数を先に把握しておくと決めやすくなります。1周期あたりの個数から逆算する考え方は生理用品の備蓄(1周期30個から逆算する必要数と人数別早見表)にまとめました。常備薬も同じで、会社の備蓄には入っていない前提で自分で持つ枠です。

頭と足元:歩くと決めた瞬間に要るもの

とどまる前提で書いてきましたが、最終的に歩くと決めた場合、あるいは建物から出る必要が生じた場合に、頭と足元の装備が要ります。

DICプラスチックの折りたたみヘルメット「IZANO2」は、平たくたたんだ状態で保管できるヘルメットです。仕様の詳細はAmazonの商品ページの表示(2026年8月10日確認)を確認してください。引き出しやロッカーの隙間に立てて入るかどうかを、置き場所を決める前に測っておくのがおすすめです。

足元は、買い足すより先に「今ある靴」の問題です。パンプスや革靴で20km歩くことは想定しないでください。会社に歩ける靴を一足置く。これは費用ゼロで効果が大きい枠です。

ここまでで公表重量が分かっているものを合計すると、EX-136S(355g)+EC-C61MN(220g)+携帯おにぎり8袋(1袋42〜45gで約340g)+カロリーメイト ロングライフ(48.5g)で約960g。500mLペットボトル2本ぶんです。引き出し1段の重さとしては、現実的な範囲に収まります。

買いそろえる時期にも、選びやすい季節があります。防災用品がそろいやすく、価格も動きやすいのが8〜9月です。何から順に買うかの優先順位は防災の日セールで買うもの(8〜9月に安くなりやすい品目と買う優先順位)で整理しているので、引き出しの中身をまとめて用意するならこの時期が組みやすいはずです。

帰宅困難になったときにやってはいけないこと

ここでいうやってはいけないこととは、本人に悪気がなくても、自分や周囲の安全を削ってしまう行動です。多くは「早く帰りたい」「早くつながりたい」という自然な気持ちから出てきます。

  • 揺れが収まった直後に歩き出す。二次災害の危険が残っているうえ、徒歩帰宅者が道路にあふれると緊急車両の通行を妨げます。まず情報を待つ
  • 電話をかけ直し続ける。通信網が輻輳状態になると、規制率はおおむね90%以上の遮断になる場合があると総務省は説明しています。かけ直すほど電池が減るだけの時間帯があります
  • 20km超なのに歩き出す。ほぼ全員が徒歩帰宅困難とされる帯です。途中で動けなくなると、救助を要する側に回ります
  • 連絡手段を携帯電話だけに頼る。災害用伝言ダイヤル171が携帯電話・PHSから利用できるかは契約先の事業者に確認が必要です。手段を2つ持っておく
  • 「会社に備蓄があるはず」で確認を後回しにする。条例上は努力義務で、実態は会社ごとに異なります

逆に言えば、この5つを外しておくだけで、その日の選択肢はかなり残ります。備えの半分は、買い物ではなく「やらないと決めておくこと」で作れます。

職場にとどまると決めたあとの過ごし方と、家族への連絡

安全が確認された建物の中で、移動できる状況になるまで過ごす。これが施設内待機です。夜を越す前提で考えると、必要なのは寝床と、家族に「無事」を届ける手段の2つに絞られます。

寝床の側は、毛布1人1枚が目安として示されているとおり、床の冷たさへの対策が中心です。会議室の床は想像より冷えます。上着とひざ掛け、袋類を敷くだけでも体感は変わります。

連絡の側は、事前の取り決めがすべてです。災害用伝言ダイヤル171は、震度6弱以上の地震発生時などに自動的に提供が開始されます。震度5強以下の地震やその他の災害では、通信状況などを勘案して、被災地を管轄するNTT東日本またはNTT西日本が提供を判断する仕組みです。

171を利用できる電話は次のとおりです。

  • 加入電話
  • INSネット
  • 公衆電話
  • ひかり電話
  • 災害時用公衆電話(特設公衆電話)

携帯電話・PHSからの利用可否は契約先の事業者に確認してください。

171には体験利用日があります。毎月1日・15日(00:00〜24:00)、正月三が日(1月1日00:00〜1月3日24:00)、防災週間(8月30日9:00〜9月5日17:00)、防災とボランティア週間(1月15日9:00〜1月21日17:00)。使い方を家族で合わせておくなら、この日に一度だけ実際に録音・再生を試しておくのが確実です。

もう1本の手段として、公衆電話を候補に入れておいてください。総務省の説明では、NTTが設置する公衆電話は災害時優先電話と同様の扱いとされ、一般の加入電話や携帯電話ほどかかりにくくなりません。大規模災害の際には、通話規制の状況などを勘案して公衆電話からの通話料等を無料化する運用があり、デジタル公衆電話は受話器を上げてダイヤルするだけで発信できます。ただしアナログ公衆電話には、平常時と同じく硬貨やテレホンカードの挿入が必要な機種があります。

職場の最寄りの公衆電話がどこにあるか、今のうちに1か所だけ覚えておく。これも費用ゼロの備えです。誰に・どの順番で・何を伝えるかまで決めておく方法は、家族の安否確認方法の決め方(災害用伝言ダイヤル171と伝言板・SNSの使い分け)で手順にしています。

行き先の話も一度整理しておくと迷いません。家族が「避難所」と言っているのか「避難場所」と言っているのかで、集合地点はまったく別になります。用語の定義と、災害の種類で行き先が変わる理由は避難所と避難場所の違い(災害対策基本法の定義と災害種別で行き先が変わる理由)にまとめました。

自分で判断しないほうがいいケースと、公的機関に従う線引き

自分の準備でしのげる範囲と、公的機関の指示に従うべき範囲。この線引きが、ここでのテーマです。この記事で示した距離の目安やチェックリストは、あくまで平時に準備を組み立てるための材料です。

けが人・体調不良者がいる場合、建物の安全性に不安がある場合、火災・津波・浸水など別の危険が同時に起きている場合、そして避難や移動について自治体・消防・警察から具体的な指示や呼びかけが出ている場合は、この記事の目安ではなく、公的機関の指示に必ず従ってください。医療的な判断、避難の要否、建物の使用可否は、いずれも現場の専門家と行政が決めることです。

準備は自分でできます。判断のうち重いものは、あなたが背負わなくていい。ここを分けておくと、当日の心理的な負荷がずいぶん軽くなります。

よくある質問

Q. 会社に泊まるとしたら、何日分を想定すればいいですか

A. 3日分が目安です。東京都帰宅困難者対策条例は第7条第2項で、事業者に従業者の3日分の飲料水・食糧その他必要な物資の備蓄の努力義務を定めています。内閣府のガイドラインが示す1人あたりの目安も、飲料水9L(1日3L×3日)、主食9食(1日3食×3日)、毛布1枚という3日分の計算です。

Q. 自宅まで15kmあります。歩いて帰れますか

A. 10〜20kmの帯は、内閣府・中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループ最終報告(平成25年12月)で「1km長くなるごとに帰宅困難になる人の割合が増える」とされている区間です。歩ける人と歩けない人が分かれるため、体力・履物・同行者・天候で判断が変わります。判断がつかないなら、とどまる側に倒してください。なお、この区分は2013年公表の想定に基づく目安です。

Q. 災害用伝言ダイヤル171は、携帯電話からも使えますか

A. NTT東日本の案内では、利用できる電話として加入電話、INSネット、公衆電話、ひかり電話、災害時用公衆電話(特設公衆電話)が挙げられており、携帯電話・PHSからの利用可否は契約先の事業者に確認が必要とされています。毎月1日・15日などの体験利用日に、自分の端末で一度試しておくのが確実です。

Q. 歩いて帰る途中、コンビニで水やトイレを借りられると聞きましたが本当ですか

A. 「災害時帰宅支援ステーション」という協定にもとづく取り組みがあります。九都県市(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県とさいたま市・千葉市・横浜市・川崎市・相模原市)が事業者団体と協定を結び、コンビニエンスストアやガソリンスタンド、ファストフード店などが水道水の提供、トイレの利用、道路情報の提供、休憩場所の提供などを行うものです。令和7年(2025年)10月末現在で32団体・20,782箇所。ただし各店舗の被災状況によっては提供できない場合があります。

Q. 会社に備蓄があるかどうか、どう確認すればいいですか

A. 総務・人事の担当部署に、「何人分」「何日分」「どこに保管されているか」の3点を聞くのがいちばん早い方法です。条例上は努力義務のため、備蓄の有無や量は会社ごとに違います。保管場所を知らないと、あっても取り出せません。

まとめ|今日やることは1つ

帰宅困難者の備えは、「歩いて帰る装備をそろえること」ではありません。まず動かないことを前提に、動かない時間を過ごす道具を職場に置いておくこと。そのうえで、歩き出してよい条件を平時に決めておくことです。

今日やることは1つ。地図アプリで、職場から自宅までの徒歩ルートの距離を調べて、メモに残す。10km以内か、10〜20kmか、20km超か。この1行が決まると、引き出しに何を入れるかも自動的に決まります。

  1. 距離を測る職場から自宅までの徒歩ルートの距離を調べ、10km以内/10〜20km/20km超のどこに入るかをメモする。あわせて引き返す地点を1か所決める。
  2. 会社に聞く総務に「備蓄は何人分・何日分・どこか」を確認する。無い、または不明なら、水と主食を自分の枠として上乗せする。
  3. 引き出しを1段空ける明かり・電源・食べ物・袋・体を拭くものを入れる。公表重量が分かるものだけで約960g、500mLペットボトル2本ぶんに収まる。

準備が終わったら、次の防災週間(8月30日〜9月5日)に171の体験利用で一度だけ通話を試してみてください。使ったことのある手段だけが、当日の手段になります。

デスク単位で何をどこまで置くかは会社に置く防災グッズ|デスクの引き出しに入る最小構成に、家の側の全体像は家庭の備蓄品リスト完全版|人数×日数の早見表つきにまとめています。

参考・出典

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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

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