災害時の離乳食の備え|月齢別の1日の回数から必要個数を逆算する早見表

災害時の離乳食の備え|月齢別の1日の回数から必要個数を逆算する早見表

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

離乳食の備蓄は、個数が決まらないから手が止まる。おむつのように「1日◯枚」と数えられれば買い物リストに落とせるのに、離乳食だけは「多めに」で終わってしまう。でも実は、必要な食数はすでに公的な資料の中に書かれている。

手がかりは月齢ごとの1日の食事回数です。「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年3月、厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド改定に関する研究会」策定。現在はこども家庭庁が掲載)は、離乳後期(生後9か月〜11か月頃)について「離乳食は1日3回にし、食欲に応じて、離乳食の量を増やす」と書いています。1日3回と分かれば、あとは掛け算です。3日分なら9食、1週間分なら21食。

この記事は、その掛け算を月齢区分ごとに全部やっておくためのものです。回数の出どころは原典、商品の数字はメーカーの公表値だけを使い、確認できなかったことは「確認できなかった」と書きます。

この記事でわかること

  • 離乳初期・中期・後期・完了期それぞれの1日の食事回数(公的ガイドラインの原文)
  • 月齢×日数で必要食数が出る早見表(3日分・1週間分)
  • キユーピー・ピジョン・アサヒグループ食品(和光堂ブランド)の公表スペック比較
  • 大人用の非常食で代用できる範囲と、加熱できるかどうかの判定リスト

なお、おむつの枚数・ミルクと水の量・持ち出し袋の仕分けまで含めた全体像は、赤ちゃんの防災グッズリスト|月齢別の必要数を1日あたりから逆算する早見表つきにまとめてあります。あちらが全体の地図、この記事は「離乳食の食数」だけを深く掘る一枚、という役割分担です。

目次

必要個数は月齢の「1日の回数」から決まる

離乳食の備蓄とは、月齢ごとに定められた1日の食事回数に、備える日数を掛けた食数を用意することである。まずは掛け算の左側、回数を原典から確認します。

「授乳・離乳の支援ガイド」の該当箇所は、次のとおりです(2026年8月25日確認時点。引用はいずれも原文のまま)。

  • 離乳初期(生後5か月~6か月頃)…「離乳食は1日1回与える」
  • 離乳中期(生後7か月~8か月頃)…「離乳食は1日2回にして生活リズムを確立していく」。育児用ミルクは「1日に3回程度与える」
  • 離乳後期(生後9か月~11 か月頃)…「離乳食は1日3回にし、食欲に応じて、離乳食の量を増やす」。育児用ミルクは「1日2回程度」
  • 離乳の完了(生後 12 か月から 18 か月頃)…「食事は1日3回となり、その他に1日1~2回の補食を必要に応じて与える」

ここで見落としやすいのが、同じガイドの最後の一文です。「なお、離乳の完了は、母乳又は育児用ミルクを飲んでいない状態を意味するものではない」。つまり完了期に入っても、ミルクの枠は自動的には消えません。

1日の食事回数 × 備える日数 = 必要な食数。そして離乳食とミルクは、同じ袋に入れても別々に数える。これがこの記事のすべてです。

月齢×日数の早見表で、買う個数が先に決まる

早見表とは、公的ガイドラインの回数だけを掛け算に通した、買い物前の下書きである。中身の栄養や献立の話は一切していません。個数だけの表です。

月齢区分 1日の離乳食の回数 3日分 1週間分 育児用ミルク(ガイドの記載)
離乳初期(5〜6か月頃) 1回 3食 7食 授乳のリズムに沿って与える
離乳中期(7〜8か月頃) 2回 6食 14食 1日3回程度
離乳後期(9〜11か月頃) 3回 9食 21食 1日2回程度
離乳の完了(12〜18か月頃) 食事3回+補食1〜2回 食事9食+補食3〜6回 食事21食+補食7〜14回 離乳の進行・完了の状況に応じて

回数の出典:「授乳・離乳の支援ガイド」2019年3月版(2026年8月25日確認時点)。日数分の食数は当サイトが回数から計算した目安です。

この表は回数だけを掛けた目安です。ガイド自身が後期について「食欲に応じて、離乳食の量を増やす」と書いているとおり、同じ3回でも1回に食べる量は月齢と子どもによって変わります。個数が同じでも、必要なグラム数は同じではありません。

月齢の1日の回数から離乳食の必要個数を出す対応表。初期5〜6か月は1日1回で3日3食・7日7食、中期7〜8か月は1日2回で3日6食・7日14食、後期9〜11か月は1日3回で3日9食・7日21食、完了期12〜18か月は1日3回に補食1〜2回

数字だけだと実感が湧きにくいので、重さに直してみます。後期(9〜11か月頃)で1週間分=21食。市販のベビーフードには80gの容器が多いので、80g×21個で1,680g、およそ1.7kgです。米袋の小さいものくらいの塊が、離乳食だけで増えることになります。3日分の9食なら720g。この差が、そのまま「どこに置くか」の判断を変えます。

そなえぐらし管理人
1.7kgと聞いて「持ち出し袋には入らない」と思ったなら、その感覚が正解に近いです。1週間分は家に置く分。持ち出す分は3日分より手前で切って、残りは自宅の備蓄棚に回す——という置き方のほうが現実的だと考えています。

市販ベビーフードは公表値を並べて選ぶ

公表値とは、メーカーが自社サイトなどで自ら示している対象月齢・内容量・賞味期限・加熱の要否のことである。備蓄で効いてくるのはこの4項目だけです。味やメニューは、平常時に試して決めればいい。

メーカー(正式社名) 商品名 対象月齢 内容量 賞味期限 加熱 確認経路
キユーピー株式会社 こだわりのひとさじ 国産もも 5,6か月頃から 70g 製造日を含め24か月(常温) 温めずに食べられる 公式商品ページ
ピジョン株式会社 管理栄養士のこだわりレシピ ひじきといわしつみれのあんかけ 9か月頃から 80g 個別ページに記載なし レトルトは加圧加熱殺菌済みで開封後そのまま食べられる(公式FAQ) 公式サイト・公式FAQ
アサヒグループ食品株式会社(和光堂ブランド) グーグーキッチン かぼちゃのグラタン 7か月頃から 80g×3個 確認できず 要加熱 小売サイト経由

いずれも2026年8月25日確認時点。価格は変動するため記載していません。

アサヒグループ食品の行だけ、確認経路が違います。公式サイトが当方からのアクセスを遮断していて直接読めなかったため、小売サイトに掲載されたメーカー提供スペックで確認しました。賞味期限の日数はどの経路でも見つけられなかったので、この記事には書きません。店頭でパッケージを見るのが確実です。なお和光堂は2017年に法人としてはアサヒグループ食品へ吸収され、現在はブランド名です。

3社を並べると、備蓄に効く違いがはっきり出ます。キユーピーの1点は賞味期限が製造日を含め24か月と長く、しかも温めずに食べられる。24か月はおよそ2年ですから、半年ごとに棚を見直す家庭なら、期限が来るまでに4回の入れ替え機会がある計算です。一方でアサヒグループ食品の1点は要加熱。同じ「ベビーフード」でも、停電時にできることが違います。

大人の非常食で代用できる範囲は、思ったより狭い

ベビーフード自主規格とは、日本ベビーフード協議会が会員企業の商品に課している業界の自主基準である。この規格の第Ⅵ版(2024年9月)は、ナトリウムの上限をはっきり数字で決めています。

  • 12か月までの商品:ナトリウム200mg/100g以下(塩分約0.5%以下)
  • 12か月以降の商品:ナトリウム300mg/100g以下(塩分約0.7%以下)

100gあたり200mgという上限を80gの容器に当てはめれば、1個あたり160mg以下という計算になります。ここで大事なのは、この数字がベビーフードという商品カテゴリにだけ課された基準だという点です。大人向けのアルファ米やレトルトカレー、乾パンには、この上限は適用されていません。

言い換えると、「大人用の非常食をお湯で薄めれば離乳食になる」という発想には、確かめようのない部分が残ります。薄めれば塩分は下がりますが、どこまで薄めれば規格の範囲に入るのかを家庭で測る手段がない。当方が言えるのは、規格の数値と、大人用にはその上限が無いという事実の対比までです。

食事の内容や進め方をどう判断するかは、かかりつけの小児科医、または自治体の保健センターの指示に従ってください。この記事は個数の計算方法を扱うもので、何をどれだけ食べさせるべきかを決めるものではありません。

加熱できるかどうかで、選べる物が変わる

加熱手段とは、停電中でも湯を沸かせるカセットコンロなど、電気に頼らずに温められる道具のことである。ここが備蓄内容を二分する分岐点になります。

停電した夜、いつものレンジのボタンを押しても何も起きない。その状況を先に想定してから買うかどうかで、棚の中身は変わります。まずは自分の家がどちら側かを判定してください。

  • カセットコンロと予備のボンベが家にある(湯せんができる)
  • 鍋と、加熱に使ってよい水が別に確保してある
  • 集合住宅などの制約で、屋内での火の使用に不安がない
  • 停電時に湯を沸かす作業を、子どもを抱えたまま実行できる動線がある

4つとも当てはまるなら、要加熱の商品も備蓄に入れられます。1つでも欠けるなら、温めずに食べられると公式に書かれている物を主軸にしたほうが安全側です。

そのうえで、離乳食と別枠で数える「ミルクの列」を埋めておきます。江崎グリコ株式会社の「アイクレオ 赤ちゃんミルク」125ml×18本は、無菌パック製法で常温保存ができ、賞味期限は製造日より10か月と公表されています(2026年8月25日確認時点)。125ml×18本=2,250ml。調乳の湯が要らないので、加熱手段が無い家庭でも枠を埋められるのが備蓄上の利点です。先ほどの「離乳の完了は、母乳又は育児用ミルクを飲んでいない状態を意味するものではない」というガイドの記述どおり、完了期に入ってもこの列は自動では消えません。ただし対象月齢は公式の製品ページに明記が無いため、月齢の判断はパッケージの表示とかかりつけ医に委ねてください。10か月という期限は1年に満たないので、年1回の点検では回り切らない点にも注意が要ります。開封後の扱いや温め方の条件は液体ミルクは備蓄になる?開封後・温め方・保存の条件をメーカー公表値で確かめるで個別に整理しています。

もう一方の柱が主食です。加熱できる家庭に限って、選択肢が1つ増えます。アイリスオーヤマ株式会社の「低温製法米のパックご飯」200g×24個は常温で置ける主食で、同社の公式オウンドメディアはパックご飯の賞味期限を「白米なら製造日から約1年」(パックご飯全般では6か月〜1年、種類による)と説明しています。同じ記事は「パックご飯は必ず加熱してから食べましょう」とも明記しており、温めずに食べる使い方は想定されていません。

後期以降のやわらかいご飯の材料として考える場合も、メーカーが軟飯やおかゆへの転用を案内しているわけではありません。公式に記載が無い以上、当サイトも「できる」と断定するのは避けます。カセットコンロや湯せんで加熱できる家庭が、加熱前提の主食として持つ——という条件つきの選択肢だと考えてください。加熱できないなら、この段は最初から外れます。必要個数や期限の考え方はパックご飯の備蓄|賞味期限・必要個数・長期保存タイプの違いでまとめています。


この早見表が当てはまらないケースがある

当てはまらないケースとは、月齢だけでは食べられる物が決まらない状態のことである。次に挙げる状況では、掛け算より優先されるものがあります。

よくある質問

Q. 使ったことのない味を、災害時に初めて与えても大丈夫ですか。
A. 食べ慣れない物を非常時に初めて出すと、口をつけないまま備蓄が減らないという事態が起こり得ます。備蓄に入れる銘柄は、平常時に一度開けて試しておくのが基本です。ただし新しい食品を試す判断そのものは、かかりつけ医や保健センターに相談してください。

Q. ベビーフードは常温でそのまま食べられますか。
A. 商品によります。キユーピー株式会社の「こだわりのひとさじ 国産もも」は温めずに食べられると公式に示されており、ピジョン株式会社は公式FAQで、レトルトのベビーフードは加圧加熱殺菌済みのため開封後そのまま食べられると説明しています。一方でアサヒグループ食品株式会社の「グーグーキッチン かぼちゃのグラタン」は要加熱です(いずれも2026年8月25日確認時点)。「ベビーフードだから常温で大丈夫」とひとくくりにはできません。

Q. 離乳が完了していれば、もう大人と同じ非常食で足りますか。
A. ガイドは離乳の完了を「エネルギーや栄養素の大部分が母乳又は育児用ミルク以外の食物から摂取できるようになった状態」と定義していて、そのうえで「離乳の完了は、母乳又は育児用ミルクを飲んでいない状態を意味するものではない」と書いています。備蓄の枠としては、食事1日3回+補食1〜2回に加えて、ミルクの列を残すかどうかを別に判断することになります。

おむつ・ミルク・水・持ち出し袋まで含めた全体像は赤ちゃんの防災グッズリスト|月齢別の必要数を1日あたりから逆算する早見表つきにまとめています。

まとめ:今日やることは、月齢を1つ選ぶことだけ

備蓄で迷うのは、決めるべきことが多すぎるからです。今日決めるのは1つでいい。「うちの子は3か月後、どの区分にいるか」——それだけです。区分が決まれば回数が決まり、回数が決まれば個数が出ます。あとは表を引くだけの作業になります。

  1. 3か月後の月齢区分を書き出す備蓄は今日の月齢ではなく、少し先に合わせます。区分が変われば回数も変わるためです。
  2. 早見表で3日分の食数を確認するまず3日分。後期なら9食、中期なら6食。1週間分はその次の段階として増やします。
  3. 加熱チェックリストで銘柄の条件を決める加熱手段が無いなら「温めずに食べられる」と公式に書かれた商品に絞る。ここまで決めてから買い物に行きます。

家族全員分・全品目の積算に広げるときは、家庭の備蓄品リスト完全版|人数×日数でわかる必要量早見表の枠組みに、この記事で出した食数をそのまま差し込めます。離乳食だけが特別に難しいわけではなく、回数という一次情報が見つけにくかっただけ、というのが当方の見立てです。

参考・出典

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

目次