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防災ラジオを買うべきかどうかは、「スマホの回線が止まったとき、家に情報が入る道が他に残るか」という一点で決まります。乾電池式の定番機であるソニーICF-51は、単4形アルカリ乾電池2本でFM受信約44時間・AM受信約52時間(出典: ソニー公式仕様)。1日2時間ずつ聴く計算なら、AMで約26日分です。
そして選ぶときに見る項目は、実は3つしかありません。①電源方式、②ワイドFM(90.0〜99.0MHz)対応、③持てる重さ。とくに②は、民放AMラジオ44社が2028年秋をめどにFM局への転換を目指すと発表しているため(出典: AV Watch)、これから買う1台では外せない条件になりました。
この記事でわかること
- わが家にラジオ受信機が要るか/スマホで足りるかを3条件で判定できる
- 乾電池・充電式・手回し・ソーラーの向き不向きを、メーカー公表スペックで比較できる
- ワイドFM対応の見分け方(受信周波数の表記)と、2026年時点で必要な理由がわかる
- 防災ラジオが向かない家庭・デメリットもふまえて選べる
防災ラジオが要るかどうかは、3つの条件で判定できる
防災ラジオとは、停電や通信混雑の下でも放送波だけで情報を受け取れる、乾電池・手回し・ソーラーなどで動く受信機のことである。裏を返せば、「放送波でしか届かない状況」が想定しにくい家庭では、優先度は下がります。
ランキング記事はたいてい「ラジオは必要」を前提に機種名へ直行しますが、まず自分の家がどちら側かを決めたほうが早い。次のチェックで、当てはまる数を数えてみてください。
- 家にモバイルバッテリーが1つしかない(家族分ない)
- 停電が半日以上続いた経験があるか、その可能性を想定している
- 同居家族に高齢者・子どもがいて、スマホを渡せない人がいる
- 普段からラジオ番組を聴く習慣がある(=停電後もすぐ使いこなせる)
2つ以上当てはまるなら、ラジオ受信機を1台持つ側。0〜1個なら、まずはスマホの電源確保(モバイルバッテリーの追加)を先に済ませたほうが、費用対効果は高くなります。
スマホ側の受け皿も一応あります。radiko(スマートフォンでラジオを聴くサービス)は、災害時の情報収集手段としての役割をまとめた「防災ラジコ ファクトブック」を公式に公開しています(出典: radiko.jp)。ただしこれは通信回線が生きていることが前提です。回線と放送波、どちらに寄せるかという話ではなく、両方をどう使い分けるかという設計の話になります。全体の見取り図は停電時の情報収集の使い分けにまとめています。
防災ラジオの役割は「回線に依存しない一方通行の情報」の確保
放送波とは、受信機側が何も送信しなくても、電波を拾うだけで情報が届く一方通行の伝送手段である。ここが、双方向で混雑の影響を受ける携帯回線との決定的な違いです。
夜、部屋の照明が落ちて、スマホの画面だけが光っている。地図アプリを開いても読み込みが終わらない——そんなときに、電池だけで音が出る箱があるかどうか。防災ラジオが担うのはその一場面だけで、それ以上でも以下でもありません。
停電した直後にやることの並びの中では、ブレーカー確認や冷蔵庫の扱いと同じ列に「情報源を1つ確保する」が入ります。順番の全体像は停電時にやることリストで整理しています。ラジオはその中の一手であって、これ1台で備えが完成するわけではない、という距離感で見てください。
電源方式は4タイプ、判断基準は「切れたあとにどうするか」
電源方式とは、その機器が動き続けるためのエネルギーをどこから得るかの区分である。防災ラジオでは乾電池・内蔵充電池・手回し・ソーラーの4つが使われ、多くの製品はこのうち2〜4つを併載しています。
| 電源方式 | 強み | 弱み | 向いている家庭 |
|---|---|---|---|
| 乾電池 | 入れ替えれば即回復。長期保管に強い | 予備電池の備蓄が前提 | 備蓄を管理できる家庭・単身世帯 |
| 内蔵充電池(USB) | 普段使いしやすい。継ぎ足しが楽 | 使わないまま数年置くと自然放電・劣化する | 定期的に充電を回せる家庭 |
| 手回し | 何も持っていなくても音が出せる | 回し続ける必要があり、主電源にはならない | 最後の保険を1つ足したい家庭 |
| ソーラー | 日中の屋外・窓際で補える | 天候と設置場所に左右される | 屋外・車中泊も想定する家庭 |
ここからは公表スペックで見ます。数字が並びますが、そのあとに「つまりどういうことか」を書くので、流し読みで大丈夫です。
| 機種 | 電源 | 連続使用の公表値 | サイズ・質量 |
|---|---|---|---|
| ソニー ICF-51 | 単4形×2 | FM: マンガン19時間/アルカリ44時間、AM: マンガン22時間/アルカリ52時間 | 約101.7×67.8×33.8mm・約112.8g |
| パナソニック RF-TJ20 | 単4形×3+手回し | 乾電池でFM/AMとも約24時間 | 140.4×54.4×52.0mm・288g(乾電池含む) |
| ソニー ICF-B99 | 単3形×2+手回し・USB・ソーラー | 公式仕様に電源方式の併載を明記 | 132×79×58mm・385g(乾電池含む) |
(出典: ソニー公式ICF-51/ICF-B99仕様、パナソニック公式RF-TJ20仕様)
翻訳するとこうです。乾電池式の持続時間は、電池の種類で倍以上変わる。ICF-51のFM受信はマンガンで19時間、アルカリで44時間。同じ本体でも、入れる電池を間違えると半分以下になります。備蓄する電池はアルカリで揃えておくほうが計算しやすい、ということです。
手回しについても、公表値の読み方に注意が要ります。パナソニックRF-TJ20の仕様には、手回し充電の測定条件として「1分間に約120回転」と注記されています(出典: パナソニック公式)。0.5秒に1回転を、休まず回し続けるペースです。手回しは「電池が尽きた後に数分だけ情報を取りに行く手段」であって、聴き続けるための電源ではないと考えたほうが実態に合います。
乾電池式を選ぶなら、次に決めるのは予備の本数です。単4形2本の機種を1日2時間ずつ動かす前提なら、アルカリ1組で3週間前後は持つ計算になりますが、ライトや他の機器と共用する家庭では話が変わります。サイズ別の目安は乾電池の備蓄本数の考え方で整理しています。
ワイドFM対応は、2026年に買うなら実質の必須条件
ワイドFM(FM補完放送)とは、AM放送局の番組をFMの周波数帯で同時に流す制度である。AM放送の難聴対策および災害対策を目的として、2014年(平成26年)4月1日の制度整備で開設が可能になりました(出典: 総務省)。
周波数の位置関係はこうです。従来のFM放送が76.1〜98.9MHz、ワイドFMが使うのは90.0〜99.0MHz(出典: 総務省)。つまり、受信範囲の上限が90MHz台に届かない古い機種では、ワイドFMを拾えません。
見分け方は仕様表の1行だけ。受信周波数の表記が「FM 76〜108MHz」のように108MHz近くまで伸びていれば、ワイドFMに対応しています。ソニーICF-51・ICF-B99はいずれもFM76〜108MHzでワイドFM受信可能と公表されています(出典: ソニー公式)。
では、なぜ今これが効いてくるのか。理由は2つあります。
1つは、AM放送そのものの再編です。民放AMラジオ44社が2028年秋をめどにFM局への転換を目指すと発表しており、TBSラジオなど大手局は早ければ2028年秋にAM波を停波してFMへ一本化する方針とされています。北海道放送・STVラジオ・ABS秋田放送の3局はこの発表に参加していません(出典: AV Watch)。今日買ったラジオを5年10年使う前提なら、FM側で受けられる機種を選んでおくのが自然です。
もう1つはNHKの再編です。NHKは2026年3月30日、ラジオを従来の第1・第2・FMの3波から、「NHK AM」と「NHK FM」の2波体制へ再編しました(出典: NHK公式お知らせ)。手元のラジオに書かれた古い局名メモは、この時点で一度更新が必要になっています。
自分の地域でどの局がワイドFMに対応し、何MHzで流れているかは、総務省が全国民放FM局・ワイドFM局一覧を北海道〜九州・沖縄の10地域に分けて公開しています。買ったら、受信できる周波数を紙に書いて本体と一緒に保管しておくと、暗い場所で探さずに済みます。
電源方式以外で見るのは、重さ・ライト・スマホ充電の3点だけ
付加機能とは、受信という本来の役割に上乗せされた副次的な機能のことである。ここを増やすほど本体は重く、故障要因も増えるため、必要なものだけ選ぶのが結果的に軽くなります。
重さは、置き場所で決まります。ICF-51は約112.8gで、スマホのおよそ半分。ポケットにも入ります。一方、手回し・ソーラーを積んだICF-B99は385gで、500mlペットボトル(満水時)よりひと回り軽い程度(出典: ソニー公式)。リュックに入れっぱなしにするなら軽いほう、家に据え置くなら多機能型、という分け方が実用的です。持ち出し袋の全体量とのバランスは防災リュックの中身もあわせて見てください。
LEDライトは「あると便利」の域を出ません。ラジオ本体のライトは片手がふさがるので、移動や作業の明かりとしては使いにくい。両手を空けたいなら別に用意するほうが確実です(ヘッドライトの選び方)。
スマホ充電機能も同じで、あくまで補助です。手回しでスマホを実用的な残量まで充電するのは現実的でなく、スマホの電源は容量のあるモバイルバッテリーで確保するのが基本になります(モバイルバッテリーの容量目安)。ラジオ側の充電端子は「最後の数%を足す口」くらいに考えておくと、期待外れになりません。
防災ラジオが向かない家庭と、買う前に知っておくデメリット
正直な話、全員に必要な道具ではありません。次に当てはまる場合は、優先順位を下げてかまいません。
- 単身で、モバイルバッテリーを複数持っている(スマホ側で情報が取れる)
- 普段まったくラジオを聴かず、周波数を合わせる操作に慣れていない
- 収納場所が限られ、持ち出し袋に余裕がない
デメリットも3つ挙げておきます。1つ目、普段使わない機器は、壊れていても気づけません。年に1回は電源を入れて音が出るか確かめる運用が要ります。2つ目、内蔵充電池タイプは長期保管に弱く、いざというときに残量ゼロという事態が起きます。3つ目、多機能型は重い。385gは、リュックの中では意外に存在感があります。
乾電池は入れっぱなしにせず、本体と別にして保管するのが基本です。長期間入れたままにすると液漏れで端子が傷み、いざ使うときに動かない原因になります。使用推奨期限は電池のパッケージ表示を確認してください。
タイプ別の選び方は、乾電池式の定番か多機能型かの二択
ここまでの判定で「わが家は要る側」となった方は、もう選ぶ基準が揃っています。候補は2タイプに絞れば十分です。
持ち出し袋に入れるなら、乾電池式の小型機。重さ100g台、単4形2本、受信周波数がFM76〜108MHz。この3行を満たしていれば、機種名にこだわる必要はありません。ソニーICF-51はこの条件を公表値で満たす代表格です。
家に据え置いて全部入りにするなら、多機能型。乾電池に加えて手回し・USB・ソーラーを併載したタイプです。ソニーICF-B99は単3形2本+手回し・USB・ソーラーに対応し、FM76〜108MHzでワイドFMも受けられます(出典: ソニー公式)。手回し付きの国内定番としては、パナソニックRF-TJ20(単4形3本+手回し、乾電池でFM/AM約24時間)も選択肢に入ります。
多機能型は国内メーカーからも出ています。クマザキエイムのSL-091は、手回しとソーラーの両方で蓄電できるタイプ。乾電池が尽きた後に「回す」「日に当てる」という二通りの手段が本体側に載っているぶん、家に据え置いて長期戦に付き合わせる用途と噛み合います。先に書いたとおり手回しは主電源になりませんが、保険を1枚厚くしておきたい家庭には候補に入る1台です。
迷ったら、こう決めてください。袋に入れて持ち出す前提なら軽い乾電池式、家に置いて家族で聴く前提なら多機能型。両方欲しくなったら、まず軽いほうを1台。据え置きは後から足せます。
そしてどちらを選んでも、最後に効いてくるのは予備の乾電池のほうです。持ち出し用の小型機は単4形でしたが、据え置きの多機能型やランタンは単3形を使うものが多く、家に置く1台なら単3形のストックが要ります。パナソニックのエボルタNEO 単3形アルカリ乾電池 8本パック(LR6NJ/8SW)は、8本入りでラジオとライトに分けて配れる量。アルカリ乾電池には使用推奨期限の表示があるので、防災用として仕舞い込むより、普段使いで少しずつ回しながら本数を保つほうが無駄になりません。
まとめ:今日やることは、受信周波数を1枚のメモにすること
先に条件を決めてしまえば、あとは合うものを選ぶだけです。買う前でもできる準備から始めると、そのまま次の一手につながります。
- 要否を判定するこの記事の4項目チェックで2つ以上当てはまるか確認する。0〜1個ならスマホの電源確保が先。
- 地域の周波数を書き出す総務省の全国FM局・ワイドFM局一覧で、自分の地域の局と周波数をメモに書く。買った後で本体と一緒に保管する紙になる。
- 仕様表の1行を見て選ぶ候補機種の受信周波数が「FM 76〜108MHz」まで伸びているかを確認する。ここを満たせば、あとは重さと電源方式の好みで決めてよい。
点検のあとに耐久品を買い足すなら
参考・出典
- 総務省|放送政策の推進(FM補完中継局の整備)
- 総務省|全国民放FM局・ワイドFM局一覧
- NHK|この春、NHKラジオが変わります!!(2026年3月30日 2波体制へ)
- AV Watch|民放AMラジオ44社、2028年秋をめどにFM転換へ
- ソニー|ICF-51 主な仕様
- ソニー|ICF-B99 主な仕様
- パナソニック|RF-TJ20 仕様
- radiko.jp|防災ラジコ ファクトブック
※本記事の製品スペックはいずれもメーカー公表値(2026年8月4日確認時点)です。避難の可否や安全性の判断は、お住まいの自治体および気象庁の案内に従ってください。
