車の防災対策は場面で決める|冠水・台風・大雪・地震で、車に何が起き、何を判断するか

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夕方の帰り道、ワイパーを最速にしても前が白くかすむ。アンダーパスの手前で、前の車がブレーキを踏んだまま動かない。進むか、引き返すか。車の防災が本当に試されるのは、たいていこういう数十秒です。

車の備えを調べると、「車に積んでおくべき防災グッズ◯選」という一覧がたくさん見つかります。一覧はもちろん役に立つ。ただ、冠水した道の手前で必要なのは持ち物より判断で、その判断は場面ごとにまるで違います。大雨なら水深、台風なら風と残り時間、大雪なら排気ガス、地震なら止まり方。見るべきものが、場面によって入れ替わるのです。

そなえぐらしでは、車の防災を場面ごとに7本の記事に分けて書いてきました。このページは、その7本をつなぐ地図にあたります。場面ごとに「車に何が起きるか」「その場で何を判断するか」「詳しくはどの記事を読めばよいか」を、1枚で見渡せるように並べました。

車の備えは「どの場面か」で判断が変わります。そのうえで、すべての場面に共通する原則は2つだけ。車を守るより人が先であること。そして水深や風速のような数字は、運転席からは測れないということです。

この記事でわかること

  • 大雨・冠水、台風、大雪の立ち往生、地震の4場面で、車に起きることと最初に判断すること
  • 運転中に地震が起きたとき、車を置いて避難するときに警察庁が示している措置
  • 車で避難してよい場面と、車を防災の主役にしない場面の線引き
  • 場面ごとに「最初に効く1点」と、それぞれの詳しい記事への道筋
目次

車の防災は4つの場面で判断が分かれる

車の防災対策とは、災害の場面ごとに車と乗っている人に何が起きるかを先に知り、その場で下す判断を平時のうちに決めておくことである。

下の表は、当サイトの車の記事7本を「場面×判断」で並べ直したものです。数字は1つの場面につき1つだけに絞りました。細かい数値や手順は、右端の記事に任せています。

場面 車に起きること その場で判断すること 詳しい記事
大雨・冠水 水に浸かった道でエンジンが止まる。JAFのテストでは水深60cmで停止した例がある 見えるサインで「入らない」と決めて引き返す。水没したら、自分の車のドアガラスに合った方法で外へ出る 冠水道路を走れる限界と引き返す判断脱出用ハンマーと窓ガラスの見分け方
台風 冠水と飛来物の両方で車が傷む。風が強まると運転そのものが難しくなる 立地と時間の余裕で停める場所を決め、平均風速20m/sに届く前に移動を終える 台風のときの駐車場所の決め方災害に備えるガソリンの目安
大雪の立ち往生 動けない車内で暖房を使い続けると、雪に埋まったマフラーから排気ガスが入り込む エンジンをかけるならマフラー周りを除雪する。除雪できないならエンジンを止めて防寒に切り替える 大雪の立ち往生に備える車の装備
地震 揺れの中を走り続けることになる。止まった車は、あとから緊急車両の通り道をふさぎかねない 急なハンドル操作や急ブレーキを避けて道路の左側に止め、カーラジオで情報を聞く このページの地震の章(下へ)

車中泊とEV・HVは、どれか1つの場面に収まらないため、表とは別に章を立てました。車中泊は台風のあとにも地震のあとにも選ばれ、EV・HVは冠水と停電の両方に関わってくるからです。

車の防災で、場面ごとに最初に判断することを1対1で結んだ図。大雨・冠水はサインを見たら入らず引き返す、台風は風速20m/sに届く前に移動を終える、大雪の立ち往生はエンジンをかけるならマフラーを除雪、運転中の地震は急ハンドル・急ブレーキを避け道路の左側に止める、と示している。

わが家の車チェック

表を読んだら、次は自分の車と暮らしに当てはめる番。チェックが付かなかった項目が、そのまま読むべき記事の順番になります。

  • 自分の車のドアガラスが強化ガラスか合わせガラスか、刻印か取扱説明書で確かめた
  • 自宅と、ふだん停める駐車場の浸水想定をハザードマップで見た
  • 燃料計が「ここまで下がったら給油する」という線を決めた
  • 雪の日にエンジンをかけるなら、マフラーがどこにあるかを家族全員が知っている
  • 地震で車を置いて離れるとき、キーをどこに置くかを家族で決めた
  • 車中泊をするなら、どこに・誰に伝えるかを決めた

大雨・冠水では、水深を運転席から測れない前提で決める

冠水とは、大雨で道路が水に覆われ、路面がどこにあるのかが見えなくなった状態である。

JAFが2010年に行った冠水路走行テストでは、水深30cmならセダンもSUVも、時速10kmと時速30kmのどちらでも走り抜けました。ところが水深60cmになると、セダンは時速10kmで31m地点、SUVは時速30kmで10m地点でエンジンが止まっています。

つまり、学校で使う30cmものさし1本ぶんの水なら走れて、2本ぶんで車は止まる、ということ。問題は、その「1本か2本か」を運転席から見分けられない点にあります。水面の下の路面は見えず、アンダーパスは奥へ行くほど深くなる。数字を覚えていても、現場では測れないのです。だから冠水の判断は、目に見えるサインで「入らない」を先に決めておく形に置き換えるしかありません。

どのサインで引き返すかを自分の1行に落とす方法は、冠水した道路は車で走れるのかをJAFの実験で確かめ、引き返す判断の決め方をまとめた記事に任せています。冠水路を走るかどうかの判断は、あちらの記事が担当です。

もう1つ、国土交通省は2019年11月27日の報道発表の別紙で、水深がドアの下端にかかると開けることが困難になり、ドアの高さの半分を超えるとほぼ開けられなくなると示しています。車ごと水に入ってしまったら、「ドアが開くうちに外へ出る」ことが最初の判断になります。

冠水した道で車が止まったとき、車内にとどまって水が引くのを待つ判断は、そのぶん出口を狭めていきます。水位が上がるほどドアは開けにくくなる、というのが国土交通省の示す見立てです。

ドアが開かなくなったら窓から出ることになります。ここで、道具を選ぶより前に確かめることが1つ。自分の車のドアガラスが強化ガラスか、合わせガラスかです。国民生活センターが2020年8月20日に公表したテストでは、14銘柄の脱出用ハンマーすべてが強化ガラスのドアガラスを割れた一方、合わせガラスは割れませんでした。

言いかえると、ハンマーの性能差より、窓の種類の差のほうがずっと大きいということです。そして同じ公表資料では、ドアガラスに合わせガラスを採用している車種があることにも触れられています。ガラスの刻印の読み方、そして運転姿勢のまま手が届く置き場所の決め方は、車の脱出用ハンマーの選び方と、割れない窓ガラスの見分け方の記事で順に確かめられます。

台風では、車を動かす作業を風が強まる前に終える

台風の車対策とは、冠水と飛来物の両方から車を遠ざけられる場所を、風雨が強まる前に確保しておくことである。

台風が近づく前日の夜。家の中の片付けは進んでも、車のことはつい後回しになりがちです。けれど車は、家の中の物と違って「動かせる」のが強み。その強みが使えるのは、動かしても安全なあいだだけです。

どこに停めるかは、「自宅の駐車場の立地」と「移動にかけられる時間の余裕」の2つを掛け合わせて決めます。低い土地で時間があるなら高い場所へ移す。時間がないなら無理に動かさず、飛来物への備えに切り替える。そういった組み合わせを表にしたのが、台風のとき車をどこに停めるか、冠水と飛来物から守る場所の決め方をまとめた記事です。立地を知る材料としては、ハザードマップの見方で自宅と駐車場の浸水想定を先に見ておくと、判断が一段速くなります。

移動を終える期限の目安になるのが、気象庁の「風の強さと吹き方」です。平均風速20m/s以上30m/s未満の「非常に強い風」について、気象庁は「通常の速度で運転するのが困難」になるとしています。

つまり、20m/sは時速にするとおよそ72km。一般道を走る車の速さを超える風が、横から吹きつけ続ける状態です。車を高い場所へ移す、立体駐車場へ入れるといった作業は、予報がこの段階に届く前に済ませておく必要があります。

燃料も、台風の前に整えておきたい備えの1つです。目安は「燃料計が半分を切ったら給油に行く」。全国石油商業組合連合会が主催し、内閣府(防災担当)や資源エネルギー庁、国土交通省などが後援する「満タン&灯油プラス1缶運動」で紹介されている考え方です。停電すると、ガソリンスタンドの給油ポンプは電気で動いているため、地下のタンクに燃料が残っていても汲み上げられません。停電時の給油の仕組みと、車から電気を取るときの限界は、災害に備えてガソリンは何割入れておくか、満タン給油が推奨される理由の記事で確かめてください。

家の側の備えは、上陸の3日前・前日・当日で分けると抜けが減ります。時系列の一覧は台風に備える備蓄リスト(上陸3日前・前日・当日にやること)にまとめました。

台風のあと、水に浸かった車は自分でエンジンをかけないこと。国土交通省は「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」で、自分でエンジンをかけないこと、バッテリーのマイナス端子を外すことなどを呼びかけています。見た目が乾いていても、判断は変わりません。

大雪の立ち往生では、エンジンをかけるならマフラー周りの除雪が先

立ち往生とは、大雪や事故で道路が詰まり、車が前にも後ろにも動けなくなった状態である。

夜の高速道路、前の車のテールランプが30分以上動かない。外は吹雪で、ラジオは通行止めを繰り返している。こういうとき、多くの人はまず暖房を強めます。ここで気をつけたいのが、車の後ろ側で起きていることです。

JAFが2015年に北海道旭川市で行ったテストでは、雪に埋まった車でエンジンをかけ続けると、対策なしの状態で16分後に車内の一酸化炭素(CO)濃度が400ppmに達し、22分で測定上限の1,000ppmに届きました。一方で、マフラー周りの雪を取り除いた条件では、濃度はほとんど上がっていません。

つまり16分は、スマートフォンで短い動画を何本か見ているうちに過ぎてしまう時間です。一酸化炭素には色もにおいもないので、眠っていれば気づけない。エンジンをかけ続けるなら、マフラー周りの除雪がほかの何より先になります。除雪できない、外に出るのが危ないという状況なら、エンジンを止めて防寒に切り替えるのが筋の通った判断です。

このテストについてJAFは、周囲の状況や風向き、エアコンの設定によって結果が変わる旨を注記しています。数字は「この時間なら大丈夫」という目安ではなく、「思っているより早い」ことを知るための材料として読んでください。

雪に埋まった車を抜け出させる道具と、車内で一晩をしのぐ道具は、役割がまったく違います。スタック脱出の手順と、暖・明かり・電源・トイレ・食べ物の一晩セットは、大雪の立ち往生に備える車の装備(スタック脱出の道具と、車内で一晩過ごす備え)の記事に分けて整理しています。

運転中に地震が来たら、急な操作を避けて道路の左側に止める

運転中の地震対応とは、走行中に揺れを感じた瞬間から、車を安全に止めて次の行動を決めるまでの一連の措置である。

当サイトの車の記事7本は、実はこの場面をどれも正面から扱っていませんでした。家の中や避難所での地震の備えは語られても、「ハンドルを握っているときに揺れたら」は抜け落ちやすい。そこでこの章は、警察庁が「大地震が発生したときに運転者がとるべき措置」として示している内容を、原文の表現に沿って並べます。

場面 警察庁が示している措置(原文の表現)
運転中に大地震が起きたとき 「急ハンドル、急ブレーキを避けるなど、できるだけ安全な方法により道路の左側に停止させる」
停止したあと 「停止後は、カーラジオ等により地震情報や交通情報を聞き、その情報や周囲の状況に応じて行動する」
車を置いて避難するとき 「エンジンを止め、エンジンキーは付けたままとするか運転席などの車内の分かりやすい場所に置いておくこと」「窓を閉め、ドアはロックしないこと」
避難の手段 「津波から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこと」

揺れを感じると、とっさにブレーキを強く踏みたくなるものです。警察庁の記載は、その反射とは逆向きを求めています。急な操作を避け、できるだけ安全な方法で左側へ寄せる。止まってから、ラジオで状況を聞いて次を決める。順番がはっきりしているぶん、覚えてしまえば迷いは減ります。

いちばん意外に感じるのは、車を置いていくときの扱いかもしれません。キーは付けたままか車内の分かりやすい場所に置き、窓は閉め、ドアはロックしない。ふだんの駐車とは正反対の手順です。道路に残された車を、あとから誰かが動かせる状態にしておく措置だと読むと、覚えやすくなります。平時の感覚と逆だからこそ、家族で一度声に出して共有しておく価値があります。

車を置いて歩き出せば、カーラジオはもう聞けません。そこから先の情報源はスマートフォンと携帯ラジオです。家庭側の地震の備えは、地震の備えリスト(家具の固定と備蓄を1枚で点検する家庭のチェック表)でまとめて点検できます。

地震・津波のとき、車は避難の主役にしない

車での避難とは、自宅や職場から避難先まで自家用車で移動することであり、地震のあとには原則として避けるよう求められている行動である。

前の章の表の最後の行を、ここで独立した原則として立てておきます。警察庁は、津波から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこととしています。内閣府(防災担当)も、東日本大震災の被災者の証言を「避難に車を使うなの意味 渋滞で実感」という題で紹介しています。

理由は単純です。大勢が同時に車を出せば道は詰まり、詰まった車列は緊急車両の道もふさぐ。車は速く遠くへ運んでくれる道具ですが、道路が詰まった瞬間に、動けない箱にもなります。

地震のときに車で避難するかを、警察庁の記載にもとづいて整理した図。津波からの避難でやむを得なければ車もありうる、それ以外の避難では避難のために車を使用しない、車を置いて離れるときはエンジンを止めキーは付けたままにし、窓を閉めドアはロックしない、と対応づけている。
そなえぐらし管理人

車の記事を7本書いてきて、編集部としていちばん伝えたかったのは、実はこの章なのかもしれません。車は頼れる道具です。でも「使わない」と決めることも、車の備えのうちだと考えています。

この原則は、地震と津波についての話です。大雨や台風で早めに親戚の家へ移るときに車を使うかどうかは、自治体が出す避難情報に従い、そのうえでこのページの冠水と台風の章の判断を重ねてください。どちらの場面でも「車を守るために人が危ない道へ出る」ことは避ける、という点は変わりません。

車中泊は、避難所と並ぶ選択肢のひとつである

車中泊避難とは、自宅に戻れない夜を、避難所ではなく自家用車の中で過ごす避難のしかたである。

小さな子どもがいる、ペットと離れたくない、人の多い場所で眠れない。車中泊を選ぶ理由は家庭ごとにあります。当サイトは、避難所と車中泊に優劣をつけません。どちらを選んでもよい選択肢として扱います。

そのうえで大切なのが、自治体や近くの避難所に「車中泊避難をしている」と伝えることです。避難者として把握されていれば、物資や情報が届く先に自分の家族が入ります。内閣府(防災担当)も「在宅避難者・車中泊避難者等の支援の手引き」を公表しており、車の中で過ごす人は支援の対象として位置づけられています。

狭い座席で長い時間同じ姿勢を続けると、エコノミークラス症候群のリスクが高まります。厚生労働省は「エコノミークラス症候群の予防のために」というリーフレットで予防法をまとめています。車中泊を選択肢に入れるなら、一度目を通しておきましょう。体調の判断は自己流で行わず、医療機関や現地の医療救護所に相談してください。

冬の車中泊でエンジンをかけて暖を取るなら、前の大雪の章と同じ注意がそのまま当てはまります。マフラーの周りがふさがっていないか。夜のうちに雪が積もれば、寝る前の確認だけでは足りなくなります。

家族の人数と季節から一晩分の装備を積み上げる表は、車中泊は防災になるのか、自宅で眠れない夜のための一晩分の装備リストと夏冬の注意点をまとめた記事が本家です。人数分を数える作業は、そちらで行ってください。

EV・HVは、浸かったあとの扱いに固有の注意がある

電動車とは、EV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)のように、走るために高電圧のバッテリーを積んでいる車の総称である。

ガソリン車と同じ場面に遭っても、電動車には確かめておきたい点が別にあります。ここに並べるのは、公的機関とJAFの資料で確かめられた事実だけ。

1つめは、浸かったあとの扱いです。国土交通省は「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」で、HVやEVの高電圧バッテリーにむやみに触れないよう呼びかけています。水が引いたあと、ボンネットを開けて様子を見たくなる気持ちは自然なもの。けれど電動車では、その「ちょっと見る」が危険につながりえます。

2つめは、浅い水でも無傷とは限らないことです。JAFが2024年に行った冠水路走行テストでは、BEV(バッテリーだけで走る電気自動車)が水深30cm・時速30kmの条件で走行はできたものの、アンダーカバーが脱落し浸水しました。

つまり「走れた」は「無事だった」と同じ意味ではない、ということです。床下にバッテリーを抱える車ほど、車体の下で何が起きたかは運転席から見えません。冠水した道を通ったあとは、見た目に異常がなくても点検を考える。その流れで、2024年のテストの詳しい結果は冠水路の走行判断をまとめた記事の表で確かめられます。

電動車には、停電時に家電へ電気を送れる「給電」に対応した車種があります。対応の条件や使い方は車種によって違うため、国土交通省・経済産業省などがまとめた「災害時における電動車の活用促進マニュアル」と、自分の車の取扱説明書で確かめてください。充電器も電気で動く設備なので、停電した地域では使えない前提で残量を考えておくほうが無難です。ガソリン車・PHEVを含めた「車から電気を取る限界」は、満タン給油が推奨される理由と車から電気を取る限界の記事で整理しています。

車に積む物は、場面から逆算して1点ずつ決める

場面から逆算する備えとは、すべてをそろえる前に、自分がいちばん遭いそうな場面で最初に効く1点から積んでいく考え方である。

一覧を前にすると、全部そろえるまで手が止まってしまう。そういうときは、住んでいる地域と通勤の道から「いちばん遭いそうな場面」を1つ選び、その場面で最初に効く物だけを先に積むのが近道です。

場面 最初に効く1点 なぜ最初なのか 詳しい記事
大雨・冠水 脱出用ハンマー(ガラスの種類を確かめてから) ドアが開かなくなったとき、窓が唯一の出口になる 脱出用ハンマーの選び方
台風 燃料(半分を切ったら給油) 停電するとスタンドで給油できなくなる ガソリンは何割か
大雪の立ち往生 スコップ マフラー周りの除雪ができないと、エンジンをかけ続けられない 立ち往生に備える装備
立ち往生・渋滞 携帯トイレ 車から降りられない時間に、いちばん先に困る 車に常備する防災グッズ
大雪の一晩・車中泊 防寒シート・毛布 エンジンを止める判断をしたあとの暖になる 車中泊の一晩分の装備
地震のあと モバイルバッテリー 車を置いて離れるとカーラジオが使えなくなる このページの地震の章

大雨・冠水の場面:脱出用ハンマー

冠水の章で書いたとおり、ハンマーは自分の車のドアガラスが強化ガラスだとわかってから選ぶ道具です。たとえば「Amazonベーシック レスキューハンマー」は、Amazonの商品ページ表示(2026年9月11日確認)によると、シートベルトカッター付きの2点セットとして販売されています。2本あると運転席と助手席側の両方に置けますが、合わせガラスのドアガラスは割れないという前提は変わりません。

立ち往生・渋滞の場面:携帯トイレ

車から降りられない時間が長引いたとき、食べ物や水より先に困るのがトイレです。「Qbit どこでも携帯トイレ 小便用」は、Amazonの商品ページ表示(2026年9月11日確認)の商品名にあるとおり、小便用の携帯トイレ。用途を絞った商品なので、一晩を車内で過ごす備えまで考えるなら、ほかの種類も含めて比べておくと安心です。


大雪の一晩・車中泊の場面:アルミシート

エンジンを止めて防寒に切り替えると決めたとき、毛布の足しになるのが体を包むシートです。「Eco Ride World アルミシート」は、Amazonの商品ページ表示(2026年9月11日確認)ではエマージェンシーシートとして販売されています。かさばらないので、毛布を積みきれない車の予備としても考えやすい1点です。


地震のあとの場面:モバイルバッテリー

車を置いて歩き出したあと、情報をつなぐのはスマートフォンです。「Anker Power Bank」は、Amazonの商品ページ表示(2026年9月11日確認)の商品名に20000mAh・30Wと記載されているモバイルバッテリー。車に積みっぱなしにする物ではなく、ふだんのバッグに入れて出かける前提で選ぶ道具です。


リチウムイオン電池を使う製品は、夏の車内のような高温の場所での保管に注意が必要です。車内とトランクに何を置けて何を置けないかの仕分けは、車に常備する防災グッズ(車内とトランクで分ける、夏に置けない物リスト)にまとめています。積む物の全体の一覧も、そちらで確かめてください。

この記事が当てはまらないケース

当てはまらないケースとは、このページで整理した判断の前提が崩れ、別の決まりや指示が優先される状況である。

  • 社用車・営業車に乗っているとき:駐車場所やキーの扱い、備品の積み方は、会社の車両管理のルールが優先されます。災害時の連絡先と行動の決まりを、勤務先で確かめておいてください。
  • カーシェア・レンタカーを使っているとき:ドアガラスの種類を知らないまま乗ることが多く、自分の備品も積めません。乗る前に取扱説明書の置き場所を見る、ハンマーの有無を確かめるといった確認に限られます。事業者の定める災害時の扱いに従ってください。
  • すでに避難指示が出ている、または避難の途中にいるとき:場面ごとの判断を読み比べている段階ではありません。自治体の避難情報と、地震であれば警察庁の示す措置を優先してください。
  • 自治体が津波避難での車の使い方について独自の方針を定めている地域:その地域の避難計画に従ってください。このページの原則は、全国に向けた警察庁の記載をもとにしています。
  • 二輪車やトラック・バスなどの大型車:このページで紹介したJAFのテストは乗用車によるものです。車体の高さや重さが違えば、同じ数字は当てはまりません。
  • 持病や体調の不安がある家族との車中泊:エコノミークラス症候群を含め、体調の判断は医療機関に相談してください。

当てはまらないケースでも、「車を守るより人が先」という原則だけは同じです。迷ったら、車ではなく人の安全を基準に選び直してください。

よくある質問

ここでのよくある質問とは、車の防災を場面で考えるときに出てきやすい疑問と、その答えが詳しく書いてある記事の場所をまとめたものである。

Q. 車に積む防災グッズは、何から用意すればいいですか?

A. 住んでいる地域と通勤の道から「いちばん遭いそうな場面」を1つ選び、その場面で最初に効く1点から積むのが近道です。このページの「最初に効く1点」の表を入口にしてください。全体の一覧と、夏に車内へ置けない物の仕分けは、車に常備する防災グッズの記事で扱っています。

Q. 冠水した道で車が止まってしまったら、どうすればいいですか?

A. 国土交通省は、水深がドアの下端にかかると開けることが困難になり、ドアの高さの半分を超えるとほぼ開けられなくなるとしています。ドアが開くうちに外へ出ることが最初の判断です。開かないときの窓からの脱出は、自分の車のドアガラスの種類で方法が変わるため、脱出用ハンマーと窓ガラスの見分け方の記事で平時に確かめておいてください。

Q. 地震のとき、車で逃げてはいけないのですか?

A. 警察庁は「津波から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこと」としています。車を置いて離れるときは、エンジンを止め、キーは付けたままか車内の分かりやすい場所に置き、窓を閉めてドアはロックしない、というのが警察庁の示す措置です。

Q. ガソリンはどのくらい入れておけばいいですか?

A. 「燃料計が半分を切ったら給油に行く」が、満タン&灯油プラス1缶運動で紹介されている目安です。停電すると給油ポンプが動かなくなる仕組みと、住民拠点SSの探し方は、災害に備えるガソリンの目安の記事にまとめています。

Q. EVやHVは、災害のとき電源として使えますか?

A. 給電に対応した車種があります。条件は車種ごとに違うため、国土交通省・経済産業省などの「災害時における電動車の活用促進マニュアル」と取扱説明書で確かめてください。なお、浸水した電動車の高電圧バッテリーにはむやみに触れないよう、国土交通省が呼びかけています。

場面ごとの判断が決まったら、次は車に置いておく物です。車内とトランクのどちらに何を置くか、夏の車内に置けない物は何かは、車に常備する防災グッズ|車内とトランクで分ける、夏に置けない物リストで仕分けています。

まとめ:今日やることは1つ

車の防災のまとめとは、4つの場面に共通する2つの原則を、今日の行動1つに落とし込むことである。

冠水では水深、台風では風と時間、大雪では排気ガス、地震では止まり方。場面ごとに見るものは違っても、「車を守るより人が先」「数字は運転席から測れない」という2つの原則は変わりません。そして、判断を平時に決めておいた人ほど、あの数十秒で迷わずに済みます。

今日やることは1つだけ。駐車場へ行って、運転席のドアガラスの隅にある刻印を見てください。強化ガラスか合わせガラスかがわかれば、冠水の場面で自分が取れる脱出の方法が1つに決まります。余裕があれば、次の2つを続けてください。

  1. ドアガラスの刻印を見る読み方がわからなければ、取扱説明書かディーラーで確かめる。見分け方は脱出用ハンマーの記事に書いてあります。
  2. 燃料計に「給油の線」を引く「半分を切ったら給油」を家族の決まりにして、次にスタンドの前を通るときに守る。
  3. 地震で車を置くときの手順を家族で共有するエンジンを止め、キーは車内の分かりやすい場所へ、窓を閉めてドアはロックしない。車に乗る家族全員で一度声に出しておく。

参考・出典

出典とは、このページの数字と、災害時の行動の根拠にした一次情報の一覧である。

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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

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