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地震でけがをした人の原因を調べると、約30〜50%が家具類の転倒・落下・移動によるものでした。東京消防庁が「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」にそう書いています。つまり、地震の備えリストの一行目に来るのは、買い足す物の名前ではありません。いま家にある家具の置き方です。
この順番はけっこう大事です。備蓄は、揺れが収まって、無事に立ち上がれてから使うもの。立ち上がれなければ、押し入れに積んだ水も非常食も出番が来ません。買い物は今日でなくてもできます。棚の上の箱を下ろすのは、今日できます。
そこでこの記事では、揺れへの対策と備蓄の量を部屋ごとに1枚へ並べた統合点検表を用意しました。防災の情報は「持出袋」「食料と水」「家具固定」と章が分かれていることが多く、家の中を歩きながら確認するには向いていません。玄関から寝室、リビング、キッチンへと歩いて、固定も備蓄もその場で見る。そういう形にしています。
この記事でわかること
- けがの原因の約30〜50%が家具類だという東京消防庁の数字と、その意味
- 玄関・寝室・リビング・キッチン・全体の5区分で、固定と備蓄を横断する統合点検表
- 固定器具の選び方——壁にネジを打てる家と、打てない賃貸・マンションの分岐
- 備蓄の日数を、東京都の想定するライフライン復旧見込みから逆算する考え方
地震の備えは、買い物より先に部屋の点検から始めるものである
部屋の点検とは、いま家にある家具と、その置き方を見直す作業のことです。新しく買う物はひとつもありません。
東京消防庁のハンドブックには、こう書かれています。「近年発生した地震でけがをした原因を調べると、約30〜50%の人が、家具類の転倒・落下・移動によるものでした」。この幅は、地震ごとの実測値の幅です。宮城県北部地震で49.4%、岩手・宮城内陸地震で44.6%、新潟県中越地震で41.2%、十勝沖地震で36.3%、能登半島地震で29.4%(平成27年3月9日現在)。
数字が並ぶと、かえって実感が薄くなります。言い換えます。けがをした3人に1人、多い地震では2人に1人が、家具にやられている。倒れた棚、落ちてきた本、動いてきた冷蔵庫。原因は地震そのものではなく、部屋の中の物です。そしてこれは、揺れる前に手を打てる種類の原因でもあります。
内閣府の「防災に関する世論調査」(令和4年9月調査)では、大地震への対策として「家具・家電などを固定し、転倒・落下・移動を防止している」を挙げた人は35.9%でした(複数回答)。しかも実施していると答えた人の内訳は、「ほぼ全ての家具・家電を固定」が8.9%、「重量・高さのある家具は固定」が30.6%、「一部固定」が56.0%。全部を固定できている家は、そう多くありません。
この35.9%は、見方によって印象が変わります。「まだ3人に2人がやっていない」とも読めるし、「やるだけで上位に入れる」とも読める。当サイトは後者で読みます。家具の固定は、まだ伸びしろが大きく残っている対策。しかも一度やれば、あとは効きっぱなしになります。
気象庁の「震度階級関連解説表」を見ると、家具が動き出す境目もはっきりしています。震度5弱で「固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある」。震度5強で「固定していない家具が倒れることがある」。震度6強になると「ほとんどが移動し、倒れるものが多くなる」、震度7では「飛ぶこともある」と書かれています。
震度5弱は、体感としてはそこまで珍しい揺れではありません。棚の上に載せた物が落ちてくるくらい、と考えるとイメージしやすいでしょうか。その境目のところで、固定してあるかどうかが分かれ目になる。ここから先の点検表は、この「固定していない家具」を1つずつ減らしていくための表です。
【統合点検表】揺れ対策と備蓄を1枚で確認する

統合点検表とは、揺れへの対策と備蓄の量を、部屋ごとに1枚へ並べた表のことです。「固定の章」と「備蓄の章」に分けないのが、この表のすべてです。
なぜ分けないのか。家の中を歩くとき、人は章立ての順に歩かないからです。玄関を出入りして、寝室で寝て、キッチンで料理をする。点検も同じ順のほうが、途中で止まりません。寝室に立ったときに、家具の向きと枕元の明かりを同時に見る。その一往復で済ませるための表です。
揺れ対策=立ち上がれるようにするための備え。備蓄=立ち上がったあとで使う備え。順番は前者が先で、置き場所は同じ部屋。だから1枚の表で確認できます。
| 部屋 | 点検項目 | 今日できること | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 玄関 | 下駄箱・傘立てが倒れて出口をふさがないか | 上に載せた物を下ろす。壁の下地を確認する | 東京消防庁(ネジ固定が最も効果が高い) |
| 玄関 | 持ち出す物が出口の近くにまとまっているか | 防災リュックを下駄箱の脇へ移す | 当サイトの整理 |
| 寝室 | ベッド・布団の周りに背の高い家具がないか | 家具の向きを変える。動かせないなら寝る位置をずらす | 東京消防庁(寝る場所に家具を置かない) |
| 寝室 | 窓・ガラス戸の飛散対策があるか | 飛散防止フィルムを貼る(両面が効果的、片面なら外側) | 東京消防庁 |
| 寝室 | 枕元に底の厚い履物と厚手の手袋があるか | 履かなくなった靴を箱に入れてベッド下へ | 東京消防庁(安全スペースに用意する物) |
| 寝室 | 停電時の明かりが手を伸ばして届く所にあるか | ヘッドライトの定位置を決める | 当サイトの整理 |
| リビング | 本棚・食器棚・テレビ台が壁に固定されているか | 下地を探し、L型金具で留められるか確認する | 東京消防庁 |
| リビング | ポール式(突っ張り棒)だけで済ませていないか | ストッパー式か粘着マット式を追加して併用する | 東京消防庁(単独使用は効果が小さい) |
| リビング | 家具の上に重い物・ガラス製品を載せていないか | 下ろす。または割れない物に置き換える | 気象庁(震度6強で家具のほとんどが移動) |
| キッチン | 食器棚・吊戸棚の中身が飛び出さないか | 開き戸のストッパーを付け、重い食器を下段へ | 当サイトの整理 |
| キッチン | 冷蔵庫が動いて通路をふさぐ位置にないか | 専用の固定器具が使えるか取扱説明書で確認 | 東京消防庁(転倒・落下・移動の防止) |
| キッチン | カセットこんろとボンベが使える状態か | 点火を確認し、ボンベの本数を数える | 東京都想定(ガス復旧は約6週間後) |
| キッチン | 飲料水が1人1日3L×日数ぶんあるか | 本数を数え、足りないぶんをメモする | 首相官邸(飲料水3日分・1人1日3L) |
| 全体 | 非常食が3日分あるか(できれば1週間分) | 期限の近い物を今週食べ、同じ物を買い足す | 首相官邸(3日分/1週間分が望ましい) |
| 全体 | 分電盤の位置を家族全員が知っているか | 場所を見て、家族に共有する | 内閣府・消防庁・経済産業省(通電火災対策) |
| 全体 | 備蓄が1か所に集中していないか | 2〜3か所へ分ける | 当サイトの整理 |
| 全体 | 住まいが高層階かどうか | 階数が上がるほど固定の優先度を上げる | 東京消防庁(11階以上では47.2%で発生) |
17行のうち、今日その場で終わるものが半分以上あります。上に載せた物を下ろす。靴を箱に入れる。本数を数える。道具も買い物も要りません。残る「固定」と「フィルム」だけが、買う物を決めてからの作業です。
備蓄の量そのものを細かく詰めたい場合は、家庭の備蓄品リスト完全版|人数×日数でわかる必要量早見表に掛け算の表を置いています。この記事の役目は量を出すことではなく、固定と備蓄を同じ1枚で見ることのほう。置き場所の分け方は防災グッズの収納場所は4か所に分散が基本へ。
固定器具は、単独で使うと効果が小さい|賃貸でもできる組み合わせ

固定器具とは、家具が動き出すのを押さえるための金具・棒・板・マットの総称です。売り場にはいろいろ並びますが、東京消防庁が震度6強を再現した実験の結果を読むと、選び方はかなりはっきりします。
ハンドブックの記述はこうです。「家具をL型金具などで壁に直接ネジ固定する方法が最も効果が高い」。そして「ポール式やすき間家具などで固定する場合は、ストッパー式や粘着マット式を併用すると効果が高い」。さらに「マット式やストッパー式の器具の単独使用は効果が小さい」とも。
ここが、多くの記事で抜けているところです。突っ張り棒を1本立てて終わりにしている家。粘着マットを4隅に貼って済んだつもりの家。どちらも珍しくありません。単独では効果が小さいと公的機関が明記しているのに、その一文はあまり広まっていない。
| 住まいの条件 | 壁にネジを打てるか | 選ぶ組み合わせ | 東京消防庁の記述 |
|---|---|---|---|
| 持ち家・下地のある壁 | はい | L型金具で壁の下地へ直接ネジ固定 | 「最も効果が高い」 |
| 賃貸・下地がない壁・石こうボード | いいえ | ポール式+ストッパー式(または粘着マット式)を必ず併用 | 「併用すると効果が高い」 |
| すき間家具・作り付けに近い家具 | いいえ | すき間家具用の器具+ストッパー式か粘着マット式を併用 | 同上 |
| どの条件でも共通 | — | ストッパー式は家具の端から端まで敷く。1枚だけ挟まない | 「家具の端から端まで敷く」 |
表の1行目にあるL型金具は、売り場では小さな箱に入っていて、あまり目立ちません。アイリスオーヤマの「防災用品 家具転倒防止L字金具 JTK-L2」は、ブラックの2個セット。1台の家具に2か所使うと1セットで終わる計算なので、留めたい家具が何台あるかを先に数えておくと、買い足しの往復が減ります。取り付ける前に確かめたいのは、壁のどこに下地が通っているかと、家具側にもネジが効く面があるかどうか。賃貸の方は、壁に穴を開けてよいかの確認が先になります。
賃貸やマンションで「ネジが打てないから何もできない」と止まる方がいますが、資料が示している答えは「打てないなら組み合わせる」です。ポール式だけ、マットだけ、という単独運用をやめる。それだけで選び方はほぼ決まります。ポール式を使うときは、天井側の強度もあわせて確認を。
その組み合わせの片側、ポール式を1本も持っていないなら、アイリスオーヤマの「家具転倒防止伸縮棒 KTB-40R」のMサイズが選択肢に入ります。名前のとおり伸ばして使う棒で、色はホワイト。サイズ違いが用意されている商品ですから、注文の前に家具の上端から天井までをメジャーで測っておくと、届いてから合わないという遠回りを避けられます。上に書いたとおり、これ1本で完結させず、ストッパー式か粘着マット式と併せて使う前提でどうぞ。
固定器具は効果を高めるための手段であって、家具が倒れないことを保証するものではありません。上に挙げたのは東京消防庁が震度6強を再現した実験の結果として公表している記述であり、実際の揺れ方・家具の形状・壁の状態で結果は変わります。取り付けは各製品の説明書に従ってください。
もうひとつ、マンションにお住まいの方に関係する数字があります。東京消防庁が東日本大震災のあとに東京都内で調べたところ、家具の転倒・落下・移動が発生した割合は、1〜2階で16.8%、3〜5階で23.8%、6〜10階で31.9%、11階以上で47.2%でした。ハンドブックは「高層階になるほど、転倒・落下・移動している割合が多くなっています。これは、長周期地震動が一因と考えられます」と説明しています。
11階以上の47.2%は、ざっくり2軒に1軒近く。同じ地震、同じ都内でも、1〜2階の16.8%とは3倍近い差がつきました。高い階ほど固定の優先度は上がり、ネジが打てない建物ならなおさら併用が要る、という結論になります。置き場所の考え方はマンションの備蓄の置き場所へ。
【夜の点検】寝ている間に揺れたら、を想定した寝室のチェック
夜の点検とは、明かりも履物もない状態で目が覚めた場合を想定して、寝室だけを見直す作業です。家全体の点検とは、見るところが違います。
寝室の本棚をなんとなく見上げて、「そのうち動かそう」と思って、そのまま忘れる。あるあるですよね。ただ、寝室は多くの人がまとまった時間を過ごす場所でもある。ここだけは別枠で点検する価値があります。
東京消防庁のハンドブックは、置き方についてこう書いています。「『寝る場所』や『座る場所』にはなるべく家具を置かないようにしましょう。置く場合には背の低い家具にするか、家具の置き方を工夫します」。加えて、安全スペースには「厚手の手袋、底の厚い履物」を用意するようにと示されています。
- ベッド・布団の位置——倒れてきたときに体の上に来る家具がないか。動かせるなら、まず寝る位置のほうをずらします。家具より人のほうが軽い。
- 背の高い家具の扱い——置くなら背の低い物へ。動かせないなら、倒れる向きが寝ている場所と反対になるよう向きを変えます。
- ガラス——窓、ガラス戸、姿見。飛散防止フィルムは「ガラス戸の両面にはることにより飛散防止効果が高くなります。片面に貼る場合は、外側のガラス面に貼って下さい」。両面が基本、片面なら外側です。
- 底の厚い履物と厚手の手袋——割れたガラスの上を歩く前提で用意します。履かなくなったスニーカーを箱に入れてベッド下へ、で十分。
- 明かりの位置——起き上がらずに手が届く所か。天井の照明まで歩く前提だと、暗い床を素足で渡ることになります。
この5項目のうち、お金がかかるのはフィルムだけ。あとは今夜のうちに終わります。寝室の点検は、買う話ではなく置き直す話。上位の防災記事があまり書いていない部分でもあります。
そのフィルムをまだ1枚も貼っていない場合の候補として。ニトムズの「ガラス飛散防止シート M6120」は透明タイプで、幅48cm×長さ1.8mが1枚入り、UV99%カットの表示があります。商品名に「平滑面用」とあるとおり、すりガラスや型板ガラスのような凹凸のある面は対象から外れます。まずは寝室の窓とガラス戸を採寸して、48cm幅で何本ぶん要るかを数えるところから。貼る面については本文で引いた東京消防庁の記述(両面が基本、片面なら外側)と、製品の説明書に従ってください。
明かりは、手がふさがらないものが有利です。片手に懐中電灯を持つと、もう片方の手だけで扉を開け、家族を起こし、床の物をよけることになります。ヘッドライトを選ぶ理由はヘッドライトが防災に必要な理由に整理しました。
枕元の明かりをまだ1つに決めていないなら、点灯時間の表示だけでも見ておくと、寝室の点検が最後まで終わります。
通電火災という、揺れが収まった後の危険
通電火災とは、停電したあとで電気が復旧したときに起きる火災のことで、「復電火災」とも呼ばれます。揺れている最中ではなく、揺れが収まって、しばらく経ってから起きるのが特徴です。
内閣府・消防庁・経済産業省が連携して開催した「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」の資料には、過去の地震で電気が出火原因に占めた割合が示されています。兵庫県南部地震では、出火原因のうち電気起因が約61%(139件中85件)。東北地方太平洋沖地震では、本震の直接要因のうち電気関係が65%(110件中71件)でした。
6割を超えている、というのが読みどころです。地震の火事というとコンロや暖房を想像しがちですが、記録では電気が主役でした。倒れた家具の下敷きになった電気器具、傷ついたコード。そこへ電気が戻る、という順番です。
対策として位置づけられているのが感震ブレーカーです。揺れを感知して電気を止める装置で、内閣府・消防庁・経済産業省が「感震ブレーカー等の性能評価ガイドライン」をまとめ、性能評価と普及が検討されてきました。通電火災への対策として公的に位置づけられている、という事実の紹介にとどめます。
当サイトは、感震ブレーカーの設置を勧めたり、特定のタイプが優れていると判断したりはしません。分電盤に取り付けるタイプの工事は電気工事士の資格が必要で、家庭の判断だけで進める領域ではないからです。設置の要否・種類の選定・補助の有無は、お住まいの自治体の窓口と電気工事店にご相談ください。
家庭で今日できることは、もっと手前にあります。分電盤がどこにあるかを、家族全員が知っていること。これだけなら、今日終わります。停電したときの動き方は停電したらまず何をする?に整理しました。
備蓄の量は、ライフラインの復旧見込みから逆算する
ライフラインとは、電気・水道・ガスのことです。備蓄の日数は「なんとなく多め」で決めるより、この3つが戻ってくるまでの見込みから逆算するほうが、納得して決められます。
出発点は、首相官邸「災害が起きる前にできること」の数字です。飲料水は3日分(1人1日3リットルが目安)、非常食も3日分。そのうえで「大規模災害発生時には『1週間分』の備蓄が望ましいとされています」と書かれています。3日が下限、1週間が目標という二段構えです。
では、なぜ3日で足りないことがあるのか。東京都総務局総合防災部がまとめた首都直下地震の被害想定を見ると、理由がはっきりします。
| ライフライン | 発災時 | 1週間後 | 復旧完了の見込み |
|---|---|---|---|
| 電気(停電率) | 11.9% | 0% | 約4日後 |
| 水道(断水率) | 平均26.4%(区部34.1%・多摩9.2%) | 16.8%が残る | — |
| ガス(供給停止率) | 24.3% | — | 約6週間後 |
停電は1日後に7.7%、3日後に2.1%と下がり、約4日で復旧完了。つまり電気については3日分の明かりと電池でおおむね足ります。ところが水道は、1週間経っても16.8%が断水したまま。3日分の水では届かない家が残るという見込みです。首相官邸の「1週間分が望ましい」が、ここで具体的な形になります。
この復旧見込みは東京都が首都直下地震を想定して算出したものです。地域が変われば、災害の種類が変われば、数字も変わります。お住まいの地域の想定は、自治体が公表している被害想定や地域防災計画でご確認ください。ここでは「日数を決めるときの考え方の一例」として読んでください。
そして、いちばん長いのがガスです。供給停止率24.3%に対して、復旧完了の見込みは約6週間後。日数に直すと40日を超えます。夏休みがまるごと終わって、まだ数日残るくらいの長さ。この間、電気は戻り、水も多くの地域で戻っている。それでも火が使えない期間が続く、という絵になります。
だからカセットこんろが要る、という結論はここから素直に出てきます。6週間ぶんのボンベを積む必要はありません。熱源をガス以外にもう1つ持っておく、というだけの話です。本数の考え方はカセットボンベの備蓄は何本?に置いています。
いま家にあるこんろが何年前のもので、ボンベが何本残っているか。数えたうえで、現在の価格帯だけ見ておくと計画が立てやすくなります。
水も計算しておきます。1人1日3Lで、1週間なら21L。2Lボトルで約10本半、4人家族なら84L・42本です。3日分から1週間分へ伸ばすと、必要量は倍以上。一度に全部そろえず、3日分を完成させてから足すほうが続きます。リットル数の詳細は水の備蓄は1人何リットル?、断水時のトイレは簡易トイレは何回分必要?、自宅にとどまる準備全体は在宅避難の準備リストへ。
何箱で家に収まるかを見るために、長期保存水の容量と入数の表示だけ確認しておくと計画が進みます。
これは家庭でやることではない|専門家に頼る線引き
線引きとは、自分の手でやってよいことと、資格や専門の判断が要ることの境目です。この記事の点検表は前者だけを扱っています。ここから先は、家庭で判断しないほうがよい領域。
- 建物そのものの耐震性——耐震診断と耐震改修は専門事業者の領域です。国土交通省の「住まいの耐震化」ポータルには「お住まいの地方公共団体が、住宅の耐震改修にかかる費用の補助制度を用意しています」「地方公共団体によって補助制度が異なるため、まずはお住まいの地方公共団体に相談しましょう」とあります。自治体への相談が先です。
- 分電盤に手を入れる工事——感震ブレーカーの分電盤タイプなど、配線に関わる工事は電気工事士の資格が必要です。家庭で取り付けるものではありません。
- 大型家具の下地探しに不安がある場合——ネジが効く位置の判断を誤ると、固定したつもりで固定できていない状態になります。ホームセンターの取り付けサービスやリフォーム事業者にご相談を。
- 賃貸で壁に穴を開けてよいかの判断——原状回復の扱いは契約次第です。管理会社やオーナーへの確認が先で、当サイトが可否を判断することはできません。
- 避難するかどうかの判断——自治体の避難情報と、気象庁・自治体の発表に従ってください。家の備えが整っていても、この判断だけは公的機関の情報が優先します。
当サイトは、これらの判断を代行しません。できるのは、公表されている資料に何が書いてあるかを示すところまで。線の内側——物を下ろす、向きを変える、数を数える、器具を組み合わせる——については、この記事の表がそのまま使えます。
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よくある質問
Q. 家具の固定と備蓄、予算が限られていたらどちらが先ですか
固定が先です。東京消防庁の資料では、けがの原因の約30〜50%が家具類の転倒・落下・移動とされています。備蓄は揺れが収まってから使うもので、けがをしていれば取りに行くこと自体が難しくなる。しかも固定は、上に載せた物を下ろすところまでなら費用がかかりません。
Q. 突っ張り棒を付けてあります。これで足りていますか
東京消防庁のハンドブックには「ポール式やすき間家具などで固定する場合は、ストッパー式や粘着マット式を併用すると効果が高い」とあります。裏を返すと、ポール式だけの状態は想定されている使い方ではありません。ストッパー式を足すときは「家具の端から端まで敷く」とも書かれています。1枚だけ挟まず、幅いっぱいに敷いてください。
Q. 賃貸で壁に穴を開けられません。どうしたらよいですか
ネジ固定ができない場合の答えは「組み合わせる」です。ポール式に、ストッパー式または粘着マット式を併用する。東京消防庁が「マット式やストッパー式の器具の単独使用は効果が小さい」と明記しているとおり、どれか1つで済ませないことがポイントです。壁や天井に手を加えてよいかは契約次第なので、管理会社への確認を先にどうぞ。
Q. 備蓄は3日分と1週間分、どちらでそろえればいいですか
まず3日分を完成させて、そこから1週間分へ伸ばす順番をおすすめします。首相官邸は飲料水・非常食とも3日分を目安としつつ、「大規模災害発生時には『1週間分』の備蓄が望ましい」としています。東京都の想定では1週間後も16.8%の断水が残る見込み。ただしこれは東京都の数字なので、お住まいの地域は自治体の公表資料でご確認ください。
Q. マンションの高い階に住んでいます。何か違いはありますか
東日本大震災のときの東京都内の調査では、家具の転倒・落下・移動の発生割合が1〜2階で16.8%、11階以上で47.2%でした。東京消防庁は長周期地震動を一因として挙げています。やることの中身は低層階と同じですが、固定の優先度は上がると考えてよいでしょう。
まとめ:今日やることは1つ
地震の備えリストは、買い物リストの前に点検リストです。けがの原因の約30〜50%が家具類の転倒・落下・移動で(東京消防庁)、家具を固定していると答えた人はまだ35.9%(内閣府)。やっていない人が多いぶん、やれば効く余地がそれだけ残っています。
固定器具は、ネジが打てるならL型金具、打てないならポール式+ストッパー式か粘着マット式の併用。備蓄の日数は、電気は約4日、水道は1週間後も16.8%が残り、ガスは約6週間という東京都の想定から逆算する。夜の寝室は、置き直しだけで今日終わります。
今日やることは1つだけ。家の中を一周して、上の点検表に印を付けてください。それ以上は今日でなくて構いません。時間があれば、下の3つを順にどうぞ。
- 一周して印を付ける玄関から寝室、リビング、キッチンへ。点検表の17項目のうち、できていない行に印を付けるだけです。
- その場で終わる行を今日つぶす棚の上の物を下ろす、寝室に靴を置く、水の本数を数える、分電盤の位置を家族に伝える。道具は要りません。
- 残った印を買い物リストにするL型金具か、ポール式+ストッパー式か。飛散防止フィルムか、水か、ボンベか。印の数だけが、あなたの家の宿題です。
年に一度、日を決めて見直すと続きます。何月にやるかを決めていない場合は、防災の日に家庭でやること10を目安にしてください。持ち出す側の中身は防災リュックの中身リストにまとめています。
点検表を埋め終えたら、あとは足りないものを足すだけです。寝室の明かりはヘッドライトが防災に必要な理由、熱源の本数はカセットボンベの備蓄は何本?で、それぞれ公表値をもとに整理しています。
出典: 東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」/首相官邸「災害が起きる前にできること」/気象庁「震度階級関連解説表」/内閣府「防災に関する世論調査」(令和4年9月調査)/内閣府・消防庁・経済産業省「感震ブレーカー等の性能評価ガイドライン」/東京都総務局総合防災部「東京都の首都直下地震の被害想定」/国土交通省「住まいの耐震化」ポータル(すべて2026年8月6日確認)
