被災者生活再建支援金はいくら?基礎支援金と加算支援金の額を罹災証明書の判定と対応させる

被災者生活再建支援金は、基礎支援金と加算支援金の二階建てでできています。複数世帯(世帯人数が2人以上)で、住宅が全壊し、住宅を建設または購入して再建する場合が最も高く、基礎支援金100万円+加算支援金200万円=合計300万円。これが上限です(いずれも2026年8月28日確認時点、内閣府の公表資料に基づく額)。

ただし、この300万円という数字だけを覚えて帰ると、二か所でつまずきます。ひとつは単数世帯(世帯人数が1人)は、各欄の金額が複数世帯の4分の3になること。もうひとつは、災害が起きても、住んでいる市町村が制度の適用対象にならなければ1円も支給されないことです。金額表は制度が適用された後の話であって、適用されるかどうかは別の関門になっています。

この記事では、内閣府(防災担当)が公表している資料で確認できた額だけを並べます。ネット上には「300万円が600万円に倍増した」という趣旨の情報も見かけますが、その現在地についても後半で正確に書きます。

この記事でわかること

  • 基礎支援金と加算支援金の額(複数世帯・単数世帯の両方/2026年8月28日確認時点)
  • 罹災証明書の判定(全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊)と、支援金の対応表
  • 支援金が1円も出ないケース(市町村が制度の適用対象にならない場合)と申請期間
  • 支援金以外に使える公的な制度(弔慰金・障害見舞金・援護資金・応急修理)の額

金額を決めているのは「世帯人数」「罹災証明書の判定」「これからどう住まいを直すか」の3つ。この3つが決まらないと、あなたの受け取れる額は決まりません。

目次

支援金は基礎支援金と加算支援金の二階建てである

被災者生活再建支援金とは、被災者生活再建支援法に基づき、住宅に大きな被害を受けた世帯へ、使いみちを限定せずに現金で支給される公的な支援金です。一階部分の基礎支援金が「壊れた程度」に対して、二階部分の加算支援金が「これからどう住まいを立て直すか」に対して支払われる、と整理すると迷いません。

つまり、住宅の被害が同じでも、建て直す人と、補修して住み続ける人と、借家に移る人とでは、二階部分の額が変わります。逆に一階部分は、どう再建するかにかかわらず判定だけで決まります。

世帯人数別の金額早見表(2026年8月28日確認時点)

区分 複数世帯(2人以上) 単数世帯(1人) 備考
基礎支援金:全壊・解体・長期避難 100万円 75万円 単数世帯は4分の3
基礎支援金:大規模半壊 50万円 37.5万円 単数世帯は4分の3
基礎支援金:中規模半壊 支給なし 加算支援金のみの対象
加算支援金:建設・購入 200万円 150万円 単数世帯は4分の3
加算支援金:補修 100万円 75万円 単数世帯は4分の3
加算支援金:賃借(公営住宅を除く) 50万円 37.5万円 単数世帯は4分の3
加算支援金:中規模半壊で建設・購入 100万円 複数世帯の4分の3 中規模半壊は加算のみ
加算支援金:中規模半壊で補修 50万円 複数世帯の4分の3 同上
加算支援金:中規模半壊で賃借 25万円 複数世帯の4分の3 同上

出典:内閣府(防災担当)「被災者支援に関する各種制度の概要」(https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/kakusyuseido_tsuujou.pdf・令和8年6月1日現在・2026年8月28日確認時点)および同「被災者生活再建支援制度の概要」(https://www.bousai.go.jp/taisaku/seikatsusaiken/pdf/140612gaiyou.pdf・2026年8月28日確認時点)

中規模半壊の単数世帯の欄を「複数世帯の4分の3」と書いたのは、今回確認した資料に金額そのものの記載を見つけられなかったためです。割り算をすれば数字は出ますが、この記事では計算で作った額を載せません。実際の支給額は市区町村の窓口で確かめてください。

上限の300万円は「複数世帯・全壊・建設または購入」という条件がそろったときの額です。単数世帯であれば、一階が75万円、二階が150万円という組み合わせが上限にあたります(2026年8月28日確認時点)。

金額は罹災証明書の判定で決まる

罹災証明書とは、住宅の被害の程度を市区町村が調査し、その判定結果を証明する書類です。支援金の一階部分がいくらになるか、そもそも対象になるかは、この紙に書かれた区分でほぼ決まります。

判定の基準は、住宅の「損害割合」と「延床面積に占める損壊部分の割合」で区切られています。損害割合50%と言われてもぴんと来ないかもしれませんが、延床100平方メートルの家なら、そのうち70平方メートルが損壊していれば全壊にあたる、という換算を思い浮かべると輪郭がつかめます。

被害認定の区分と支援金の対応表(この記事の主役)

罹災証明書の判定 損害割合(目安) 延床面積の損壊割合 基礎支援金(複数世帯) 加算支援金の対象
全壊 50%以上 70%以上 100万円 対象(建設・購入200万円/補修100万円/賃借50万円)
解体・長期避難 100万円 対象(同上)
大規模半壊 40%以上50%未満 50%以上70%未満 50万円 対象(同上)
中規模半壊 30%以上40%未満 30%以上50%未満 支給なし 対象(建設・購入100万円/補修50万円/賃借25万円)
半壊 20%以上30%未満 20%以上30%未満 支給なし 対象外
準半壊 10%以上20%未満 10%以上20%未満 支給なし 対象外

出典:内閣府(防災担当)「被災者支援に関する各種制度の概要」巻末の被害認定基準(令和3年6月24日府政防第670号通知に基づく現行基準・令和8年6月1日現在・2026年8月28日確認時点)。加算支援金の額は複数世帯の場合で、単数世帯は4分の3です。

この表で読者がいちばん引っかかるのが、中規模半壊の行です。ここだけ一階が空欄で、二階だけが残る。これは令和2年12月4日法律第69号で新設された比較的新しい区分で、令和2年7月3日以後に発生した災害から遡って適用されています。「半壊」と「大規模半壊」のあいだにできた段差を埋めるための区分だと考えると、位置づけがわかりやすくなります。

罹災証明書の申請手順や、判定に納得できないときの再調査の求め方は、この記事では扱いません。写真をいつ撮るか、どの順で窓口に行くかは罹災証明書の申請の流れ|片づける前に撮る写真と、判定に納得できないときの再調査にまとめてあります。判定が1段変わると受け取れる額が変わるので、金額の話とセットで読む価値があります。

制度が適用されない災害もある

被災者生活再建支援法は、被害を受けた個人ではなく、災害の規模に対して発動する仕組みです。ここが誤解されやすいところで、自分の家が全壊しても、災害そのものが制度の適用基準に届かなければ支援金は支給されません。

最も基本的な基準は、住宅全壊の被害が10世帯以上発生した市町村であること。このほかに都道府県単位での段階的な人口基準もあり、適用されるかどうかは都道府県の公示によって決まります(2026年8月28日確認時点)。

「災害に遭えば必ずもらえる」制度ではありません。大雨で自宅が全壊しても、同じ市町村での全壊が数世帯にとどまれば、この支援金の対象外になることがあります。まず確認すべきは金額表ではなく、自分の市町村に制度が適用されたかどうかです。市区町村の防災担当窓口か、都道府県の公示で確認できます。

申請期間も決まっています。基礎支援金は災害発生日から13月以内、加算支援金は37月以内。13月はおよそ1年1か月、37月はおよそ3年1か月にあたります。住まいを建て直すか借りるかを決めるのに時間がかかることを織り込んで、二階部分だけ長く取ってあるわけです。

なお、この期間が延長されることがあるのかどうかは、今回確認した公式資料に明記を見つけられませんでした。個別の災害ごとに運用が示される場合があるという情報はありましたが、一次資料で裏づけられなかったため、この記事では断定しません。期限が近い方は、市区町村の担当窓口、または内閣府防災情報のページ(被災者生活再建支援制度の概要)で最新の取り扱いを確かめてください。

300万円が600万円になった、という話の現在地

2024年12月19日、立憲民主党・日本維新の会・国民民主党の3党が、支援金の上限を300万円から600万円に倍増する被災者生活再建支援法の改正案を衆議院に共同提出しました。この提出は事実です。

ただし、2026年8月28日確認時点で、この改正案が成立したという記録は確認できませんでした。内閣府が発行している最新のパンフレット「被災者支援に関する各種制度の概要」(令和8年6月1日現在)でも、金額は従来のまま、合計最大300万円と記載されています。つまり現時点で現に施行されている額は、この記事の表のとおりです。

もうひとつ紛らわしいのが、2026年7月17日の法改正です。被災者生活再建支援法は同日付(令和8年7月17日法律第62号)で改正されていますが、これは同じ日に公布された防災庁設置法の施行に伴い、所管官庁の記載を書き換えるための整備であって、金額を変えるものではありません。防災庁は2026年秋の発足予定で、2026年8月28日時点ではまだ発足しておらず、この制度は引き続き内閣府(防災担当)が所管しています。

そなえぐらし管理人
この記事でいちばん時間をかけたのが、600万円という数字を載せるかどうかの判断でした。倍増の話は検索でもよく見かけます。ただ、法案の提出と成立は別ものです。内閣府の令和8年6月1日現在のパンフレットで金額が据え置かれていた——ここまで確認できて、ようやく「まだ変わっていない」と書きました。

支援金以外に使える制度もある

窓口で渡される案内の束には、名前の似た制度がいくつも並んでいます。弔慰金、見舞金、援護資金、応急修理。どれも「被災したときのお金」ですが、返すものと返さないものが混ざっています。ここを取り違えると、あとで家計の計算が狂います。

被災後に受け取れる公的なお金は、生活再建支援金だけではありません。人の被害に対するもの、貸付、住宅の修理費用と、性格の違う制度が並んでいます。額の桁が近いので混同されやすく、ここで整理しておきます。

制度 対象 額(2026年8月28日確認時点) 性格
災害弔慰金 災害で亡くなった方の遺族(生計維持者) 市町村条例で定める額(500万円以下) 支給(返済不要)
災害弔慰金 同上(その他の方) 市町村条例で定める額(250万円以下) 支給(返済不要)
災害障害見舞金 重度の障害が残った方(生計維持者) 市町村条例で定める額(250万円以下) 支給(返済不要)
災害障害見舞金 同上(その他の方) 市町村条例で定める額(125万円以下) 支給(返済不要)
災害援護資金 負傷や住居・家財の損害を受けた世帯 150万〜350万円(世帯主の負傷の有無と被害の程度による) 貸付(返済が必要)
住宅の応急修理(災害救助法) 大規模半壊・中規模半壊・半壊 75万7千円以内(令和8年4月時点の基準額) 市町村が業者へ支払う現物支援
住宅の応急修理(災害救助法) 準半壊 36万7千円以内(令和8年4月時点の基準額) 同上

出典:内閣府(防災担当)「被災者支援に関する各種制度の概要」(令和8年6月1日現在・2026年8月28日確認時点)。弔慰金と見舞金の額は市町村の条例で定まるため、上限額として示されているものです。

とくに注意していただきたいのが災害援護資金です。これは支給ではなく貸付で、返済が必要です。利率は年3%以内で据置期間中は無利子、据置期間は3年(特別の場合は5年)、償還は10年以内とされています。金額だけ見ると支援金より大きく見えますが、性格がまったく違います。

応急修理は、修理費用を市町村が業者へ直接支払う仕組みなので、現金が手元に来るわけではない点も押さえておきたいところです。半壊の判定では支援金の対象になりませんが、応急修理の対象にはなり得ます。「支援金がゼロだから何も使えない」とは限りません。

応急修理を利用した場合に生活再建支援金の額に影響があるかどうかは、今回確認した公式資料に明記を見つけられませんでした。義援金と支援金の原資や配分主体の違いについても同様です。どちらも併用や配分の扱いは災害ごと・自治体ごとに案内されることがあるため、市区町村の担当窓口でご確認ください。

この記事が当てはまらないケース

  • 災害救助法や被災者生活再建支援法が適用されていない小規模な災害。金額表を見る前に、適用の有無を確認してください
  • 住宅ではない建物(店舗・事務所・倉庫のみ)の被害。この制度は居住していた住宅が対象です
  • 個別の災害に合わせて自治体が独自に上乗せしている支援金。額も条件も自治体ごとに異なるため、この記事の表とは別に確認が必要です
  • 個人の受給可否そのものの判断。支給されるかどうか、いくらになるかを最終的に決めるのは市区町村の窓口です。この記事は制度の枠組みと公表されている額を整理したものにとどまります

片づけを始める前に決めておくことがある、という点も忘れないでください。被害の記録を残す前にごみを出してしまうと、判定の材料が失われます。分別区分や出し方は災害ごみの出し方|環境省の分別区分と、片づけを始める前に決めておく3つにまとめました。

よくある質問

Q. 罹災証明書が「半壊」でした。支援金はいくらもらえますか。
A. 半壊は基礎支援金・加算支援金のいずれも対象外です(2026年8月28日確認時点)。ただし災害救助法の住宅の応急修理は半壊も対象で、基準額は75万7千円以内(令和8年4月時点)とされています。実際に使えるかどうかは市区町村の窓口でご確認ください。

Q. ひとり暮らしだと、いくら減りますか。
A. 単数世帯は各欄の金額が複数世帯の4分の3になります。全壊の基礎支援金なら100万円が75万円、建設・購入の加算支援金なら200万円が150万円です(いずれも2026年8月28日確認時点)。

Q. 申請期間は延長されますか。
A. 基礎支援金は災害発生日から13月以内、加算支援金は37月以内と定められています。延長の規定については、今回確認した公式資料に明記を見つけられませんでした。期限が近い場合は、市区町村の担当窓口か内閣府防災情報のページで最新の取り扱いをご確認ください。

Q. 支援金は300万円から600万円に増えたのではありませんか。
A. 2024年12月19日に上限を600万円とする改正案が衆議院に共同提出された事実はありますが、2026年8月28日確認時点でその成立記録は確認できませんでした。内閣府の令和8年6月1日現在のパンフレットでも、合計最大300万円のままです。

Q. 使いみちは決まっていますか。
A. 被災者生活再建支援金は使いみちを限定せずに支給される仕組みとされています。ただし加算支援金は「建設・購入」「補修」「賃借」のどれを選ぶかで額が変わるため、再建方法の申告は必要です。手続きの詳細は市区町村の窓口でご確認ください。

まとめ:今日やることは1つ

今日やることは、自分の市町村に被災者生活再建支援法が適用されているかを確認すること。これだけです。適用されていなければ金額表は動きませんし、適用されているなら、次は罹災証明書の判定へ進みます。

発災前の備えから点検し直したい方は、地震の備えリスト|家具の固定と備蓄を1枚で点検する家庭のチェック表もあわせてどうぞ。家具の固定と備蓄が、そもそも被害の大きさを左右します。

  1. 制度の適用を確認する市区町村の防災担当窓口か都道府県の公示で、被災者生活再建支援法が適用されたかを確かめます。ここが出発点です。
  2. 罹災証明書の判定を受ける全壊・大規模半壊・中規模半壊のどれになるかで、一階部分の有無と額が決まります。申請の手順は姉妹記事にまとめてあります。
  3. 再建方法を決めて加算支援金を申請する建設・購入か、補修か、賃借か。二階部分の額はここで決まります。基礎は13月以内、加算は37月以内が申請期間です。

金額の最終的な判断は市区町村の窓口が行います。この記事の表は、窓口へ行く前に見取り図を持っておくためのものとして使ってください。

参考・出典

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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

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