防災グッズを買うと決めた日、最初につまずくのはたいてい品目選びではありません。「で、どの店に行けばいいのか」です。非常食はスーパー、簡易トイレはホームセンター、モバイルバッテリーは家電量販店。頭の中で品目が散らばったまま、休日が1日終わる。カートに入れたり出したりして、結局いちばん重い水だけが買えていない、という状態です。
先に答えを置きます。防災グッズは、1か所では揃いません。そして、揃わない理由は店の努力不足ではなく、その店がふだん何を売っているかで防災コーナーの中身が決まるからです。家具の転倒防止や窓の飛散防止のような住宅の物理対策はホームセンター。電源と情報、つまりポータブル電源・ラジオ・モバイルバッテリーは家電量販店。ポリ袋やラップのような消耗品は100円ショップ。重い水と大きい物は通販。この4分類が、買い回りの一次判定になります。
そのうえで、この記事のもうひとつの柱は売り場での見分け方です。「防炎」「国家検定合格」といった表示は、パッケージに書いてあると全部が法律の義務のように見えます。ところが制度を一次情報でたどると、対象がまったく違いました。ここは推測を挟まず、消防法・労働安全衛生法・電気用品安全法の順に、公式ページで確認できたことだけを並べます。なお、この記事は編集部が売り場を歩いた記録ではなく、各社の公式ページと公的機関の公開情報を確認して整理したものです。何を買うかの全体像は家庭の備蓄品リスト完全版|人数×日数でわかる必要量早見表にまとめてあるので、品目そのものが決まっていない場合は、先にそちらを開くほうが早道です。
この記事でわかること
- 売り場ごとの得意分野と、その店では埋まらない分野の対応関係
- ホームセンター3社(カインズ・コーナン・コメリ)の防災コーナーの守備範囲の違い
- 「防炎ラベル」「国家検定」「PSEマーク」のうち、どれが法律の義務でどれが任意認証か
- 今回の調査で公式ページを確認できなかった店と、その扱い方
防災グッズの買い場所は、売り場の得意分野で決まる
売り場の得意分野とは、その店がふだん扱っている商品カテゴリの延長線上に、防災コーナーの品ぞろえが伸びていく性質のことです。防災用品という独立したジャンルがあって各社が同じ棚を作っている、のではありません。園芸と資材を売る店の防災コーナーには土のう袋が並び、テレビと冷蔵庫を売る店の防災コーナーにはポータブル電源が並びます。当たり前のようでいて、この当たり前を先に理解しておくと、買い回りの回数がはっきり減ります。
つまりどういうことか。「防災グッズ売り場」を探すのをやめて、「うちに足りない品目は、どの業態の延長にあるか」を先に決める、ということです。簡易トイレが欲しいなら衛生用品と資材の店。停電時のあかりが欲しいなら電気製品の店。1週間ぶんの水が欲しいなら、運んでくれる店。
買い回りの一次判定は4つだけです。住宅の物理対策=ホームセンター/電源と情報=家電量販店/消耗品と小物=100円ショップ/重量物と大型品=通販。この4つで振り分けてから、残った品目だけを個別に探します。
下の表は、各社の公式ページで確認できたことを、そのまま業態ごとに並べたものです。大事なのは右端の列です。今回の調査で公式ページを開けなかった店は、空欄にせず「確認できなかった」と書いてあります。推測で「あの店なら売っているはず」と埋めてしまうと、読者が実際に行ったときに一致しません。

| 売り場 | 強い分野 | 埋まらない分野 | 確認できた根拠(2026年8月29日確認) |
|---|---|---|---|
| カインズ | 非常食・保存水、簡易トイレ、レスキューシート、家具転倒防止ポール、防災フィルム、消火器、火災警報器、収納 | 専門的な医療・衛生用品 | 公式「カインズのおすすめ防災グッズ」ページを確認 |
| コーナン | 転倒防止、火災対策、停電対策(懐中電灯・ランタン・ラジオ・ポータブル電源)、豪雨強風対策(土のう袋等)、トイレ衛生用品、ペット対策 | 食料備蓄の網羅性は公式ページの分類上では読み取れず | 公式オンライン「防災特集」トップの分類を確認 |
| コメリ | 地震・台風・水害・防火・避難・食料備蓄・電源・照明・復旧工具・地域防災まで12カテゴリ。大型テントや救助用品も | 都市部での店舗網は地域差がある | 公式「防災用品特集」ページと、災害協定の実績を確認 |
| ダイソー | 公式オンラインに「防災用品・災害時必需品」カテゴリの導線あり | ページの仕様上、個別の品目リストは確認できず | 公式オンラインのカテゴリ導線のみ確認 |
| ヤマダデンキ/ビックカメラ | 公式サイトに防災・災害対策グッズの該当カテゴリがある | 今回はページ本文を開けておらず、取扱い品目は不明 | 公式ドメインのカテゴリURLの存在のみ確認 |
| 無印良品 | 公式サイトに「防災グッズ」の検索結果ページがある | 今回はページ本文を開けておらず、取扱い品目は不明 | 公式ドメインの検索結果URLの存在のみ確認 |
| 生活クラブ生協 | 公式サイトに「防災用品」のカテゴリがある | 今回はページ本文を開けておらず、取扱い品目は不明 | 公式ドメインのカテゴリURLの存在のみ確認 |
| DCM/ニトリ/ワークマン/マツモトキヨシ/ウエルシア/セリア | 今回は公式ページで確認できませんでした | 同上(推測では書きません) | アクセス拒否・URL不明のため未確認 |
| Amazon/楽天市場 | 重量物・大型品を自宅まで運んでもらえる(編集部の整理) | 防災の日に合わせた季節特集ページの有無と開設時期は未確認 | 今回は特集ページを確認できず |
もうひとつ、買い物先ではないけれど先に見ておきたいものがあります。東京都防災ホームページで公開されている「東京備蓄ナビ」と、防災冊子「東京防災」「東京くらし防災」の2冊です。後者は令和5年(2023年)にリニューアルされたことを公式ページで確認しました。備蓄ナビの品目リストそのものは今回開けていませんが、行政が無料で公開している判断材料が先にあるのに、いきなり店の棚から入るのはもったいないところです。
ホームセンター3社の防災コーナーは、扱う範囲が違う
ホームセンターとは、住宅設備・工具・資材・園芸・日用品を1つの店舗で扱う業態のことです。防災グッズのうち「家に手を加えるもの」——家具を固定する、窓を割れにくくする、水をせき止める——は、ほぼこの業態の延長にあります。ただし3社を並べると、公式ページの分類そのものが違いました。
カインズは「家の中の対策」と「備蓄」を1本の特集にまとめている
カインズの公式特集「気づいた時が、備え時!カインズのおすすめ防災グッズ」で確認できたのは、非常食・保存水、簡易トイレ、レスキューシート、モバイルバッテリー、乾電池、家具転倒防止ポール、防災フィルム、消火器、火災警報器、収納、キャンプ用品、そして自治体向けの備蓄セットです。個人向けの備蓄と住宅の物理対策が、同じ特集の中に並んでいるのが特徴でした。
キャンプ用品が同じ導線に置かれているのは、防災の文脈では合理的です。停電時のあかりと、カセットこんろまわりの調理器具は、アウトドア用品とほぼ重なります。買い物としては「防災コーナーだけ見て帰る」より、キャンプ売り場まで足を伸ばしたほうが選択肢が増える構造になっています。
コーナンは「災害の種類」で分類している
コーナンの公式オンラインの防災特集は、商品カテゴリではなく災害の種類で入口が分かれていました。転倒防止対策、火災対策、停電対策、豪雨・強風対策、避難用品、トイレ・衛生用品、ペット対策、収納。停電対策の中には懐中電灯・ヘッドライト・ランタン・モバイルバッテリー・ラジオ・ポータブル電源が並び、豪雨・強風対策には土のう袋などが入ります。
この分け方は、目的がはっきりしている人には速いです。「うちはマンションの高層階で、こわいのは停電」と決まっていれば、迷う場所が1つしかありません。逆に、何から手を付けるか決まっていない状態で開くと、全部が自分に関係あるように見えて手が止まります。災害の種類で並んだ売り場は、自分の住まいの弱点を決めてから開くと機能します。
ペット対策が独立した項目として立っているのも、公式ページで確認できた事実として書き添えておきます。犬や猫と暮らしていると、フードと水とトイレ用品の量が人間ぶんと別に必要になり、備蓄の総量が一気に増えます。
コメリは「地域防災」まで守備範囲に入っている
コメリの公式「防災用品特集」で確認できたのは、地震対策・台風対策・水害対策・防火・避難用品・食料備蓄・電源対策・照明・復旧工具・地域防災など12カテゴリでした。ここでいう地域防災には、大型テントや救助用品が含まれます。個人の持ち出し袋の話から、町内会や自治体の備蓄の話までが1つの特集につながっている構成です。
コメリが設立したNPO法人コメリ災害対策センターは2005年設立で、2024年7月25日時点で1,093の自治体と災害協定を締結しています(2021年グッドデザイン賞特別賞受賞)。1,093という数字は、日本の市区町村の相当数に届く規模です。他の業態の防災コーナーでは見かけない性質の実績なので、事実として記録しておきます。
自治体と協定を結んでいるということは、災害時に物資を出す前提で商品構成が組まれている可能性が高い、ということです。ただしここは編集部の解釈であって、公式ページに「だから品ぞろえが厚い」と書いてあったわけではありません。確認できたのは協定の件数と設立年、それに12カテゴリの分類までです。
なお、ホームセンター業態としてはDCMも大手ですが、今回はDCMの公式ページで取扱いカテゴリを確認できませんでした。近所にあるのがDCMだという方は、店舗の防災コーナーを直接見るか、公式オンラインで品目を確かめてください。この記事では、確認できていない店について「揃う」とも「弱い」とも書きません。
電源と情報は家電量販店、消耗品は100円ショップに寄っている
ここでいう電源と情報とは、停電中に「あかりをつける」「充電する」「外の状況を知る」ための機器のことです。ポータブル電源、モバイルバッテリー、乾電池、ラジオ、ランタン。この4〜5品目は、防災という切り口を外すとふつうの家電であり、扱いの厚みは家電量販店に寄ります。
今回、ヤマダデンキ(ヤマダウェブコム)の「防災で安全安心!災害対策グッズ」と、ビックカメラ.comの防災グッズカテゴリについては、公式サイトに該当カテゴリがあることまでを確認しました。ページ本文を開けていないので、どの品目がどれだけ並んでいるかは書けません。ここは正直に線を引きます。確認できたのは「公式サイトに防災の入口がある」ところまでです。
ここ、書きながら何度も迷いました。カテゴリがあるのは事実なので「取扱いあり」と書けば記事は読みやすくなります。でも中身を見ていない以上、読者が行って空振りしたときに責任が取れません。運営としては、読みやすさより空振りを減らすほうを選びます。
100円ショップは逆の性質です。ダイソーの公式オンラインには「防災用品・災害時必需品」というカテゴリの導線があることを確認しました。ただし個別の品目リストは、ページの仕様上、今回は取得できていません。それでも100円ショップが担う役割ははっきりしています。ポリ袋、ラップ、紙皿、ウェットティッシュ、乾電池、ロープ、養生テープ。1つ100円台で、しかも「数がいる物」を数で買える売り場は、ほかにあまりありません。
とはいえ、100円ショップで全部を賄おうとすると線を越えます。どこまでが実用で、どこからが買い替え前提かは品目ごとに違うので、判断基準は100均の防災グッズはどこまで使える?買っていい物・やめる物の見分け方で1点ずつ整理しています。なお、同じ100円ショップでもセリアについては、今回は公式ページで取扱いカテゴリを確認できませんでした。
電池で動く機器を100円ショップと家電量販店に分けて買うときは、電池の規格をそろえてください。単3で統一しておけば、ランタンとラジオと懐中電灯のあいだで融通が利きます。単4や、機種専用のリチウムイオン電池が混ざると、停電の最中に「その電池だけ切れている」という詰まり方をします。
生活雑貨・インテリア系では、無印良品の公式サイトに「防災グッズ」の検索結果ページがあることを確認しました。こちらも中身は開けていません。無印で買う物と他で足す物の線引きは、無印良品で備える防災|「いつものもしも」で買う物と、他で足す物の線引きで個別に検証しています。
もう1社、防災グッズの文脈でよく名前が挙がるニトリについては、今回の調査では公式ページで取扱いカテゴリを確認できませんでした。ですので、この記事の表にも「未確認」としか書いていません。ニトリの防災用品が実際にどこまでカバーするかは、当サイトが個別に検証したニトリの防災グッズで揃うものと揃わないもののほうが具体的です。同様に、ワークマン・マツモトキヨシ・ウエルシアも今回は未確認のままです。
売り場で確かめる法定表示は、思っているより少ない
法定表示とは、法律にもとづいて製品に表示することが求められている記号や文言のことです。防災グッズの売り場には、これとよく似た見た目の「民間の任意認証」が混ざっています。同じようにラベルの形で貼られているので、パッケージを見ただけでは区別がつきません。ここが、この記事でいちばん確かめたかったところです。
ある休日の売り場を想像してみてください。防災頭巾を手に取ると「防炎」と書かれたラベルが付いている。隣の避難用ヘルメットには「国家検定」の文字。どちらも国が保証しているように見えるので、迷わずかごに入れる——実際には、この2つは制度としてまったく別物でした。
「防炎」は、防災頭巾については法律の義務ではない
消防法にもとづく防炎表示(いわゆる防炎ラベル)の対象物品を、日本防炎協会の公式ページで確認しました。挙げられていたのは、カーテン、どん帳、布製ブラインド、工事用シート、合板、じゅうたん、防炎薬品です。防災頭巾は、この法定リストに含まれていません。
では防災頭巾に付いている「防炎製品ラベル」は何かというと、消防法の防炎表示とは別の、日本防炎協会が運営する任意の民間認証です。衝撃吸収性試験や防炎試験など、協会独自の基準に合格した製品に付与されるものだと、同協会の公式サイトで確認できました(2026年8月29日確認)。
ここで誤解しないでほしいのは、任意認証だから価値がない、という話ではないことです。むしろ逆で、法律が対象にしていない品目に対して、第三者が試験基準を作って合格品に印を付けている。防災頭巾を選ぶときの手がかりとしては、実質的にこのラベルが頼りになります。言い方を変えると、「法律で決まっているから安心」ではなく「協会の試験に通っているから手がかりになる」という理解に置き換える必要がある、ということです。
「国家検定」は、産業用の保護帽を指している
ヘルメットの側はもう少し込み入っています。厚生労働省の公開資料で確認できたのは、保護帽の規格が労働安全衛生法第42条にもとづく「保護帽の規格」(昭和50年労働省告示第66号)で定められていること、そして同法第44条の2にもとづき、型式ごとに検定合格が必要とされていることです。これがいわゆる国家検定にあたります。
問題はその対象範囲でした。同資料で確認できた範囲では、この検定の対象は「飛来落下物用」「墜落制止用」の産業用保護帽、つまり工事現場でかぶるヘルメットなどに限定されています。家庭向けに売られている防災用の避難ヘルメットや防災頭巾は、この検定の対象ではありません(2026年8月29日確認)。
もうひとつ、PSCマークの「乗車用ヘルメット」区分についても触れておきます。経済産業省の説明では、この区分の対象は自動二輪車・原動機付自転車の乗車用のみで、工事用や防災用のヘルメットは含まれないとされています(2026年8月29日確認時点)。なお、この点については今回、原典のページを直接開けていません。条文番号や対象品目数の断定は避けます。
整理すると、家庭向けの防災ヘルメットには、「必ずこの検定に通っていなければならない」という国の関門が、少なくとも今回たどれた範囲では見当たりませんでした。売り場で「国家検定合格」と書かれた製品があれば、それは産業用保護帽としての検定を指している可能性が高い、という読み方になります。
PSEマークは、表示が必要な数少ない例
逆に、はっきり「表示が必要」と言えるものもあります。モバイルバッテリーは電気用品安全法の規制対象で、現在はPSEマークの表示が必要です。防災グッズ売り場に並ぶ製品の中で、法定表示を実際にその場で確かめられる代表例がこれにあたります。
いっぽう懐中電灯は、電気用品安全法の対象になるかどうかが電源方式や構造で判定の分かれる領域でした。乾電池だけで動くものと、コンセントにつないで充電するものでは扱いが変わり得ます。今回の調査では一律の結論を出せませんでした。ここは「分からなかった」とだけ書いておきます。
この記事に書いた制度の整理は、2026年8月29日時点で公開情報を確認した範囲のものです。制度は改正されますし、個別の製品がどの区分に当たるかは構造によっても変わります。最終的な判断は、各メーカーの表示と、消防庁・厚生労働省・経済産業省など公的機関の案内でご確認ください。

売り場で立ったまま確かめられる形にすると、次の4つになります。
- カーテンやじゅうたんに付いたラベルは、消防法の防炎表示なのか、日本防炎協会の防炎製品ラベル(任意認証)なのかを読み分ける
- 「国家検定合格」の表示は産業用保護帽の型式検定を指す。家庭向けの防災ヘルメットに同じ表示があるとは限らない
- モバイルバッテリーは、PSEマークと事業者名の表示があるかをその場で見る
- 「防災」という言葉は制度名ではない。制度名(消防法/労働安全衛生法/電気用品安全法/消費生活用製品安全法)とセットで書かれているかを見る
1か所で揃えようとすると、必ず何かが欠ける
買い回りとは、品目を店に割り振ってから動く手順のことです。逆順、つまり店に着いてから何を買うか考える手順だと、その店の得意分野に引きずられます。ホームセンターに行った日は転倒防止金具ばかり買い、家電量販店に行った日はライトが3つに増える。それでいて、いちばん量が要る水と食料が最後まで残ります。
ここでは、欠けやすい4つの穴を順番に埋める形で並べます。持ち出し袋の器、あかり、においの処理、そして水です。
まず1つ、形から入るなら持ち出し袋
アイリスオーヤマの防災リュック BRS-33 は、メーカー公表値で重量2,000gです。2Lのペットボトル1本と同じ重さ、と言い換えると持ったときの感覚がつかめます。セット品を選ぶときに重量が公表されているかどうかは、地味ですが決定的です。背負って階段を降りられるかは、中身の点数ではなく総重量で決まります。公表されていないセットは、届くまで判断できません。
アイリスオーヤマは防災用品を単品でもセットでも展開しているメーカーで、同社の製品だけでどこまで揃うのかはアイリスオーヤマの防災グッズで揃うもの・揃わないもので個別に検証しています。セットは出発点であって完成品ではない、というのが検証後の整理です。
次はあかりです。停電で困るのは暗さそのものより、両手がふさがることでした。スマートフォンのライトを片手で掲げていると、ブレーカーも探せないし、子どもの手も引けません。だから懐中電灯より先に、置いて使えるランタンを1つ。
GENTOSのLEDランタン EX-136S は、メーカー公表値で重量355gです。缶コーヒー1本より少し重い程度で、玄関の棚に置きっぱなしにしても邪魔になりません。照明・電源まわりは家電量販店とホームセンターの両方が得意にしている分野なので、実物を手に取って選びやすい品目でもあります。前の章で見たとおり、コーナンの停電対策カテゴリにもランタンは入っていました。
3つめは、あまり語られないのに在宅避難の実感を左右するもの——においです。断水すると、トイレの処理も、おむつも、生ごみも、家の中に留まります。1日ぶんならまだしも、3日ぶんが玄関に積み上がったときの空気は、備蓄リストの数字には出てきません。
クリロン化成のBOS「臭わない袋」ストライプ L は90枚入りです。90枚という数字は、家族3人で1日10枚使っても9日ぶんという計算になります。こういう「数がいる物」は、切らした瞬間に代替が効かないので、消耗品として多めに置く発想が向きます。100円ショップのポリ袋と役割が違うのは、におい対策に特化した資材だという点です(公式に重量の記載がないため、重さはここでは書きません)。
最後が水です。ここだけは、売り場の得意不得意ではなく物理の問題になります。アイリスオーヤマの長期保存水は2Lで、1本あたり2,000g。6本入りなら12,000gで、家庭用の米袋10kgより重い計算です。これを店から自宅まで運ぶ作業が、買い回りの中でいちばん体力を削ります。重い物と大きい物は、運んでもらうのが正解です。
1人1日3Lが目安とされる水を3日ぶん確保すると、3人家族で27L。2Lボトルなら14本近くになります。まとめ買いの単位が大きくなる品目については、大容量が効く物と家庭で余る物の線引きをコストコの防災備蓄は得か?大容量が効く品目と、家庭で余る品目の線引きで整理しました。買う時期についても波があり、8〜9月に動きやすい品目は防災の日セールで買うもの|8〜9月に安くなりやすい時期と備えの優先順位にまとめてあります。
この4つを「最低限これだけ」として並べたわけではありません。器・あかり・におい・水は、店をまたがないと揃わない代表格だから最初に置いています。逆に言えば、ここさえ抜ければ残りは1店舗でだいたい片が付きます。
この記事が当てはまらない人
この記事の前提は、複数の売り場を使い分けられる環境にいて、時間にもある程度の余裕がある、という条件です。次のような方には、そのまま当てはまりません。
- 近くに大型店がない方。ホームセンターも家電量販店も車で1時間、という地域では、買い回り自体が成立しません。通販に寄せて、送料の条件を先に確認するほうが現実的です。
- 今日じゅうに必要な方。台風の接近前など、時間が数時間しかない場合は、比較している余裕がありません。水・食料・あかり・電池・簡易トイレの5点に絞り、いちばん近い店で買えるだけ買うのが現実的です。
- すでにセットを持っている方。買い足す前に、まず中身を出して数えるほうが先です。セットの構成品は重複しやすく、ライトだけ3つあって水が0という状態がよく起こります。
- マンションの規約で備蓄場所が限られる方。共用廊下に物を置けない、といった制約があると、買う量より置く場所の設計が先になります。
楽天の買いまわりで消耗品を埋めるなら
よくある質問
コンビニやスーパーでも防災グッズは買えますか
今回の調査では、コンビニエンスストアとスーパーマーケットの公式ページで防災用品の取扱いを確認していません。ですので、この記事では「買える」とも「買えない」とも書きません。確認できているのは、この記事の表に挙げた売り場の範囲だけです。ただ、水・レトルト食品・乾電池・ラップのような日常品は、日ごろの買い物の延長で少しずつ増やせます。備蓄はまとめて買う必要がある、という思い込みを外すだけでも進みます。
市販のセットと、1点ずつ個別に買うのと、どちらがいいですか
器の部分——リュックと最低限の構成——はセットで買い、水・食料・トイレ・電池は個別に足す。この組み合わせがいちばん破綻しにくい形です。セットは「何が要るか分からない」という最初の壁を越えるための道具であり、家族の人数や持病、ペットの有無といった個別事情までは織り込めません。実際に市販セットの中身を1点ずつ開いて検証した結果は、後述の記事にまとめています。
Amazonと楽天市場は、どう使い分ければいいですか
今回、両モールの防災の日に合わせた季節特集ページの有無と開設時期は確認できませんでした。そのうえで編集部の整理としては、通販モールに任せるべきは「重い物・大きい物・数がいる物」です。水、長期保存食のケース、簡易トイレの大容量パック。逆に、サイズ感や背負い心地を確かめたいリュック類、あかりの明るさを見たいランタン類は、実店舗で手に取れるなら店のほうが失敗が少なくなります。
なるべく安く揃えるには、どうすればいいですか
3つの順番で考えます。1つめは、買わずに済ませられる物を減らすこと。家にあるレジャー用品や日用品が、そのまま備蓄になることは珍しくありません。2つめは、消耗品を100円ショップに寄せること。3つめが、時期をずらすことです。この記事では価格を書きませんが、防災用品には季節の波があり、8〜9月に動く品目とそうでない品目があります。まず家にある物を数えるのが、いちばん確実な節約になります。
市販の防災セットを買うかどうかで迷っているなら、防災セットのおすすめはどれ?市販セットの中身を1点ずつ検証する選び方で、実在ブランドの中身を1点ずつ確かめています。
セットを軸に組む方は、防災セットのおすすめはどれ?市販セットの中身を1点ずつ検証する選び方で、実際の構成品を1点ずつ見たうえで判断するのが確実です。器から入るか、品目から入るかで、買い回りの順番が変わります。
まとめ:今日やることは1つだけ
防災グッズは1か所で揃わない、というのがこの記事の出発点でした。売り場には得意分野があり、それはその店がふだん売っている物の延長で決まります。住宅の物理対策はホームセンター、電源と情報は家電量販店、消耗品は100円ショップ、重い物と大きい物は通販。この4分類で振り分けてから動けば、休日が1日まるごと消えることはなくなります。
そして売り場での見分け方については、公式の一次情報をたどった結果、「法律の義務」と「任意の民間認証」がはっきり分かれていました。消防法の防炎表示の対象にカーテンやじゅうたんは入っていて、防災頭巾は入っていない。国家検定は産業用保護帽の話で、家庭向けの防災ヘルメットは対象外。実際にその場で確かめられる法定表示は、モバイルバッテリーのPSEマークのように、思っているより限られています。
今日やることは1つだけです。買いに行く前に、家にある物を数えること。
- 家にある物を数える——水、電池、ライト、ポリ袋、レトルト食品。玄関とキッチンと押し入れを開けて、数だけメモします。ここで「足りない品目」が確定します。
- 4分類に振り分ける——足りない品目を、住宅の物理対策/電源と情報/消耗品/重量物の4つに割り振ります。行く店の数が、この時点で決まります。
- 重い物から先に注文する——水とケース売りの食料は通販に回して、届くまでのあいだに残りを店で見ます。運ぶ体力を、選ぶ時間に回せます。
参考・出典
- 日本防炎協会「防炎表示の対象物品」 https://www.jfra.or.jp/member/b03_01.html(2026年8月29日確認)
- 日本防炎協会 公式サイト(防炎製品ラベルについて) https://www.jfra.or.jp/(2026年8月29日確認)
- 厚生労働省「保護帽の規格」(昭和50年労働省告示第66号)ほか https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74066000&dataType=0&pageNo=1(2026年8月29日確認)
- 経済産業省(PSCマークの乗車用ヘルメット区分、モバイルバッテリーのPSEマークについて)——今回は原典ページを直接確認できておらず、検索エンジン上に表示された説明にもとづく記述です(2026年8月29日時点)
- カインズ「気づいた時が、備え時!カインズのおすすめ防災グッズ」 https://www.cainz.com/contents/garden-tool/bousai_catalog.html(2026年8月29日確認)
- コーナンeショップ 防災特集 https://www.kohnan-eshop.com/shop/pc/0bou-top/(2026年8月29日確認)
- コメリ 防災用品特集 https://www.komeri.com/contents/event/bousai-goods/(2026年8月29日確認)
- ダイソー公式オンラインショップ「防災用品・災害時必需品」 https://jp.daisonet.com/collections/disaster_prevention(2026年8月29日確認/カテゴリ導線のみ確認)
- ヤマダウェブコム「防災で安全安心!災害対策グッズ」 https://www.yamada-denkiweb.com/event/flddis2/(2026年8月29日/URLの存在のみ確認)
- ビックカメラ.com 防災グッズ https://www.biccamera.com/bc/category/001/280/097/(2026年8月29日/URLの存在のみ確認)
- 無印良品「防災グッズ」検索結果 https://www.muji.com/jp/ja/store/search/cmdty/防災グッズ(2026年8月29日/URLの存在のみ確認)
- 生活クラブ生協「防災用品」 https://seikatsuclub.coop/item/emergency/(2026年8月29日/URLの存在のみ確認)
- 東京都防災ホームページ「東京備蓄ナビ」紹介ページ https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/kyojyo/1001855/1013810.html(2026年8月29日/ツール本体の品目リストは未確認)
- 東京都「東京防災」「東京くらし防災」 https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1028036/index.html(2026年8月29日確認)
