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停電した一月の夜。家族4人が一つの部屋に集まって、押し入れから出せる毛布を数えはじめる。そこで手が止まります。「何枚あれば足りるのか」を、決めた覚えがないからです。
先に答えを書きます。毛布の「1人あたり何枚」という公的な基準は、存在しません。内閣府の取組指針を全文あたっても、毛布は備蓄する品目として名前が挙がるだけで、1人あたりの枚数は書かれていません(2026年9月10日確認時点)。自治体の備蓄量も、千葉市は避難所1か所あたりアルミ毛布100〜250枚、江戸川区は区内で毛布800枚とアルミレスキューシート600枚。数そのものだけでなく、避難所単位か区単位かという集計のしかたからばらばらです。
つまり、比べるべき相手がいません。だから枚数は自分で決めます。決め方は2通りに分かれます。自宅で寝るなら布団があるので「布団に足す1枚」を数えます。避難所へ持っていくなら、運べる重さとかさが上限を決めます。この記事はその2つを分けて、人数と寝る場所から枚数を出す書き込み式の積算表と、押し入れに収まるしまい方まで並べました。
この記事でわかること
- 毛布の1人あたり枚数に公的な基準が無いこと、と自治体の備蓄が実際どう書かれているか
- 在宅避難と避難所で、必要枚数の決め方が変わる理由
- 人数と寝る場所から枚数を出す、書き込み式の積算表
- 「わが家はまず何を1枚足すか」を決める判定フローと、圧縮梱包でのしまい方
毛布の必要枚数に公的な基準は無い
公的な基準とは、国や自治体が文書のなかで数値として示した目安のことです。毛布の1人あたり枚数について、それは見つかりません。
根拠になる文書はあります。避難所の生活環境については災害対策基本法第86条の6に規定があり、災害応急対策責任者は避難所の安全性と良好な居住性の確保、生活関連物資の配布などに努める義務を負います。これを具体化したのが内閣府の「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(令和6年12月改定/原本は平成25年8月)です。
その本文を開くと、毛布はこう扱われています。「食料、飲料水、携帯トイレ、簡易トイレ、パーティション、簡易ベッド、毛布、炊き出し設備、入浴設備等の生活必需品」をスフィア基準を満たすことができるよう備蓄する、という定性的な記述。備蓄品目の例示としては「タオルケット、毛布、布団等の寝具」。生活スペースについては1人当たり最低3.5㎡という数値があるのに、毛布の枚数についてだけは数値が出てきません(2026年9月10日確認時点)。
検索すると「内閣府のガイドラインでは毛布は1人1枚が基準」という説明に行き当たることがあります。当サイトで指針のPDF本文を全文あたって確認した限り、その数値は本文のどこにも書かれていませんでした(2026年9月10日確認時点)。枚数を決める前提として、この点は押さえておいてください。
では自治体はどうか。実際の記載を並べると、そろっていないことがはっきりします。
| 資料 | 毛布についての記載 | 集計の単位 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| 内閣府「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」 | 備蓄すべき生活必需品・寝具の例として品目名のみ。枚数の数値は無し | ―(数値なし) | 2026年9月10日 |
| 千葉市(共通備蓄品) | アルミ毛布100〜250枚を概算数量として配備 | 避難所1か所あたり | 2026年9月10日(ページ更新日2025年11月10日) |
| 江戸川区(避難所備蓄) | 標準的な備蓄物資として毛布800枚、アルミレスキューシート600枚 | 区内の数量 | 2026年9月10日(ページ更新日2025年11月5日) |

この表を眺めて何を読み取るか。ここが大事なところです。千葉市と江戸川区のどちらかが少ないという話ではありません。どちらのページにも「1人あたり」という書き方が無いので、そもそも1人あたりに割り戻せないのです。避難所1か所に100枚あると分かっても、そこに何人が来るかは書かれていません。
支援の側にも数字はあります。国が調達するプッシュ型支援の基本8品目には毛布が入っており、大規模地震・津波災害では発災後3日目までに必要物資が被災都道府県に届くよう調整するのが基本的な考え方とされています(災害規模により前後します)。日本赤十字社は全国に毛布324,671枚を備蓄し、被災者一人ひとりに約1.4m×2mサイズの毛布を配分する体制をとっています。
ただし、これらはいずれも「都道府県に届くまで」「配分の体制」の話です。自分の手元に何枚届くかを約束する数字ではありません。3日目という目安は、逆から読めば最初の数晩は手持ちで越すという前提になります。
在宅避難と避難所では、必要枚数の決め方が変わる
在宅避難とは、自宅が住み続けられる状態のときに、避難所へ行かず自宅で生活を続けることです。避難所での避難と分けて考える理由は、寝る場所の条件がまるきり違うからです。
自宅には布団があります。マットレスも枕もあります。だから足りないのは寝具そのものではなく、暖房が止まったぶんの熱です。数えるのは「布団に何を足すか」だけになります。用意する量も、押し入れの容量までは許されます。
避難所は床です。内閣府の指針は「床に長期に横たわっていると、エコノミークラス症候群を引き起こすだけでなく、埃等を吸い込むことによる健康被害も心配されるため、ベッドの設置が望ましい」と書いています。望ましい、という書き方です。段ボールベッドが自分の避難所にいつ入るかは、そこには書かれていません。段ボールベッドが届くかどうかと、自分で持つマットの選び方は避難所の床で寝る備え|段ボールベッドは届くのか、自分で持つマットの選び方で扱っています。

枚数の決め方が変わる3つの点
- 下に敷く物がいるか/自宅の布団なら不要。床で寝るなら、かける枚数より先に敷く物が必要になる
- 上限を決めるものが違う/自宅は押し入れの容量、避難所は自分で運べる重さとかさ
- 配られる前提を置けるか/避難所の備蓄に1人あたりの記載は無い。持っていく枚数は「配られなくても1晩越せる」で決める
ここで毛布・寝袋・アルミブランケットの3つを整理したくなります。役割はざっくり分かれます。毛布はかける・敷くの両方に使える汎用品、寝袋は体を包んで熱を逃がさない専用品、アルミブランケットはかさばらない最後の一枚。3種類のメーカー公表値を並べた比較は防災用の毛布・寝袋・アルミブランケットの違いと場面別の組み合わせ方にまとめてあるので、どれを買うかで迷っている段階の方はそちらを先に読んでください。この記事は「何枚」だけを扱います。
在宅避難の枚数は「布団に足す1枚」から決める
布団に足す1枚とは、いまある寝具の上に重ねて、暖房が止まったぶんを埋める毛布のことです。在宅避難の枚数は、ここから数えはじめます。
水や食料と違って、毛布は夜数で増えません。3晩の在宅避難でも、毛布は3枚に増えるわけではなく、同じ1枚を3晩使います。増えるのは人数のほうです。水は人数×日数の掛け算になりますが、毛布は人数だけ。この違いは、備蓄の量を見積もるときに効いてきます。水やトイレの必要量の考え方は在宅避難の準備リスト|成立する3つの条件と、人数×日数でわかる水・トイレの必要量早見表にあります。
足す物は、寝る場所で2つに分かれます。ふだんの布団で寝る人には、かける1枚。家具が倒れて寝室が使えず、居間の床に集まって寝る人には、敷く1枚とかける1枚。同じ「家族4人」でも、寝室が無事かどうかで必要枚数が変わるわけです。
備える1枚には、災害備蓄用として作られた毛布が向きます。ふだん使いの毛布は洗濯して使い回すので、いざというときに乾いていないことがあるからです。たとえば災害備蓄用不織布毛布「もしもうふ」の10枚入は、製造元が株式会社アクシス、取扱店であるシバタ工業の公式サイトで仕様を確認できます(2026年9月10日確認時点)。サイズは140×200cm、不織布6層構造(PET系+PP系)、アルミ真空圧縮梱包。1枚あたり約500gで、10枚のカートンで約5.6kgです。保温率60%、公益財団法人日本防炎協会の防炎認定品と公表されています。
数字を体に置き換えます。1枚500gは、500mLのペットボトル1本ぶん。10枚で約5.6kgなら、2Lのペットボトル3本ぶんに近い重さです。押し入れの一段ではなく、その手前に立てて置ける程度のかさに収まります。防炎認定品という点は、内閣府の指針が避難所で使う毛布・シーツについて「状況に応じて、燃えにくい素材のもの(不燃性・難燃性のある製品、防炎品など)を使用するなど、適切な防火対策に努める」と書いていることと噛み合います。家族の人数ぶんに予備を足したい、来客や親族を受け入れる想定がある——そういう家に10枚入りは向きます。
「もしもうふ」の保存年数と正式な型番は、取扱店の公式ページに記載が見つかりませんでした(2026年9月10日確認時点)。真空圧縮された備蓄毛布は10年程度という言い方を販売店のサイトで見かけますが、この製品固有の公表値ではありません。何年もつかを知りたい場合は、購入前にメーカーまたは取扱店に問い合わせてください。
もう一つの道があります。毛布を1枚足すのではなく、熱源を1つ足す道です。押し入れに空きが無い家では、こちらのほうが現実的です。電気を使わない熱源の選び方と、カセットガスが低温で使えなくなる理由は冬の停電で暖をとる方法|カセットガスが低温で使えない理由と、電気なしの熱源の選び方で解説しています。
その熱源のなかで、いちばんかさばらないのが使い捨てカイロです。アイリスオーヤマの「ぽかぽか家族」貼るレギュラー PKN-30HR は30枚入り。最高温度63℃、平均温度53℃、持続時間12時間、カイロのサイズは約130×95mm——これらの数値は、複数の小売サイトの表示が一致したものです(2026年9月10日確認時点)。メーカー公式サイトの本文を確認できなかったため、「メーカー公表値」ではなく「小売サイトの表示」として書いています。使い捨てカイロにはJIS S4100という規格があり、解説サイト経由で見る限り最高温度70℃以下、温度上昇時間20分以内といった温度特性が定められています(規格の原文は有償のため未確認、JISマークの表示自体は任意です)。
毛布に貼るカイロを組み合わせると、同じ枚数でも夜の体感は変わります。ただし何個いるかの積算はこの記事の範囲を超えるので、湯たんぽとカイロは何個いる?人数×夜数の書き込み式積算表で人数と夜数から出してください。カイロは毛布と違って、夜数で増える側の備えです。
使い捨てカイロは長時間同じ場所に当て続けると低温やけどのおそれがあります。就寝中の使用や、肌に直接貼る使い方は製品の注意表示に従ってください。体調や健康への影響の判断は、厚生労働省・消防庁などの公的機関の案内や、医療機関にゆだねてください。当サイトが書けるのは公表されている温度・時間の数値までです。
熱源をもう一段考えるなら、使い捨てでない側もあります。湯たんぽは、お湯を沸かせる限り何度でも使えるのが強みです。逆に言えば、カセットコンロなど電気を使わない加熱手段が家にあることが前提になります。カイロが「夜数で減っていく備え」なのに対して、湯たんぽはお湯を作れるなら減らない備え——毛布の枚数を1枚増やすかどうかの判断は、ここまで含めて考えたほうが納得しやすい。
製品としては、尾上製作所(ONOE)のゴム湯たんぽ 2L カバー付き(型番 MY-422)が定番の構成です。容量2Lとカバー付属は商品ページの表示で確認できます(2026年9月10日確認時点)。材質の詳細や耐熱温度はメーカー公式の仕様ページまで照合できていないため、注ぐお湯の温度と使い方は必ず製品付属の説明書に従ってください。布団や毛布のなかで使う道具なので、低温やけどと、就寝中の扱いについての注意表示の確認は欠かせません。
避難所へ持っていく枚数は、運べる重さが上限を決める
運べる重さとは、家族のひとりひとりが自分の足で歩いて持てる荷物の重さのことです。避難所へ持っていく枚数は、必要枚数ではなくこの上限から逆算します。
順番が逆に感じるかもしれません。けれど避難所へ向かう場面では、持てなかった物は0枚と同じです。リュックに入る容量と、担いで歩ける重さ。この2つを先に決めて、そのなかで寝具に割ける枠を切り出します。容量の決め方は防災リュックは何リットル必要?中身の重さから逆算する容量とサイズの決め方、寝具以外に何を入れるかは避難所の持ち物を見てください。
寝具の枠に入るのは、現実的には1人あたり1〜2点です。床で寝る前提なら、まず体を包む1点。ここで寝袋が候補になります。
コールマンの「パフォーマーIII/C5」(型番2000034774)は、公式ECで仕様を確認できます(2026年9月10日確認時点)。使用時は約80×190cm、収納時は約φ24×41cm、重量は約1.4kg。快適温度は5℃以上、材質は表地・裏地・中綿ともポリエステルと公表されています。約1.4kgは、1Lの紙パック飲料1本半ぶんに近い重さ。収納したときの太さは直径24cmなので、リュックの下段を丸ごと使う想定になります。
この寝袋を挙げたのは、もう一つ伝えたいことがあるからです。公式ページにはEN13537/ISO23537に準拠しているという明記がありません(2026年9月10日確認時点)。EN13537は2016年にISO23537として国際規格化された、事実上同一の系譜の規格だとアウトドア専門の解説サイトが複数一致して説明しています(規格の原文は有償のため未確認)。その規格では、快適温度は成人女性が寒さを感じずに眠れる温度、下限(リミット)温度は成人男性が丸まって8時間眠れる温度と定義されるとされます。
ここが噛み合いません。つまり「快適温度5℃以上」という表記が、この国際規格のcomfort値なのか、メーカー独自の基準なのかを、公式ページを開いても判別できないのです。これは製品の欠点ではなく、寝袋という商品カテゴリー全体の読み方の問題です。温度表記を見たら、それがどの規格のどの指標かを確かめる。確かめられないなら、表記の温度そのものを信じ切らず、下に敷く物とかける物で余白をつくる。当サイトが寝袋について書けるのはここまでです。
寝袋の温度表記で見るところは3つです。①快適温度か下限温度か、どちらの数値が書かれているか ②その根拠となる規格(EN13537/ISO23537など)が明記されているか ③明記が無い場合は、メーカー独自の基準として読む。③に当たるときは、寒い側に見積もっておくほうが安全です。
寝袋を1点入れたら、残る枠はごくわずかです。そこに入れるのが最後の一枚——アルミシートです。折りたたんだときのかさが小さく、リュックの隙間や上着のポケットにも入ります。寝袋の上にかける、床との間に敷く、体に巻く。どの使い方もできるので、枚数を1枚増やす効果が大きい部類に入ります。
Eco Ride World の「アルミシート エマージェンシーシート」には静音タイプの3枚組があります。アルミシートで気になるのは、寝返りのたびに鳴るカサカサという音です。この製品の販売ページには「カサカサ音が少ない静音タイプ」という表記があることを確認しました(2026年9月10日確認時点)。避難所のように人が密集して寝る場所では、音の小ささはそれだけで持っていく理由になります。
この3枚組について、当サイトでは寸法・重量・素材の公表値を特定できませんでした。同じブランド内に3枚入・5枚入・10枚・50枚といったバリエーションがあり、表記がバリエーションごとに異なる可能性があるためです。サイズや重量が判断の分かれ目になる方は、購入前に販売ページの現在の表示をご自身で確認してください。
床の冷たさは、上にかける枚数では止まりません。体の下と、まわりの空気を仕切る側に手を入れると、同じ枚数でも夜のもちが変わります。室内用のワンタッチ式テントは、体育館の床に置いて視線と空気を区切るための道具で、VGVGの避難テント(3〜4人用・防水・UVカット表記)がその構成です。寸法や設営の条件は商品ページの表示で確認してください(2026年9月10日確認時点)。避難所の間仕切りが実際に届くのかどうかは、避難所にテントは持ち込める?内閣府の文書が定める間仕切りの基準と自分で備える範囲で別に整理しています。
書き込み式の積算表で、わが家の枚数を出す
積算表とは、家族ひとりひとりの条件を1行ずつ書き出して、足す枚数を合計する表のことです。ここまでの決め方を、そのまま数に変えます。
- 家族の名前を1人1行、書き出す
- その人が寝る場所を書く(自宅の布団/自宅の床/避難所の床)
- すでにある寝具を書く(布団・毛布・寝袋など、いま家にある物だけ)
- 足す物を書く(かける毛布/敷く物/寝袋/アルミシート)
- 枚数を書いて、縦に足す
上の2行は記入例です。3行目から下は空欄にしてあるので、紙に写すかスクリーンショットを撮って書き込んでください。
| 誰が | 寝る場所 | すでにある寝具 | 足す物 | 枚数 |
|---|---|---|---|---|
| (例)父 | 自宅の布団 | 掛け布団・敷き布団 | かける毛布 | 1 |
| (例)子(居間で寝る) | 自宅の床 | 毛布1枚のみ | 敷く物+かける毛布 | 2 |
| 在宅避難で足す合計 | ||||
| 避難所へ持っていく合計(1人が運べる範囲で) | ||||
合計欄を2つに分けているのが、この表の要点です。同じ家族でも、在宅避難で足す枚数と、避難所へ持っていく枚数は別の数字になります。押し入れに入れておく分と、リュックに常時入れておく分は、置き場所も違います。
書いてみると、たいてい2つのことに気づきます。ひとつは、在宅避難ぶんは思ったより少なくて済むこと。布団という土台がすでにあるからです。もうひとつは、避難所ぶんが人数分そろわないこと。家族4人ぶんの寝袋を全員が担げるとは限りません。
だからこの表は、ひとりで書き終わらないほうがいいと思っています。誰が何枚を担ぐか、担げない人のぶんを誰が持つか、それは分担の話です。家族の防災会議のやり方|9月1日までに30分で決める5つのことの議題に、この表を1枚持ち込んでください。「毛布は何枚いる?」は、一度話せば来年も使える答えになります。
判定フローで「まず足す1枚」を決める
判定フローとは、はいといいえの質問を順番に通して、次に買う1点を1つに絞る手順のことです。積算表の合計が大きく出てしまった人は、まずここで最初の1枚だけ決めてください。
| 質問 | はい | いいえ |
|---|---|---|
| Q1. リュックに寝具が1点も入っていない | まずアルミシート1枚をリュックへ。かさが小さく、他の中身を減らさずに入る | Q2へ |
| Q2. 家族の人数ぶんの毛布が、いま乾いた状態で押し入れにある | Q3へ | まず備蓄用の毛布を人数ぶん。ふだん使いの毛布は洗濯中のことがある |
| Q3. 家族の誰かが、床で寝ることになりそう(寝室が使えない/避難所へ行く) | まず敷く物か寝袋を1点。かける物より先に、床との間をつくる | Q4へ |
| Q4. 冬の停電で使える熱源が家に1つもない | まず電気を使わない熱源を1つ。毛布を2枚目にするより効く | いまの枚数で足りています。次は保管場所の見直しへ |
- リュックに寝具が1点入っている
- 押し入れの毛布が、家族の人数ぶん乾いた状態である
- 床で寝る人のぶんに、敷く物がある
- 電気を使わない熱源が1つ以上ある
- 誰が何を担ぐかを、家族で1回話した
4つの質問が全部いいえまで進んだら、枚数を増やす段階は終わっています。次に効くのは、しまい方です。
しまい方が枚数の上限を決める
しまい方とは、備えた枚数を必要なときに取り出せる状態で保つ置き方のことです。そして実際のところ、備えられる枚数はここで決まります。
押し入れの容量には限りがあります。日本赤十字社が配分する毛布のサイズは約1.4m×2m。広げれば大人が横になれる面積で、家庭の押し入れなら平らに広げて置くことはまずできません。だから備蓄用の毛布は、たたむのではなく圧縮された状態のまま置きます。「もしもうふ」のようにアルミ真空圧縮梱包で届く製品は、開封しない限りそのかさを保ちます。逆に言えば、一度開けたら元のかさには戻りません。点検のつもりで開封しないことが、しまい方のいちばん大事な一点です。
置き場所は、用途で3つに分けます。
枚数と置き場所の対応
- リュックの中/持ち出す1点。アルミシートのような小さい物。ここに入れた枚数だけが、避難所へ持っていける枚数になる
- 寝室か居間の手が届く場所/在宅避難で最初の夜に使う1〜2枚。押し入れの奥にあると、暗い中で出せない
- 押し入れ・納戸の奥/予備。圧縮梱包のまま、開けずに置く
保存年数について。真空圧縮された備蓄毛布は10年程度という言い方を販売店のサイトで目にしますが、当サイトが確認した限り、製品ごとの公式ページに保存年数が明記されているケースは多くありません(2026年9月10日確認時点)。「何年もつ」を当サイトから断定はしません。買うときにメーカーへ確認して、その答えを梱包に油性ペンで書いておくのが確実です。
この記事が当てはまらないケースがある
当てはまらないケースとは、この記事の計算の前提が成り立たない状況のことです。次のどれかに当たる方は、ここに書いた枚数の出し方をそのまま使わないでください。
- 乳児・高齢の家族・持病のある方・妊娠中の方がいる家庭/寝るときの保温は健康に直結します。どの程度の保温が必要かの判断は、この記事ではできません。厚生労働省・消防庁などの公的機関の案内や、かかりつけの医療機関にご相談ください。
- 積雪地・寒冷地/気温の前提が違います。この記事で扱った寝袋の快適温度5℃以上のような表記は、そもそも想定する温度帯が合いません。自治体が出している地域向けの冬季災害の案内を優先してください。
- 収納がほとんど無い住まい/押し入れの奥に予備を置く前提が成り立ちません。枚数を増やす方向ではなく、かさの小さい物1点に絞る方向で考えてください。
- 車中泊避難を想定している場合/内閣府の指針は、車中泊避難について「弾性ストッキング等のエコノミークラス症候群の予防に必要な物資の配布が必要」と明記しています。毛布の枚数とは別に用意すべき物があります。
- ペットと一緒に避難する場合/人のぶんとは別に必要になります。この記事の積算表には含めていません。
- すでに登山や車中泊で寝袋を使っている方/手持ちの装備のほうが、この記事で挙げた製品より条件に合っている可能性があります。買い足す前に手持ちを数えてください。
点検のあとに耐久品を買い足すなら
よくある質問
Q. 避難所に毛布は用意されているのですか。
A. 備蓄はあります。千葉市は避難所1か所あたりアルミ毛布100〜250枚、江戸川区は区内で毛布800枚とアルミレスキューシート600枚を標準的な備蓄物資としています(2026年9月10日確認時点)。ただしどちらのページにも1人あたりの枚数や、その避難所の収容人数は書かれていません。「ある」と「自分に届く」は別の話です。持っていく1点は、配られなくても1晩越せる前提で決めてください。
Q. 毛布と寝袋、どちらを備蓄すべきですか。
A. 寝る場所で変わります。自宅の布団で寝るなら毛布、床で寝るなら体を包める寝袋のほうが向きます。両方を並べたメーカー公表値の比較と、場面別の組み合わせ方は防災用の毛布・寝袋・アルミブランケットの違いと場面別の組み合わせ方にまとめています。
Q. 災害備蓄用の毛布は何年もちますか。
A. 製品によって異なり、公式ページに保存年数の記載が無いものもあります。当サイトで確認した「もしもうふ」も、取扱店の公式ページに保存年数の記載を見つけられませんでした(2026年9月10日確認時点)。販売店のサイトにある「10年程度」という言い方は、製品固有の公表値ではありません。買うときにメーカーへ確認するのが確実です。
Q. 避難が長引いたら、毛布も枚数を増やすべきですか。
A. 毛布は同じ1枚を何晩も使うので、夜数では増えません。増えるのは人数のほうです。ここが水・食料・トイレとの違いです。一方で使い捨てカイロは使い切る物なので、夜数で増えます。個数の積算は湯たんぽとカイロは何個いる?人数×夜数の書き込み式積算表で出してください。
Q. アルミシートだけで足りますか。
A. 足すか足さないかで言えば、1枚あるかないかの差は大きいです。ただしアルミシートは体からの熱を反射して逃がしにくくする役割の物なので、冷たい床の上に直接という条件では、下に敷く物と組み合わせるほうが理にかないます。床との間をどうつくるかは避難所の床で寝る備え|段ボールベッドは届くのか、自分で持つマットの選び方を参照してください。
毛布・寝袋・アルミブランケットのどれを買うかで迷っている段階なら、防災用の毛布・寝袋・アルミブランケットの違いと場面別の組み合わせ方でメーカー公表値を並べた比較を先に見てください。
まとめ:今日やることは1つ
今日やることは1つです。リュックを開けて、寝具が1点入っているかを見る。それだけで、この記事の判定フローのQ1が終わります。
毛布の1人あたり枚数に公的な基準は無く、自治体の備蓄も集計単位からばらばらでした。だから枚数は、在宅避難と避難所に分けて自分で決めます。自宅は布団という土台があるので「足す1枚」を数え、避難所は運べる重さが上限を決める。この2つを分けたところから、数はすぐ出ます。
- リュックを開けて、寝具が1点入っているかを確かめる(入っていなければ、かさの小さいアルミシート1枚から)
- 押し入れの毛布を数えて、家族の人数と突き合わせる(足りなければ備蓄用を人数ぶん)
- この記事の積算表を1枚書き出して、誰が何を担ぐかを家族で話す
参考・出典
- 内閣府「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(令和6年12月改定/原本は平成25年8月)PDF本文(2026年9月10日確認)/毛布の1人あたり枚数の数値基準が本文に無いこと、備蓄品目の例示、防火対策、簡易ベッド、車中泊避難、1人当たり最低3.5㎡の記述を参照
- 災害対策基本法 第86条の6(避難所における生活環境の整備等)/上記指針の記述を通じて参照
- 内閣府「物資支援について」https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/push.html(2026年9月10日確認)/プッシュ型支援の基本8品目、発災後3日目までの調整
- 千葉市「共通備蓄品」千葉市公式サイト(2026年9月10日確認/ページ更新日2025年11月10日)/アルミ毛布100〜250枚
- 江戸川区「避難所の備蓄」江戸川区公式サイト(2026年9月10日確認/ページ更新日2025年11月5日)/毛布800枚、アルミレスキューシート600枚
- 日本赤十字社「救援物資の配分」https://www.jrc.or.jp/saigai/about/busshi/(2026年9月10日確認)/毛布324,671枚の備蓄、約1.4m×2mの配分
- シバタ工業株式会社 公式サイト(2026年9月10日確認)/災害備蓄用不織布毛布「もしもうふ」10枚入の製造元・サイズ・構造・重量・保温率・防炎認定。保存年数と型番の記載は確認できず
- Coleman 公式EC(ec.coleman.co.jp/2026年9月10日確認)/パフォーマーIII/C5(型番2000034774)のサイズ・重量・快適温度・材質。EN13537/ISO23537準拠の明記は確認できず
- 使い捨てカイロ「ぽかぽか家族」貼るレギュラー PKN-30HR 30枚の温度・持続時間・サイズ/複数の小売サイト表示が一致した値(2026年9月10日確認)。メーカー公式サイトの本文は確認できていない
- EN13537/ISO23537の関係と快適温度・下限温度の定義/アウトドア専門の解説サイト複数の記述が一致(2026年9月10日確認)。規格の原文は有償のため未確認
- JIS S4100(使い捨てかいろ)の温度特性/規格解説サイト経由(2026年9月10日確認)。規格原文(有償)までは未確認。JISマークの表示は任意
