※本記事にはプロモーションを含みます。
9月1日は防災の日ですが、会議はその日を待たなくても開けます。週末に家族で30分だけ食卓に集まる——それが家族の防災会議です。長い準備はいりません。この30分で決めるのは、安否確認の手段・集合場所・自宅の想定・持ち出す物・家の中の点検という5つだけ。項目を増やさないことが、会議を最後まで持たせるコツです。
内閣府の令和7年版防災白書によれば、自然災害への対処などについて家族や身近な人と「話し合ったことがない」人は36.9%(令和4年9月調査)。その理由でいちばん多かったのは、危機感の欠如ではなく「話し合うきっかけがなかったから」で58.1%でした。つまり、多くの家庭に足りていないのは決意ではなく、開始の合図なのです。
災害用伝言ダイヤル171は、毎月1日と15日(0:00〜24:00)に体験利用できます。2026年度の防災週間(8月30日〜9月5日、内閣府・中央防災会議 令和8年7月31日決定)に合わせた体験期間はすでに終わりましたが、会議の日を次の1日か15日にそろえれば、「決めたその場で試す」まで一気に進められます。だからこの記事は、他サイトによくある項目リストではなく、30分の進行台本から始めます。
この記事でわかること
- 家族の防災会議を30分で終わらせる進行台本(時間配分つき)
- その場で書き込める「わが家の防災会議シート」5項目版
- 災害用伝言ダイヤル171・web171の公式仕様と、体験利用できる日
- 会議で決めた避難の合図を、国交省マイ・タイムラインにつなぐ手順
家族の防災会議とは、災害時の判断を事前に決めておく話し合いである
家族の防災会議とは、災害が起きた「その場」で相談していては間に合わない事柄を、平時のうちに決めて紙に残しておく話し合いのことです。防災の勉強会でも、精神論の確認でもありません。決定と記録が目的である、と割り切ったほうが会議は短くなります。
なぜ事前でなければならないのか。理由の中心は、連絡手段が真っ先に細くなるからです。総務省の資料によれば、東日本大震災の発生直後、NTTドコモでは地震直前と比べて東京23区で約50倍、東北地域で約60倍の発信が起きたと推定されており、東京23区では3月11日から14日にかけて断続的に発信規制が行われました。内閣府の広報誌「ぼうさい」第66号(特集 家族で防災)も、事業者によっては平常時の50〜60倍以上の通話が一時的に集中し、電話が非常につながりにくい状態が続いたと記しています。この通話の集中による混雑を輻輳(ふくそう)と呼びます。
50倍という数字は、ふだん1台で足りている改札に、同じ時間帯へ50台ぶんの人が押し寄せる状態だと考えるとイメージしやすいでしょう。しかも混雑は数時間では引かず、東京23区では週明けの3月14日にも発信規制がかかった。「つながるまでかけ続ける」という作戦が、最初から成立しない場面があるということです。
だから「電話がだめだったとき」を先に決める
内閣府は同ページで、災害用伝言サービスの利用方法、家族の集合場所、連絡ルートを事前に確認しておくよう明記しています。会議で決めるべきは「電話番号を覚える」ことではなく、電話が通じなかったときに全員が同じ次の一手を取れる状態です。
集合場所についても、内閣府「特集 家族で防災」は具体的な考え方を示しています。自宅・学校・職場の近くの避難場所、そして通学通勤路上の避難場所。この3点を事前に確認しておく、という組み立てです。家に帰る途中で被災する可能性を、最初から計算に入れた設計だといえます。
ちなみに防災の日が9月1日なのは、1923年9月1日の関東大震災にちなんで1960年に制定されたからです。日付の由来を子どもに一言説明するだけで、「なぜ今日この話をするのか」の説得力がずいぶん変わります。
30分の進め方は、時間配分を決めた台本で回す
防災会議の台本とは、話す順番と各項目の持ち時間をあらかじめ固定しておく進行表である。会議が長引く原因のほとんどは、議題が多いことではなく、1つの話題が終わらないことにあります。
思い当たる光景があるはずです。「ちょっと防災の話をしよう」と切り出した瞬間、子どもはスマホに視線を落とし、配偶者は「洗い物だけ済ませる」と立ち上がる。5分後に戻ってきたときには、話題は非常食の賞味期限から昨日のニュースへ流れている。会議が失敗するのは、たいていこの入り口です。
そこで、時間で区切ります。以下は編集部が一次情報の項目を並べ替えて組んだ、30分固定の進行です。キッチンタイマーを1つ置いておくと、司会役がいなくても回ります。
- 0〜5分/全員の「ふだんの居場所」を確認する平日の午後2時、それぞれがどこにいるか。学校、職場、通学路。この共有をしないまま集合場所を決めると、誰か1人だけ現実味のない場所を割り当てられます。
- 5〜12分/安否確認の手段を1つに絞る候補を並べて多数決にしない。「まず171、次にweb171」のように順番まで決めて、全員が同じ順番を言えるようにします。
- 12〜20分/集合場所と行き先を決める自宅近く・学校や職場の近く・通学通勤路上の3か所。「◯◯公園」ではなく「◯◯公園の時計台の下」まで絞り込むと、当日の迷いが消えます。
- 20〜26分/持ち出す物と家の点検の担当を割り振る誰がリュックを持つか、誰が期限切れをチェックするか。物を買う話ではなく、役割を決める時間だと考えてください。
- 26〜30分/紙に書いて、見える場所に貼る決めた内容を後述のシートに転記し、冷蔵庫や玄関に貼る。ここまでやって初めて会議が完了します。

30分の会議で決めるのは5つだけ。項目を増やすほど完了率は下がる。増やしたい話題は「次回の宿題」に回して、今日は5つを紙に落とし切る。
決める5つのことは、書き込み式シートに落として初めて完了する
決める5つのこととは、災害の直後に「誰かが判断しないと家族が動けなくなる」項目のことである。言い換えれば、当日その場で相談する余裕がない事柄だけを抜き出したものです。
下の表が、そなえぐらし独自の「わが家の防災会議シート」。3列目を空欄にしてあります。印刷するか、ノートに同じ4列を書き写して使ってください。埋まっていない行があるうちは、会議は途中だという合図になります。
| 決めること | 一次情報での考え方 | わが家の答え(記入欄) | 見直しの合図 |
|---|---|---|---|
| ① 安否確認の手段 | 災害用伝言サービスの利用方法を事前に確認(内閣府)。171は録音「1」/再生「2」(NTT東日本) | 毎月1日・15日の体験利用日 | |
| ② 集合場所(3か所) | 自宅・学校・職場の近くの避難場所と、通学通勤路上の避難場所(内閣府) | 進学・転勤・引っ越しのとき | |
| ③ 自宅の災害想定 | わがまちハザードマップ→重ねるハザードマップの2段階で確認(国土地理院) | 市区町村のマップ更新時 | |
| ④ 持ち出す物と担当 | 持ち出し品と在宅備蓄を分け、誰が何を持つかまで割り振る | 防災週間(8/30〜9/5) | |
| ⑤ 家の中の点検 | 地震による負傷者の3〜5割が屋内の家具類の転倒・落下・移動が原因(東京消防庁) | 年1回・家具の買い替え時 |
① 安否確認の手段は「順番」まで決める
ここが5項目の中心なので、詳しい仕様は次の章にまとめました。会議の場では「第1候補は171、つながらなければweb171」というように、手段と順番をセットで口に出して確認します。全員が同じ順番を暗唱できたら、この項目は合格です。
② 集合場所は3か所、しかもピンポイントで決める
内閣府が示す3点セット——自宅近く、学校や職場の近く、通学通勤路上——をそのまま埋めていきます。このとき「行き先」の性格が違う点に注意してください。命を守るために一時的に逃げ込む場所と、家に戻れない人が生活する場所は、別の施設であることも珍しくありません。混同したまま集合場所を決めると、家族が別の建物で待ち合わせてしまいます。この区別は避難所と避難場所の違いで整理しているので、シートを埋める前に目を通しておくと迷いません。
③ 自宅の災害想定は、公式ポータルの2段階で調べる
国土地理院のハザードマップポータルサイトは、2本立ての構成になっています。市区町村が作ったハザードマップへのリンク集である「わがまちハザードマップ」と、洪水・内水氾濫・高潮・津波の浸水想定区域と浸水深、土砂災害警戒区域、地形分類、指定緊急避難場所などを全国シームレスに重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」です。
会議で使うなら、まず「わがまち」で自治体の公式マップを開き、次に「重ねる」で自宅周辺のリスクを重ね見る。この順番が公式サイトの構成そのままなので、迷いにくい。読み取り方の手順はハザードマップの見方で解説しています。
④ 持ち出す物と備蓄は、担当者の名前まで書く
「防災リュックを用意する」で止めると、当日その中身を誰も把握していない、という事態が起きます。誰が持ち出すか、玄関に置くのか寝室なのか。ここまで書いてください。中身の考え方は防災リュックの中身リストに、家に置いておく在宅備蓄の全体像は家庭の備蓄品リスト完全版にまとめてあります。持ち出す物と、家に残す物。この2つを分けて考えるだけで、リュックはかなり軽くなります。
まだ防災リュックが1つも無い家庭なら、既製のセットを土台にして家族で足し引きする方法もあります。たとえばアイリスオーヤマの防災リュックセット33点(BRS-33)は、防災士監修の33品目入りで、メーカー公表値はリュック容量約26L、収納重量約3kg、本体サイズ約32×16×43cm。約3kgは2Lペットボトル1本半ほどの重さなので、会議では「誰なら背負って歩けるか」を先に決め、その人の名前をシートの④に書きます。届いたら中身を食卓に広げ、眼鏡の予備や子どもの着替えなど家族ごとに要る物を足し、使わない物を抜く。そこまでやると、セットは”わが家のリュック”になります。入っている品目は、普段使っている通販サイトの商品ページで先に確認しておくと、足し引きの下書きが作れます。
⑤ 家の中の点検は、家具の固定から始める
東京消防庁の調査では、地震による負傷者の3〜5割が、屋内での家具類の転倒・落下・移動を原因としています。一方で内閣府の防災白書によれば、家具固定の取組実施率は平成29年(2017年)調査時点で40.6%にとどまり、熊本地震以降は自助の取組実施率が頭打ち傾向にあると分析されました。
数字が並んだので、意味に翻訳しておきます。10軒のうち6軒は家具を固定しておらず、そして負傷者のうち3〜5割はその家具で怪我をしている。避難グッズをそろえるより先に、寝室の本棚を壁に留めるほうが効く場面がある、ということです。
壁に留める道具の一例が、アイリスオーヤマの家具転倒防止L字金具(JTK-L2)です。メーカー公表値ではサイズ約2×7×8cm、素材はスチール(黒亜鉛メッキ)で、木ネジ8本が付属します。前提は、壁の柱や間柱といった芯材にネジを効かせること。石膏ボードだけの壁には取り付けられません。だから点検の日は「どの家具を留めるか」と一緒に、「その家具の裏に柱や間柱があるか」まで確かめておくと、買ってから付けられないという行き違いを防げます。なお商品にある「耐震度7程度」は、メーカーの社内試験による表示です。取り付け条件は、普段使っている通販サイトの商品ページでも確認しておいてください。
点検の日には、備蓄品の期限もまとめて見てしまうと効率がいい。何が何年で切れるのかは防災グッズの買い替え期限一覧にまとめています。買い替えるものが出てきたら、防災の日に合わせて動く手もあります。9月1日前後に何が動くかは防災の日セールで買うもので扱いました。
安否確認の手段は1つに絞り、体験利用日に実際に試す
安否確認の手段を1つに絞るとは、家族全員が同じサービスを第一候補として使うと決めておくことである。手段が多いこと自体は悪くありません。困るのは、母が171に録音し、子がLINEで待ち、父が電話をかけ続ける、という状態です。
災害用伝言ダイヤル171の操作は、NTT東日本の公式ページによれば非常に単純です。171にかけたあと、録音は「1」、再生は「2」を押してガイダンスに従うだけ。覚えることは実質この2つの数字しかありません。
そして、ここが多くの記事で抜けている点なのですが、171には決まった体験利用日があります。頭で覚えるのではなく、実際に一度かけておく。子どもがいる家庭なら、この体験こそが会議の本番かもしれません。
| 体験できる機会 | 期間 | 時間帯 | 会議での使いどころ |
|---|---|---|---|
| 毎月の定例 | 毎月1日・15日 | 00:00〜24:00 | 月2回。決めた手順が定着しているかの確認に |
| 防災週間 | 8月30日〜9月5日 | 8/30 9:00〜9/5 17:00 | 防災の日をはさむ本命。会議当日に試すならここ |
| 防災とボランティア週間 | 1月15日〜1月21日 | 1/15 9:00〜1/21 17:00 | 年明けの見直し回に |
| 正月三が日 | 1月1日〜1月3日 | 1/1 00:00〜1/3 24:00 | 帰省で家族が集まるタイミング |
出典:NTT東日本「災害用伝言ダイヤル(171) 体験利用のご案内」(2026年8月13日確認時点)
体験利用時の仕様も公表されています。伝言の録音時間は30秒、蓄積できる伝言数は電話番号あたり20伝言、保存期間は体験利用期間の終了までです。
30秒という長さは、心細く聞こえるかもしれません。ただ「無事です。◯◯小学校の体育館にいます。次は18時にまた入れます」と落ち着いて言っても、まだ10秒以上余ります。伝えるべきは、無事かどうか・今どこか・次にいつ連絡するか。この3つだけだと決めておけば、30秒はむしろ長い。
インターネット経由のweb171(災害用伝言板)は、登録可能件数が最大20件で、超えたぶんは最も古い伝言から自動削除されます。通常運用時の伝言保存期間は最大6ヶ月(サービス終了時期が早ければそちらが優先)。さらに、伝言が登録されたことを知らせる通知先を、メールで最大10件、音声で最大1件まで登録できます。
携帯電話会社の災害用伝言板も選択肢です。NTTドコモの公式ページによれば、1電話番号あたりの登録件数は10件(超過分は古いものから上書き)、1件あたり全角100文字(半角200文字)以内。「無事です」などの定型文に自由コメントを添えて登録でき、ドコモ以外の携帯やパソコンからも閲覧できます。他社を使っている場合は、件数や文字数の上限が異なることがあるため、契約している会社の公式ページで自分の目で確認してから会議のシートに書き込んでください。
どれを第1候補にするかで迷ったら、「家族の中でいちばん機械が苦手な人が使えるか」で選ぶと決まります。手段の優劣ではなく、全員が同じ動きを取れるかどうかが基準です。サービスごとの詳しい比較と選び方は家族の安否確認方法の決め方にまとめました。

連絡手段を決めても、スマホの電池が切れれば実行できない
web171も携帯各社の伝言板も、動かすにはスマートフォンが必要です。会議で手順をどれだけきれいに決めても、端末の電池が尽きた瞬間にその手順は紙の上の話になります。だから会議の最後には「電源をどう確保するか」を一言だけ足しておきたい。
持ち出し用に検討しやすいのが、エレコムのモバイルバッテリーEC-C61MNです。エレコム公式が公表しているとおり、この製品は半固体電池を採用しており、重量は220g。スマートフォン1台とほぼ同じくらいの重さなので、防災リュックに入れても持ち出しの負担が増えにくい。
会議のシートで「持ち出す物と担当」を割り振るとき、電源だけは担当者を明確にしておくと、当日の取りこぼしが減ります。性能の詳細はメーカー公表値をご確認ください。
避難の合図はマイ・タイムラインで決め、警戒レベルと紐づける
マイ・タイムラインとは、台風接近時の河川水位の上昇を想定し、住民一人ひとりが標準的な防災行動を時系列で整理しておく、個人版の避難計画ツールである(国土交通省 水管理・国土保全局)。平成27年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が氾濫した教訓から、鬼怒川・小貝川下流域大規模氾濫減災対策協議会が考案しました。
家族防災会議とマイ・タイムラインは、本来ひと続きのものです。会議で「どこに逃げるか」を決めたあと、残るのは「いつ動き出すか」。その一点を埋めるのがマイ・タイムラインだと考えると、両者の関係がすっきりします。
子どもと一緒に作るなら、国土交通省 関東地方整備局 下館河川事務所の「逃げキッド」という小中学生向けの検討ツールがあります。(1)マイ・タイムライン作成用チェックシート、(2)台風・前線発生から氾濫までを知る資料、(3)備えを考える資料、の3点構成。大人は国交省の公式ガイド、小中学生は逃げキッド、と分けて使えます。
避難のタイミングは、警戒レベルと対応させて決めます。内閣府の避難情報に関するガイドラインが示す5段階は次のとおりです。
| 警戒レベル | 位置づけ | わが家で決めておくこと |
|---|---|---|
| レベル1 | 災害への心構えを高める | スマホの充電を満タンにする担当を決めておく |
| レベル2 | 自らの避難行動を確認 | シートを見返し、3か所の集合場所を家族で口に出す |
| レベル3 | 高齢者等避難 | 同居・近居の高齢者、乳幼児のいる家庭はここで動き出す |
| レベル4 | 避難指示(危険な場所から全員避難) | 全員がここまでに家を出ると決めておく |
| レベル5 | 緊急安全確保 | すでに移動が危険な段階。屋内で少しでも安全な場所へ |
出典:内閣府「避難情報に関するガイドライン」(2026年8月13日確認時点)
わが家の「避難スイッチ」判定フロー
そなえぐらし独自の2つめの道具が、この判定フローです。レベルの数字を待つのではなく、わが家の条件で先に動くための分岐にしてあります。上から順に、はい/いいえで答えてください。
| 問い | はい → こう決める | いいえ → こう決める |
|---|---|---|
| Q1. ハザードマップで自宅に浸水や土砂災害の想定がある | Q2へ進む | 在宅で耐える前提。家具固定と備蓄の点検を優先し、Q4へ |
| Q2. 家族に高齢者・乳幼児・移動に配慮が必要な人がいる | レベル3(高齢者等避難)で家を出ると決める | Q3へ進む |
| Q3. 夜間や大雨のなかを歩いて避難先まで行ける距離か | レベル4(避難指示)までに全員が家を出ると決める | 明るいうちに動く。レベル3の時点で出発と決める |
| Q4. 会議で決めた内容を紙に書いて貼ったか | 会議は完了。次回の見直し日をシートに書く | まだ途中。26〜30分の工程に戻る |
この4問を家族で通すと、「レベル4になったら」という他人任せの合図が、「わが家はレベル3で出る」という自分たちの決定に変わります。判定の結果は、そのままシートの余白に書き込んでおいてください。
Q3で「明るいうちに動く」と決めても、停電や雨雲で足元が暗くなる場面は残ります。傘を差し、子どもの手を引けば、懐中電灯を握る手はもうありません。そこで持ち出す物の担当に、両手が空く明かりを1つ加えておくと安心です。一例がGENTOS(ジェントス)のヘッドライトCP-195DBで、メーカー公表値は単3形アルカリ電池使用、明るさはHigh120ルーメン(点灯時間7.5時間)/Eco25ルーメン(125時間)、重さ69g、耐塵防滴はIP64準拠。卵1個と少しの重さで、電池はリモコンなどと同じ単3形でそろえられます。点灯時間などの条件は、普段使っている通販サイトの商品ページで確認しておいてください。
話し合っても意味がないケースがあり、この会議で決めないこともある
この会議で決めないこととは、家族の合意では答えが出ない事柄のことである。正直に言えば、防災会議には限界があります。そこを曖昧にしたまま「全部決めた」と思い込むほうが危ない。
医療的な判断は、この会議で決めてはいけません。持病の薬をどれだけ持ち出すか、常用薬を切らしたときにどうするか、在宅医療機器の停電時の扱い、アレルギーのある家族の食事——これらは家族の話し合いで結論を出すべきものではありません。かかりつけ医、薬局、お住まいの自治体の福祉・保健窓口など、公的機関や医療の専門家に事前に相談し、その指示をシートに転記してください。
次に、話し合っても意味がなくなる典型的なパターンを挙げておきます。
- 記録しない会議……口頭で合意しただけの内容は、3か月後には全員の記憶が食い違います。紙に書いて貼るまでが会議です
- 全員そろうまで待つ会議……単身赴任や部活で全員集合を待つと、開催されないまま1年が過ぎます。2人でも開き、あとから欠席者に紙を渡すほうが早い
- 怖い話で動かそうとする会議……被害の映像で子どもを動かすやり方は、その場は効いても長続きしません。決めるべきは恐怖の共有ではなく、待ち合わせ場所です
- 買う話だけで終わる会議……道具の話は盛り上がりますが、連絡手段と集合場所が空欄のままなら、優先順位が逆になっています
もうひとつ。会議で決めた内容が、地域の実情と食い違うこともあります。自治体が指定する避難場所や避難経路は市区町村が管理しているため、最終的な行き先の判断は、お住まいの自治体が公表している最新の情報に従ってください。
よくある質問
Q. 家族全員がそろわないと防災会議はできませんか?
そろわなくても開けます。むしろ、全員集合を条件にすると開催そのものが先送りになりがちです。2人で決めて紙に書き、後日、欠席していた家族にその紙を渡して確認してもらう。この順番でも会議は成立します。内閣府の調査で「話し合ったことがない」理由の最多が「話し合うきっかけがなかったから」(58.1%)だったことを踏まえても、開始のハードルは下げておいたほうが得策でしょう。
Q. 災害用伝言ダイヤル171は、練習でかけてもいいのですか?
体験利用できる日が決まっています。毎月1日と15日(00:00〜24:00)、防災週間(8月30日9:00〜9月5日17:00)、防災とボランティア週間(1月15日9:00〜1月21日17:00)、そして正月三が日(1月1日00:00〜1月3日24:00)。2026年度の防災週間(8月30日〜9月5日)の体験期間は終わっているので、次に試せるのは毎月1日か15日の定例日です。会議の日をそのどちらかに合わせると、決めた手順をその場でかけて確かめられます(NTT東日本公式・2026年8月13日確認時点)。
Q. 子どもには何歳から、どうやって説明すればいいですか?
年齢別の公式な線引きはありませんが、小中学生については国土交通省 関東地方整備局 下館河川事務所が「逃げキッド」という検討ツールを公開しています。マイ・タイムライン作成用チェックシート、台風・前線発生から氾濫までを知る資料、備えを考える資料の3点構成で、学校の授業や防災教育での使用を想定した内容です。もっと小さいお子さんの場合は、171の体験利用で実際に電話をかけてみる、集合場所まで一緒に歩いてみる、といった体を使う方法のほうが伝わります。
Q. 防災会議は年に何回開けばいいですか?
回数の公的な基準はありません。編集部の整理としては、171の体験利用日を目印にするのが続けやすい方法です。防災週間(8月30日〜9月5日)に本会議を開き、防災とボランティア週間(1月15日〜1月21日)に見直す。この年2回のリズムなら、日付を新たに覚える必要がありません。今年の防災週間を過ぎてしまっていても、翌年まで待たず、毎月1日・15日の体験利用日に1回目の会議を開いてかまいません。進学・転勤・引っ越しがあった年は、集合場所の行が確実にずれるので、その都度シートを更新してください。
まとめ|今日やることは、シートを1枚用意するだけ
ここまで読んで「やることが多い」と感じたなら、それは正しい反応です。だから今日やることは1つに絞ります。紙を1枚用意して、4列の表を書き写すこと。それだけ。埋めるのは会議の当日でかまいません。
- 今日:紙を1枚用意する「決めること/一次情報での考え方/わが家の答え/見直しの合図」の4列を書き写し、5行分の枠を作ります。
- 会議の日:30分の台本どおりに進める0〜5分で居場所の共有、5〜12分で安否確認、12〜20分で集合場所、20〜26分で担当決め、26〜30分で記入と掲示。タイマーを1つ置いてください。
- 次の1日か15日:171を実際にかけてみる体験利用は毎月1日と15日の0:00〜24:00。録音は「1」、再生は「2」。決めた手順が本当に使えるか、ここで確かめます。
あわせて読みたい: 家庭の備蓄品リスト完全版|人数×日数でわかる必要量早見表/家族の安否確認方法の決め方|災害用伝言ダイヤル171と伝言板・SNSの使い分け
シートを埋める過程で手が止まりやすいのは、③自宅の災害想定と④持ち出す物の2行です。前者はハザードマップの見方と避難所と避難場所の違いを、後者は防災リュックの中身リストと家庭の備蓄品リスト完全版を開きながら書くと進みます。安否確認の手段で迷ったら家族の安否確認方法の決め方へ、点検で買い替えが出てきたら防災グッズの買い替え期限一覧と防災の日セールで買うものへどうぞ。
参考・出典
- 内閣府 防災情報のページ「令和8年度『防災週間』について」(中央防災会議 令和8年7月31日決定)https://www.bousai.go.jp/kyoiku/week/r8bousaiweek.html(2026年8月13日確認)
- 内閣府 防災情報のページ「防災週間の期間について」https://www.bousai.go.jp/kyoiku/week/bousaiweek_s58.html(2026年8月13日確認)
- 内閣府 広報誌「ぼうさい」平成23年度第66号「特集 家族で防災」https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h23/66/special_01.html(2026年9月13日確認)
- 総務省「東日本大震災における通信の被災・輻輳状況」(インフラネットワークWG 第2回会合資料抜粋)https://www.soumu.go.jp/main_content/000141086.pdf(2026年9月13日確認)
- 内閣府「令和7年版 防災白書」第1部第1章第1節https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r07/honbun/1b_1s_01_01.html(2026年8月13日確認)
- 内閣府「避難情報に関するガイドライン」(令和8年3月改定)https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinanjouhou/r3_hinanjouhou_guideline/(2026年8月13日確認)
- NTT東日本「災害用伝言ダイヤル(171) 概要とご提供のしくみ」https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171s/intro.html(2026年8月13日確認)
- NTT東日本「災害用伝言ダイヤル(171) 体験利用のご案内」https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171s/howto.html(2026年8月13日確認)
- NTT東日本「災害用伝言板(web171) 概要とご提供のしくみ」https://www.ntt-east.co.jp/saigai/web171s/shikumi.html(2026年8月13日確認)
- NTTドコモ「災害用伝言板」https://www.docomo.ne.jp/info/disaster/disaster_board/(2026年8月13日確認)
- 東京消防庁「地震から命を守る家具転倒対策」https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/bou_topic/kaguten/index.html(2026年8月13日確認)
- 国土地理院「ハザードマップポータルサイトを活用して災害に備えよう」https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/bousaichiri61053.html(2026年8月13日確認)
- 国土交通省 水管理・国土保全局「マイ・タイムライン」https://www.mlit.go.jp/river/bousai/main/saigai/tisiki/syozaiti/mytimeline/index.html(2026年8月13日確認)
- 国土交通省 関東地方整備局 下館河川事務所「逃げキッド」https://www.ktr.mlit.go.jp/shimodate/shimodate00626.html(2026年8月13日確認)
