水道水の備蓄は何日もつ?水道局5事業者の公表日数と、正しい汲み置きの手順

※本記事にはプロモーションが含まれます。

台所の蛇口をひねって、空いた容器に水を入れておく。それだけで備蓄になるなら、いちばん安上がりです。ただ「その水、いつまで飲めるの?」がはっきりしないせいで、汲んだ容器が流し台の下で忘れられていく——という話はよく聞きます。

先に数字を出します。常温での目安は、確認できた5つの水道事業者すべてで「3日程度」に一致していました。いっぽう冷蔵庫に入れた場合は、東京都水道局が10日程度、東大阪市上下水道局が7日間。ここに3日の開きがあります(いずれも2026年8月16日時点の各局公表値)。

そして水道水の汲み置きにかかる費用は、水道代だけ。買い物に出なくても、読み終えたその足で9L(1人3日分)の備蓄を始められます。本記事では5事業者の公表日数を1枚の表にまとめたうえで、なぜ局によって日数が違うのか、どう汲めばその日数もつのかを順に見ていきましょう。

この記事でわかること

  • 5つの水道事業者が公表している保存日数を1枚の表で比較(常温は全局3日、冷蔵は7〜10日)
  • 横浜市だけ「夏/冬」の軸で書かれている。単純に横並びにすると誤読すること
  • 日数に限りがあるのは水が腐るからではなく、消毒効果(残留塩素)が切れるから
  • 満水・煮沸しない・浄水器を通さない・冷暗所。この4条件と、必要量の早見表

この記事の結論:清潔な容器に口元まで満水にして、沸かさず・浄水器を通さずに冷暗所へ。それだけで常温3日、冷蔵庫なら住んでいる地域の局の案内する日数(7〜10日程度)もちます。期限を過ぎた水は捨てずに、トイレなどの生活用水に回します。

なお「そもそも何リットル用意すればいいのか」を人数と日数から整理したものは、水の備蓄は1人何リットル必要かにまとめてあります。この記事は、そのうち「水道水で無料でまかなう」部分だけを深掘りします。

目次

水道水の汲み置きは常温3日、冷蔵なら7〜10日もつ

汲み置きとは、水道の蛇口から出る水をそのまま容器に入れて保存し、断水したときの飲料水にあてる備え方である。特別な道具はいりません。必要なのは、清潔で蓋のできる容器だけ。

まず、各水道事業者が公表している日数を並べます。ネット上の記事はたいてい1つの局の数字だけを引いて「水道水は3日」と書きますが、実際には局ごとに書き方も日数も揃っていません。

水道事業者 常温 冷蔵 備考
東京都水道局 3日程度 10日程度 「常温/冷蔵」で明確に2区分
東大阪市上下水道局 3日間 7日間 「常温/冷蔵庫保存」で2区分
大阪市水道局 3日程度(冷暗所) 常温と冷蔵を分けていない
名古屋市上下水道局 3日間が目安 冷蔵についての言及なし
横浜市水道局 3日程度(夏場) 「夏場3日/冬場1週間」=季節での区分

※各局の公表内容を2026年8月16日時点で確認。「―」は公式に記載がない項目で、推測では埋めていません。

5つの水道事業者が公表している汲み置き水の保存日数を並べた対応表

表を上から下へ眺めると、はっきり分かることが2つあります。ひとつは、常温の目安が5局すべてで「3日程度」に揃っていること。これが唯一の共通項です。もうひとつは、冷蔵になったとたんに足並みが崩れること。東京都が10日程度、東大阪市が7日間で、その差は3日。大阪市・名古屋市・横浜市にいたっては、冷蔵での具体的な日数が公表されていない状態です。

横浜市の数字だけは、そのまま横に並べられません。横浜市水道局の案内は「夏場3日/冬場1週間」という季節での区分であって、「常温か冷蔵か」の軸ではありません。表の常温列に置いた「3日程度」は夏場の数字です。冬場の1週間を東京都の冷蔵10日と比べても意味がない、ということになります。

つまりこの表は、「日数の正解」を示したものではありません。各局がそれぞれの判断で示した目安が5通り並んでいるだけ。実際に従うべきなのは、自分が住んでいる地域の水道事業者の案内です。

日数に限りがあるのは、水が腐るからではなく消毒効果が切れるから

残留塩素とは、浄水場で加えられた塩素のうち、蛇口から出る時点でまだ水の中に残っていて消毒効果を保っている分のことである。汲み置きの日数は、この残留塩素がどれくらい保つかという話です。

ここは法令に根拠があります。水道法施行規則第17条(衛生上必要な措置)にもとづき、水道事業者は給水栓において遊離残留塩素0.1mg/L以上を保持するよう塩素消毒することが定められています(結合残留塩素の場合は0.4mg/L以上)。上限側も、水質管理目標設定項目として1mg/L以下という管理目標が置かれています。

この数字を、生活の言葉に置き換えるとこうなります。蛇口から出た瞬間の水道水には、雑菌が増えないように働く塩素が必ず入っている。ところが容器に入れて置いておくと、その塩素は時間とともに抜けていく。抜けきってしまえば、消毒の効き目がない、ただの水になる——各局が示す「3日」「7日」「10日」は、その効き目が期待できなくなるまでのおおよその目安です。

どの局も「◯日で水が腐る」とは書いていません。書かれているのは消毒効果が切れる目安のほうで、期限を過ぎた水はトイレなどの生活用水に使うよう案内されています(東京都水道局・東大阪市上下水道局で明文を確認、2026年8月16日時点)。捨てる前提の期限ではない、というのは覚えておいて損がないところ。

では、なぜ局によって日数が違うのか。冷蔵庫のような低温では塩素が抜けにくくなるため日数が伸びる、という方向は共通しています。ただ、それを何日と示すか、そもそも冷蔵という条件を案内に載せるかどうかは、各局が自分たちの水質や地域の気候をふまえて安全側に判断していること。だから軸も日数も揃いません。手元の水がまだ飲めるかどうかで迷ったら、飲用にこだわらず生活用水に回すか、お住まいの水道事業者・保健所の案内に従ってください。自己流の判断で薄めたり足したりするのは、この分野ではおすすめできません。

汲んでから3日を過ぎた水をどう扱うかを分ける判断の分岐図

正しい汲み置きは、4つの条件を満たすだけで終わる

汲み置きの手順とは、容器の中で塩素をできるだけ長持ちさせるための条件の組み合わせである。順番に4つ。

  1. 清潔で蓋のできる容器を用意する/洗って乾かした容器を使います。
  2. 蛇口から直接、口元まで満水に入れる/空気に触れる面をできるだけ減らすためです。東京都・横浜市・東大阪市の案内に共通して出てくる表現でもあります。
  3. 沸かさない/煮沸すると消毒用の塩素が除去されてしまいます。保存する前に沸かすのは逆効果。
  4. 直射日光を避け、冷暗所か冷蔵庫に置く/流し台の下、押し入れの床など。冷蔵庫に入れられるぶんは入れたほうが日数は伸びます。

やってはいけないこと

  • 浄水器を通した水を汲み置きしない……塩素が除去され、雑菌が繁殖しやすくなります(東京都水道局・大阪市水道局)。浄水器はカートリッジの定期交換が前提の器具でもあります。
  • 湯冷ましや家庭用浄水器を通した水は保存期間1日……東大阪市上下水道局が数値で明示しています。確認できた5事業者のうち、この日数を出していたのは同局のみでした(2026年8月16日時点)。
  • 容器に直接口を付けて飲まない……コップに注いで飲むよう案内されています(東京都水道局)。口を付けた時点で、残りの日数の前提が崩れます。

この4条件、どれも「何かを足す」作業がありません。むしろ、余計なことをしないほど長くもつ、という構造になっています。良い水にしようとして浄水器を通したくなる気持ちは分かるのですが、備蓄という目的では真逆に働くわけです。

そなえぐらし管理人
運用で一番むずかしいのは、汲むことより「入れ替え続けること」だと考えています。3日ごとという間隔は、意識して思い出すには短すぎる。当サイトでは、燃えるゴミの日や週末の掃除など、すでに体に入っている習慣に紐づけて入れ替える形をおすすめしています。カレンダーに新しい予定を1つ増やすより、続く可能性が高いはずです。

台風が近づいているときのように、断水の可能性がある程度読める場面もあります。そうしたときは前日に汲み直しておくと、期限内に使い切れる確率が上がります。ほかに前日までにそろえておきたいものは台風に備える備蓄リストで整理しました。

必要量は1人1日3L。3日で9L、1週間で21L

備蓄すべき水の量とは、飲料用と調理用を合わせた1人1日あたり3Lを、想定する日数と人数で掛け合わせた数字である。この3Lは農林水産省の家庭備蓄ポータルが示している目安で、湯せんや食器を洗うための水は別途必要と注記されています。日数については、内閣府が最低3日、できれば1週間としています(いずれも2026年8月16日時点)。

掛け算するだけの話ですが、リットルのままだと量の実感がつかめません。2Lペットボトル何本ぶんかを併記した早見表にしました。

人数 3日分 1週間分 3日分は2Lペットボトル
1人 9L 21L 4本半
2人 18L 42L 9本
3人 27L 63L 13本半
4人 36L 84L 18本

2人暮らしの3日分は18L。10Lの容器なら2個で足ります。4人家族の1週間分となると84Lで、2Lペットボトルに換算して42本——これを全部買って置いておくのは、金額よりも置き場所のほうが先に厳しくなる量です。だからこそ、飲料用の一部を汲み置きでまかなうという発想が効いてきます。

生活用水は別枠で考えます。東大阪市上下水道局の目安では、トイレや洗面などに使う生活用水は1人1日20〜60L。上の早見表の3Lとは桁が違います。ただしこれは同局が示している目安であって、全国共通の基準として決まっている数字ではありません。

この20〜60Lを容器で備えるのは現実的ではないので、受け皿になるのが風呂の水です。東大阪市上下水道局は、お風呂の残り湯などはトイレなどの雑用水に利用できるため、お風呂はなるべく水を張っておくよう案内しています。あわせて、小さいお子さまがいるご家庭は事故に気をつけるようにという一文も添えられています。実際にトイレへ流すときの手順と判断は断水中のトイレに残り湯を使う判断にまとめました。

容器は10Lのポリタンク2個が目安になる

汲み置き用の容器とは、清潔にできて蓋が閉まり、満水にしたときに人が運べる重さに収まるもののことである。東大阪市上下水道局は、10L程度の新しいポリタンクを2個程度が適当としています(2026年8月16日時点)。

10Lという数字には、量以外の意味もあります。満水にすると約10kgで、階段や部屋の移動でぎりぎり持てる重さ。20Lの容器を1個にすると、いざ動かすときに持ち上がりません。2個に分けておけば、1個を冷蔵庫の近く、もう1個を押し入れ、といった置き分けもできます。

置き場所を決めるときは、重さが1か所に集まらないようにしておくと安心です。床の耐荷重の考え方は備蓄水の置き場所と床の耐荷重で扱っています。

容器を新しく買うなら、使っていない期間の置き場所に困らないものが向いています。山善の折り畳みウォータータンク10L(型番 YWT-10)は、水を入れていないときは畳んでおける形状のタンク。10Lという容量が、そのまま東大阪市の示す「10L程度を2個」の単位に一致するので、2個そろえれば目安どおりの構成になります。汲み置きは3日ごとに中身を入れ替える運用なので、洗って乾かしやすいことも実用上は効いてきます。

もうひとつ、汲み置きとは別に用意しておきたいのが給水袋です。汲み置きが尽きたあと、あるいは断水が長引いたときには、給水車や給水所まで水をもらいに行くことになります。このとき問題になるのが運搬です。10Lのタンクを手で提げて往復するのは、距離があるとかなりこたえます。サンウエイのリュック型ウォーターバッグ 6L×2個セット(型番 ST-96)は背負って運ぶ形なので、両手が空きます。6Lを2個という構成は、家族で分担して運ぶ場面にも合う単位です。給水所に持っていくものの一覧は断水時に給水所へ持っていくものにまとめました。


最後に、位置づけを間違えやすい道具の話をひとつ。携帯浄水器です。この記事ではここまで「浄水器を通した水は汲み置きに向かない」と書いてきました。塩素が抜けてしまうからで、これは変わりません。携帯浄水器は、汲み置きを作るための道具ではない——ここを取り違えないでください。

では何のための道具かというと、断水して給水を受けに行く動線側の備えです。キッツマイクロフィルターのデリオス コネクト1&ウォーターパック1.2L(型番 PDS-1)は重量67gで、給水袋やリュックに入れておいても負担になりません。汲み置きの期限が切れた水を飲用に戻すための道具でもありません。期限を過ぎた水は各局の案内どおり生活用水に回してください。役割が違う、というのがこの3つ目のカードの前提です。

3日ごとの入れ替えが続かない人には、汲み置きは向かない

汲み置きが向かないケースとは、保存日数の短さや置き場所の制約から、期限内での入れ替えが現実的に回らない状況のことである。費用ゼロという長所の裏側には、手間が定期的に発生するという短所があります。ここは正直に書きます。

  • 常温で3日、冷蔵でも7〜10日ごとの入れ替えを続けられるか
  • 冷蔵庫に容器を入れる余地があるか(常温だけだと日数が3日に縮む)
  • 長期の出張や旅行で家を空けることが多くないか
  • 断水が数日で復旧しない想定の地域か(山間部・離島・過去に長期断水があった地域)
  • 10L満水=約10kgの容器を、自分で動かせるか

ここでチェックが付かない項目が多いなら、無理に汲み置きだけで組む必要はありません。市販の保存水は年単位で置いておけるぶん、入れ替えの手間がほぼ消えます。費用はかかりますが、続かない備蓄より、続く備蓄のほうが結果的に安いという見方もできる。銘柄ごとの1Lあたりの単価は市販の保存水を単価で比べるで並べています。

現実的な落としどころは、両方を組み合わせる形です。1週間分のうち数日ぶんを保存水で持っておき、残りを汲み置きでまかなう。こうすると、入れ替えを1回忘れても飲む水が完全にゼロにはなりません。実際に断水したあと最初に何をするかは断水したらやること一覧にまとめてあります。

水道水の備蓄でよくある質問

Q. 汲み置きする前に煮沸して消毒したほうが安全ではないですか?

A. 逆になります。東京都水道局・横浜市水道局は、沸かすと消毒用の塩素が除去されるため、蛇口から直接注いで沸かさずに保存するよう案内しています。なお東大阪市上下水道局は、湯冷ましや家庭用浄水器を通した水の保存期間を1日としています(2026年8月16日時点)。

Q. 3日を過ぎてしまった水は捨てるしかないですか?

A. 捨てる必要はありません。東京都水道局・東大阪市上下水道局はいずれも、期限を過ぎた水をトイレなどの生活用水に使うよう案内しています。飲用にするかどうかで迷う状態なら、飲まずに生活用水へ回す判断が無難です。

Q. 冷蔵庫に入れておけば10日もつと考えていいですか?

A. 10日程度としているのは東京都水道局です。東大阪市上下水道局は7日間、大阪市・名古屋市・横浜市は冷蔵での具体的な日数を公表していません(2026年8月16日時点)。全国共通の日数があるわけではないので、お住まいの水道事業者の案内に合わせてください。

Q. ウォーターサーバーの水も同じように汲み置きできますか?

A. この点について水道事業者が見解を示しているものは確認できていません。したがって「できる/できない」を断定できないというのが正直なところです。ただし各局は、浄水器を通した水は塩素が除去されて雑菌が繁殖しやすいと案内しています。汲み置きの日数の前提が残留塩素にある以上、水道水と同じ日数で考えないほうが安全側の判断になります。

まとめ:今日やることは、容器を1つ満水にすることだけ

水道水の汲み置きは、常温3日という共通の目安があり、冷蔵なら局によって7〜10日。日数が限られるのは水が腐るからではなく、水道法施行規則第17条にもとづいて入れられている塩素の効き目が抜けていくからでした。だから、余計なことをしないほど長くもちます。

  1. 容器を1つ洗って乾かす/ペットボトルでもポリタンクでも、蓋が閉まって清潔なもの。
  2. 蛇口から直接、口元まで満水に入れる/沸かさない、浄水器を通さない。
  3. 入れ替える日を、既にある習慣に紐づける/ゴミ出しの日、週末の掃除など。3日ごとが回らないなら冷蔵庫へ。

まずは1本、1個から。9L(1人3日分)に届いたら、そのぶんは買わずに済んだ備蓄です。

市販の保存水と費用を比べておきたいときは、保存水を1Lあたりの単価で比較した記事も参考にしてください。

参考・出典

  • 東京都水道局「くらしと水道/震災への備え 水の汲み置き」 https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/shinsai/sonae/kumioki (2026年8月16日時点)
  • 東京都水道局「水源・水質 残留塩素について」 https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/07 (2026年8月16日時点)
  • 東大阪市上下水道局「災害に備えた水の備蓄」 https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000034724.html (2026年8月16日時点)
  • 大阪市水道局「水の備蓄について」 https://www.city.osaka.lg.jp/suido/page/0000160562.html (2026年8月16日時点)
  • 名古屋市上下水道局「よくある質問(汲み置きの保存期間)」 https://www.water.city.nagoya.jp/subsys/inquiry/detail/?id=59&type=m090&val=04&page=2 (2026年8月16日時点)
  • 横浜市水道局「災害への備え 家庭での備え」 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/suido-gesui/suido/torikumi/saigai/katei.html (2026年8月16日時点)
  • 沖縄県企業局「水道水の残留塩素」 https://www.eb.pref.okinawa.jp/sp/water/82/85 (2026年8月16日時点)
  • 農林水産省「家庭備蓄ポータル 水の備蓄」 https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/imadoki/imadoki02_10.html (2026年8月16日時点)
  • 内閣府 防災情報のページ「一日前プロジェクト/備蓄」 https://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/ichinitimae/cbh20038.html (2026年8月16日時点)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

目次