断水中のトイレは残り湯で流していい?確認前に流さない理由と確認手順・水量の目安

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断水中のトイレは、「流せない」と決まっているのではなく、「排水管と下水道が壊れていないと確認できるまでは流さない」が正しい順番です。東京都下水道局は、大地震のあと下水道管や水再生センター・ポンプ所に損傷等が発生し、下水道の使用を制限することがあると案内しています。まず確認。流すかどうかはそのあとの話です。

確認が取れて「流してよい」となった場合、TOTO公式が示すバケツ洗浄の水量は1回目が6〜8L、仕上げが3〜4L、2〜3回に一度は10〜12L。1回あたりおよそ10L、2Lペットボトル5本分の水がいります。風呂の残り湯を使ってよいかの可否判断は、自治体(下水道局)と管理組合・管理会社の案内に従うものであり、当サイトが個別の住宅について判定できるものではありません。ここでは「確認の手順」と「確認が取れるまでの動き方」を数字つきで整理します。

この記事でわかること

  • 確認前に流さない理由を、排水管・下水道の構造から公的資料で説明
  • 流していいかを確かめる4段階の確認フロー表(集合住宅と戸建てで分岐)
  • 確認が取れた場合の水量早見表(TOTO公式の6〜8L/3〜4L/10〜12L)
  • 残り湯での洗浄が向かない家庭の条件と、確認までの代替手段
目次

確認前に流さない理由は「排水管と下水道の損傷が外から見えないから」

排水設備とは、宅地内の排水管や汚水ます(配管の点検口)など、建物から下水道の本管までをつなぐ設備のことです。断水と聞くと「タンクに水が来ないから流せない」という話に見えます。けれど、本当に注意すべき場所はそこではありません。

東京都下水道局は、大地震のあとに下水道管や水再生センター・ポンプ所が損傷し、下水道の使用を制限することがあると案内しています。さらに制限が出ていない場合でも、配管などが破損していると下水が詰まって汚水が逆流したり、破損したところから噴出することがある、と説明しています。

TOTO公式も「地震などの災害の際に、排水管が破損している場合は、トイレに水を流さないでください」と案内しています。台風・大雨で排水管から水が逆流するケースにも触れ、その場合はトイレを使用すると汚物があふれるため流さないよう明記されています。判断の軸は「水があるか」ではなく「配管が無事か」です。

つまり、蛇口から水が出るかどうかと、流した水が最後まで届くかどうかは別の問題。手元にバケツ1杯の水を用意できても、その先の道が寸断されていれば、行き場を失った汚水は戻ってきます。

集合住宅ではもう一段やっかいです。東京都下水道局は、集合住宅では下の階のお宅へ汚水が逆流する場合があると明記しています。自分の部屋の便器も配管も無事に見えても、建物のどこかが損傷していれば、被害を受けるのは階下の住戸です。横浜市も、地震で下水道施設が機能停止するとトイレが使用できなくなるなど、市民の衛生的な生活環境に甚大な影響を及ぼす可能性があると説明しています。

正確な言い方は「流せない」ではなく「確認が取れるまで流すことは推奨されていない」

下水道の使用制限とは、下水道施設が被災したときに、自治体が地域を限って下水道の使用を控えるよう住民に求める措置のことです。この言葉があること自体が、答えの一部になっています。

断水時のトイレを扱う記事の多くは「断水中は流せません」と書きます。ただ、公的機関の案内はもっと条件つきです。東京都下水道局が求めているのは、(1)使用制限の通知が出ていないかの確認、(2)自宅の排水設備が破損していないかの確認——この2つを踏んで判断する順番。「流せない」ではなく「排水管損傷の恐れがあるため、確認前に流すことは推奨されていない」が実態に近い表現です。

では、風呂の残り湯で流していいのか。その可否は、自治体(下水道局)の案内と、集合住宅であれば管理組合・管理会社の判断に従うものです。当サイトは個別の住宅について判定しません。建物の被害状況も下水道の被災範囲も、現地でしか分からないからです。

そなえぐらし管理人
「残り湯で流して大丈夫です」と言い切れたほうが読まれるのは分かっています。ただ、階下に汚水が逆流したとき責任を負えるのは、その建物と地域を管理している人たちだけ。ここでは確認の手順と、確認が取れるまでの動き方を引き受けます。

流していいかの確認は4段階——住まい別の確認フロー表

確認フローとは、判断に必要な情報を「見る順番」に並べたもののことです。揺れが収まり、断水のアナウンスが流れ、家族から「トイレ行っていい?」と聞かれる。この十数分がいちばん迷います。順番を先に決めておけば、迷いはかなり減ります。

段階 確認すること 確認先 結果でどう動くか
STEP0
流す前に
排水に異常のサインがないか(音・におい・水位・あふれ) 自宅内を目視で確認 1つでも該当すれば流さず簡易トイレへ
STEP1
分岐
集合住宅か戸建てか 集合住宅はSTEP2A、戸建てはSTEP2Bへ
STEP2A
集合住宅
建物の排水管の被害状況と使用可否の案内 管理組合の掲示板・管理会社(東京都下水道局が案内する第一の窓口) 案内が出るまでは流さない
STEP2B
戸建て
下水道の使用制限が出ていないか 自治体(下水道局)のホームページ、チラシ、防災無線・区報・広報車 制限地域なら使用を控える
STEP3
判定
「使用制限なし」かつ「異常なし」がそろったか STEP2までの結果 そろって初めてバケツ洗浄へ
STEP4
保留中
連絡がつかない・情報が出ていない 判断がつかない間は簡易トイレ

STEP0の「異常のサイン」は、専門知識がなくても気づけます。横浜市は詰まりの確認方法として、詰まった箇所以外の水まわり(トイレ、台所、風呂場、洗濯機置場、洗面所など)からも水を流して排水の状況を点検するよう案内しています。全体的に流れが悪ければ、宅地内の排水管や接続ます、市が管理する下水道管に原因があると考えられる、という切り分けです。

  • 流したあとに「ゴボゴボ」という音が長く続く
  • 便器や排水口から下水のにおいが上がってくる
  • 便器の水位がいつもと明らかに違う
  • 浴室・洗面・台所の排水が普段より遅い、または逆流している
  • 敷地内の汚水ますやマンホールから水があふれている

確認が取れた場合の水量は1回およそ10L——断水時トイレ洗浄の水量早見表

バケツ洗浄とは、断水でタンクに水が届かないとき、便器へ直接水を流し込んで汚物を排出する方法のことです。ここから先は、STEP3をクリアした家庭だけが進む手順です。

1回の洗浄に必要な水=6〜8L(汚物を流す)+3〜4L(水位を戻す)=およそ10L
1日に必要な水=約10L×家族全員の使用回数(2〜3回に一度は多めの10〜12Lに増やす)

体感に置き換えます。1回のおよそ10Lは、2Lペットボトル5本分。仮に家族全員で1日10回使えば、その日だけで約100L——ペットボトル50本分をトイレのためだけに確保することになります。飲み水とは別に、です。

洗浄の場面 必要な水量の目安 使う水源の例 注意点
1回目(汚物を流す) 6〜8L(バケツ1杯分) 給水車の水・保存水・残り湯(可否確認後) 水飛びに注意しながら一気に流し込む
2回目(水位を戻す) 3〜4L 同上 静かに注ぎ、においを防ぐ水位を戻す
2〜3回に一度 10〜12L 同上 排水管の途中に汚物が停滞するのを防ぐ
残り湯を使う場合 上記と同量 浴槽の残り湯 毛髪・皮脂を水切りネット等でこす。可否は自治体・管理組合の案内に従う

手順はTOTO公式の案内どおりです。便座と便ふたを上げ、6〜8Lを一気に、そのあと3〜4Lを静かに注ぎます。少量をちょろちょろ流すと、配管に汚物が残ります。

残り湯での洗浄は、条件がそろわない家庭には向きません

残り湯とは、入浴後に浴槽へ残った水のことで、皮脂や毛髪、入浴剤の成分を含む生活雑排水です。「あるなら使えばいい」と思われがちですが、使わないほうがいい条件は、わりとはっきりしています。

  • 建物の排水管の被害状況が確認できていない集合住宅(逆流の被害が階下の他世帯に及ぶ)
  • 自治体から下水道の使用制限が出ている地域
  • 前章の「異常のサイン」が1つでも当てはまる家
  • 入浴後すぐ浴槽の水を抜く習慣で、そもそも残り湯を当てにできない家庭
  • 断水の長期化が見込まれ、飲用・衛生用の水を最優先したい家庭

最後の条件は見落とされがちです。1回およそ10L、1日で100L規模。この量をトイレに回す判断は、断水の見通しが立たない状況ではかなり重い。備蓄量の考え方は水の備蓄は1人何リットル必要かで整理しました。

そなえぐらし管理人
正直に言うと、残り湯での洗浄は「条件がそろったときだけ使える手段」だと考えています。確認が取れないまま流し続け、水も使い切り、配管にも問題が残る——これがいちばん避けたい形です。

確認が取れるまでの代替は簡易トイレ——先に必要数だけ決めておく

携帯トイレ(簡易トイレ)とは、便器に袋をかぶせ、凝固剤や吸収シートで排泄物を固めて処理する道具のことです。処理方法は自治体のごみ出し案内に従います。

確認にどれだけ時間がかかるかは読めません。管理会社の電話がつながらないこともあれば、下水道局が調査中でまだ何も出せない段階ということもある。その待ち時間に必要なのは、水ではなく袋です。

公的な災害時トイレとしては、マンホールトイレもあります。国土交通省は、下水道管路にあるマンホールの上に簡易な便座やパネルを設け、災害時において迅速にトイレ機能を確保するものと定義しており、東日本大震災では宮城県東松島市、熊本地震では熊本県熊本市で使われた実績があります。ただし自宅から歩ける場所にあるとは限らないため、在宅避難用の携帯トイレは別に要ります。



先に決めるのは、商品ではなく数字です。1日の使用回数×人数×想定日数——この掛け算を済ませておけば、あとは条件に合うものを選ぶだけ。回数の決め方は簡易トイレは何回分必要?計算式と早見表に、凝固剤・吸収シートなどタイプ別の違いは簡易トイレのおすすめ比較にまとめています。

  • 家族の人数(来客の可能性も含めるか)
  • 想定日数(在宅避難を何日分と置くか)
  • 保管場所と、使用後の袋を置く場所

マンションは「自室が無事でも確認が終わるまで控える」期間が生じます

東京都下水道局が集合住宅の住民に「まず管理会社にお問合せください」と案内しているのは、建物全体で排水管を共有しているからです。自室の点検が済んでも、建物の診断が終わるまで使用を控えるよう求められるケースがある。この待ち時間を前提に置けるかが、集合住宅の備蓄設計の分かれ目です。置き場所はマンションの防災備蓄はどこに置く?置き場所の作り方もあわせてどうぞ。



東京都下水道局は、排水設備がお客さまの財産であるため、災害時においてもお客さまの費用で修理や維持管理等をする必要があると明記しています。確認せずに流して詰まりを広げた場合、その復旧も自己負担になり得るということです。

まとめ:今日やることは「確認先のメモを1枚作る」だけ

断水中にトイレを流していいかは、家の中だけで完結する判断ではありません。下水道と建物、2つの状況が分かって初めて答えが出ます。平時にやれることは1つ。確認先を先に書いておくことです。

  1. 確認先を書き出す管理組合・管理会社の連絡先と掲示板の場所、自治体の下水道局のページ。この3つをスマホのメモに入れます。
  2. 必要数を計算する1日の使用回数×人数×想定日数で、携帯トイレの必要数を出します。数字が決まれば、選ぶ作業は一気に軽くなります。
  3. 置き場所を決めて備えるトイレの近くに1〜2日分、別の収納に残りを分散。使用後の袋を置く場所まで決めておきます。

今日やる行動は1つ。確認先3つのメモを作ることです。数字と連絡先が先に決まっていれば、当日は迷わず動けます。

よくある質問

Q. 風呂の残り湯でトイレを流してもいいですか?

A. その可否は、自治体(下水道局)と、集合住宅なら管理組合・管理会社の案内に従うもので、当サイトでは判定していません。東京都下水道局は、使用制限の有無と自宅の排水設備の破損を確認したうえで判断するよう案内しており、確認が取れない間は流さないのが基本です。

Q. マンションで自宅のトイレは無事に見えます。流していいですか?

A. 自室の状態だけでは判断できません。東京都下水道局は、集合住宅では下の階のお宅へ汚水が逆流する場合があるとし、まず管理会社に問い合わせるよう案内しています。診断結果が出るまでは携帯トイレでしのぐ想定を持っておくと、安全側に倒せます。

Q. 断水が復旧したら、すぐ普段どおり流していいですか?

A. 給水の復旧と、下水道側の使用制限の解除は別です。TOTO公式は、復旧後に初めて水を流すときの不具合、タンクに水がたまりにくい、温水洗浄便座の機能が働かないといった可能性に触れ、解決しない場合は地域の水道局・自治体への問い合わせを案内しています。使用制限が出ていた地域では、解除の告知を確認してからにしましょう。


出典: 東京都下水道局「災害時のトイレ対策について」TOTO「タンクにレバーハンドルがついているタイプ」TOTO「断水/給水制限時のトイレ使用方法」横浜市「下水道施設の地震対策」横浜市「下水が詰まったが、どうすればいいですか。」国土交通省「上下水道:災害時に使えるトイレ」

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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

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