防災グッズで忘れがちなもの|被災地の調査で「地震のあとに買い足された」品目から逆算する

本記事にはプロモーションが含まれます。

懐中電灯は買ってある。ところが停電した夜に片手で明かりを持てば、棚を探れるのはもう片方の手だけです。乾電池も買ってある。けれど買い置きが単3形ばかりで、ラジオが必要とするのは単2形——防災グッズの「忘れがちなもの」は、こういう形で姿を現します。持っていないものではなく、持っているつもりだったもの。そこがやっかいなところです。

では、何が忘れられやすいのか。手がかりになる公的な数字があります。富山県が令和6年能登半島地震のあとに実施した「令和6年能登半島地震に係る県民アンケート調査報告書」(令和6年8月公表・有効回収1,708人)では、地震の前に取り組んでいた備えと、地震を経て現在取り組んでいる備えが、同じ選択肢で並べて集計されています。前後の差が最も大きかったのは「飲料水・食料を準備している」で、36.0%から49.8%へ13.8ポイントの増加。次いで「非常持ち出し袋(携帯ラジオ・懐中電灯・医薬品など)」が29.3%から40.7%へ、11.4ポイント伸びました。

この「あとから増えたぶん」は、被災した人が実際に困って買い足した部分です。アンケートで「あってよかったものは?」と尋ねた回答よりも、一段強い信号だと当サイトは考えています。思い出して答えた良かったものではなく、お金と手間をかけて行動が変わった結果だからです。以下では、この伸び幅を軸に「忘れがちなもの」を特定し、内閣府の全国調査と突き合わせ、品目ごとに必要量の出し方までつなげていきます。

この記事でわかること

  • 被災地の県民アンケート(富山県・回答1,708人)で、地震の前と後で備え率がどれだけ伸びたかの一覧
  • 全国の世論調査(内閣府・有効回収1,707人)と被災地の実感が、同じ品目でどこまでずれるか
  • 携帯トイレ・熱源・乾電池について、人数と日数から必要量を出す計算式と早見表
  • 手回しラジオのように評価が割れる品目を、自分の条件でどう判断するか
目次

忘れがちなものは「被災した人が後から買い足した品目」に現れる

忘れがちなものとは、平時の想像力が届かず、被災を経験して初めて備えの対象に入る品目のことである——当サイトはこう定義しています。判定に使うのは、あってよかったという感想ではなく、備え率が前後でどれだけ動いたかという数字です。

ただし伸び幅だけを見ると、話が半分になります。先ほどの「飲料水・食料」は伸び幅こそ最大でしたが、地震の前からすでに36.0%と、選択肢のなかで最も高い水準にありました。もともと多くの人が意識していた品目が、さらに増えただけとも読めます。忘れられていたと言うには弱い。

そこで当サイトは、次の2つを同時に満たすものを「忘れがちなもの」として扱います。

  • 地震の後に備え率が伸びている(=被災して必要性を痛感した人がいる)
  • それでも地震の後の水準が半数に届いていない(=痛感した人以外には、まだ届いていない)

この2つで絞ると、残るのは「非常持ち出し袋(40.7%)」「携帯・簡易トイレ(22.0%)」「スマホの予備電池(17.5%)」「非常用の衣類・毛布(9.4%)」「公衆電話用の小銭(5.3%)」です。いずれも被災地で伸びたにもかかわらず、伸びたあとでさえ少数派のまま。これが忘れがちなものの正体です。

水と食料は、忘れがちなものというより「まず最初にやること」に分類されます。この記事は、その先の話です。基本の品目と数量をまだ決めていない場合は、家庭の備蓄品リスト完全版|人数×日数の早見表で土台を作ってから戻ってきたほうが、買い物の順番を間違えずに済みます。

そなえぐらし管理人
「あってよかったもの」の記事はたくさんあるのに、読んだあと何を買うかで迷うのはなぜだろう、とずっと思っていました。良かったものの一覧は、すでに持っている人の声も含んでいます。買い足された品目だけを抜き出すと、リストはぐっと短くなりました。

被災地では、備えが伸びた品目の順番がはっきり分かれている

伸び幅とは、同じ調査のなかで「地震発生前に取り組んでいた備え」と「地震を経て現在取り組んでいる備え」の回答率の差である、という意味です。別々の調査を引き算したものではないため、母集団が揃っています。

富山県「令和6年能登半島地震に係る県民アンケート調査報告書」(令和6年8月公表、有効回収1,708人)から、備えに関する設問の前後を並べたのが次の表です。倍率は前後の回答率から当サイトで算出しました。

品目・取り組み 地震の前 地震の後 伸び幅 倍率(当サイト算出)
飲料水・食料を準備 36.0% 49.8% +13.8pt 約1.38倍
非常持ち出し袋(携帯ラジオ・懐中電灯・医薬品など) 29.3% 40.7% +11.4pt 約1.39倍
携帯・簡易トイレ 13.9% 22.0% +8.1pt 約1.58倍
貴重品などをすぐ持ち出せるように 18.7% 25.6% +6.9pt 約1.37倍
避難場所・避難経路を決める 10.7% 15.5% +4.8pt 約1.45倍
家族の安否確認方法を決める 6.6% 11.4% +4.8pt 約1.73倍
スマホの予備電池 13.2% 17.5% +4.3pt 約1.33倍
非常用衣類・毛布 5.3% 9.4% +4.1pt 約1.77倍
公衆電話を利用するための小銭 3.1% 5.3% +2.2pt 約1.71倍
特に準備していたことはない 30.7% 19.2% -11.5pt

出典:富山県「令和6年能登半島地震に係る県民アンケート調査報告書」(令和6年8月公表・有効回収1,708人/2026年8月17日時点で確認)

数字が並ぶと、かえって読みにくいかもしれません。ひとことに翻訳します。ポイント差で見ると水・食料と非常持ち出し袋が突出し、倍率で見ると衣類・毛布や小銭のように「もともとほとんど誰も備えていなかったもの」が跳ねる。前者は「みんなが少しずつ増やした」、後者は「気づいた人だけが新しく始めた」という違いです。

そして両方の見方で上位に入るのが、携帯・簡易トイレでした。伸び幅は3番目、倍率は約1.58倍。しかも地震のあとでさえ22.0%、5人に1人強にとどまります。備えるべきだと痛感した人が確実にいて、それでも多数派にはなっていない。忘れがちなものを1つだけ挙げるなら、ここになります。

倍率の読み方には注意が必要です。非常用衣類・毛布は5.3%から9.4%への変化で、母数が小さいぶん倍率が大きく振れます。「1.77倍だから最重要」とは読まず、伸び幅・倍率・到達水準の3つを並べて判断してください。

全国の平均と被災地の実感は、同じ品目でずれる

全国調査とは、災害を経験したかどうかに関係なく無作為に選ばれた人の平均であり、被災地調査とは、実際に揺れを経験した地域の住民の回答である。この2つは母集団が違うので、足したり引いたりして1つの数字にはできません。並べて眺めるところまでが、正しい使い方です。

全国側は内閣府政府広報室「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査/令和7年12月24日確報掲載、標本3,000人・有効回収1,707人・回収率56.9%)を使います。家庭で3日分以上備蓄しているものは、飲料水69.8%、食料品59.8%、衛生用品38.4%、カセットコンロなどの食品加熱用熱源27.7%、携帯トイレ・簡易トイレ27.2%(女性で高い)。大地震への対策としては、停電時に作動する足元灯や懐中電灯の準備が51.3%で最多、食料・飲料水・日用品・医薬品の準備が46.1%(前回40.8%から上昇)、家具・家電の固定が37.6%、避難場所・避難経路を決めているが37.0%、特に対策は取っていないが13.5%でした。

品目・対策 全国・内閣府(令和7年) 被災地・富山県(地震の前) 被災地・富山県(地震の後)
食料・飲料水など 46.1%(日用品・医薬品を含む対策) 36.0%(飲料水・食料) 49.8%
懐中電灯・明かり 51.3%(足元灯・懐中電灯の準備) 29.3%(非常持ち出し袋に含む) 40.7%
携帯トイレ・簡易トイレ 27.2%(3日分以上の備蓄) 13.9% 22.0%
備えをしていない層 13.5%(特に対策なし) 30.7%(特に準備なし) 19.2%

出典:内閣府政府広報室「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査)/富山県「令和6年能登半島地震に係る県民アンケート調査報告書」(令和6年8月公表)。設問文と選択肢が異なるため厳密な同一比較ではありません(2026年8月17日時点)。

この2つを見比べると、読者が自分の位置を測れるようになります。たとえば携帯トイレ。全国では27.2%が3日分以上を備蓄しているのに、実際に揺れを経験した地域の地震前の準備率は13.9%でした。被災する側にいた人ほど、事前の備えが薄かったという並びです。「自分の地域は大きな地震が来ない」という感覚は、来る地域の人も同じように持っている、と読むほうが自然でしょう。

もうひとつ目を引くのは「特に対策なし」の差です。全国では13.5%が対策していないと答えるのに対し、富山県の回答者が地震前を振り返ると30.7%が「特に準備していたことはない」。前者は意識の申告、後者は実績の振り返りです。備えているつもりの人が、実際にはそこまで動けていない可能性を示しています。

懐中電灯・乾電池・水・食料について、準備したつもりだったことと実際に足りなくなったことを4組で対応させた図

忘れがちな品目は、忘れる理由と必要量をセットで押さえる

ここからは品目ごとの解説です。それぞれ「なぜ忘れるのか」「公的機関が示している根拠」「どれだけ要るか」の3点で整理しました。数量の根拠がない品目は、数量を書いていません。

携帯・簡易トイレ:数を決められないまま止まっている

携帯トイレが忘れられるのは、必要性を知らないからではなく、必要な数がわからないからです。水や食料には「1日3リットル」のような有名な目安がありますが、トイレの回数は自分でも把握していません。買い物カゴに入れる数が決まらず、そのまま先送りになる。

公的な目安はあります。内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(平成28年4月)は、トイレの平均的な使用回数を1日5回として備蓄・確保計画を作成することが望ましいとしています。同ガイドラインは災害用トイレの必要基数についても、発生当初は避難者約50人あたり1基、長期化後は約20人あたり1基という目安を示しました。

「避難所に行けば設置されるのでは」と考えたくなるところですが、同ガイドラインが引く兵庫県の資料によれば、阪神・淡路大震災では水・食料・毛布・医薬品の確保が優先されてトイレの対応が後回しになり、避難所への災害用トイレ設置は早くて3日目、遅い事例では11日目でした。過去災害の設置率も、北海道南西沖地震が約20人に1基(混乱なし)、阪神・淡路大震災が約75人に1基(配備後に苦情が激減)、雲仙普賢岳噴火災害が約120〜140人に1基(不足気味)と、災害ごとにばらつきがあります。東日本大震災ではトイレの数もバキューム車も不足し、汲み取り式トイレが多数使用不可能になり、屋外に設置した組立トイレ用のテントが強風で倒れた例も多かったと記載されています。

数の話に戻ります。1人1日5回を出発点にすると、必要量はかけ算だけで出せます。

必要な携帯トイレの回数分 = 人数 × 5回 × 日数

世帯人数 3日分 7日分 14日分
1人 15回分 35回分 70回分
2人 30回分 70回分 140回分
3人 45回分 105回分 210回分
4人 60回分 140回分 280回分

あなたの家の数字を入れてみてください。人数___人 × 5回 × 日数___日 = ___回分。4人家族で1週間なら140回分。1日あたり20回、つまり朝の1時間だけで家族全員が1回ずつ使う場面が、7日間続く計算です。箱で買う理由がここにあります。数え方をもっと細かく詰めたい場合は、簡易トイレは何回分必要?1人1日5回×人数×日数で世帯別に整理しています。

同ガイドラインは、トイレを我慢して水分摂取を控える問題にも触れています。新潟県中越地震(平成16年)の住民アンケートでは、「トイレが不安で水を飲むことを控えた」と答えた割合が小千谷市で33.3%、川口町で13.8%。トイレの備えは、水の備えを機能させるための備えでもあります。

携帯トイレとセットで用意しておきたいのが、使用後の袋の置き場所です。ごみの収集が止まれば、室内に置くしかありません。クリロン化成の「BOS ストライプパッケージ Lサイズ」は袋サイズ30cm×40cmのマチあり、90枚入り。同社公式は「驚異の防臭力で臭いをとじこめる」「菌も通さないので衛生的」と説明しています。携帯トイレの回数分に近い枚数がまとまって手に入るため、上の早見表の数字と突き合わせやすい商品です。ただし公式にも「BOSの防臭性能は大変優れていますが、完全に防ぐものではありません。ご利用環境などによっては臭い漏れを感じる場合があります」との注意書きがあり、無臭になると期待するものではありません(2026年8月17日時点)。

明かりは「買った」で止まりやすく、手がふさがる形のまま眠っている

内閣府の全国調査で、足元灯や懐中電灯の準備は51.3%と最多でした。つまり明かりそのものは忘れられていません。忘れられているのは、暗い中で何をするかという想定のほうです。片手が明かりでふさがっていると、荷物を運ぶ、子どもの手を引く、ガラスを片付ける、といった動作がどれも中途半端になります。

消防庁「地震防災マニュアル」は、寝ているときの備えとして「暗闇では、割れた窓ガラスや照明器具の破片でけがをしやすいので注意をしましょう」と述べ、「枕元には、厚手の靴下やスリッパ、懐中電灯、携帯ラジオなどを置いておき、避難が出来る準備をしておきましょう」としています。明かりは、しまう場所ではなく寝る場所に置くものという指摘です。防災リュックの底に入れたままだと、そのリュックまで暗闇を歩くことになります。

手を空けたい用途に向くのが、頭に装着するタイプです。ジェントスのLEDヘッドライト「CP-195DB」は、公式スペックで明るさ120ルーメン(Highモード)/25ルーメン(Ecoモード)/サブ赤色3ルーメン、点灯時間はHigh 7.5時間・Eco 25時間・赤色70時間、照射距離63m、耐塵・防滴仕様(IP64準拠)、1m落下耐久、本体重量69g(電池含む)。電源は単3形アルカリ電池1本です。Ecoモードの25時間は、夜に5時間使うとして5晩ぶんにあたります。電池が単3形1本という点は、次の項目とも関係してきます(2026年8月17日時点)。


リュックに入れる最低限の構成から見直したい場合は、防災リュックの中身リスト|最低限の6つもあわせてどうぞ。

乾電池は本数ではなくサイズで足りなくなる

乾電池の買い置きがある家は多いはずです。それでも足りなくなるのは、家にある電池のサイズと、非常時に使う機器が求めるサイズが一致していないからでした。テレビのリモコンやゲーム機で消費するのは単3形や単4形。一方でランタンや大型のラジオは単1形・単2形を使うことがあります。在庫は本数ではなくサイズ別に数える——これが乾電池の要点です。

やり方は簡単で、家にある電池式の機器を書き出し、機器ごとに「サイズ」と「必要本数」を記入し、同じサイズごとに合計するだけ。たとえば先ほどのヘッドライトCP-195DBは単3形1本なので、予備1セットを持つなら単3形をもう1本、という具合に積み上がっていきます。棚卸し用の表は乾電池の備蓄は何本必要?サイズ別棚卸し表に置いてあります。

長期保管する電池を選ぶなら、性能の表示を見ておくと納得して買えます。パナソニックの「エボルタNEO 単3形アルカリ乾電池(LR6NJ)」は、公式スペックで電圧1.5V、寸法約φ14.5×高さ50.5mm、質量約24g(1本)。公式カタログでは「長もち性能 約10%UP」「10年後 約20%UP(10年相当保存後のエネルギー保持率比較、単3形LR6EJ比)」「過放電後のガス発生量 約30%削減」という性能が示されています。なお乾電池には使用推奨期限の表示制度があり、これは未使用で保管した場合にJISの性能を発揮する期限を意味するものです。実際の年月は製品のパッケージ表示で確認してください(2026年8月17日時点)。


スマホの電源は、停電が数日で終わる前提だと足りない

富山県の調査で「スマホの予備電池」は13.2%から17.5%へ伸びましたが、それでも6人に1人ほど。連絡も情報収集も地図もスマホに集約されている割に、電源の備えは薄いままです。

停電がどのくらい続くのかは、実例で見たほうが早いでしょう。経済産業省「令和6年能登半島地震の電力・ガスにおける復旧対応等について」(令和6年7月31日)によれば、令和6年1月1日の発災で配電設備が損傷し、石川県を中心に最大約4万戸が停電。北陸電力送配電が全国から応援を受けて延べ約1,000人規模で対応し、1月末時点で停電は約2,500戸まで減少しました(進入困難な箇所を除き概ね復旧)。おおよそ1か月弱かかった計算です。

1回ぶんの充電で足りる長さではありません。エレコムの半固体モバイルバッテリー「EC-C61MN」は、公式スペックで容量10000mAh、最大出力35W、ポートはUSB-C×2とUSB-A×1、重量約220g、半固体リチウムイオン電池を採用し、想定寿命は約2000回、機内持ち込みが可能とされています。防災用のモバイルバッテリーは買ってから使わない期間が長くなりがちなので、寿命の回数や仕様が公表されている製品を選んでおくと、置いたままの管理がしやすくなります(2026年8月17日時点)。

体を清潔に保つものは、断水が停電より長く続くから効いてくる

電気と水は同時に止まりますが、戻る速さが違います。国土交通省「令和6年能登半島地震を踏まえた上下水道の強靱化について」によれば、断水は6県38事業者で最大約13.6万戸に及び、石川県では輪島市・珠洲市の早期復旧困難地域(輪島市約745戸、珠洲市約1,076戸)を除いて、令和6年5月31日をもって水道本管の復旧が完了しました。1月1日の発災から約5か月です。

つまり、電気が戻ってからさらに数か月、蛇口からは水が出ないという時間があり得ます。ここが「水がない前提の備え」が要る理由でした。内閣府の全国調査でも、衛生用品を3日分以上備蓄している人は38.4%で、飲料水の69.8%と比べると差があります。

農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」は、家庭にあるもので代用できる例として、食品用ポリ袋(手袋がわり・混ぜ合わせ・洗い物削減・水の運搬)、ラップ(皿に敷いて洗い物を減らす)、アルミホイル(お皿や落としぶたの代わり)、除菌スプレー(手洗い水の代わり)を挙げています。買い足す前に、台所の引き出しを見るほうが早い場合もあります。

体を拭くものは代用が難しく、備えておく価値があります。花王の「ビオレu 全身すっきりシート 携帯用」は、公式情報で10枚入り、サイズ14×109×197mm、成分は水・エタノール・グリセリン・コハク酸・PEG-8・安息香酸Na。無香料・メントール無配合・界面活性剤不使用のトリプルフリー設計で、天然コットン100%、パウダー無配合で白残りしないとされ、赤ちゃんの肌にも使える設計と説明されています。携帯用サイズなので、家の備蓄とは別に、通勤カバンや車にも分けて置きやすい形です(2026年8月17日時点)。

衛生用品は世帯によって必要な種類が変わります。必要数の出し方は生理用品の備蓄|必要数の計算式と人数別早見表に計算式つきでまとめました。

寒さ対策は季節を選べないので、通年で置いておく

富山県の調査で倍率がいちばん大きかったのは「非常用衣類・毛布」でした。5.3%から9.4%へ、約1.77倍。ただし地震のあとでも1割に届いていません。能登半島地震が起きたのは1月1日で、寒さがそのまま生活の問題になった災害でした。

季節ものは、必要になる季節にしか思い出さないという弱点があります。夏に防災リュックを点検すると、カイロは真っ先に「今はいらないもの」に見えるでしょう。逆に台風の前に慌てて買い出しに行くと、必要なものから順に売り切れていきます。買う順番の話は台風前に買っておくもの|売り切れる順の買い物リストにまとめました。

常温で保管でき、季節をまたいで置いておけるのが貼るカイロの利点です。アイリスオーヤマの「ぽかぽか家族 貼るカイロ レギュラー 30個入り(PKN-30HR)」は、公式情報で最高温度63度、平均温度53度、持続時間12時間(都条例に基づく測定)、商品サイズ125×95mm、主要素材は鉄粉・水・活性炭・バーミキュライト・塩類・高吸水性樹脂。持続12時間は、夜7時に貼れば翌朝7時まで、という長さです。30個入りなら4人家族で1人1枚を7日以上まかなえる計算になります(2026年8月17日時点)。


使い捨てカイロは、就寝時の使用や、体の同じ場所への長時間の使用について各社が注意を促しています。低温やけどを防ぐため、必ず商品パッケージの注意書きに従ってください。

お薬手帳と予備のメガネは、お金があっても買い直せない

ここまでは店で買えるものでした。買えないものもあります。

まずお薬手帳。厚生労働省医薬局総務課ほかが発出した事務連絡「令和6年能登半島地震による災害に伴う医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等に係る取扱いについて」(令和6年1月2日)では、「医師等の受診が困難な場合、又は医師等からの処方箋の交付が困難な場合において、患者に対し、必要な処方箋医薬品を販売又は授与することが可能であること」としたうえで、その際は「薬剤服用歴、お薬手帳及びマイナンバーカード等を活用し、患者の服薬情報を確認するよう、努めること」と記されています。お薬手帳は、処方箋がなくても薬を受け取れる可能性を残すための情報だということです。原本を持ち出せない場合に備えて、スマートフォンで撮影した画像を保存しておく方法もあります。

次にメガネ。公益社団法人日本眼科医会は、普段使っているメガネとは別に、災害時に備えた避難袋へ予備の眼鏡を入れておくことが重要だとし、過去に使っていたメガネを捨てずに避難袋へ入れておくよう推奨しています。過去の豪雨災害の避難所診療では、半数以上が目の違和感や充血を訴え、結膜炎の症状が確認されたとも紹介されています(報道記事を通じて確認。学会公式ページには到達できていないため、参考情報として扱ってください/2026年8月17日時点)。コンタクトレンズについては、東日本大震災の被災地で、衛生面を考慮して水道水が安定して使え医薬品供給や眼科受診が可能になるまで装用を中止し、メガネへ切り替えるよう呼びかけた例が報じられました。

度の合わない古いメガネでも、何も見えない状態よりはるかにましです。買い替えたときに捨てず、リュックへ移す。それだけで済みます。

熱源は「持っている」と「使える」が食い違いやすい

内閣府の全国調査で、カセットコンロなどの食品加熱用熱源を3日分以上備蓄している人は27.7%でした。ここで見落とされやすいのは、本体ではなくボンベの本数と期限です。

農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」は、「1人/1週間当たり、カセットボンベ約6本の備蓄が必要となります」としています。使用期限の目安はボンベ約7年、コンロ約10年。乾電池と違って期限を意識する機会が少ないため、いざ使おうとしたら過ぎていた、ということが起こります。

世帯人数 1週間分 2週間分
1人 約6本 約12本
2人 約12本 約24本
3人 約18本 約36本
4人 約24本 約48本

1人1週間で6本というのは、1本でだいたい1日強をまかなう計算です。鍋で湯を沸かす程度でも、それだけ減ります。

評価が割れている品目は、前提が違うから割れる

評価が割れている品目とは、公的な基準ではなく各サイトの経験則で語られるために、同じものが「必須」にも「いらなかったもの」にも分類されてしまう品目のことです。代表格が手回しラジオでした。

いま「防災グッズ 忘れがちなもの」で上位に出てくる記事を並べると、手回しラジオを必須品として挙げる記事と、いらなかったものとして挙げる記事が同時に存在しています。どちらも断定的に書かれていて、他方の存在には触れていません。読む側からすれば、どちらを信じればいいのか分からないままです。

割れる理由は、前提の置き方にあります。ラジオの価値は「スマホが使えない時間がどれだけ続くか」で決まりますが、これは地域・住居・停電の長さで変わる変数でした。前提が違えば、結論は当然ちがってきます。

そなえぐらし管理人
どちらが正しいかを決めようとすると、たぶん決まりません。編集部としては「あなたの家では、どちらの前提が当てはまるか」に書き換えるほうが実用的だと考えています。

判断の材料を整理します。消防庁「地震防災マニュアル」は、枕元に置くものとして厚手の靴下やスリッパ、懐中電灯とならんで携帯ラジオを挙げています。つまり公的なマニュアルが想定しているのは「ラジオがあること」であって、手回し式かどうかまでは指定していません。手回しかどうかは、電源をどう確保するかという別の問題です。

  • 家にスマホ以外の情報源(電池式ラジオ、車のラジオ)がすでにあるか
  • 乾電池をサイズ別に備蓄できているか
  • 停電が長引きやすい地域や住居か(能登半島地震では概ねの復旧まで約1か月弱かかった)
  • モバイルバッテリーや車からの充電手段が確保できているか

上の4つで、電池と充電の手段が両方そろっているなら、手回し機能は優先度が下がります。逆に電池の備蓄が薄く、充電手段も1つしかないなら、手で回して最低限の音声情報を得られる機能は保険として働くでしょう。品目の是非ではなく、自分の電源の本数で決めるのがいちばん納得できる決め方です。

情報源も充電手段もスマホだけかどうかで、手回しラジオを買うか電池式で足りるかを分ける判定図

この記事の考え方が当てはまらない人

この記事は、基本の備えをひととおり用意した人が、抜けを埋めるために読むことを想定しています。次に当てはまる場合は、優先順位が変わります。

  • これから最初の1つを買う人:伸び幅の話より、水と食料が先です。内閣府の全国調査でも飲料水の備蓄が69.8%で最多であり、ここが土台になります。
  • 津波や土砂災害のリスクが高い場所に住む人:物より、避難経路と避難のタイミングが先。持ち出せる量には限りがあります。
  • 持病がある人、乳幼児・高齢者・介護が必要な家族がいる人、ペットと暮らす人:一般的なランキングには出てこない個別の品目(常用薬、ミルク、介護用品、ペットフードなど)が最優先です。この記事の一覧は、その後に見てください。
  • 置き場所が限られている人:140回分の携帯トイレを置ける前提で書いています。収納が足りない場合は、日数を短くして質を上げるほうが現実的です。

この記事で引用した2つの調査は、いずれも回答者が1,700人規模のアンケートです。全国の平均や被災地の傾向は読み取れますが、あなたの世帯に必要な量を決めるものではありません。数量は必ず人数と日数から自分で計算してください。

よくある質問

Q. 防災グッズで忘れがちなものを1つだけ挙げるなら何ですか?

携帯・簡易トイレです。富山県の県民アンケート(有効回収1,708人)で備え率が13.9%から22.0%へ伸びた一方、伸びたあとでも5人に1人強にとどまります。内閣府の全国調査でも3日分以上の備蓄は27.2%でした。必要性を痛感した人がいるのに、全体としてはまだ少数派という点で、忘れがちなものの条件をいちばんよく満たしています。

Q. 現金や小銭は本当に必要ですか?

富山県の調査では「公衆電話を利用するための小銭を準備」が3.1%から5.3%へ伸びています。伸び幅としては最小ですが、約1.71倍という倍率は上位です。内閣府の全国調査には現金・小銭に相当する選択肢がなく、そもそも質問されていません。備えの一覧から抜け落ちやすい項目だと言えます。金額の目安を示す公的な数字は今回の調査では確認できなかったため、当サイトでは金額を示しません。

Q. 携帯トイレは何回分あればいいですか?

内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」の1日5回を目安に、人数×5回×日数で計算します。4人家族の7日分なら140回分。3日分から始めて買い足す方法でも構いません。詳しい数え方は簡易トイレは何回分必要?1人1日5回×人数×日数にまとめています。

Q. 手回しラジオは買ったほうがいいですか?

家の電源の状況によります。電池式ラジオがあり乾電池もサイズ別にそろっているなら、優先度は下がります。逆に情報源がスマホだけで、充電手段も1つしかない場合は検討する価値があるでしょう。消防庁の地震防災マニュアルは枕元に携帯ラジオを置くよう勧めていますが、手回し式かどうかまでは指定していません。

Q. 乾電池は何を何本そろえればいいですか?

本数の前にサイズを確認してください。家にある電池式の機器を書き出し、機器ごとの使用サイズと本数を合計し、そこに予備1セットを足すのが基本の考え方です。ジェントスのヘッドライトCP-195DBのように単3形1本で動く機器もあれば、単1形を複数本使う機器もあります。棚卸し表は乾電池の備蓄は何本必要?サイズ別棚卸し表にあります。

Q. 防災セットを買えば、忘れがちなものも入っていますか?

セットによって中身が大きく違います。携帯トイレの回数分や、家族の人数に合わせた衛生用品まで含んでいるものは多くありません。中身を1点ずつ確認したい場合は防災セットのおすすめはどれ?中身を1点ずつ検証を参考にしてください。

品目ごとの必要数をもう一段細かく出したい方へ。トイレは簡易トイレは何回分必要?1人1日5回×人数×日数の計算式と早見表、乾電池は乾電池の備蓄は何本必要?単1〜単4サイズ別棚卸し表に書き込み式の表を置いてあります。

まとめ:今日やることは、トイレの回数を計算することだけ

被災した人が後から買い足したものを追いかけると、忘れがちなものの輪郭がはっきりしました。携帯・簡易トイレ、非常持ち出し袋の中身、スマホの電源、季節の衣類と暖房、そして小銭。どれも被災地で伸びたのに、伸びたあとでさえ多数派になっていない品目です。

全部を今日そろえる必要はありません。まず1つだけ。あなたの家の人数と、想定する日数をかけ算してください。

  1. 回数を出す人数×5回×日数で、携帯トイレの必要回数を計算する。4人家族の7日分なら140回分。
  2. いまの在庫と引き算する家にある携帯トイレの回数分を数え、不足ぶんを買い物リストに書く。あわせて処理用の袋の枚数も確認する。
  3. 置き場所を決めるトイレの近くと防災リュックに分けて置く。同じタイミングで、枕元にヘッドライトを移す。

計算が終われば、あとは買うだけです。数字が出た時点で、忘れがちなものは忘れられないものに変わります。

参考・出典

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

目次