妊婦の防災グッズリスト|週数で変わる持ち出し袋と、母子健康手帳・福祉避難所の備え

※本記事にはプロモーションが含まれます。

妊婦の防災グッズをそろえるとき、多くの人は「一般の防災グッズに、妊婦用の品目を足す」と考えます。けれど、実際に組み直してみるとわかるのは、足し算の問題ではないということです。妊娠中の備えで変わるのは品目そのものより、持ち歩くもの・持ち出すもの・家に置くものの割り振りのほうでした。

理由は単純です。重い荷物を自分で運ぶ前提が崩れるからです。その結果、持ち出し袋に入れていたものが家に残り、家に置いていたものが常時携帯へ移る。品目リストを何度眺めても、この移動は起きません。

そこでこの記事は、品目を並べるだけの一覧にはしませんでした。母子健康手帳の交付と再交付の根拠、福祉避難所が誰を対象にしているかという制度の出所を示したうえで、妊娠の時期ごとに置き場所をどう入れ替えるかの早見表を用意しています。制度の情報はいずれも2026年8月19日確認時点のものです。

この記事でわかること

  • 母子健康手帳を「原本で持ち歩くか、写しにするか」を自分で判断する手順(2026年4月から電子版が正式な様式になりました)
  • 妊産婦向けの品目のうち、公的資料で裏が取れるものと、そうでないもの
  • 妊娠初期・中期・後期・臨月で、荷物の置き場所がどう入れ替わるかの早見表
  • 福祉避難所の対象に妊産婦が含まれる根拠と、それでも断定できないこと
目次

常に持ち歩くものは、母子健康手帳を軸に決まる

常に持ち歩くものとは、家に戻れない状況でも身から離れない最小限の一式を指します。妊娠中は、この一式の中心が財布ではなく母子健康手帳に移ります。

母子健康手帳は、母子保健法第16条第1項が「市町村は、妊娠の届出をした者に対して、母子健康手帳を交付しなければならない」と定めているとおり、交付主体は国ではなく市町村です。つまり、なくしたときに頼る窓口も市町村になります。紛失・汚損時の再交付は住所地の市区町村(保健センター等)が受け付けており、自治体によっては委任状が必要です(2026年8月19日確認時点)。

ここが実務上の分かれ目です。避難した先が住所地の外だった場合、再交付の窓口は遠くなります。だからこそ、原本を持ち歩くか写しで済ませるかを、避難する前に決めておく意味があります。

母子保健の所管は、いま「こども家庭庁」です

母子保健は2023年4月1日に厚生労働省からこども家庭庁へ移管され、母子健康手帳の案内もこども家庭庁のサイトが現行の窓口になっています。一方で「災害時小児周産期リエゾン」のように医療提供体制に関わる制度は、引き続き厚生労働省の所管です。検索して出てくる古い解説ページは移管前の記述のことがあるため、制度を確認するときは掲載元の省庁名まで見てください(2026年8月19日確認時点)。

2026年4月から、電子版が正式な様式になりました

母子健康手帳の電子化は、もう「検討中」の段階ではありません。令和8年4月1日(=2026年4月1日)施行の母子保健法施行規則の一部を改正する府令により、電子版が正式な様式として法的に位置づけられました。こども家庭庁はこの公布を2026年3月27日付の通知で示しており、運用基準としては令和6年3月31日策定の「電子版母子健康手帳ガイドライン」があります。

大事なのは、紙の手帳が廃止されたわけではないという点です。制度は選択制で、紙と電子版のどちらも使えます。あわせて、妊婦健診や乳幼児健診の結果など一部の母子保健情報は、令和2年度以降マイナポータルで閲覧できるようになり、項目は順次拡充されています(2026年8月19日確認時点)。

ここまでを踏まえると、備えの設計はこうなります。紙は水濡れと紛失に弱く、電子版は電源に弱い。片方だけに寄せると、そのままそれが弱点になります。

持ち歩く分と、家に残す分をこう振り分ける

  • 日中に自宅から離れる時間が長い → 原本を携行し、主要ページの写しを家の持ち出し袋へ
  • 在宅の時間が長い → 原本は持ち出し袋に固定し、写しを外出用バッグへ
  • 電子版を使っている → 紙の手帳の置き場所を家族に共有しておく
  • 里帰りを予定している → 移動先の市区町村の窓口を、移動する前に調べておく
  • 写しを作るページに迷う → 健診の記録と、連絡先が書かれたページを優先する

電子版を選ぶにしても、スマートフォンの充電が切れれば手帳ごと開けなくなります。停電と断水は同時に来ることがあり、避難所の充電列に並ぶ体力を前提にはできません。持ち歩くバッテリーは、容量よりも「毎日入れっぱなしにできる重さ」で選ぶほうが現実的です。

エレコムの半固体モバイルバッテリー「EC-C61MN」は、公表値で220g。500mLの保存水1本(約500g)の半分以下という重さで、通勤バッグに常設しても荷物の設計を崩しにくい水準です。

書き込み欄:わが家の連絡先メモ(印刷して手帳にはさむ)

  • かかりつけの産婦人科(外来/時間外):________
  • 住所地の市区町村の母子保健窓口:________
  • 里帰り先・滞在先の窓口:________
  • 家族との集合場所(第1/第2):________

持ち出し袋に足すのは、妊産婦に固有の品目だけでいい

非常用持ち出し袋とは、避難のときに一度だけ持ち出す荷物のことです。一般の中身は変えず、妊産婦に固有の品目だけを足す。それだけで足りるのは、袋の総重量に上限があるからです。

ただし、ここで一つ正直に書いておきたいことがあります。妊婦向けの持ち出し品として世の中でよく挙がる品目は、必ずしも公的資料が名指ししているわけではありません。編集部が今回たどれた一次資料の範囲を、そのまま表にしました。

品目・項目 位置づけ 公的資料での確認 読者側の確認先
母子健康手帳 市町村が交付する法定の手帳 確認できた(母子保健法第16条第1項/こども家庭庁) 住所地の市区町村
要配慮者としての申告 福祉避難所の対象に妊産婦が含まれる 確認できた(内閣府ガイドライン) 自治体の防災担当
マタニティマーク 妊娠中であることを周囲に伝える表示 今回の調査では、配布主体を示す公的ページまで到達できず 住所地の窓口
産褥ショーツ・清浄綿など 妊産婦向けの持ち出し品として一般に挙げられる 今回の調査では、品目を名指しした一次情報は確認できず かかりつけの産婦人科
お薬手帳・保険証の写し 受診先が変わる場面の情報の受け渡し ―(一般の防災グッズと共通) 調剤薬局・保険者

この表を「産褥用品はいらない」と読まないでください。逆です。必要かどうかを決める権限が、防災メディアではなく産婦人科の側にあるという意味です。当サイトは品目の医学的な要否を判断しません。健診のときに「入院バッグとは別に、避難用にも持つべきか」と一言たずねるのが、いちばん確実です。

そして重さ。持ち出し袋は「詰め終わってから背負えないと気づく」のがいちばん多い失敗です。妊娠中はここに、そもそも自分で背負わない可能性が加わります。中身の優先順位のつけ方は、女性の防災リュックを10kgに収める中身の決め方で計算方法を整理しているので、削る順番の考え方だけ先に借りてください。

そなえぐらし管理人
「妊婦だから多めに」と足していくと、袋がひとりで持てない重さに育ちます。編集部の整理では、足すより先に「誰が持つか」を決めるほうが早く片づきました。

週数で変わるのは、品目そのものより「置き場所」だ

週数別の備えとは、買うものを増やすことではなく、同じ持ち物の置き場所を入れ替える作業を指します。ここがこの記事の本題です。

注意点を先に。以下の早見表は、体調や医学的な経過を示すものではありません。体調の見通しは人によって大きく異なり、当サイトが一般化できる領域ではないため、表に入れたのは荷物の置き場所と、見直すきっかけだけです。

時期 常に持ち歩く 持ち出し袋 家に置く 見直すきっかけ
妊娠初期 母子健康手帳・保険証・お薬手帳の写し・連絡先メモ 一般の中身のまま 水・食料・簡易トイレの基本量 妊娠の届出と手帳の交付を受けたとき
妊娠中期 上記+かかりつけの診察券 衛生用品を追加し、総重量を一度量る 水を小容量に置き換え始める 里帰り・転居の予定が決まったとき
妊娠後期 上記+入院時の連絡先 自分ひとりで背負う前提を外し、家族と分割 家の中の一か所に集約し、動線を短くする 健診の間隔が変わったとき
臨月〜出産後 入院バッグと共用にする 家族が持つ前提で二つに分ける 乳児用の品目へ順次入れ替え 出産予定日のひと月前

表の中で唯一「増える」のは、中期以降の衛生用品と、臨月以降の乳児用品だけです。あとはすべて移動です。持ち出し袋から抜いたものは捨てるのではなく、家の集約場所へ動かします。在宅避難になれば、そこがそのまま備蓄になります。

臨月から先は、備えの対象がもうひとり増えます。おむつやミルクは月齢によって必要数がまったく違うため、時期が近づいたら赤ちゃんの防災グッズを月齢別の必要数から選ぶのほうへ組み替えていくと、入れ替えの二度手間が減ります。

家に置くものは、重い物を運べない前提で組み替える

家に置くものとは、避難所へ行かずに自宅で過ごす日数を支える在庫のことです。まず量の考え方をそろえておきましょう。水と食料、簡易トイレの必要量は妊娠の有無で変わる性質のものではないため、人数と日数から出す計算式は家庭の備蓄品リスト完全版(人数×日数の早見表)にまとめてあります。水は1日3L×人数×日数、簡易トイレは1日5回×人数×日数が土台です。

そのうえで、妊娠中に変える点はひとつだけ。容器の大きさです。2Lのボトルは6本入りの1箱で約12kg。玄関からキッチンまで運ぶだけでも、両手がふさがります。500mLなら1本500g、24本入りでも同じ12kgですが、動かす単位を1本ずつに分けられます。

この二層構成を、実際の商品で確認してみます。アイリスオーヤマの長期保存水は500mL×24本の構成で、1本あたりの公表重量は500g。全量を小容量に置き換えると保管場所を食うため、基本量は2Lで確保し、動かす前提の分だけ500mLを混ぜる——という二層構成にすると、置き場所と持ちやすさの両方が成立します。

断水したときに、いちばん先に困るのは衛生

停電はランタンで一時的にしのげますが、断水はしのぎ方が用途ごとに分かれます。飲む水、洗う水、流す水は別物で、置き換えられるのは「洗う水」の部分だけです。ここに当たるのが、大判のからだふきシートです。

アイリスオーヤマの大判からだふき「KRD-20」は、20枚入りでシートのサイズが64×40cm。A3のコピー用紙を2枚並べた広さとほぼ同じで、小さなシートを何枚も使わずに済む大きさです(サイズはいずれも公表値)。用途を広げすぎず、水を使わずに拭く場面のためのものと割り切って数えておくと、必要枚数を見積もりやすくなります。

もう一つ、家の在庫として数え忘れやすいのが生理用品です。編集部の整理では、災害時の衛生用品の不足は「使うかどうか」ではなく「店頭で買えない期間をどれだけ短く見積もっていたか」で決まりました。当サイトは誰がいつ何に使うかを判断しません。判断するのは、家に何個あるかを把握しているかどうかだけです。

ロリエ(花王)のスリムガード「特に多い夜用350」は長さ35cm・13コ入×3個入りの構成です。必要数の数え方と保管ルールは生理用品の備蓄(必要数の計算式と保管ルール)にまとめてあるので、ローリングストックの回し方はそちらを土台にしてください。

当サイトが判断しないこと

本記事に挙げた衛生用品・産褥用品について、当サイトは医学的な用途や必要量を判断しません。何をいつ使うか、産後を見据えて何を用意するかは、かかりつけの産婦人科や助産師にご相談ください。

避難所では、要配慮者として先に申し出る

福祉避難所とは、一般の避難所での生活が難しい人を受け入れるために自治体が確保する施設のことです。対象は災害対策基本法施行令上の「要配慮者」で、内閣府「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(平成28年4月策定/令和3年5月改定)は、その対象として高齢者・障害者・妊産婦・乳幼児・病弱者等を明記しています。

ただし、ここは慎重に読む必要があります。ガイドラインに妊産婦が挙がっていることと、実際にどの避難所へ入るかは別の話です。受け入れの可否は、施設の状況を含めて自治体が判断します。「妊婦なら必ず福祉避難所に入れる」とは言えません。できるのは、一般の避難所に着いた時点で受付に妊娠中であることを伝え、要配慮者として記録に残してもらうところまでです。

避難生活の環境については、内閣府(防災担当)の「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」があります。平成25年8月に策定され、令和6年12月に改定された現行版です。以前は「避難所における〜」という名称で紹介されることが多かったため、古い記事を参照するときは名称の違いに注意してください。なお、この改定版PDFは文字の抽出ができず、妊産婦に関する具体的な記載箇所までは編集部でも逐語で確認できていません。指針が要配慮者全般を対象に含むことまでが、確認できた範囲です(2026年8月19日確認時点)。

医療側にも、災害時の受け皿の制度があります

厚生労働省は2019年2月に「災害時小児周産期リエゾン活動要領」を策定しました。大規模災害のときに、被災地域の周産期・小児医療のニーズを把握し、保健医療活動の総合調整を担う医師等を都道府県が任命する仕組みです。避難所の運営とは別のルートで、周産期の医療が調整される枠組みがあることを知っておくと、相談先の見当がつけやすくなります。

体を動かせない時間が続く場面については、厚生労働省が一般向けに、こまめに水分を取ること、軽い体操やストレッチ、かかとの上げ下ろし運動やふくらはぎをもむこと、眠るときに足を上げることなどをエコノミークラス症候群の予防として呼びかけています。ここで一点補足すると、この呼びかけのページ本文には「妊娠中がリスク要因」という記載はありません。当サイトからは、公的機関が誰に向けて何を呼びかけているかの紹介にとどめます。自分の体で何をしてよいかは、医療機関に確認してください。

床に近い場所で夜を過ごす前提になると、寝具の設計は季節を問わず問題になります。毛布・寝袋・アルミブランケットは役割が違い、組み合わせ方も変わるため、防災用の毛布・寝袋・アルミブランケットの違いと組み合わせ方で用途の違いだけ確認しておくと、袋に入れる一枚を選びやすくなります。

妊産婦向けの一般向け資料としては、公益社団法人日本助産師会が「地震・水害にあわれた妊婦さん・赤ちゃんを持つお母さん・女性の皆様へ」(2020年10月1日発行)などを公開しています。日本産婦人科医会の研修ノート「災害時における周産期医療」(2022年)もありますが、こちらは医療者向けの資料です。読む相手が違う資料を混ぜないほうが、判断を誤りません。

この記事が当てはまらないケース

ここまでの内容は、通院と外出が通常どおりできる状況を前提にしています。次のような場合は、この記事の手順をそのまま当てはめないでください。

  • 医師から安静の指示が出ている
  • 入院中、または入院の予定がある
  • 多胎妊娠など、通院や移動の条件に個別の指示がある
  • 持病や服薬があり、避難時の対応を医療機関と決めている

いずれの場合も、荷物や避難の判断は防災メディアが決められる範囲を超えます。かかりつけの産婦人科と、住所地の自治体の窓口(母子保健担当・防災担当)に相談してください。特に避難行動要支援者名簿や個別避難計画の扱いは自治体ごとに運用が異なるため、窓口で直接確認するのが確実です。

よくある質問

Q. 母子健康手帳は原本を持ち歩くべきですか、写しでよいですか。

A. どちらが正しいという公的な決まりは、今回確認した範囲ではありません。判断材料になるのは、日中に自宅から離れている時間の長さです。外にいる時間が長いなら原本を携行して写しを家に、在宅中心なら原本を持ち出し袋に固定して写しを外出用バッグに入れる、という振り分けになります。再交付は住所地の市区町村が窓口で、委任状が必要な自治体もあります(2026年8月19日確認時点)。

Q. 電子版があれば、紙の母子健康手帳はもう不要ですか。

A. 不要にはなりません。2026年4月1日施行の府令で電子版が正式な様式として位置づけられましたが、紙の手帳は廃止されておらず選択制です。電源が確保できない場面では電子版を開けないため、どちらか一方に寄せない設計をおすすめします。

Q. 妊婦は福祉避難所に入れますか。

A. 内閣府のガイドラインは福祉避難所の対象に妊産婦を明記していますが、実際の受け入れは自治体と施設の状況によって判断されます。「必ず入れる」とは言えません。まずは一般の避難所の受付で妊娠中であることを伝え、要配慮者として記録に残してもらうところから始めてください。

Q. 持ち出し袋が重くて自分では背負えません。

A. 妊娠後期以降は、ひとりで背負う前提を外して分割するほうが現実的です。持ち出し袋には最初の移動で要るものだけを残し、抜いた分は家の集約場所へ移します。在宅避難になれば、その集約分がそのまま備蓄として働きます。

まとめ:今日やることは1つだけ

今日やることは、母子健康手帳の写しを作ることです。全ページは要りません。健診の記録と、連絡先が書かれたページだけで足ります。

  1. 母子健康手帳の健診記録ページと連絡先ページをスマートフォンで撮影し、印刷して1枚にまとめる
  2. その1枚を、いま原本が入っていないほうの場所(家の持ち出し袋、または外出用バッグ)に入れる
  3. 次の健診のときに、避難用の持ち物について気になる点を1つだけ質問する

品目をそろえるのは、そのあとで間に合います。妊娠中の備えでいちばん先に価値が出るのは、情報の置き場所を二重にしておくことのほうでした。

持ち出し袋そのものの重さと容量の決め方は女性の防災リュックを10kgに収める中身の決め方に、家に置く量の全体像は家庭の備蓄品リスト完全版(人数×日数の早見表)にまとめてあります。

参考・出典

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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

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