断水中の洗濯はどうする?使える水の量と、優先して洗うものの決め方

※本記事にはプロモーションが含まれます。

断水中は、洗濯機を回さないのが前提になります。風呂の残り湯を使う運転についても、メーカーの公式サイトは機種によって答えを変えています。そして手洗いのほうも、家族全員ぶんを毎日というのは水量が合いません。洗うのは下着と靴下まで、と最初に絞り込んでしまうほうが現実に近いです。

理由は水の量です。洗濯機1回の水量は、日立の縦型BW-X120Jで標準使用水量123L(標準コース・定格容量、2026年8月18日時点の公表値)。いっぽう国土交通省が示す応急給水の初期段階の目標は、1人1日あたり3L。桁が2つ違います。断水中の洗濯は、この差をどう埋めるかではなく、どこまで洗わずに済ませるかの話になります。

そこでこの記事は、①いま洗濯に回せる水が何リットルあるかを引き算で出し、②その水を何から使うかの順番を決める、という2ステップで組み立てました。洗濯機の可否は最初のH2で片づけます。

この記事でわかること

  • 断水中に洗濯機を回せるか(縦型とドラム式でメーカー公式の回答が違う)
  • 応急給水で受け取った水から「洗濯に回せる水」を出す引き算の式と、書き込み欄
  • 下着・タオル・上着のどれから洗うかを決める判定チェックリスト
  • 洗わずに済ませるための替えと拭き取りの組み立て方

断水の初動そのもの(最初の10分に何をするか、復旧後の通水・エア抜きの手順まで)は別記事にまとめてあります。全体像→断水したらまずやること一覧|最初の10分の初動から復旧後の通水・エア抜きの手順までを先に押さえておくと、洗濯の判断も速くなります。

目次

断水中に洗濯機を回せるかは、機種で答えが分かれる

断水とは、蛇口をひねっても水が出ない、あるいは出せる水の量と質が平常時と違う状態のことです。給水管に水圧がかかっていないので、洗濯機は自分で水を取り込めません。ここで話題になるのが「風呂の残り湯なら使えるのでは」という手ですが、ここにメーカーごと・機種ごとの差があります。

Panasonicは公式コンテンツ「UP LIFE」の断水時Q&Aで、縦型は残り湯で洗いのみ可・すすぎは不可、ドラム式は洗い・すすぎとも不可、と機種別に書いています。日立は公式サポートのQ&Aで、洗い運転は縦型で風呂水を手動投入すれば可、脱水運転は可、お湯取(風呂水給水)機能と乾燥は不可、と機能ごとの可否を示しています(いずれも2026年8月18日時点の記載)。

動作 縦型 ドラム式
洗い(残り湯を使う) Panasonicは「可」と記載。日立は風呂水を手動で入れれば可と記載 Panasonicは「不可」と記載
すすぎ Panasonicは「不可」と記載 Panasonicは「不可」と記載
脱水 日立は「可」と記載 各社の記載を要確認
お湯取(風呂水給水)・乾燥 日立は「不可」と記載

Panasonic「UP LIFE」断水時Q&A/日立 家電サポートQ&Aの記載を編集部で整理(2026年8月18日時点)

表にすると同じ縦型でも書きぶりがそろっていないことが見えます。つまりどういうことか。この可否は「洗濯機一般のルール」ではなく、メーカーと機種の設計に紐づいた個別の回答であるということです。同じ縦型でも、風呂水ポンプの有無や制御の作りで話が変わります。

可否の最終判断は、お使いの機種の取扱説明書に従ってください。型番はふたの内側か本体側面のシールに書かれています。メーカーの製品ページで型番検索すれば取扱説明書のPDFが手に入ります。断水中の給水情報や復旧の見通しについては、お住まいの水道事業者・自治体の発表を確認してください。

そして仮に「洗いだけ可」だったとしても、すすげないなら洗剤は衣類に残ります。断水中に洗濯機を積極的にすすめる公式コンテンツが見当たらないのは、そういう理由です。

洗濯機1回分の水は、応急給水の何日分にあたるかで見る

標準使用水量とは、洗濯機が標準コースを定格容量で1回運転したときに使う水の量のことです。日立の公表値では、縦型BW-X120Jが123L、ドラム式BW-DX120Jが定格洗濯時125L・定格洗濯乾燥時140L(いずれも標準コース・定格容量、2026年8月18日時点)。

123Lというのは、2Lのペットボトルにして60本以上です。10Lの給水タンクなら12杯を超えます。10Lのタンクを両手に提げて集合住宅の階段を上る場面を想像してみてください。往復12回を、洗濯1回のために。

いっぽう配られる側の水はこうです。国土交通省の「地震対策マニュアル策定指針」(令和8年3月)は、応急給水の目標を段階で示しています。

段階 1人1日あたりの目標水量 給水地点までの距離の目安 主な用途の想定
初期段階 3L 1km以内 生命維持に必要な最低限の水
次の段階 20〜30L 250m以内 炊事・洗面など生活に必要な水
さらに進んだ段階 (数値は未確認) 10m以内 通常の生活に近づける段階

国土交通省水管理・国土保全局「地震対策マニュアル策定指針」(令和8年3月)より編集部で整理。3段階目の目標水量は資料PDFの文字化けにより数値を確定できなかったため未確認としています(2026年8月18日時点)

初期段階の3Lは、500mLのペットボトル6本ぶん。飲むぶんと薬を飲むぶんで、ほぼ終わります。次の段階の20〜30Lまで来ても、洗濯機1回の123Lには4日以上ぶんを丸ごと投じる計算になります。洗濯機は、給水が20〜30Lの段階でもまだ非現実的だということです。

参考までに、平常時の家庭の水がどこに使われているかも見ておきます。東京都水道局の令和3年度の調査では、風呂43%・トイレ20%・洗濯16%・炊事15%・洗面その他6%。洗濯は6分の1弱です。断水になると、この16%が真っ先に削られます。逆に言えば、洗濯を止めるだけで平常時の6分の1弱を他に回せるということでもあります。

食器と調理のほうも同じ発想で削れます。使う水をゼロに近づける回し方は断水中の食器と調理|ラップとポリ袋で水を使わない回し方にまとめました。洗濯より先に手をつけると、洗濯に回せる水がその分だけ増えます。

洗濯に回せる水は、引き算で出す

洗濯に回せる水とは、手に入った水から、飲用・調理と体の清潔に使う分を引いて残った量のことです。「何リットル必要か」から入らないのがコツで、断水中は必要量を積み上げても水は増えません。

洗濯に回せる水=①今日手に入った水 −②飲用・調理に使う分 −③体を拭く・手を洗う分

紙に書き出すと、判断が一瞬で終わります。次の欄をメモ帳か手帳に写して埋めてみてください。

項目 出し方 記入欄
①今日手に入った水 給水で受け取った量+備蓄から出した量 ______ L
②飲用・調理に使う分 人数 × 1日ぶんとして家庭で決めた量 ______ L
③体を拭く・手を洗う分 人数 × 1日ぶんとして家庭で決めた量 ______ L
④洗濯に回せる水(①−②−③) マイナスなら「今日は洗わない」が答え ______ L

②と③に入れる数字は、家族構成や体調で変わるので、この記事では決め打ちしません。ただ判断の材料はあります。国土交通省の初期段階の目標が1人1日3Lで、それが生命維持のための量として置かれている以上、初期段階では②だけで手持ちが尽きると考えるのが自然です。④がマイナスになる日は、洗濯ではなく次のH2で扱う「洗わずに済ませる」側の工夫を使います。

そなえぐらし管理人

この記事を組み立てるとき、「手洗いの洗濯1回に何リットル要るか」の一次資料を探しました。公的機関にも大手メーカーにも、数値で示した資料は見つかりませんでした。だから必要量から逆算する書き方をやめて、残った量から決める順にしています。ここは正直に未確認と書いておきます。

水を受け取る側の準備にも触れておきます。応急給水は容器を持参する前提です。山善の折り畳みウォータータンク YWT-10は容量10Lで、使わないときは折りたためる形状のもの。上の表の①を増やせるかどうかは、家に何リットルぶんの容器があるかで決まります。容量以外の細かい仕様は公式サイトで最新をご確認ください。

洗うものには優先順位をつける

洗濯の優先順位とは、限られた水をどの衣類に先に使うかの順番のことです。3日目の朝、洗面所のかごに下着と靴下が積み上がっていく。着るものはまだあるけれど、明日の朝に出せる下着が1枚もない——断水中の洗濯は、この「明日の朝」から逆算します。

順番の考え方はシンプルで、肌に直接触れて毎日替えるものが先、直接触れないものが後。そのうえで「替えがあるかどうか」で入れ替えます。次のチェックリストを、洗いたい衣類1点ごとに当ててみてください。

  • 肌に直接触れ、毎日替えるものか(下着・靴下・肌着)→ はいなら最優先
  • 替えが残り1枚以下か → はいなら順位を上げる
  • 汚れが乾くと落ちにくいものが付いているか(食べこぼし・泥・体液)→ はいなら順位を上げる
  • 直接肌に触れないか(上着・パンツ・アウター)→ はいなら後回し。干す・はたく・ブラシで先送りする
  • 大物か(シーツ・バスタオル・毛布)→ はいなら断水中は洗わない。水量が合わない

この順で並べると、たいていの家庭は「下着・靴下・肌着」だけが残ります。それでいいのです。断水中に上着とタオルまで洗おうとすると、④の水を使い切ったうえで明日の下着が出てこない、という一番まずい形になります。

「替えがきかないもの」は衣類だけではありません。生理用品のように、洗って再利用する前提がなく、断水中に代替も効きにくいものは、洗濯計画ではなく備蓄側で解いておく領域です。必要数の逆算は生理用品の備蓄|1周期30個から逆算する必要数と人数別早見表にまとめました。

洗剤についても1つだけ。花王は「アタックZERO」の公式Q&Aで、使用量の目安に従って使えばためすすぎ1回で使用できる旨を記載しています(2026年8月18日時点)。すすぎの回数が減れば、その分の水が浮きます。断水中に買いに走る話ではなく、平常時から置いておく洗剤をどちらにするか、という選択の話として書いておきます。

洗わずに済ませる工夫を、先に用意しておく

洗わずに済ませる工夫とは、洗濯そのものを減らして、替えの枚数と拭き取りに置き換える組み立てのことです。ここまで見てきたとおり、断水中に水で解ける範囲は狭い。だから解き方を変えます。

方向は2つです。1つは替えを増やすこと。下着と靴下を数日分そろえておけば、洗う必要そのものが後ろにずれます。もう1つは体のほうを拭くこと。汗と皮脂が衣類に移る前に体側で受け止めれば、着替えのペースが落ちます。

体を拭く用品は、アイリスオーヤマの「大判からだふき」KRD-20が20枚入り(ブランド名・型番・枚数はAmazon商品ページの表示、2026年8月10日確認)。大判タイプは1枚でカバーできる範囲が広く、断水中に枚数を節約したい場面と用途が合います。何日ぶん・1人1日何枚を用意するかの考え方は、断水でお風呂に入れない日の体の清潔|何日ぶんか、1人1日あたりの必要枚数で人数別に整理しました。

なお、厚生労働省は避難所での感染症対策として手洗いと咳エチケットを呼びかけており、流水で手洗いできない場合の手指消毒についてのリーフレットも公開しています(2026年8月18日時点)。断水中の清潔は、洗濯より先に手指の話から入るのが公的な案内の順番です。

もう1つ、洗えない衣類の置き場所も決めておきます。濡れた衣類や使用済みの下着を部屋に置いたままにすると、居住スペースが先に苦しくなる。クリロン化成の「BOSストライプ」Lサイズ90枚入り(枚数・サイズはAmazon商品ページの表示、2026年8月10日確認)のような、口をしばって密閉できる袋にまとめておくと、洗えるようになるまでの数日を1か所に閉じ込められます。

そなえぐらし管理人

編集部としては、断水対策の買い足しで最初に効くのは洗濯グッズではなく「下着の替え」だと考えています。地味ですし、防災用品として売られてもいません。それでも、水を1リットルも使わずに数日を稼げる手はこれくらいです。

この記事が当てはまらないケース

ここまでは「給水は受けられるが、蛇口からは出ない」状況を前提にしています。次のような場合は、判断の軸が変わります。

  • 断水ではなく濁り水が出ている場合:水は出るので水量の制約は緩みますが、白い衣類の変色が指摘されています。通水直後の扱いはハブ記事の通水・エア抜きの手順側へ
  • すでに避難所に移っている場合:使える水も洗濯の設備も自宅とは条件が違います。現地の運営の案内に従ってください
  • 乳児の衣類・医療的なケアが必要な方の衣類:本記事の優先順位は一般的な家庭を想定したものです。判断は医療機関・保健所・自治体の案内に従ってください
  • 断水が長期化している地域:後述のとおり復旧までの日数は地域差が大きく、数日で終わる前提の計画では足りない場合があります

よくある質問

Q. 断水中にコインランドリーは使えますか。

A. 本記事では未確認です。断水の範囲に店舗が入っていれば、店側も水が使えません。関連する動きとして、コインランドリー事業を手がける株式会社ジーアイビーが2024年12月4日に三重県伊勢市と「災害時における資機材の提供に関する協定」を締結したことを自社プレスリリースで公表しています(全国54カ所目、対象店舗を一時避難所として活用し、簡易発電機・炊き出し用大釜・LPガス3日分の貯槽を提供する内容)。ただしこれは洗濯機の稼働を保証する協定ではなく、自治体側の公表資料も確認できていません(2026年8月18日時点)。実際に使えるかどうかは、店舗と自治体の当日の発表で確認してください。

Q. 風呂の残り湯で洗濯機を回してもいいですか。

A. 機種によります。Panasonicは公式コンテンツで、縦型は洗いのみ可・すすぎ不可、ドラム式は洗い・すすぎとも不可と記載。日立は公式サポートで、縦型の洗い運転は風呂水を手動投入すれば可、脱水は可、お湯取と乾燥は不可と記載しています(2026年8月18日時点)。この可否は機種ごとに異なるため、必ずご自身の取扱説明書を確認してください。すすげない条件下では洗剤が衣類に残る点も、判断材料に入れておきたいところです。

Q. 断水はどれくらい続くと考えて洗濯を計画すればいいですか。

A. 過去の実績には大きな幅があります。内閣府の教訓情報資料集によると、阪神・淡路大震災(1995年1月17日発災)では2月末(発災から約45日)時点で上水道の復旧率93.6%、最も遅かった神戸市の全戸復旧は4月17日(発災から約90日)。令和6年能登半島地震では、2024年1月1日の発災時に16市町・最大約11万戸が断水し、2024年3月5日時点で5市町・約17,250戸が断水継続(発災から約64日で約84%が解消)という経過でした。なお東日本大震災の復旧率については、編集部の調査では一次資料で確認できなかったため数値を載せていません。計画としては「数日で終わる前提を立てない」あたりが安全側です。

まとめ:今日やることは1つ

断水中の洗濯は、洗い方の工夫より前に「回せる水があるか」で答えが決まります。洗濯機1回123Lに対し、応急給水の初期段階は1人1日3L。だから洗うのは下着と靴下まで、残りは替えと拭き取りに寄せる。ここまでが本記事の答えです。

今日やることは1つだけ。下着と靴下の替えが何日ぶんあるか、数えてください。

  1. 数える引き出しを開けて、下着と靴下が家族ひとりあたり何日ぶんあるか数えます。3日ぶんに届かないなら、そこが最初の買い足し枠です。
  2. 書き写す「①今日手に入った水 −②飲用・調理 −③体を拭く・手を洗う =④洗濯に回せる水」の欄を、メモ帳か防災リストに書き写しておきます。断水してから考える式ではありません。
  3. 型番を控える洗濯機の型番(ふたの内側か本体側面のシール)を控え、取扱説明書のPDFの場所を確認しておきます。断水中に残り湯運転が使えるかは、この1枚で決まります。

給水を受け取るところから先の段取りは、断水したら給水所へ何を持っていく?運べる重さから容量を決める給水袋の選び方にまとめています。

参考・出典

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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

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