非常食のお菓子|保存缶と普段用を1年あたりのコストで比較

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非常食としてお菓子を備えるには、「5年前後保存できる保存缶タイプ」と「普段のお菓子を多めに買って回すローリングストック」の2つの持ち方があります。結論から言うと、どちらか一方に絞る必要はなく、置き場所と入れ替えの手間に合わせて併用するのが現実的です。この記事では商品を羅列する代わりに、「1年あたりのコスト」を自分で計算できる書き込み式の比較表を用意しました。

なお本記事は、実食した上での評価ではなく、各社公式サイトやパッケージに記載された賞味期限・内容量をもとにした「比較の枠組み」を提供するものです。非常食全体の選び方は「非常食のおすすめはどれ?種類別の選び方まとめ」で解説しています。

目次

保存缶と普段のお菓子、2つの「持ち方」は役割が違う

首相官邸「災害が起きる前にできること」では、家庭の備えとして飲料水や非常食は3日分、大規模災害の発生に備える場合は1週間分の備蓄が望ましいとされています。備蓄の中心はご飯(アルファ米など)や缶詰ですが、お菓子もその一部として組み込めます。

また農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」では、普段の食品を少し多めに買い置きし、古いものから食べて買い足す「ローリングストック」という方法が紹介されており、日常使いのローリングストックと災害時用の非常食をバランスよく備えることが重要とされています。同ガイドは、外出中の備えとしてチョコレートなどの「持ち歩き用品」にも触れています。

この考え方をお菓子に当てはめると、持ち方は次の2つに分かれます。

  • 保存缶タイプ:賞味期限が5年前後と長く、一度買えば置いておくだけ。ただし普段は食べないため、買うときの1個あたりの価格は日常のお菓子より高めになりやすい
  • 普段のお菓子:スーパーでいつでも買えて価格も手頃。ただし賞味期限が数ヶ月〜1年程度のため、定期的に食べて買い足す「入れ替え」が前提になる

どちらが家計に合うかは商品と買い方で変わるため、次の章の「1年あたりのコスト」という物差しで比べてみましょう。

「1年あたりのコスト」で比べる|書き込み式の空欄比較表

比べ方はシンプルです。買った価格を、賞味期限の長さ(年数)で割ると、その商品を1年間備えておくのにかかるコストが分かります。式にすると次のとおりです。

  • 1年あたりのコスト = 価格 ÷(賞味期限の月数 ÷ 12)
  • 1年間の入れ替え回数の目安 = 12 ÷ 賞味期限の月数

お菓子の実売価格は店や時期によって変わるため、本記事では具体的な金額は書きません。その代わり、下の表にご自宅にあるお菓子や店頭で見かけた商品の数字を書き込んで、わが家の条件で比べてみてください。

記入する項目 保存缶タイプ 普段のお菓子
商品名 (例:ビスコ保存缶) (例:ビスコ<発酵バター>)
買った価格
賞味期限(月数) ヶ月 ヶ月
1年あたりのコスト
=価格÷(月数÷12)
1年間の入れ替え回数
=12÷月数

ポイントは、価格だけでなく入れ替え回数(=手間)もセットで見ることです。1年あたりのコストが安く見えても、年に何度も買い直す手間が続かなければ、期限切れで無駄にしてしまうことがあります。

それぞれの特徴をメーカー公表値で整理

保存缶タイプ|ビスコ保存缶66ヶ月・えいようかん最長5年6ヶ月

計算のイメージをつかむために、同じブランド内に保存缶と通常品の両方がある江崎グリコの「ビスコ」を例にします。数値はいずれも江崎グリコ公式サイトの公表値です。

項目 ビスコ保存缶 ビスコ<発酵バター>(通常品)
賞味期限(製造日より) 66ヶ月(5年6ヶ月) 12ヶ月
内容量 30枚(5枚×6パック) 15枚(5枚×3パック)
1パックあたりの熱量 97kcal(標準20.6g) 101kcal

賞味期限は保存缶が通常品の5.5倍です。先ほどの式に当てはめると、保存缶の1年あたりのコストは「価格÷5.5」、通常品は12ヶ月なので「価格÷1=価格そのまま」になります。つまり、店頭で保存缶の価格が通常品の5.5倍未満なら、1年あたりのコストでは保存缶のほうが安いという計算です。内容量は保存缶30枚・通常品15枚と異なるので、厳密に比べたい場合は枚数をそろえて(通常品2個分と比べて)計算してみてください。



ビスケット以外の例では、井村屋の「えいようかん」も長期保存タイプです。井村屋公式サイトによると、最長5年6ヶ月まで保存でき、1本(60g)あたり171kcal、1箱5本入りです。同じように「価格÷5.5」で1年あたりのコストを出せます。



普段のお菓子|賞味期限が短い分、入れ替えが前提になる

通常品のビスコのように、普段のお菓子の賞味期限は数ヶ月〜1年程度が中心です。式に当てはめると、賞味期限12ヶ月なら入れ替えは「12÷12=年1回」、6ヶ月のお菓子なら「12÷6=年2回」となり、期限が短いほど買い直しの回数が増えることが分かります。この入れ替えを「食べて→買い足す」の流れで無理なく回すのがローリングストックで、具体的な手順は「ローリングストックのやり方5ステップ」で解説しています。

なお消費者庁は「賞味期限とはおいしく食べられる期限のことであり、食べられなくなる期限ではありません」と案内しており、期限を過ぎたら食べない方がよい「消費期限」とは区別しています。入れ替えが少し遅れてしまったときの考え方は「非常食の賞味期限切れは食べられる?」も参考にしてください。

我が家に合うのはどちらか|暮らし方で選ぶチェックリスト

保存缶タイプが向いているご家庭

  • 買い物のたびに備蓄のことを考えたくない(入れ替えの手間を減らしたい)
  • 押し入れや物置など、普段開けない場所にまとめて置きたい
  • お菓子を買い置きすると、つい早めに食べ切ってしまう

普段のお菓子のローリングストックが向いているご家庭

  • 週1回以上、スーパーやドラッグストアで買い物をする習慣がある
  • 家族がよく食べる定番のお菓子が決まっている
  • 食べ慣れた味を災害時の備えにも取り入れたい

小さなお子さんがいるご家庭では、食べ慣れているか・個包装で分けやすいかなど、見る基準がもう少し増えます。お菓子以外も含めた子ども向けの選び方は「子どもの非常食」でまとめています。

まとめ|保存缶と普段のお菓子は併用が現実的です

保存缶タイプと普段のお菓子は、どちらが優れているかを競う関係ではなく、置き場所と手間の役割分担と考えると整理しやすくなります。普段開けない収納には保存缶を、日常のお菓子棚には少し多めの買い置きを。この2段構えなら、入れ替えを忘れても保存缶が残り、日常の買い物だけでも備蓄が回ります。

今日やることは1つだけ。家にあるお菓子をどれか1つ手に取り、賞味期限の月数を先ほどの表に書き込んでみることです。1年あたりのコストという物差しができると、店頭で保存缶を見かけたときに自分で判断できるようになります。

よくある質問

Q. 保存缶だけ、普段のお菓子だけ、と片方に絞ってもいいですか?

A. 片方だけでも備えにはなります。ただし保存缶だけだと日常の買い物と切り離されて量を増やしにくく、普段のお菓子だけだと入れ替えが止まったときに手元に残らない、という弱点がそれぞれあります。少量ずつでも併用すると、お互いの弱点を補えます。

Q. 保存缶の賞味期限が切れていたら、すぐ処分するべきですか?

A. 消費者庁は、賞味期限は「おいしく食べられる期限」であり食べられなくなる期限ではないとして、決められた方法で保存された災害備蓄食品の過度な食品ロスを防ぐよう呼びかけています。缶の状態や見た目・においを確かめたうえで判断してください。詳しくは「非常食の賞味期限切れは食べられる?」の記事で解説しています。

Q. チョコレートも備えに入れていいですか?

A. 農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」では、外出中の備えとしてチョコレートなどの「持ち歩き用品」が挙げられています。家庭の備蓄では、夏場に温度が上がる場所を避けるなど置き場所に気を付けたうえで、賞味期限の月数を確認して表に書き込んで比べてみてください。


出典: 首相官邸「災害が起きる前にできること」農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」消費者庁「賞味期限の切れた災害備蓄食品について」江崎グリコ「ビスコ保存缶」江崎グリコ「ビスコ<発酵バター>」井村屋「えいようかん」

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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

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