地震の飛散対策で見るのは、GD-1とGD-2という記号です
ガラス飛散防止フィルムを選ぶとき、多くの人がまず厚み(ミクロン)を見比べます。ところが地震の飛散に限っていえば、厚みは決め手になりません。見るのは、JIS A 5759に定められたGD-1・GD-2という記号のほうです。
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GD-1・GD-2は「層間変位破壊対応ガラス飛散防止フィルム」の記号で、地震で建物が揺れ、窓枠そのものがゆがんでガラスが割れる場面を想定した試験に合格したことを示します。人体衝突などの衝撃を想定したGI-1・GI-2とは、試験の中身が別物。しかもGI-1・GI-2にもGD-1・GD-2にも、厚みの数値基準そのものがありません(規定は許容差±10%のみ)。
もうひとつ、場所で変わるのが貼る面です。株式会社ニトムズの公式FAQは「窓ガラスは内側に、食器棚は外側に貼るのが効果的です」と書いています。同じフィルムでも、窓と食器棚では正解が逆になる。
この記事でわかること
- 地震の飛散対策で見る記号はGD-1・GD-2。厚みの数値では選べない理由
- 「防犯フィルム」と「JIS適合の飛散防止フィルム」は、そもそも別の制度でできている
- Low-E複層ガラス・すりガラス・凹凸ガラスという、貼れない/密着しないガラスの見分け方
地震のけがは、家具とガラスで大半が起きている
内閣府 防災情報のページは、阪神・淡路大震災についてこう書いています。「建物の中でけがをした人の約半数(46%)は家具の転倒、落下が原因だった」「これにガラスの飛散によってけがを負った人(29%)を加えると、実に4分の3の人たちが家具やガラスでけがをしたことになります」。ただし、この46%・29%の元になった学術調査の名称は、このページ自体には明記がありません。
より新しい地震でも傾向は続きます。東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」には、家具類の転倒・落下・移動が原因のけがの割合が地震ごとに並び、宮城県北部地震の49.4%から能登半島地震の29.4%まで、おおむね3割から5割の幅です。
原因が家具とガラスに集中しているということは、裏返せば対策の打ち場所がはっきりしているということ。家具側の固定は家具の転倒防止具の選び方(L字金具・突っ張り棒・ジェル・マット)で壁と天井の下地から整理しました。この記事は、残る「ガラス」を担当します。
自宅がどの耐震基準で建っているかでも、揺れ方と家具の倒れ方は変わります。築年数から確かめる方法は築年数でわかる耐震基準の見分け方と、確かめる書類に。
飛散防止フィルムはJISの記号で選ぶ。厚さでは選ばない
JIS A 5759は「建築窓ガラス用フィルム」の日本産業規格です。英訳名は”Adhesive films for glazings”、1982年9月1日に制定され、最新版は2024年5月20日改正のJIS A 5759:2024にあたります。この規格は、フィルムの種類を用途ごとの記号で分けています。
| 記号 | 正式な種類名 | 何を想定した試験か | 厚みの決まり | 地震の飛散対策で見るか |
|---|---|---|---|---|
| SC-1/SC-2 | 日射調整フィルム | 日射の調整 | 飛散防止の試験区分ではない | 見ない |
| LE | 低放射フィルム | 放射の抑制 | 飛散防止の試験区分ではない | 見ない |
| GI-1/GI-2 | 衝撃破壊対応ガラス飛散防止フィルム | 人体衝突などの衝撃による破壊 | 数値基準なし(許容差±10%のみ) | あわせて見る |
| GD-1/GD-2 | 層間変位破壊対応ガラス飛散防止フィルム | 地震で窓枠がゆがむ層間変位 | 数値基準なし(許容差±10%のみ) | ここを見る |
| SF | ガラス貫通防止フィルム | 鋼球落下試験 | 100μm以上 | 貫通まで止めたいとき |
合否の基準も公表されています。GD-1の層間変位試験は、ガラス破片10個の質量合計が80g以下、かつ最大破片1個が55g以下であること。落下高さ450mmの加撃を10回繰り返してもガラスが破壊しない場合にも適合とされます。450mmは45cm、ひざの下あたりの高さ。GD-2はガラス飛散防止率95%以上、SFの鋼球落下試験は試験Aが落下高さ3000±50mm、試験Bが1500±50mmで貫通しないこと、という区分です。
表の4列目が効きます。JIS上の性能はショットバッグ試験や層間変位試験という「試験の合否」で担保され、厚みは許容差±10%の規定があるだけ。市販品の多くが50μなのは、規格がそう決めているからではなく、メーカーの商品設計上の選択です。
飛散防止フィルムの性能は、厚みではなく試験の合否で決まります。だから「厚いフィルムほど飛散防止に強い」とは言えません。ミクロンの数字を見比べるより、商品ページにJIS A 5759 記号GD-1(またはGD-2)合格品と書かれているかを探してください。
留保を1つ。この記事の性能数値は日本ウインドウ・フィルム工業会(JWFA)公式サイトの表によるもので、その表は2026年9月12日時点でも2016年版のまま。規格票本体は有償(和文34ページ)で当サイトは未入手のため、2024年改正で試験数値が変わったかどうかは確認できていません。
「防犯フィルム」と「飛散防止フィルム」は、別の制度でできている
売り場では隣に並びますが、性能を決めている枠組みが違います。飛散防止フィルムはJIS A 5759。防犯フィルムのCPマークは、2002年11月に設置された官民合同会議(警察庁・国土交通省・経済産業省と関係民間団体)によるJISとは別建ての制度です。
CPマークには、飛散防止フィルムにはない条件が並びます。PET製で全厚(剥離フィルムを除く)350μm以上、JWFA指定の接着剤、JWFA認定「防犯フィルム施工技能者」による施工、窓全面貼り(部分貼りは不可)。強化ガラスへの施工は対象外です。根拠も明快で、JWFAは「侵入盗は侵入に要する時間が5分を超えると約7割が侵入を諦める」という関係機関の調査を挙げ、官民合同会議が防犯性能試験の目標抵抗値を5分に設定したと説明しています。つまり防犯フィルムは「時間を稼ぐ」設計で、「破片を飛ばさない」設計ではない。厚み別に並べると、境目が見えます。
| 厚みの目安 | 位置づけ | 決めている制度 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 50μ | ガラス飛散防止フィルム(GI-1・GD-1合格品の例) | JIS A 5759 | 地震・衝撃での破片の飛散を抑える |
| 100μm以上 | ガラス貫通防止フィルム(SF) | JIS A 5759 | 鋼球落下試験に耐える |
| 350μm以上 | CPマークの防犯フィルム(PET全厚) | 官民合同会議(2002年11月設置) | 侵入に5分以上かけさせる |
| 500μ | 凸凹ガラス専用の防犯対策フィルムとして売られている厚み | JIS A 5759適合の表示がない製品がある | 凸凹面への施工・防犯 |
500μは0.5mm、50μの10倍。ところが、この一番厚い製品がJIS A 5759の飛散防止フィルムとは限りません。
窓と食器棚では、貼る面が逆になる
貼る面の判断は、株式会社ニトムズの公式FAQに原文があります。「窓ガラスは内側に、食器棚は外側に貼るのが効果的です。万一割れた際に、室内にガラス片が飛散しないようにするためです。」つまり人がいる側にフィルムを置くということ。窓は人が室内側にいるので内側、食器棚は人が棚の外側にいるので外側。目的は同じで、貼る面だけが裏返ります。
この違いは幅にも表れます。ニトムズのガラス飛散防止シートは、平滑面用のM6120が幅48cm×長さ1.8m、食器棚用のM6130が幅32cm×長さ1.8m。幅48cmは一般的な窓ガラス1枚の横幅に近い数字で、幅32cmは食器棚のガラス扉に寄せた設計です。窓用を食器棚に使うと、余った分を切り落とすことになり、切り口から浮きやすくなります。

食器棚そのものについては、東京都「東京くらし防災」が手順を書いています。「食器棚等は、中の食器類が飛び出さないよう、扉が勝手に開かないためのキャビネットストッパーを取り付けたり、ガラス飛散防止フィルムを貼ったりしておきましょう。」フィルムはストッパーと並ぶ選択肢として挙げられていて、どちらか一方で足りる、という書き方ではありません。冷蔵庫やテレビを含めた重い家電の順番は東京消防庁の実験でわかる効く固定と、やる順番で扱っています。
貼れないガラス・貼る前に確かめることがある
貼ってはいけないガラスと、貼っても密着しないガラスがあります。買う前に、窓を1枚ずつ見てください。
Low-E複層ガラスには貼らない。リンテックコマース株式会社の公式サイトは、こう警告しています。「Low-Eガラス自身にすでに断熱等の効果がありますので、フィルムを貼ることにより、効果が強くなりすぎて窓ガラスが熱割れする危険性があります。『Low-E複層ガラスに貼らないでください』と書いてある商品は、必ず貼らないでください。」
同社のFAQは、理由をもう一段ほどいています。複層ガラスについては「複層ガラスに、断熱効果のあるフィルムや色のついているシートを貼ると、熱くなり…ガラスとガラスの間(空気層部)に溜まった熱が普通の1枚ガラスよりも熱が逃げにくいため、熱割れしやすくなります。」。2枚のガラスの間に熱がこもる構造そのものが引き金という説明です。
網入りガラスについても割れる理屈が書かれています。「ガラスに鉄線が入っているガラスを網入りガラスと言います。」「網入りガラスが割れる原因は、網の鉄線とガラスの温度差で、熱割れしやすくなるからです。」。そのうえで同社は「それ以外の製品で、貼る面の適否に『網入りガラス』に貼らないでくださいと、書いてある場合は、熱割れする危険性がありますので貼らないでください。」としています。製品ごとの「貼る面の適否」欄が最終判断、ということです。
紛らわしいのは、同じメーカーでも製品系列で書きぶりが変わる点。株式会社ニトムズは、断熱シート(省エネ対策シリーズ)のFAQで「熱線反射ガラス、熱線吸収ガラス(Low-Eガラス)、網入りガラス、真空二重ガラスなど特殊なガラスは温度変化でガラスが割れる(熱割れ現象)おそれがありますので、ご使用いただけません。」と明記しています。ただしこれは断熱シートについての記述で、飛散防止シートのM6120・M6130に同じ記載があるかは、当サイトが確認した公式ページの範囲では見当たりませんでした。断熱シートの注意書きを飛散防止シートの話として読み替えないでください。なお、ヒビが入っているガラスに貼らないことは、どの系列にも共通する一般則です。
もうひとつが面の状態です。ニトムズ公式FAQの注意点には「貼り付ける面が、すりガラスや凹凸があるとつきません」とあります。トイレや浴室、玄関脇によくある型ガラス(凸凹ガラス)は粘着剤の接する面積が足りず、貼れたように見えても凹みに空気が残るのです。
では凸凹ガラスは諦めるのかというと、専用品があります。リンテックコマース株式会社のHGS50P「凸凹ガラス専用 防犯対策フィルム500」は、厚み500μ(0.5mm)、37.5cm×30cmの2枚入り、凸凹ガラス(型ガラス)専用の室内用。ただし、これは防犯対策フィルムであって、JIS A 5759のガラス飛散防止フィルムの合格品ではありません。同社の飛散防止系列HGS05「防災フィルム50」(厚み50μ)が「日本工業規格『JIS A 5759 建築窓ガラス用フィルム』のガラス飛散防止フィルム(記号GI-1・GD-1)合格品」と明記されているのとは対照的です。凸凹ガラスには通常品が密着しないため結果としてこの厚手フィルムを使うことになる——防犯効果のついでに飛散防止の効果も期待する、という順序で受け取ってください。
消防法まわりの確認が要る場合もあります。JWFAによれば、東京消防庁管内では窓ガラス用フィルムを「フィルムA」(PET基材100μm以下、または塩化ビニル基材400μm以下)と「フィルムB」(PET基材100〜400μm、または多積層PET100μm以下)に分類し、ガラス開口部の無窓階の取扱いを規定しています(平成24年4月1日運用開始、東京消防庁23予第1222号)。そして東京消防庁管内以外は所轄消防署に事前確認が必要と明記。店舗や事務所を兼ねた建物なら、貼る前にひと声かけたほうが早い。
賃貸住宅については、調べた結果をそのまま書きます。リンテックコマース・ニトムズいずれの公式ページにも、「賃貸だから貼ってはいけない」という規定の文言は見当たりませんでした。施工業者のサイトが勧める「管理会社・大家への確認」「退去時に剥がせるかの事前確認」は、メーカーの公式見解ではなく施工店の実務アドバイスです。判断材料は2つ——その商品に「きれいにはがせる」と書いてあるかどうかと、管理会社への確認。賃貸の家具固定は穴を開けずにできるか(転倒防止器具の組み合わせと壁の見分け方)もあわせてどうぞ。
防火設備のガラスは、認定の仕様から外れると性能の保証が消える
大臣認定を受けた防火戸・防火窓は、認定を取った仕様のままであることが前提です。認定の仕様に無いフィルムを貼ると、その建具は認定の仕様外となり、防火設備としての性能保証が失われる——この考え方が、建具メーカー各社の公式FAQで共通していました。
文化シヤッターの公式FAQは、特定防火設備のガラスへのフィルム貼付について、引き戸タイプ(カームスライダー特定防火設備、同 壁収納特定防火設備。いずれも大臣認定品)は「片面のみ」「ポリエステル系樹脂(150μm以下)」という条件つきで貼付可とし、開き戸タイプは「フィルムを貼ることはできません」と明記。三和シヤッターの公式FAQでは、「ファイヤードⅡ」について「フィルムを貼ることができません。認定形状外のため対応不可。」とされています。なお「ファイヤードS」は2024年3月末日で廃止され、代替の「ファイヤードF」が飛散防止フィルム貼り対応の標準品として案内されています。
ただし「一切貼れない」と読むのは早い。両社とも、個別に所轄行政(消防・特定行政庁)へ確認して了承を得た場合は例外扱いになりうる、という趣旨の但し書きを添えています。通る道が「行政に確認する」1本だけ、ということです。
該当しやすいのは、マンションの共用廊下側の窓や玄関まわりの防火戸です。サッシや建具に製品名・認定番号のシールが貼ってあることが多いので、まずそれを探してください。防火設備かもしれないと思ったら、自己判断で貼らず、管理組合・管理会社か所轄消防署へ確認を。
どの窓から貼るかは、在室時間で決める
家じゅうの窓に一度に貼るのは現実的ではありません。優先順位の軸として、当サイトはその部屋にいる時間の長さと、逃げられるかどうかを使います。
先頭は寝室。東京都「東京くらし防災」はこう書いています。「窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る、カーテンを閉めて寝る、小物は割れない素材を選ぶなど、寝室は特にガラス対策を万全に。」就寝中は、揺れに気づいてから体を起こすまでに時間がかかり、しかも足元は素足かスリッパです。枕元の置き方は寝室の地震対策|枕元に置くものと、置いてはいけないものの分かれ目で扱いました。
次がリビングの掃き出し窓。面積が大きく、床に破片が広がると避難経路をふさぎます。3番目がキッチンの食器棚——東京消防庁「地震に対する10の備え」も「食器棚などに収納されているガラス製品(ビン類など)が転倒したり、すべり出さないようにしておく。」と、扉のガラスと中身の両方を挙げています。4番目が玄関収納のガラス扉。外へ出る最後の一歩に破片が落ちると、逃げ道が痛い。
上から順に、当てはまるものにチェックを。
- 寝室の窓:就寝中は逃げられない。ガラスの種類は( 平滑 / すりガラス・凹凸 / Low-E複層 )
- リビングの掃き出し窓:家族の滞在時間が最も長い。ガラスの種類は( 平滑 / すりガラス・凹凸 / Low-E複層 )
- キッチンの食器棚のガラス扉:割れると中の食器も一緒に落ちる。貼る面は外側
- 玄関収納のガラス扉:避難経路の上。破片が落ちると靴を履く場所がふさがる
- 浴室・トイレの型ガラス:通常の飛散防止シートは密着しない。専用品が要る
順番が決まったら、最後にガラスの種類へ戻ります。

では、何を貼るか
当サイトは実際に施工した体験を書きません。以下はメーカーの公表値と公式手順の整理で、公表されていない項目は「記載なし」とそのまま書きます。
窓に貼る平滑面用の定番が、株式会社ニトムズ(日東電工グループ)のガラス飛散防止シート 平滑面用 M6120。幅48cm×長さ1.8m、材質はポリエステルフィルムにアクリル系粘着剤で、貼る面は内側です。ただし正直に書くと、公式製品ページには厚み(μm)の記載もJIS適合の表示もありません。記号での裏づけを重視するなら、商品ページにGD-1・GD-2の記載がある製品を探すという選び方も成り立ちます。
食器棚には、同じシリーズの食器棚用 M6130。幅32cm×長さ1.8mと幅が狭いのは、ガラス扉の寸法に合わせ、扉1枚ごとに使い切る前提だからです。貼る面は外側。こちらも厚み・JIS適合の表示は公式ページにありません。窓用との違いは性能ではなく幅です。
ここでフィルムの守備範囲をはっきりさせます。できるのは、割れたガラスの破片が飛ぶのを抑えることまで。食器棚や本棚が倒れること自体は止められません。棚が前に倒れれば、扉のガラスが割れる前に中身が全部床に出ます。だから脚部の固定が別に要ります。
その脚部に敷くのが耐震ジェル。「iHouse all」耐震ジェル 極(販売ブランド。運営はNextup株式会社)は、1枚4cm×4cm×厚さ5mmです。よく見かける「震度7まで対応」という表示については、公的な耐震試験データではなく販売者の表示であることを添えておきます。
ただしジェルは脚の滑りを抑えるもので、背の高い食器棚を壁につなぐ働きはしません。壁の下地にネジを打てるなら、本体を壁に留めるL字金具が別系統の対策になります。転倒防止 L字金具セットは、ステンレススチール製のアングル金具でL25mm×W16mm×H25mm、特殊ネジ付き(Amazon商品ページ表示・2026-09-12確認)。使えるかどうかは壁の下地しだいなので、ネジを打てる下地があるかを先に確かめてください。どの器具がどう効くかの比較は家具の転倒防止具はどう選ぶ?L字金具・突っ張り棒・ジェル・マットを壁と天井の下地から決めるの担当です。
もう一段、フィルムを貼ってもゼロにならないのが床。窓枠に残ったガラスが後から落ちることもあれば、コップや食器が割れることもあります。内閣府 防災情報のページも「ガラス部分にガラス飛散防止フィルムを張ったりして、ガラスや食器が凶器にならないよう工夫しましょう。」と、ガラスと食器を並べています。足を守る道具として、ミドリ安全株式会社の踏抜防止カップインソール MSSIS-Mは、適合サイズ25.0〜26.5cm、芯材はステンレス板、表地が合成材で裏地が不織布、質量153g、1足(2枚)入り。確認できたページにJIS T8101等の規格適合表示は見当たりませんでした。スリッパとの使い分けは防災スリッパは必要?内閣府の項目と被災者の声、JIS規格で足を守る道具を決めるで比較しています。
足を守る道具をそろえても、暗ければ破片は見えません。地震が夜に起きて停電すれば、床のガラスを踏まずに歩くという話が成り立たなくなります。だから上の一覧では、スリッパ・インソールと並べて明かりを枕元にと書きました。ジェントスのLEDランタン EX-136S は、明るさ370ルーメン・実用点灯9〜142時間・防水仕様(Amazon商品ページ表示・2026-09-12確認)。手に持たずに床へ置いて足元を照らせる形なので、ガラスを拾う・スリッパを履くといった両手を使う動作と相性がよいほうです。置き場所そのものの考え方は寝室の地震対策|枕元に置くものと、置いてはいけないものの分かれ目で扱っています。
自分で貼るときの手順は、石けん水の量で決まる
施工は水貼り(湿式)が基本で、株式会社ニトムズの公式FAQには石けん水のレシピまであります。「石けん水は、家庭用の霧吹きに水を入れ、台所用(中性)洗剤を2〜3滴おとし、よく混ぜるとお作りいただけます。石けん水は、空気抜き、シワ防止、シートのキズを防ぐ為に潤滑油的な役割をしますので、石けん水をたくさん使うことがきれいに貼るコツです。」
リンテックコマース株式会社の施工ページは、さらに細かい。道具は定規、カッターナイフまたはハサミ、ゴムヘラ、霧吹き、食器洗い用の中性洗剤、ペーパータオル、セロハンテープ。水溶液は「スプレー容器に200ccの水を入れ、食器用洗剤を2~3滴加えた『水溶液』を作ります。」と量まで書かれています。水を使う理由も「そのまま貼れますが、大変難しいので水を使ってお貼りください。」とし、貼る位置の調整ができ、ガラスとフィルムの間の空気を押し出せるからだと説明。両社を合わせると、手順はこうなります。
- ガラスの種類を確かめる平滑なガラスかどうかを見る。すりガラス・凹凸ガラスなら通常品は密着せず、Low-E複層ガラスなら「貼らないでください」と書いてある商品は貼らない。ヒビが入っているガラスにも貼らない。
- サイズを測り、5mm小さく切るリンテックコマースの手順は「貼る面のサイズより5mm小さくカット」。ぴったりに切ると枠に乗り上げて浮くので、この5mmが効く。
- 水溶液をつくるスプレー容器に200ccの水、食器用洗剤を2〜3滴。ニトムズの表現なら「家庭用の霧吹きに水を入れ、台所用(中性)洗剤を2〜3滴おとし、よく混ぜる」。
- ガラスを洗ってから、たっぷり噴く先に水溶液をスプレーしてヘラで汚れを落とし、そのうえで改めてたっぷり噴く。ほこりや油分が残っていると気泡の芯になる。
- 貼る面を間違えない窓は内側、食器棚は外側。ここを逆にすると、破片を人がいる側へ出してしまう。
- ヘラで水と空気を押し出すフィルムの上からも水溶液を噴いてからヘラを動かす。クレセント錠のまわりはフィルムを滑り込ませ、薄い定規などで水を抜いて圧着する。
なお、揺れの直後にやることは地震が起きたらまず何をする?60秒→3分→1時間の時系列にまとめました。
フィルムが向かない場合・これだけでは足りないことがある
飛散防止フィルムは万能ではありません。できないことを、先に並べておきます。
- 家具の転倒そのものは止まらないフィルムは破片が飛ぶのを抑える道具。棚や本箱が倒れることは別の対策(固定具)で防ぐ
- 凸凹ガラス・すりガラスには通常品が貼れない密着しないため、凸凹ガラス専用の厚手フィルムなど別の製品が要る
- 網入り・Low-E複層・複層ガラスは熱割れの危険がある鉄線とガラスの温度差、空気層に溜まる熱が原因。「貼らないでください」と書いてある商品は貼らない。商品の「貼る面の適否」欄が最終判断
- 賃貸はメーカー公式に規定がない「賃貸は不可」という文言は公式ページに見当たらない。判断材料は「きれいにはがせる」表記と管理会社への確認
- 防火設備のガラスは自己判断で貼らない認定の仕様外になると防火性能の保証が失われる。開き戸タイプは貼付不可と明記する製品もある。無窓階の取扱いも絡むため、東京消防庁管内以外は所轄消防署へ事前確認
- 床に落ちた破片は別の対策が要るスリッパ・インソール・懐中電灯を枕元に
台風の飛来物が窓に当たる場面は、地震の層間変位とは壊れ方が違います。そちらは台風の窓ガラス対策|養生テープは効くのか、フィルム・雨戸との使い分けで別に扱っているので、役割を分けて読んでください。
なお、けがをしたときの処置や、避難するかどうかの判断は、この記事の範囲外です。医療機関や自治体・消防など公的機関の案内に従ってください。
よくある質問
Q. 防犯フィルムを貼れば、飛散防止も兼ねられますか。
A. 自動的には兼ねません。その製品にJIS A 5759のGI-1・GD-1などの合格表示があるかを見てください。厚み500μの凸凹ガラス専用 防犯対策フィルムのように、JIS A 5759適合の記載がない製品もあります。
Q. フィルムに交換時期はありますか。
A. あります。日本ウインドウ・フィルム工業会「ガラス飛散防止フィルムの貼替えに関する指針」は「施工後、10年以上経過したものについては、貼り替えをお薦めします。」としています。ただし同指針は「10年という一定年限は、保証値ではなくあくまで判断基準です。」とも明記し、施工された方位などの環境条件で劣化の程度は変わるとしています。10年未満でも、膨れ・ひび割れ・端のはがれといった外観の異常があれば点検の合図です。
Q. 食器棚用と窓用は、入れ替えて使えますか。
A. M6120(幅48cm)とM6130(幅32cm)は公式ページ上の材質が同じで、違いは幅だけ。物理的には入れ替えられますが、幅が合わないと切り口が増えて端から浮きます。大事なのは貼る面のほうで、ここを入れ替えると破片を人がいる側へ出すことになります。
まとめ:今日やることは、寝室の窓のガラスを見ることひとつ
選定は記号で決まります。地震ならGD-1・GD-2。厚みは性能の順位ではなく、目的の違い(飛散防止/貫通防止/防犯)を表しているだけです。
- 寝室の窓を1枚見る平滑か、すりガラス・凹凸か、Low-E複層か。
- 商品ページで記号を探すJIS A 5759 記号GD-1(またはGD-2)合格品の表示があるか。
- 棚の固定を1台だけ決める脚部の固定はフィルムと対になる。
フィルムと対になる家具側の固定は、家具の転倒防止具はどう選ぶ?L字金具・突っ張り棒・ジェル・マットを壁と天井の下地から決めるで効き方の違いから整理しています。
参考・出典
- 日本ウインドウ・フィルム工業会「JIS:工業規格」 http://www.windowfilm.jp/law/jis.html (確認日2026-09-12)※JIS A 5759のフィルム種類記号、GD-1の合否基準、GD-2の飛散防止率95%以上、SFの鋼球落下試験、厚みの許容差±10%。同ページの性能表は2026-09-12時点で2016年版のままで、本記事の性能数値はこの2016年版の表にもとづきます。
- 日本規格協会 JSA Webdesk「JIS A 5759:2024」 https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+A+5759:2024 (確認日2026-09-12)※制定1982-09-01、最新改正2024-05-20、英訳名”Adhesive films for glazings”。規格票本体は有償(和文34ページ)のため未入手で、2024年改正での試験数値の変更有無は確認できていません。
- 日本ウインドウ・フィルム工業会「防犯フィルム」 http://www.windowfilm.jp/winfilm/bouhan.html (確認日2026-09-12)※CPマークの条件、官民合同会議、侵入5分の抵抗値設計。
- 日本ウインドウ・フィルム工業会「消防法関係」 http://www.windowfilm.jp/law/fire_fighting.html (確認日2026-09-12)※窓ガラス用フィルムA・Bの区分、東京消防庁23予第1222号、管内以外は所轄消防署へ事前確認。
- 日本ウインドウ・フィルム工業会「ガラス飛散防止フィルムの貼替えに関する指針」http://windowfilm.jp/information/pdf/information_replacement_guide.pdf (確認日2026-09-12)※1992年5月制定・2007年改訂・2018年7月改訂。「施工後、10年以上経過したものについては、貼り替えをお薦めします。」「10年という一定年限は、保証値ではなくあくまで判断基準です。」
- リンテックコマース株式会社「凸凹ガラス専用 防犯対策フィルム500(HGS50)」 https://www.lintec-c.com/product/glass/hgs50.html (確認日2026-09-12)※厚み500μ(0.5mm)、防犯フィルムのカテゴリに掲載、JIS A 5759適合の記載なし。
- リンテックコマース株式会社「ガラス飛散防止フィルム|防災フィルム50(HGS05)」 https://www.lintec-c.com/product/glass/hgs05.html (確認日2026-09-12)※厚み50μ、JIS A 5759 記号GI-1・GD-1合格品と明記。
- リンテックコマース株式会社「すまいの解決事例」 https://www.lintec-c.com/solution/mado/021.html (確認日2026-09-12)※Low-E複層ガラスの熱割れ警告の原文。
- リンテックコマース株式会社 FAQ「Low-E複層ガラスにフィルムは貼れますか?」 https://www.lintec-c.com/faq/cat1/000216.html /「複層ガラスにフィルムは貼れますか?」 https://www.lintec-c.com/faq/cat1/000355.html /「網入りガラスにフィルムは貼れますか?」 https://www.lintec-c.com/faq/cat1/000356.html (確認日2026-09-12)※空気層に熱が溜まる理由、網の鉄線とガラスの温度差、「貼る面の適否」欄の扱い。
- リンテックコマース株式会社「ガラスフィルムの貼り方が知りたい」 https://www.lintec-c.com/solution/mado/hgs_sekou.html /「窓フィルムを貼るときは、水を使わなければなりませんか?」 https://www.lintec-c.com/solution/mado/022.html (確認日2026-09-12)※道具一覧、5mm小さくカット、200ccの水+洗剤2〜3滴、クレセント錠付近の圧着。
- 株式会社ニトムズ 公式FAQ(省エネ対策) https://www.nitoms.com/faq/category/eco/ (確認日2026-09-12)※これは「断熱シート」のFAQで、網入り・Low-E・真空二重ガラスへの使用不可はこの系列についての記述です。飛散防止シートM6120・M6130について同じ記載があるかは、当サイトが確認した範囲では見当たりませんでした。
- 文化シヤッター株式会社 公式FAQ「特定防火設備のガラスにフィルムを貼り付けられますか。」 https://faq-bunka-s.dga.jp/faq_detail.html?page=1&id=115 (確認日2026-09-12)※引き戸タイプは片面のみ・ポリエステル系樹脂150μm以下で貼付可、開き戸タイプは貼付不可。
- 三和シヤッター工業株式会社 公式FAQ https://faq-sanwa-ss.dga.jp/dc/faq_detail.html?id=495 (確認日2026-09-12)※「ファイヤードⅡ」は認定形状外のため対応不可、「ファイヤードS」は2024年3月末日で廃止、代替は「ファイヤードF」。
- 賃貸の原状回復について:リンテックコマース・ニトムズいずれの公式ページにも「賃貸だから貼ってはいけない」という規定の文言は見当たりませんでした(2026-09-12時点で当サイトが確認した範囲)。施工業者サイトが勧める管理会社への確認は、メーカー公式見解ではなく施工店の実務アドバイスです。
- 株式会社ニトムズ 公式FAQ(安全・安心) https://www.nitoms.com/faq/category/safety/ (確認日2026-09-12)※貼る面(窓は内側・食器棚は外側)、すりガラス・凹凸には密着しない、石けん水のレシピ。
- 株式会社ニトムズ「ガラス飛散防止シート」製品ページ https://www.nitoms.com/products/glass_shatterproof_sheet/ (確認日2026-09-12)※M6120(幅48cm)・M6130(幅32cm)の寸法と材質。厚み(μm)とJIS適合の表示は同ページにありません。
- 東京消防庁「地震に対する10の備え」 https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/bou_topic/jisin/sonae10.html (確認日2026-09-12)
- 総務省消防庁「防災危機管理eカレッジ」 https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/cat65/cat63/cat32/9.html (確認日2026-09-12)※「窓、本箱、食器棚等のガラスには、飛散防止用フィルムなどをはります。」
- 東京都「東京くらし防災」(寝室) https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/content/kb2023/pageindices/index33.html /(食器棚) https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/content/kb2023/pageindices/index37.html (確認日2026-09-12)
- 内閣府 防災情報のページ https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/72/bousaitaisaku.html / https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h24/68/bousaitaisaku.html (確認日2026-09-12)※46%・29%の原文。この数値の元になった学術調査の名称までは、当該ページに明記がありません。
- 東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」 https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/content/000010472.pdf (確認日2026-09-12)※29.2〜49.4%。このPDFは文字レイヤーが壊れておりテキスト抽出ができないため、画像を目視して読み取った数値です。
- ミドリ安全株式会社「踏抜防止カップインソール」 https://midori-fw.jp/pdinfo/insole/ (確認日2026-09-12)※MSSIS-Mの仕様。JIS T8101等の規格適合表示は、確認できたページにはありませんでした。
- 「iHouse all 耐震ジェル 極」販売者情報 https://www.atpress.ne.jp/news/216506 (確認日2026-09-12)※運営はNextup株式会社。「震度7まで対応」は公的な耐震試験データではなく販売者の表示です。
