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棚から防災リュックを下ろして中身を並べてみると、水、ライト、電池、簡易トイレと、人の分はひととおり揃っている。それなのに、足元でこちらを見上げているこの子の分だけが、どこにも入っていない。ペットと暮らす家庭では、案外よくある光景です。
もうひとつ、取り違えられやすい言葉があります。「同行避難」です。環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」は、同行避難を「ペットと共に移動を伴う避難行動をすること」と定義したうえで、「避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない」とはっきり書いています(出典: 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」総説II 用語の解説)。同行避難とは、避難所での過ごし方の約束ではなく、家から安全な場所まで一緒に移動する“行動”のこと。ここが、多くの飼い主がつまずく一点目です。
取り違えたまま当日を迎えると、「連れてきたのに同じ部屋には入れない」という現実に、避難所の入口で初めて出会うことになる。同じ資料が「ペットの飼養環境は避難所等によって異なることに留意が必要である」と明記している以上、うちの最寄りがどうなのかは、自分で確かめておくしかありません。この記事では、その確かめ方までを手順に落とします。
この記事でわかること
- 「同行避難」の公式な定義と、「同伴避難」との違い(どちらも同室を保証する言葉ではない)
- 環境省が示すペット用備蓄品の優先順位1・2・3と、フード・水の推奨日数
- 自宅の在庫をその場で◯×で埋められる、書き込み式のチェックリスト
- 最寄り避難所のペット受け入れ可否を確かめる手順と、「今日確認する3つ」の判定
「同行避難」は移動する行動を指す言葉で、同室で過ごす権利ではない
同行避難とは、災害の発生時に飼い主がペットを同行し、指定緊急避難場所等まで避難することである。環境省ガイドラインの用語の解説に、そう書かれています。ポイントは、これが移動という「行動」を指す言葉だということ。避難所に着いたあと、どの部屋で、どんな形でペットと過ごすかは、この言葉の守備範囲の外にあります。
よく並べて語られる「同伴避難」も同じです。ガイドラインは、同行避難が避難行動を示すのに対し、同伴避難は「被災者が避難所でペットを飼養管理すること(状態)」を指すと整理したうえで、こちらについても「指定避難所等で飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではなく、ペットの飼養環境は避難所等によって異なる」と念を押しています。なお「同伴避難」は、平成28年4月の内閣府「避難所運営ガイドライン」で使われている用語です。
| 用語 | 指しているもの | 同室を保証するか | 用語の出どころ |
|---|---|---|---|
| 同行避難 | ペットと共に移動を伴う避難行動をすること(行動) | 保証しない | 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」 |
| 同伴避難 | 被災者が避難所でペットを飼養管理すること(状態) | 保証しない(飼養環境は避難所等によって異なる) | 内閣府「避難所運営ガイドライン」(平成28年4月) |
言い換えると、この2語はどちらも「同じ部屋にいられます」という約束ではありません。では現実の避難所ではどうなるのか。環境省の一般飼い主向けパンフレット「災害、あなたとペットは大丈夫?」には、室内で同居する形、室内でも人とは別の場所で飼養する形、敷地内の屋外で飼養する形といった複数の例が図示され、そこに「※避難所のルールに従う」との注記が添えられています。形はひとつではなく、避難所の数だけあると考えたほうが実態に近いのです。
どの形になっても対応できるように、と考えると、ケージ内での飼育を求められた場合の道具が要ります。LYNVARNAの「緊急避にゃん! 折り畳みクレート」は猫犬用のキャリーケースで、使わない期間はたたんでおける防災クレート。ペット防災ガイドラインが付属するので、受け入れ条件を調べる前の下調べにも使えます。ケージ持参が条件の避難所に当たったとき、押し入れから出してすぐ運べる状態にしておけると心強い。サイズや対応する体格については、販売ページで最新の仕様を確認してください。
同行避難は「一緒に逃げること」。避難所で同じ部屋にいられるかどうかは、別問題として、自分の住む自治体・最寄りの避難所ごとに確認しておく必要がある。
そしてもう一段、押さえておきたい前提があります。ガイドラインは「自己が所有し管理するペットの安全確保や飼養も自助が原則となる。通常、災害時の対応は、自助が7割とも8割とも言われる」とし、避難先でも「ペットの世話やペットフードの確保、飼養場所の管理は原則として飼い主の責任で行うことになる」と書いています。避難所に行けば誰かが面倒を見てくれる、という話ではない。だからこそ、次に出てくる備蓄の優先順位が効いてきます。

環境省は備蓄品を「優先順位1・2・3」の3区分で示している
優先順位1・2・3とは、環境省が一般飼い主向けパンフレットで示した、ペット用避難用品・備蓄品の3階層の区分である。順に「動物の健康や命に係わるもの」「情報」「ペット用品」と名前がついています。値段でも重さでもなく、失ったときの取り返しのつかなさで並んでいる、と読むと腑に落ちるはずです。
| 優先順位 | 区分の名前 | 挙げられているもの | 確認のしかた |
|---|---|---|---|
| 1 | 動物の健康や命に係わるもの | 療法食・薬/ペットフード・水(少なくとも5日分、できれば7日分以上)/キャリーバッグやケージ(猫や小動物には避難時に欠かせないアイテム)/予備の首輪・リード(伸びないもの)/ペットシーツ/排泄物の処理用具/トイレ用品(猫は使い慣れた猫砂、または使用済猫砂の一部)/食器 | 在庫の「残り日数」で数える。買い足しの前に、今あるぶんが何日分かを先に出す |
| 2 | 情報 | 飼い主の連絡先と、ペットに関した飼い主以外の緊急連絡先・預け先などの情報/ペットの写真(印刷物に加え、携帯電話への画像保存も有効)/ワクチン接種状況・既往症・投薬中の薬情報・検査結果・健康状態・かかりつけの動物病院などの情報 | 紙とスマホの二重持ち。停電と紛失のどちらにも耐える形にする |
| 3 | ペット用品 | タオル、ブラシ/ウェットタオルや清浄綿(目や耳の掃除など多用途)/ビニール袋(排泄物処理など多用途)/お気に入りのおもちゃなど匂いがついた用品/洗濯ネットなど(猫の場合は屋外診療・保護の際に有用)/ガムテープやマジック(ケージの補修、段ボールハウス作り、動物情報の掲示など多用途) | 「多用途」と書かれた物から先に入れる。1つで複数の役割を持つものが効く |
出典: 環境省「災害、あなたとペットは大丈夫? 人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」(平成30年9月)p.19
フードと水は「少なくとも5日分[できれば7日分以上]」。この数字が机上の目安ではないことは、同じパンフレットの避難生活のページに書かれた一文でわかります。「支援物資が届くまでは5日程度かかる場合も! それまで持ちこたえるのは飼い主の責任。」——5日というのは、月曜の朝に被災したら金曜の夜まで、手持ちの在庫だけで回すということ。7日分なら、今日が土曜なら次の土曜まで。カレンダーに置き換えると、急に自分ごとの長さになりますよね。
フードが実際に何kg必要になるかは、体重と1日の給与量から積算します。計算式と体重別の目安はペットフードの備蓄量を体重から計算する記事にまとめてあるので、量の話はそちらに任せます。この記事では「5日分・できれば7日分以上」という公式の下限を押さえるところまで。
水についてもうひとつ。断水したときに困るのは、蓄えた量そのものより運ぶ手段のほうです。給水所から人の飲み水を運び、そのうえでペットの飲み水と、器や足を洗うぶんまで持ち帰ろうとすると、ペットボトルの詰め合わせでは手が足りません。折りたためる給水袋を人用の防災用品と同じ場所に入れておくと、この一往復が現実的になります。

書き込み式チェックリストで、自宅の在庫を一度に棚おろしする
在庫点検とは、買い足す前に「今あるものが何日もつか」を数え切る作業である。ここでは環境省の優先順位1〜3に沿って、そのまま◯×で埋められる形に組み替えました。紙に印刷しても、スマホのメモに書き写しても構いません。×がついた行だけが、買い物リストになります。
優先順位1|動物の健康や命に係わるもの
- 療法食・薬:あと[ ]日分ある/該当なし → ◯・×
- ペットフード:あと[ ]日分ある(5日分が下限、7日分以上が目標) → ◯・×
- ペットの水:あと[ ]日分ある → ◯・×
- キャリーバッグ・ケージ:頭数分ある → ◯・×
- 予備の首輪・リード(伸びないもの):ある → ◯・×
- ペットシーツ:ある → ◯・×
- 排泄物の処理用具:ある → ◯・×
- トイレ用品(猫は使い慣れた猫砂、または使用済猫砂の一部):ある → ◯・×
- 食器:持ち出し用が別にある → ◯・×
優先順位2|情報
- 飼い主の連絡先を書いた紙が、袋の中にある → ◯・×
- 飼い主以外の緊急連絡先・預け先の情報がある → ◯・×
- ペットの写真:印刷したものがある → ◯・×
- ペットの写真:携帯電話にも保存してある → ◯・×
- ワクチン接種状況・既往症・投薬中の薬の情報がまとまっている → ◯・×
- 検査結果・健康状態・かかりつけの動物病院の情報がある → ◯・×
優先順位3|ペット用品
- タオル、ブラシ → ◯・×
- ウェットタオルや清浄綿(目や耳の掃除など多用途) → ◯・×
- ビニール袋(排泄物処理など多用途) → ◯・×
- お気に入りのおもちゃなど匂いがついた用品 → ◯・×
- 洗濯ネットなど(猫の場合は屋外診療・保護の際に有用) → ◯・×
- ガムテープやマジック(ケージの補修、段ボールハウス作り、動物情報の掲示など多用途) → ◯・×
埋めてみると、多くの家庭で×が集まるのは優先順位2の「情報」の欄ではないでしょうか。買えないぶん、後回しになりやすい。逆にここは、写真を1枚印刷して、かかりつけの病院名と薬の名前をメモに書き足すだけで、今日◯に変わります。財布に1枚、スマホに1枚——この二重持ちが、停電と紛失の両方に効きます。
もうひとつ、点検して分かるのが「置き場所がバラバラ」問題です。フードは台所、シーツは洗面所、キャリーは押し入れの奥。平常時は困りませんが、夜中に揺れたあとの数分でこれを集めるのは無理があります。ペット用品だけを1か所にまとめる箱を決めて、そこを定位置にしてしまうほうが早い。中身が見える箱なら、賞味期限の入れ替えも億劫になりません。
ここまではペットの分の話です。人の側の持ち出し袋がまだ固まっていないなら、防災リュックの中身リストで土台を作ってから、ペット用の箱を横に並べる順番がおすすめです。ゼロから自分で組むのが大変なら、市販の防災セットを中身で比較した記事も判断材料になります。家全体の備蓄を見渡したいときは、家庭の備蓄品リスト完全版をハブとして使ってください。
排泄まわりは、人とペットで事情が似ています。断水すると水洗トイレは使えなくなり、ペットシーツや猫砂の消費も普段より読みにくくなる。人用の簡易トイレを選ぶ段階で凝固剤や処理袋の枚数を考えておくと、ペットの排泄物処理用具の量も一緒に見積もれます。選び方は簡易トイレを凝固剤と処理袋で比較した記事にまとめました。
はぐれた後に再会できるかは、平常時の書類とマイクロチップで決まる
身元証明とは、ペット自身が「どこの子か」を語れない状況で、代わりに飼い主とつなぎ直すための仕組みである。逃げた瞬間には間に合わない準備で、だからこそ平常時にしか整えられません。
環境省パンフレットの「ペットが行方不明にならないための対策」は、犬と猫で必要なものを分けて挙げています。犬は、首輪と迷子札、鑑札、狂犬病予防注射済票、そしてマイクロチップ。猫は、首輪と迷子札(力が加わると外れるタイプが推奨され、これを使う場合はマイクロチップの装着が強く推奨されています)と、マイクロチップ。マイクロチップは挿入して終わりではなく、「必ず(公社)日本獣医師会などに飼い主情報や動物情報を登録する」と書かれている点が要です。
ここで、制度が二階建てになっていることを整理しておきます。犬の鑑札と注射済票は狂犬病予防法にもとづくもので、犬の所有者は取得後30日以内に市町村長へ登録を申請し、交付された鑑札を犬に着けておかなければならないとされています。予防注射は毎年1回で、こちらも交付された注射済票の装着が求められる。違反には罰金の定めがあるとされており、任意のマナーではなく法律上の義務という位置づけです。
一方、マイクロチップは動物愛護管理法の側の話。令和4年(2022年)6月1日の施行で、犬猫等販売業者が取得した犬猫には装着が義務づけられ、装着後の環境省データベースへの登録も義務になりました。すでに飼っている犬猫については、一般の飼い主の装着は努力義務。ただし、装着した場合は環境大臣への情報登録が義務になります。「うちはブリーダーから迎えた子だから登録済みのはず」と思っていても、飼い主が変わったときの情報更新は自分の手で行う必要がある、ということです。
引っ越し・電話番号の変更・譲渡があったのに、マイクロチップの登録情報が古いままだと、読み取れても連絡がつきません。登録・変更の手続きは、環境大臣指定登録機関である(公社)日本獣医師会が運営する「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトで行います。鑑札・注射済票の扱いや再交付は市区町村の窓口ごとに運用が異なるため、お住まいの自治体の最新情報をご確認ください。
写真も、優先順位2に挙げられた立派な身元証明です。全身と、模様や特徴がわかるアップの2枚。飼い主が一緒に写ったものが1枚あると、所有関係の説明が早くなります。印刷物と携帯電話への保存、どちらも有効と明記されているのは、避難生活では充電も通信も当てにならないからでしょう。
避難所のペット受け入れは自治体ごとに違う。だから確認は自分で行う
受け入れ可否の確認とは、公的な資料では決まらない部分を、自分の住所に引き直す作業である。環境省ガイドラインは「ペットの飼養環境は避難所等によって異なる」と書き、さらに「自治体によっては、堅牢なマンション等での在宅避難を推奨しているところもあるので、あらかじめ、それぞれの自治体における避難のあり方を確認しておくことも必要になる」と続けています。全国共通の答えは、そもそも存在しません。
とはいえ、やることは多くありません。今日のうちに終わる3つだけを決めておけば十分です。
- 最寄り避難所のペット受け入れを調べるお住まいの市区町村の公式サイトで「ペット 同行避難」または「避難所 ペット」を検索し、該当ページを開きます。受け入れの可否だけでなく、ケージ持参が条件か、飼養場所が屋内か屋外かまで書かれていることがあります。記載が見つからない、あるいは避難所ごとの一覧がない場合は、防災担当課か保健所へ問い合わせる。ここで得た答えが、この記事のどの記述よりも優先されます。
- うちの子がキャリーやケージに自分から入るかを試す扉を開けた状態で床に置き、中で食事やおやつを食べられるかを見ます。嫌がって入らない、入っても扉を閉めるとパニックになる——この状態のままでは、同行避難そのものが成立しません。判定は◯か×かの二択で構いません。
- 鑑札・注射済票・マイクロチップ登録が最新かを見る犬なら首輪に鑑札と注射済票が着いているか、その場で目視する。マイクロチップは、登録内容の住所と電話番号が今の連絡先かどうかを確かめます。引っ越して以来触っていないなら、そこが×です。
3つのうち1つでも×がついたら、そこがあなたの家の弱点です。全部◯だった家庭は、あとは在庫の日数を伸ばす作業に進めばいい。
問題は、1番目が「受け入れ不可」だったときです。環境省パンフレットの同行避難フロー図は、避難所でペットを受け入れられない場合の行き先として、ペットは自宅・人は避難所という分け方、車やテントの活用、知人や施設に預ける、敷地内での屋外飼養といった分岐を図示しています。選択肢が用意されているのは、そこで詰まる家庭が実際に多いからだと読むのが自然でしょう。
このうち車を使う選択肢は、ペットと暮らす家庭では現実味があります。ただし過去の災害では、車中避難によるエコノミークラス症候群が問題になった経緯もあります(新潟県中越地震・2004年)。何を用意すれば体への負担を減らせるのか、どこに停めるのかまで含めて、車中泊は防災の手段として成立するのかを検証した記事で整理しています。ペットと一緒だと避難所に入りにくい、という前提で読むと、判断材料が増えるはずです。
同行避難が難しいケースもある。線引きを先に決めておく
同行避難が難しいケースとは、準備不足ではなく、条件そのものが同行を成立させにくい状況のことである。ここを曖昧にしたまま「連れて逃げる」とだけ決めておくと、当日に判断が止まる。正直に書いておきましょう。
- キャリーやケージに慣れていない:環境省パンフレットは、実際に起きた困りごととして「犬がケージになれていないため、過度なストレスを与えてしまった」「他人や他の場所、他の動物に慣れないため、どこにも預けることができず苦労した」といった例を挙げています。これは避難所に着く前、家を出る段階でつまずくパターンです。
- 持病があり、投薬や療法食が欠かせない:優先順位1の筆頭が「療法食・薬」なのは、切らした瞬間に命に直結するからです。どれだけ持ち出すべきか、代替がきくのかは、その子の状態によって変わります。
- 体格や頭数に対して、動かせる人手が足りない:大型犬とひとり暮らし、多頭飼育、高齢の飼い主。同行避難は最終的に「その距離を、その子を連れて歩けるか」という身体の問題に行き着きます。
- ペットが犬猫以外:環境省の備蓄品リストは犬猫を中心に書かれています。温度管理が必要な動物などは、同じ手順がそのまま当てはまりません。
体格の項目は、道具の選び方である程度まで詰められます。犬と暮らす家庭なら、リッチェル(Richell)の「キャンピングキャリー 折りたたみ M アイボリー」のように、使わない期間はたたんでしまっておけるものが候補になります。Mというサイズ表記だけで決めず、その子が中で向きを変えられるかどうかを基準にしてください。合わない箱は、当日いちばん動かしにくい荷物になります。対応する体格や各部の仕様は、販売ページで最新の情報を確認してください。
投薬・療法食・移動に耐えられる体調かどうかといった獣医療の判断は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。また、どのタイミングでどこへ避難するかの判断は、自治体および気象庁・消防などの公的機関の情報に従ってください。この記事は、平常時に準備を整えるための整理であって、当日の判断を代わりに行うものではありません。
ケージに慣れていない、という項目だけは、今日から手を打てます。環境省パンフレットは、ケージに慣らす手順を段階に分けて示しています。まず入口の近くへおやつで誘導する。次に中でおやつを食べさせる。いったん外に出し、また誘導する。扉を開けたまま食器を置いて、中で食べさせる。ここまでを繰り返して慣れてきたら、静かに扉を閉めてみる。そして、食べ終わる前に扉を開ける——閉じ込められたと思わせないためです。閉める時間は、少しずつ伸ばしていく。
この手順を繰り返す相手として、猫壱の「ポータブルキャリー キャリーバッグ 折り畳み可能」も候補に挙げておきます。防災・移動用として案内されているブラックのキャリーで、折り畳みができる形。ふだんは部屋の隅に開いたまま置いておき、中でおやつを食べる場所として覚えてもらう使い方に向きます。慣らす道具は、しまい込まずに出しておけるかどうかで続き方が変わる。細かい仕様は、販売ページで最新の情報を確認してください。
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よくある質問
Q. 同行避難できれば、避難所でペットと同じ部屋にいられますか。
いいえ、同行避難という言葉はそれを意味しません。環境省ガイドラインは、同行避難を「ペットと共に移動を伴う避難行動をすること」と定義し、「避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない」と明記しています。「同伴避難」についても同様に、同室での飼養管理を意味するものではないとされています。実際の飼養環境は避難所ごとに異なるため、最寄りの避難所の運用を事前にご確認ください。
Q. フードと水は何日分あればよいですか。
環境省の一般飼い主向けパンフレットは、優先順位1の項目として「ペットフード、水(少なくとも5日分[できれば7日分以上])」と示しています。同じ資料には「支援物資が届くまでは5日程度かかる場合も! それまで持ちこたえるのは飼い主の責任。」との記載もあり、5日はあくまで下限と考えるのが自然です。体重に応じた必要量の計算は、当サイトのペットフードの備蓄量の記事で扱っています。
Q. マイクロチップは必ず入れないといけませんか。
すでに飼っている犬猫について、一般の飼い主の装着は努力義務です。義務となっているのは、令和4年(2022年)6月1日以降に犬猫等販売業者が取得した犬猫への装着で、この場合は環境省データベースへの登録も義務になります。なお一般の飼い主でも、装着したときは環境大臣への情報登録が義務です。猫について環境省パンフレットは、外れるタイプの迷子札を使う場合はマイクロチップの装着を強く推奨する、としています。
Q. 猫や小動物でも、犬と同じ準備でよいですか。
共通する部分は多いものの、いくつか猫に特有の記載があります。キャリーバッグやケージは「猫や小動物には避難時に欠かせないアイテム」とされ、トイレ用品は「使い慣れた猫砂、または使用済猫砂の一部」という指定です。優先順位3には「洗濯ネットなど(猫の場合は屋外診療・保護の際に有用)」の記載もあります。これは搬送用キャリーの代わりではなく、通院や保護の際の補助具という位置づけです。犬猫以外の動物については環境省の備蓄品リストが直接カバーしていないため、かかりつけの動物病院にご相談ください。
Q. 避難所がペット不可だった場合、どうすればよいですか。
環境省パンフレットの同行避難フロー図では、受け入れ不可の場合の分岐として、ペットは自宅・人は避難所という分け方、車やテントの活用、知人や施設に預ける、敷地内での屋外飼養が図示されています。どれを選べるかは住まいの構造と地域の状況によって変わるため、平常時のうちに第2案・第3案まで決めておくことをおすすめします。自治体によっては堅牢なマンション等での在宅避難を推奨している場合もあるので、お住まいの自治体の最新情報をご確認ください。
フードと水の必要量そのものは、ペットフードの備蓄量を1日の給餌量から計算した記事にまとめています。日数が決まったら、次は自分の子の1日量を袋の裏で確かめるだけです。
まとめ|今日やることは、最寄り避難所のページを1つ開くこと
やることを1つに絞るなら、お住まいの市区町村の公式サイトで、最寄り避難所のペット受け入れ可否を調べることです。買い物はそのあとでも間に合いますが、この確認だけは誰も代わりにできません。全国共通の答えがない領域だからです。
そのうえで、順番はこうなります。
- 調べる自治体サイトで最寄り避難所のペット受け入れ可否と条件を確認する。不明なら防災担当課へ問い合わせる。受け入れ不可だった場合の第2案(在宅・車・預け先)まで決めておく。
- 数えるフード・水の在庫が何日分あるかを数え、5日分に届いていなければ足す。7日分以上が目標。あわせて療法食と薬の残量も確認する。
- 整える優先順位2の「情報」を作る。写真を印刷し、連絡先・預け先・かかりつけの動物病院・投薬中の薬をメモにまとめ、紙とスマホの両方に置く。鑑札・注射済票の装着とマイクロチップ登録情報の更新もここで済ませる。
同行避難は「一緒に逃げる行動」。同じ部屋で過ごせるかは避難所ごとに違う。だから備えは、①移動できる状態(ケージ・リード)②5日分以上の命綱(フード・水・薬)③はぐれても戻れる仕組み(鑑札・チップ・写真)の3つに整理できる。
チェックリストの×は、責められるためのものではありません。今日どこから手をつけるかを教えてくれる印です。1行でも◯に変われば、そのぶん当日の選択肢が増えます。
参考・出典
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」総説II 用語の解説/総説III/総説IV(PDF)確認日: 2026年8月8日
- 環境省「災害、あなたとペットは大丈夫? 人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」(平成30年9月)(環境省サイト)確認日: 2026年8月8日
- 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」(環境省サイト)確認日: 2026年8月8日
- 犬と猫のマイクロチップ情報登録(環境大臣指定登録機関: 公益社団法人日本獣医師会)(登録サイト)確認日: 2026年8月8日
- 厚生労働省「狂犬病に関する情報」(狂犬病予防法にもとづく登録・鑑札・予防注射・注射済票の解説)(厚生労働省サイト)確認日: 2026年8月8日
本記事は公表資料をもとに編集部が整理したものです。獣医療および健康に関する判断はかかりつけの獣医師へ、避難に関する判断はお住まいの自治体および公的機関の情報にお従いください。制度・運用は変更される場合があります。
