ペットのキャリーとケージの備え|同行避難で必要になる条件とサイズの決め方

※本記事にはプロモーションを含みます。

ペットと一緒に避難するとき、キャリーやケージは「あったほうがいいもの」ではなく、避難先で過ごすための前提になります。環境省の資料では、避難所で人とペットは別の場所で生活し、世話は飼い主が自ら行うことが原則とされ、とくに猫は1日のほとんどをケージの中で過ごすことが多くなる、と説明されています(環境省パンフレット「ペットも守ろう!防災対策」平成29年9月発行、2026年8月13日確認時点)。

そこで問題になるのが大きさです。小さすぎれば体の向きも変えられず、大きすぎれば玄関から運び出せません。この記事が担当するのは、その中間をどう決めるか。ペットの体のどこを測ればどの寸法が決まるのか、そして「人の手で運べる大きさ」の上限をどこに置くのか、という二つの物差しを用意します。

準備するもの全体の並べ方や、マイクロチップなど飼い主側の手続きについては、ペットの同行避難の準備リストにまとめてあります。この記事は、そのうち「ケージ・キャリーをどう選ぶか」の一点を深く扱う担当です。

この記事でわかること

  • 環境省が定義する「同行避難」と、内閣府の用語である「同伴避難」の違い
  • 避難所でケージが前提になる理由と、ケージを用意している飼い主の実際の割合
  • 体長・体高・体重の3か所から必要な内寸を決める手順
  • JR3社の持ち込み規格(三辺の合計120cm・10kg)を「運べる上限」の目安に使う判定のしかた
目次

同行避難とは、ペットを連れて安全な場所まで避難する行動である

まず言葉の整理から始めます。環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」は、同行避難を次のように定義しています。

災害の発生時に、飼い主が飼養しているペットを同行し、指定緊急避難場所等まで避難すること。ペットと共に移動を伴う避難行動をすることを指し、避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない

(環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」総説II、p.5/2026年8月13日確認時点)

読み飛ばしやすいのは後半です。同行避難という言葉が保証しているのは「一緒に逃げること」までであって、「一緒の部屋で過ごすこと」ではありません。ここを取り違えたまま避難すると、現地で初めてペットを別の場所に置くことになり、その場でケージを探すはめになります。

よく並べて語られる「同伴避難」は、内閣府「避難所運営ガイドライン」(平成28年4月)に由来する用語で、避難所でペットを飼養管理すること、つまり避難したあとの状態を指します。こちらも同室での飼養を意味するものではありません。二つの違いを整理すると、次のようになります。

用語 出典 指しているもの 同室での飼養を意味するか
同行避難 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」 ペットを連れて避難場所まで移動する行動 意味しない
同伴避難 内閣府「避難所運営ガイドライン」(平成28年4月) 避難所でペットを飼養管理している状態 意味しない

どちらの言葉も、飼い主とペットが同じ部屋で寝起きできることまでは保証していません。「連れていける」と「一緒にいられる」は別、と覚えておくと準備の優先順位がぶれません。

避難所ではケージに入れることが前提になる

雨戸を叩く音で目が覚めて、スマホには避難情報。上着を羽織って玄関へ向かうと、押し入れの奥にしまい込んだキャリーの取っ手が段ボールの下敷きになっている——この数分の遅れが、家を出られるかどうかを分けます。持ち出すものが決まっていても、ケージが「今すぐ使える状態」で置かれていなければ意味がありません。

行政の側も、ケージは飼い主が持参する前提で計画を組んでいます。環境省「防災業務計画」(平成28年8月改定)の災害応急対策の基準には「飼料・ケージ等の調達及び配分の方法等に関する事項」が明記されていて、不足したときの調達が行政の仕事として位置づけられている、という書き方です。裏を返せば、平時に自分で用意しておくのが出発点になります。

では、どれくらいの人がすでに用意しているのでしょうか。一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」令和7年(2025年)調査によると、「キャリーバッグ・ケージなどの用意」を実施している飼い主は犬36.9%・猫43.8%でした(2026年8月13日確認時点)。前年の令和6年(2024年)調査では犬32.2%・猫45.9%となっていて、犬は伸び、猫は横ばいから微減という動きです。

数字を暮らしの単位に置き換えると、犬を飼う10世帯のうち3〜4世帯、猫を飼う10世帯のうち4世帯強。半分に届いていません。同じ2025年調査では、避難所でペットと同じスペースで過ごせるとは限らないことを「知っている」と答えた人が犬61.4%・猫61.9%、つまり10人に6人ほどでした。知識は広まりつつあるのに、モノの準備がそこまで追いついていない、という構図が見えてきます。

そなえぐらし管理人
「知っている」と「置いてある」のあいだには、けっこうな距離があるんですよね。編集部の整理では、ここを埋めるのに必要な行動は買い物1回ぶんです。

避難所へ持っていくもの全体の組み立ては避難所に持っていくものリストで扱っています。また、受け入れ状況によっては避難所以外の場所で過ごす判断もあり得るため、車中泊は防災になるのかという視点もあわせて持っておくと選択肢が増えます。

ケージのサイズは体の寸法と運べる大きさの両方から決める

ケージのサイズ選びとは、体に必要な内寸と、人が運べる外寸という二つの条件が重なる範囲を探す作業です。片方だけを見ると、必ずどこかで行き詰まります。

ペットのキャリーのサイズの決め方。体長は内寸の奥行き、体高は内寸の高さ、体重は表示された対応体重の範囲、三辺の合計は120cm・10kgを運べる上限の目安にするという対応表

測る場所は3か所だけでいい

メジャーを持ち出して測るのは、次の3か所です。編集部の整理として、それぞれが製品仕様のどの数字に対応するかを並べます。

  • 体長(首の付け根から尾の付け根まで)→ 製品の内寸の奥行きが、これを下回っていないか
  • 体高(床から肩まで)→ 製品の内寸の高さが、これを下回っていないか
  • 体重→ 製品に表示された対応体重の範囲に入っているか

内寸と外寸を取り違えないことが肝心です。メーカーによっては外寸だけを載せている場合があり、布や骨組みのぶん、中の空間はそれより小さくなります。内寸が公表されている製品なら、そちらを優先して見てください。

ここで挙げた3か所は、製品の公表仕様と体の実測値を突き合わせるための手順です。体格や年齢、持病の有無によって適した空間は変わるため、判断に迷う場合はかかりつけの動物病院に相談してください。

運べる上限は「三辺の合計120cm」を目安にする

もう一方の物差しが外寸です。避難所のケージの大きさを一律に決めた全国共通のルールはありませんが、参考になる公的な数字なら存在します。鉄道にペットを持ち込むときの規格です。

JR東海・JR九州・JR北海道の3社は、公式サイトで同じ条件を示しています。タテ・ヨコ・高さの合計が120cm以内の動物専用ケースに収め、ケースと動物を合わせた重さが10kg以内であること(2026年8月13日確認時点)。これは鉄道に乗るための規定であって避難所の基準ではありません。ただ「片手で持って公共交通機関に乗れる大きさと重さ」の線引きとして、そのまま持ち運びの上限の目安に使えます。

言い換えれば、この規格に収まるものは徒歩でも運べる可能性が高く、収まらないものは車での移動か、その場に置いて使う前提になる、ということです。両方を1つで兼ねるのは難しいので、役割を分けて考えます。

製品(公表仕様) 使用時サイズ 三辺の合計(編集部が公表値を合算) 対応体重の目安 120cm以内か
猫壱 ポータブルキャリー 幅25×奥行46×高さ25cm 96cm 〜6kg 収まる
リッチェル キャンピングキャリー 折りたたみ M 外寸34×56×38(H)cm 128cm 8kg以下 わずかに超える
リッチェル 同(折りたたんだ状態) 34×55×11(H)cm 100cm 収まる
猫壱 ポータブルケージ 幅50.8×奥行81×高さ50.8cm 182.6cm 〜11kg 超える

数字が並んだので、意味を訳しておきます。表の上ふたつは「持って出る道具」、いちばん下は「着いた先で広げる部屋」です。折りたたんだリッチェルが100cmに収まっているとおり、折りたたみ式なら移動中は規格内、現地では広い空間、という使い分けができます。避難生活が長引くほど、この差が効いてきます。

クレートに慣らしておく作業は当日ではなく平時にやる

クレートトレーニングとは、ケージやキャリーの中を「閉じ込められる場所」ではなく「安心して食べたり眠ったりできる場所」に変えていく練習です。緊急時にいきなり押し込もうとしても、嫌がって逃げてしまえば連れて出られません。

環境省パンフレット「ペットも守ろう!防災対策」(平成29年9月発行)は、次の6ステップを示しています(2026年8月13日確認時点)。

  1. 入口へ誘導する おやつを使って、ケージの入口までペットを誘導します。
  2. 中で食べさせる 中に入っておやつを食べられたら、ひとまず成功です。
  3. 出入りを繰り返す いったん外へ誘導し、もう一度中へ。往復させて、出られる場所だと理解してもらいます。
  4. 扉を開けたまま食器を置く 扉は開けたままで、食事の場所として使います。
  5. 食べている間に扉を閉める 慣れてきたら、食べているあいだだけ扉を閉めてみます。
  6. 食べ終わる前に開ける 閉じ込められたという感覚を残さないよう、食べ終わる前に扉を開けます。

6番目が要です。「終わってから開ける」だと、扉が閉まる=出られない、という結びつきができてしまいます。順番に意味があるステップだと考えてください。

そしてもう一点。キャリーを押し入れの奥にしまい込むと、練習の頻度が落ちます。ふだんから部屋の隅に出しておき、寝床として使ってもらうほうが、いざというときの抵抗は小さくなります。置き場所そのものの考え方は防災グッズの収納場所で扱っているので、玄関周りの動線ごと見直すと決めやすくなります。

何を選ぶかは「使用時の広さ」と「たたんだときの薄さ」で決まる

製品選びの分かれ目は、移動用に振るか、滞在用に振るか、その両方を折りたたみで兼ねるかの3択です。以下は公式サイトで仕様を確認できた製品を中心に、用途別に並べたものです(サイズ・対応体重はいずれも各社公式サイトの公表値、2026年8月13日確認時点)。

移動を最優先にするなら小さく軽い箱型

猫壱の「ポータブルキャリー」は、使用時のサイズが幅25×奥行46×高さ25cm、対応体重は体格の目安として6kgまでと公表されています。三辺の合計は96cmですから、先ほどのJR規格である120cmには余裕を持って収まる計算です。使わないときは折りたためる構造なので、玄関の傘立ての脇や靴箱の上といった、すぐ手が届く場所に立てておけます。徒歩での避難を第一に考える猫の飼い主にとって、最初の1つとして検討しやすい寸法です。

避難先で過ごす時間が長いなら広さのあるケージ

同じ猫壱の「ポータブルケージ」は役割が違います。使用時サイズは幅50.8×奥行81×高さ50.8cmで、対応体重は体格の目安として11kgまで、大人猫2匹または子猫3〜4匹が過ごせる想定と案内されています。三辺の合計は182.6cmになるので、これを持って歩くのは現実的ではありません。車に積んでおくか、避難先で広げる「部屋」として考えるものです。多頭飼いの家庭で、移動用キャリーとは別にもう1つ持っておく、という組み合わせが噛み合います。

1つで両方を兼ねたいなら折りたたみ式

リッチェルの「キャンピングキャリー 折りたたみ M」は、対象が超小型犬・小型犬・猫、体重目安は8kg以下。使用時の外寸は34×56×38(H)cm、内寸は30.8×51.5×34.3(H)cmで、内寸まで公表されている点が選びやすいところです。体高34.3cm、体長51.5cmが中の空間の上限になるので、先ほど測った数字とそのまま突き合わせられます。入口の開口寸法は24.5×27cm。折りたたむと34×55×11(H)cmまで薄くなり、三辺の合計は100cmです。使用時は128cmと120cmをわずかに超えますが、収納時は規格内に収まるため、車載しておいて現地で広げる運用に向きます。小型犬の避難用クレートを1つに絞りたい場合の候補です。

布製のソフトタイプという選択肢

骨組みと布でできたソフトクレートは、たたんだときに平らになりやすいタイプです。Amazonベーシックの「ソフトクレート」については、Amazonの商品ページで折りたたみ式のソフトタイプのペットケージとして、Mを含む複数のサイズ展開が表示されています(2026年8月10日確認)。ただし当編集部では、この製品のメーカー公式サイトでの仕様確認ができていません。購入前に商品ページで内寸と対応体重の表示を必ず確かめ、この記事で示した体長・体高・体重の3か所と突き合わせてください。ソフトタイプは軽さと収納性が持ち味である一方、噛む力の強い子や脱走癖のある子には向かない場合があります。

製品の仕様は改訂されることがあります。ここに載せた数値は2026年8月13日確認時点の各社公表値です。購入時は最新の商品ページで再確認してください。

これだけでは足りないこと・当てはまらないケース

サイズの決め方は道具にすぎません。使えない場面と、この記事が引き受けていない範囲をはっきりさせておきます。

  • 避難所の受け入れ条件は地域ごとに異なります。ペットを連れて入れるか、どこで飼養するのか、ケージの大きさや数に制限があるかは、お住まいの自治体の公式情報で必ず事前に確認してください。この記事は全国共通の制度と製品仕様の話に限っています。
  • 体格が仕様の上限に近い場合は、公表値だけで判断できません。実測した体長・体高と内寸を突き合わせ、それでも迷うならかかりつけの動物病院に相談するのが確実です。
  • ケージがあってもフードと水は別途必要です。必要量の計算はペットフードの備蓄量で扱っています。
  • 人間側の備蓄はまったく別立てで要ります。家族ぶんの全体像は家庭の備蓄品リスト完全版から組んでください。
  • 鉄道の規格は避難所の基準ではありません。三辺の合計120cm・10kgはあくまで「人の手で運べる大きさ」を測る物差しとして借りているだけで、避難所がこの数字で判断するわけではありません。

よくある質問

Q. キャリーとケージは両方必要ですか

用途が違うため、余裕があれば分けるのが合理的です。持って逃げるための小さいものと、避難先で過ごすための広いものでは、求められる寸法が正反対になります。1つに絞るなら、折りたたむと薄くなるタイプが折衷案になるでしょう。リッチェルのキャンピングキャリー 折りたたみ Mは、使用時の外寸が34×56×38(H)cm、折りたたみ時が34×55×11(H)cmと公表されています(2026年8月13日確認時点)。厚みが3分の1近くまで減るので、平時はしまっておき、必要なときだけ広げる使い方ができます。

Q. 三辺の合計が120cmを超えるケージは避難に使えませんか

使えないわけではありません。120cm・10kgはJR東海・JR九州・JR北海道の3社が公式サイトで示す鉄道への持ち込み規格(2026年8月13日確認時点)で、避難所の基準ではないためです。超えるものは車での移動や、避難先に置いて使う前提になる、という切り分けだと考えてください。

Q. 同行避難ができれば、避難所でペットと同じ部屋で過ごせますか

同行避難という言葉は、そこまでを保証していません。環境省のガイドラインは同行避難を「移動を伴う避難行動」と定義し、避難所等で同室で飼養管理することを意味するものではないと明記しています。実際の受け入れ方法は地域によって異なるため、お住まいの自治体の公式情報で確認してください。

Q. うちの子はケージを嫌がります。当日だけ何とかなりませんか

当日に慣らすのは現実的ではありません。環境省パンフレットが示す手順も、おやつでの誘導から扉を閉めるまで6段階に分かれており、平時に少しずつ進めることが前提になっています。今日できるのは、ケージを部屋の見える場所に出しておくところまでです。

まとめ:今日やることは1つ、体を測ることです

ケージ選びで迷いが生まれるのは、体の寸法という基準を持たないまま製品ページを眺めるからです。体長・体高・体重の3つが手元にあれば、内寸の表示と突き合わせるだけで候補が絞れます。そのうえで、三辺の合計120cmという線を「持って歩けるかどうか」の判断に使えば、移動用と滞在用のどちらを選ぶかも決まります。

  1. 測る メジャーで体長(首の付け根から尾の付け根)と体高(床から肩)を測り、体重と一緒にメモしておきます。
  2. 突き合わせる 候補の製品の内寸・対応体重と比べ、三辺の合計が120cm以内かどうかも確認します。
  3. 出しておく 届いたら押し入れにしまわず、玄関に近い場所へ。扉を開けたまま置いて、寝床として使ってもらいます。

大きさが決まったら、次は中身と手続きです。ペットの避難準備の全体像はペットの同行避難の準備リストに、フードと水の必要量はペットフードの備蓄量にまとめてあります。

あわせて読みたい: ペットの同行避難の準備リスト|環境省が示す優先順位と、飼い主が今日確認することペットフードの備蓄量|犬・猫に何日分?環境省基準からの計算式・早見表

参考・出典

  • 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」総説II・総説IV(2026年8月13日確認)
  • 環境省パンフレット「ペットも守ろう!防災対策」平成29年9月発行(2026年8月13日確認)
  • 環境省「防災業務計画」平成28年8月改定(同ガイドライン内の記載により確認、2026年8月13日確認)
  • 内閣府「避難所運営ガイドライン」平成28年4月(同ガイドライン内の用語解説により確認、2026年8月13日確認)
  • JR東海/JR九州/JR北海道 公式サイト 手回り品に関する規定(2026年8月13日確認)
  • 一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」令和7年(2025年)調査・令和6年(2024年)調査(2026年8月13日確認)
  • 猫壱 公式サイト ポータブルキャリー/ポータブルケージ 製品ページ(2026年8月13日確認)
  • リッチェル公式オンラインショップ キャンピングキャリー 折りたたみ M 製品ページ(2026年8月13日確認)
  • Amazon 商品ページ(Amazonベーシック ソフトクレートの表示内容、2026年8月10日確認)
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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

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