マイ・タイムラインは「水害の5日前から発生時まで」を1枚に書く行動表
台風が近づいた夜、テレビの前で「そろそろ動いたほうがいいのかな」と家族と顔を見合わせた経験はないでしょうか。窓の外はまだ小雨。結局その日は何もせず、翌朝あわてて水とパンを買いに走った――という流れは、毎年くり返されています。
迷いが生まれるのは、判断材料が足りないからではありません。「いつ」動くかを、雨が降る前に決めていないからです。マイ・タイムライン(検索では「マイタイムライン」と中黒なしで書かれることも多いのですが、公式表記は中黒ありの「マイ・タイムライン」です)は、その「いつ」を紙の上で先に決めてしまう作業のこと。国土交通省 関東地方整備局は、次のように定義しています。
住民一人ひとりのタイムラインであり、台風の接近によって河川の水位が上昇する時に、自分自身がとる標準的な防災行動を時系列的に整理し、とりまとめるもの
出典: 国土交通省 関東地方整備局「マイ・タイムラインってなんですか」(https://www.ktr.mlit.go.jp/river/bousai/mytimeline/about.html/2026年9月1日確認)
この記事で扱うのは、その表を手を動かして完成させる手順だけです。書き込む時間の目盛りは6段階。5日前に出る「早期注意情報」を起点に、市町村が警戒レベル4を発令するまでに避難を終える形へ逆算します。世帯によっては1枚では足りません。何枚に分けるかまで決めるのが、この作業のゴールです。
この記事でわかること
- マイ・タイムラインに引く時間の目盛りは6段階。5日前・3日前・2日前〜前日・12時間前〜数時間前・3時間前〜直前・現象発生時
- 家族分は何枚作るのか。単身・夫婦・子育て・高齢者同居・ペット同居の5パターン別の考え方
- 架空の4人世帯を例にした、記入済みの完成サンプル2枚(そのまま自宅に置き換えられる形)
- 小中学生向けの「逃げキッド」・一般向けの検討ツール・自治体オリジナル様式の使い分け
マイ・タイムラインづくりの正体は、防災の勉強ではなく「警戒レベル4までに避難を終えるには、その何日前に何を済ませておく必要があるか」を逆算する引き算です。ゴールの時刻を先に置き、そこから手前へ埋めていくと、表は驚くほど早く埋まります。
作成手順は4ステップに分かれる
ステップとは、前の作業が終わらないと次に進めない順序のことです。マイ・タイムラインづくりは、自宅のリスクを知る→時間の目盛りを引く→行動を書き込む→家族に配る、の4つに分かれます。順番を入れ替えると手が止まる。自宅が浸水するのかしないのかが分からないまま目盛りだけ引いても、書き込む行動が決まらないからです。
- 自宅が水害でどうなるかを1行にまとめるハザードマップで、自宅の浸水の想定と、逃げる先を確認します。ここで「逃げるのか、残るのか」の方針が決まります。
- 時間の目盛りを6段階で引く表の左端の列を作る作業です。段階の切り方は自分で考えず、気象庁が段階的に発表する情報の並びをそのまま借ります。
- 各段階に「誰が・何をする」を書き込むここが本体。買い物・充電・片づけ・移動を、後ろから前へ埋めていきます。
- 家族に配って共有し、年1回見直す1人の頭の中にある表は、災害時には機能しません。紙で配るか、写真で共有します。
4ステップのうち、この記事が担当するのはステップ2とステップ3です。ステップ1とステップ4は別の記事で詳しく扱っているので、要点だけ触れて先へ進みます。
ステップ1|自宅が水害でどうなるかを1行にまとめる
ハザードマップとは、市町村が公表している「どこがどれだけ浸かる想定か」を色で示した地図のことです。必要なのは、そこから読み取った結論を1行にすること。「自宅は浸水想定区域に入っているか/どのくらいの深さか/逃げる先はどこか」の3点です。
色の意味や浸水深の読み解き方、自宅の想定を書き出す手順はハザードマップの見方|色と浸水深の読み解き方と、自宅の想定を1枚にまとめる手順に譲ります。ここでは「この1行が決まらないと表が書けない」という点だけ押さえてください。
なぜ最初に地図なのか。国土交通省の検討会資料には、水害の犠牲者について気になる数字が並んでいます。
「洪水」「河川」の犠牲者は7割以上が屋外で被災している。浸水想定区域内での被災は約4割にとどまる一方、地形的には約9割が「低地」で被災している。
出典: 国土交通省「水害・土砂災害における被害と防災情報について」(水害・土砂災害に関する防災用語改善検討会 第2回資料。原データは静岡大学防災総合センター牛山素行教授の調査)(https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/bousaiyougo/dai02kai/pdf/dai02kai_siryou1.pdf/2026年9月1日確認)
つまりどういうことか。色が塗られていない場所でも被災は起きているし、亡くなった方の多くは屋外にいた。「危なくなってから外に出る」動き方こそ避けたい形だ、と読み取れます。表の目的は、外に出る時刻を明るいうちへ前倒しすることです。
- 自宅は浸水想定区域の中か、外か
- 想定される浸水の深さは、自宅のどの高さまでか
- 逃げる先の候補は、徒歩で行けるか/車が要るか
- その道は、途中で川や水路を渡らないか
ステップ2|時間の目盛りを6段階で引く
時間の目盛りとは、表の左端に並べる「何日前・何時間前」の刻みのことです。自己流で刻む必要はありません。気象庁が発表する防災気象情報そのものが、5日前から現象発生時まで段階的に出る構造になっているからです。その並びを左端に写せば、目盛りは完成します。
起点は5日前。警戒レベル1相当の「早期注意情報」は、5日先までの警報級の現象の可能性を発表します。台風そのものの進路・強度予報も、2019年3月14日12時(日本時間)から5日先まで延長されました。
台風の強度予報を、従来の3日先までから5日先まで延長する。平成31年3月14日12時(日本時間)から。発表時刻・頻度は従来と同じ1日4回。
出典: 気象庁報道発表「台風の強度予報を5日先まで延長します」(https://www.jma.go.jp/jma/press/1902/20a/20190219_typhoon5days.html/2026年9月1日確認)
5日という長さを体感に置き換えると、月曜の朝に最初の情報が出て、土曜の夜に川が溢れる、くらいの距離感です。平日が5日まるごと残っている。買い物も、通院の前倒しも、職場への連絡も、全部その中に収まります。

| タイミング | 発表される情報 | 内容 | 表に書く行動の性質 |
|---|---|---|---|
| 5日前 | 早期注意情報(警報級の可能性)=警戒レベル1相当 | 5日先までの警報級現象の可能性を発表。心構えを高める | 調べる・連絡する |
| 3日前 | 気象解説情報 | 今後の気象状況や災害発生の危険度の見通しを網羅的に解説 | 買う・受け取る |
| 2日前〜前日 | 時系列情報(明日までの警報等の見通し) | 翌日までの見通しを毎日4回発表。「注意」「警戒」「危険」「災害切迫」の4区分で色分け | 片づける・充電する |
| 12時間前〜数時間前 | 警戒レベル相当情報(洪水・大雨・土砂災害・高潮の各レベル2〜5)、注意報・警報・特別警報 | 気象庁・河川管理者が警戒レベルに対応する形で発表 | 移動する |
| 3時間前〜直前 | キキクル(大雨・土砂キキクル)、気象防災速報 | 危険度が高まる地域をリアルタイムで確認。速報は線状降水帯の発生・直前予測など | 移動を終える |
| 現象発生時 | 警戒レベル5相当情報(氾濫発生情報、大雨特別警報、氾濫特別警報等) | 災害発生または切迫。命を守る最善の行動 | その場で命を守る |
出典: 国土交通省・気象庁「防災気象情報の改善について」(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/keiho-update2026/pdf/outline_info2026.pdf/2026年9月1日確認)。右端の列のみ当サイトによる整理です。
混同しやすい2つの名前
2026年5月29日から、防災気象情報の名称にレベルの数字が付きました(例:レベル4大雨危険警報)。移行作業は5月28日13時から行われ、河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の4区分が対象です。
一方で、市町村が発令する「警戒レベル」そのものの名称は変わっていません。レベル3=高齢者等避難、レベル4=避難指示、レベル5=緊急安全確保という対応は、令和3年5月20日の改正以降そのままです。名前が変わったのは気象庁が出す情報の側、と覚えてください。
出典: 国土交通省・気象庁「防災気象情報の改善について」(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/keiho-update2026/index.html/2026年9月1日確認)、内閣府(防災担当)「避難情報に関するガイドライン」令和8年3月改定(https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinanjouhou/r3_hinanjouhou_guideline//2026年9月1日確認)
レベルそのものの意味、レベル4までに避難する理由、2026年5月に変わった情報名の詳しい対応表は警戒レベル1〜5でいつ動く?レベル4までに避難する理由と、2026年5月に変わった情報名で扱っています。マイ・タイムラインを書くうえで必要なのは、レベル4(避難指示)までに避難を終えるという一点だけです。
ステップ3|各段階に「誰が・何をする」を書き込む
ここからが本体の作業です。コツは、上から順に埋めないこと。「移動を終える時刻」を先に決めて、そこから上へさかのぼると、途中の行が自動的に決まります。夕方までに避難所へ着くと決めたなら、その前に荷物が要る。荷物が要るなら、前日までに買い物が終わっていなければならない。この連鎖で埋まります。
各行に書く中身は、それぞれ独立した準備です。買い物の行に書く品目と売り切れる順番は台風前に買っておくもの|売り切れる順の買い物リストに、上陸の3日前・前日・当日という時系列での動き方は台風に備える備蓄リスト|上陸3日前・前日・当日にやることを時系列でにまとめてあります。この2本を開きながら自分の表の行へ落とし込むのが、いちばん早い進め方です。
「移動する」の行では、履くものも書き添えてください。長靴で歩き出して失敗する例は多く、国土交通省はひも付きの運動靴を示しています。歩ける水深の目安とあわせて災害時の靴は長靴でいい?国土交通省が示す「ひも付き運動靴」と歩ける水深の目安で確認できます。表に「靴」の2文字があるだけで、当日の判断が1つ減る。
備蓄を何日分と書くかも、この段で決めます。勘で置くのではなく、電気・水道・ガスがどの順でどのくらいの日数で戻るかという実績から逆算するのが筋です。一次資料で確認できた復旧日数は電気・水道・ガスはどの順で戻る?一次資料で確認できた復旧日数と、備蓄を何日分にするかの決め方にあります。
「逃げない」を選ぶ行もある
マイ・タイムラインは避難所へ行く前提の表ではありません。自宅が浸水想定区域の外にあり、建物が丈夫で、水と電気の備えがあるなら、動かない選択が合理的な場合もあります。その判断の条件と、人数×日数で必要量を出す早見表は在宅避難の準備リスト|成立する3つの条件と、人数×日数でわかる水・トイレの必要量早見表にまとめました。
ただし、留まると決めた表にも「引き返す条件」の行は要ります。道路が冠水し始めたら、その先は動けません。国土交通省の資料に引かれた調査では、警戒レベル4の避難情報が出たときの回答が割れています。
全体で53%が「すぐに避難する」と回答、45%は「すぐには避難しない」と回答(2019年、N=2,437)
出典: 国土交通省「水害・土砂災害における被害と防災情報について」(出典は放送研究と調査2020.4、NHK放送文化研究所調査)(https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/bousaiyougo/dai02kai/pdf/dai02kai_siryou1.pdf/2026年9月1日確認)
2人に1人近くが、避難指示を受け取っても動かないと答えている。意思の弱さの話ではなく、「動く条件」を事前に決めていないと人は動けないことの裏返しです。表を書く価値は、まさにその1行にあります。
家族分の枚数は世帯構成で決まる
枚数とは、1つの家庭で作るマイ・タイムラインの表の数のことです。ここは公式に答えが用意されていない論点で、国や自治体が「◯枚と定めている」という決まりはありません。以下は当サイトの判断です。軸は1つだけ、同じ時刻に別々の場所で別々の行動をとる人がいるかどうか。
| 世帯の構成 | 枚数の目安(当サイトの判断) | 分ける理由 |
|---|---|---|
| 単身 | 1枚 | 行動する人が1人。分ける理由がない |
| 夫婦2人(どちらも自力で避難できる) | 1枚(担当欄を2列に) | 動くタイミングが同じ。誰がやるかを列で分ければ足りる |
| 子育て世帯 | 2枚(大人用・子ども用) | 平日の日中、子どもは学校や園にいる。居場所が違えば行動も別になる |
| 高齢者・要配慮者と同居 | 2枚(本人用・その他の家族用) | 警戒レベル3「高齢者等避難」で動く人と、レベル4で動く人はスタート時刻が違う |
| ペットと同居 | 枚数は増やさず、各行に「ペット」の欄を足す | 同行避難の可否は自治体で扱いが異なるため、事前確認の行を追加する |
高齢者と同居する家庭を2枚に分ける根拠は、制度の側にあります。警戒レベル3の行動は次のように定められています。
避難に時間のかかる高齢者等の要配慮者は立退き避難する。その他の人は立退き避難の準備をし、自発的に避難する。
出典: 内閣府(防災担当)「避難勧告等に関するガイドラインの改定~警戒レベルの運用等について~」(平成31年3月)(https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/pdf/guideline_kaitei.pdf/2026年9月1日確認)
枚数を増やすほど良い、という話ではありません。3枚を超えると、当日に全部を確認する人がいなくなります。迷ったら1枚にまとめて、担当の列を増やしてください。
記入済みの完成サンプル|架空の4人世帯で2枚に分けた例
完成サンプルとは、空欄のシートではなく、行動まで書き終えた状態の表のことです。以下は説明のために設定した架空の世帯で、実在の家庭の記録ではありません。設定は「夫婦+小学生の子ども1人+同居の高齢の母、川の近くの平屋建て、ハザードマップで自宅が浸水想定区域の中に入っていた」。高齢者と同居しているので、前の章の整理にしたがって2枚に分けています。
表A:大人と子ども(レベル4までに全員が家を出る組)
| タイミング | そのとき出ている情報 | 担当 | 書き込んだ行動 |
|---|---|---|---|
| 5日前 | 早期注意情報(警戒レベル1相当) | 夫 | 避難先と経路をハザードマップで再確認して家族に伝える。車の燃料を満たす。職場に早退の可能性を伝える |
| 3日前 | 気象解説情報 | 妻 | 買い物リストの品を買い足す。子どもの上履き・体操着を家に持ち帰らせる |
| 2日前〜前日 | 時系列情報 | 夫婦 | ベランダと庭の物を室内へ。スマホとモバイルバッテリーを満充電に。風呂に水をためる。荷物を玄関にまとめる |
| 12時間前〜数時間前 | 警戒レベル相当情報(レベル3氾濫警報など) | 妻+子ども | 子どもを連れて先に避難先へ移動。ひも付きの運動靴に履き替える。夫に到着の連絡 |
| 3時間前〜直前 | キキクル、気象防災速報 | 夫 | レベル4(避難指示)が出たら家を出る。出ていなくてもキキクルが危険域なら出る。ブレーカーとガスの元栓を落とす |
| 現象発生時 | 警戒レベル5相当情報 | ― | この時刻には全員が家にいない状態が正しい。残っていたら、その場で命を守る最善の行動(緊急安全確保)をとる |
表B:高齢の母(レベル3で先に動く組)
| タイミング | そのとき出ている情報 | 担当 | 書き込んだ行動 |
|---|---|---|---|
| 3日前 | 気象解説情報 | 母 | 常用薬・お薬手帳・眼鏡・入れ歯の洗浄用品を1つの袋にまとめる |
| 2日前〜前日 | 時系列情報 | 母+妻 | 避難先までの移動手段を決める(徒歩か、車で送るか)。送るなら誰が運転するかを決めて本人に伝える |
| 12時間前〜数時間前 | レベル3氾濫警報など(高齢者等避難) | 母 | この時点で家を出る。レベル3相当の情報が出た段階で移動を始める |
母の「家を出る」行が、夫のそれより1段階早い位置にあります。これが2枚に分ける実益です。1枚にまとめると全員が同じ時刻に動く前提になり、いちばん時間がかかる人が最後に取り残されます。
なぜここまでして早く出す形にするのか。国土交通省の資料に引かれた調査では、水害・土砂災害の犠牲者のうち避難行動をとっていなかった人が約9割にのぼります(1999〜2018年・N=1,259。行動あり106人、行動なし1,121人、不明32人)。10人のうち9人が、動く前に被災していた計算です。一方で、避難行動をとったにもかかわらず被災した人も約1割いる。つまり「早く動く」だけでなく「明るいうちに動き終える」ところまでが表の役割ということです。
様式の選び方は3つの質問で決まる
様式とは、記入するシートそのもののこと。無料で入手できるものが複数あり、選び方で作業のしやすさが変わります。ここで誤解が多いのが「逃げキッド」です。正式名称は「小中学生向けマイ・タイムライン検討ツール ~逃げキッド~」で、対象は小中学生。学校の授業や防災教育での活用が想定されたツールであり、大人が自分用に使う主力ツールではありません。
学校の授業や防災教育などでご活用ください/上記をダウンロードの上、ご自由にご使用ください
出典: 国土交通省 関東地方整備局 下館河川事務所「小中学生向けマイ・タイムライン検討ツール ~逃げキッド~」(https://www.ktr.mlit.go.jp/shimodate/shimodate00626.html/2026年9月1日確認)
ダウンロードは無料ですが、商標登録があり商業利用は原則できません。大人が使うなら、一般向けの「マイ・タイムライン検討ツール」が用意されています。河川財団のページで配布されており、2026年5月29日から運用が始まった新しい防災気象情報に対応するため2026年5月27日に更新されました。古い様式は差し替えたほうがよい、ということです。

| 質問 | 答えがはいのとき | 選ぶもの |
|---|---|---|
| 市区町村が独自の様式を配っているか | 自治体の様式を優先 | 自治体オリジナル様式(地域の川の名前・避難先が入っていることが多い) |
| 作る人は小中学生か | 学習用のツールを使う | 小中学生向けマイ・タイムライン検討ツール「逃げキッド」 |
| 大人が自分と家族の分を作るか | 一般向けの最新版を使う | マイ・タイムライン検討ツール(2026年5月27日更新版) |
出典: 河川財団「マイ・タイムライン検討ツールを更新しました」(https://www.river.or.jp/jigyo/my-timeline_download.html/2026年9月1日確認)
紙が苦手なら、自治体のデジタル版という選択肢もあります。「東京マイ・タイムライン」は平成30年7月豪雨等を踏まえ、東京都総務局総合防災部防災計画課が「風水害に関する知識の習得とマイ・タイムラインの作成ができる材料を一式にまとめた」ものとして作られました。アプリ版は令和6年5月24日に更新され、5月27日から「マイ・タイムライン辞典」機能が加わっています。気象の専門用語を動画と解説文で調べられ、やさしい日本語・英語・中国語・韓国語の4言語に対応します。
出典: 東京都防災ホームページ「東京マイ・タイムラインとは」(https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/mytimeline/1012169.html/2026年9月1日確認)、同「アプリ版東京マイ・タイムライン」(https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/topics/1000019/1029124/1029963.html/2026年9月1日確認)
書き終えた表は家族に配って年1回見直す
共有とは、表の存在と置き場所を家族全員が言えるようにすることです。冷蔵庫に貼るだけでは足りません。当日、家族はバラバラの場所にいる可能性が高いから。スマホで撮って各自の端末に入れておく、この一手間で表が動きます。
- 紙は玄関か冷蔵庫。当日いちばん通る場所に貼る
- 写真に撮って、家族それぞれのスマホに保存する
- 「誰が」の欄が空白の行がないか、配る前に読み返す
- 避難先の名前と経路を、全員が言えるか確認する
- 年1回、台風シーズンの前に読み返して直す
配るときに家族を集めるなら、進行の型が決まっているほうが早く終わります。決める項目と書き込み式のシートは家族の防災会議のやり方|9月1日までに30分で決める5つのことと書き込み式シートにあるので、この表をその場の議題として持ち込むのがおすすめです。
この記事が当てはまらないケース
マイ・タイムラインは万能の計画表ではありません。次の場合、この記事の手順をそのまま当てはめると判断を誤ります。
- 地震への備えを探している場合:マイ・タイムラインは、台風の接近で河川の水位が上がる過程を前提にした表です(国土交通省 関東地方整備局の定義)。前触れのない地震には、5日前から逆算する構造がそのまま使えません
- 土砂災害のリスクが主な場合:時間の目盛りは共通して使えますが、避難先と経路の考え方が変わります。市町村の土砂災害の資料を優先してください
- すでに雨が降っている場合:表を作るのは晴れている日の作業です。今まさに情報が出ているなら、作表より先に市町村の避難情報を確認して動いてください
- 自治体が独自の様式と記入例を配布している場合:地域の川の名前や避難先が最初から入っているぶん、そちらが早く正確に埋まります
警戒レベル5「緊急安全確保」は、市町村が状況を確実に把握できるとは限らないため、必ず発令される情報ではないと公式に整理されています。レベル5を待つ前提の表を作らないでください。出典: 国土交通省・気象庁「防災気象情報の改善について」(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/keiho-update2026/pdf/outline_info2026.pdf/2026年9月1日確認)
台風対策を場所別に整理する
よくある質問
マイ・タイムラインは、いつ作るのがよいですか
雨が降っていない日です。ハザードマップを開いて自宅の位置を探し、家族の予定を確認する時間が要るので、情報が出てからでは間に合いません。一般向けの検討ツールが2026年5月27日に更新されているため、古い様式で作ったまま放置している人も作り直しどきです。
「マイタイムライン」と「マイ・タイムライン」はどちらが正しいですか
公式表記は中黒ありの「マイ・タイムライン」です。国土交通省、関東地方整備局、東京都防災ホームページなど、確認できた公式ページはいずれもこの表記で統一されています。検索は中黒なしでも同じ情報にたどり着けます。
逃げキッドを大人が使ってはいけないのですか
使ってはいけない、という決まりは示されていません。ただし正式名称が「小中学生向けマイ・タイムライン検討ツール ~逃げキッド~」であるとおり、想定されているのは学校の授業や防災教育での活用です。大人が自分と家族の分を作るなら、一般向けの「マイ・タイムライン検討ツール」のほうが生活に合います。なお無料でダウンロードできますが、商標登録があり商業利用は原則できません。
家族が協力してくれない場合はどうすればよいですか
まず自分の分だけ1枚作り、完成した表を見せてください。空欄のシートを渡して「書いて」と頼むより、記入済みの1枚で「あなたの行はここ」と示すほうが早く進みます。警戒レベル4の避難情報が出ても45%が「すぐには避難しない」と答えた調査があるとおり、動く条件が言葉になっていないと人は動けません(国土交通省資料、原典は放送研究と調査2020.4)。
ここに書いた数値・制度は、2026年9月1日時点で国土交通省・気象庁・内閣府・東京都の公式ページで確認できたものです。防災気象情報の名称は2026年5月29日に変わったばかりなので、古い解説記事と食い違って見えたら発表元の日付を確認してください。
まとめ|今日やることは1つ、時間の目盛りを引くこと
いちばん手が止まるのは「何を書けばいいか分からない」ところです。逆に言えば、表の左端に6段階の目盛りさえ引いてしまえば、残りは家族の予定を思い出すだけの作業になります。今日やることは1つ、その目盛りを引くところまで。
- 紙を1枚用意して、左端に6段階を書く5日前/3日前/2日前〜前日/12時間前〜数時間前/3時間前〜直前/現象発生時。この6行が骨格です。
- 下から2番目の行に「家を出る」と書く警戒レベル4(避難指示)までに避難を終えるのが公式の趣旨。ゴールを先に置くと、上の行が決まります。
- 上へさかのぼって、買い物・充電・片づけ・連絡を埋める埋まらない行は空欄で構いません。ハザードマップと家族の予定を確認してから、後日埋めれば足ります。
骨格ができたら、世帯の構成にあわせて枚数を決め、家族に配る。表は完璧である必要はありません。当日に「次は何をするんだっけ」と考える回数を1回減らすこと、それがこの1枚の役目です。
