防災の電源は「乾電池→モバイルバッテリー→ポータブル電源→発電機・太陽光」の4段階で選ぶ
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防災の電源の4段階とは、停電中に使う電気を、小さく手軽に備えられるものから順に「乾電池」「モバイルバッテリー」「ポータブル電源」「発電機・太陽光」と積み上げていく考え方です。選ぶときの軸は2つしかありません。止めたくない機器は何か、そして停電が何日続く前提で備えるか。この2つが決まれば、何段目まで積めばいいかは自然に決まります。
停電の長さには、想像以上の幅があります。資源エネルギー庁によると、2019年の房総半島台風では最大約93万戸が停電し、ピーク時と比べて99%が解消するまでに約280時間かかりました。日数にするとおよそ12日です。その一方で、夜の明かりとスマホの充電さえ確保できれば困らない家なら、段階1と段階2だけで足ります。
つまり「大きなポータブル電源を1台買えば安心」とは限らない、ということ。3日を超えても動かしたいコンセントの家電(扇風機・電気毛布など)がある家は段階3まで、屋外に発電機の置き場所や屋根の太陽光がある家は段階4まで。どこで止めるかは、家ごとに違って当然です。
この記事でわかること
- 停電がどれくらい続くのか(房総半島台風の約280時間、能登半島地震の発生約6日半後も石川県で約18,000戸)
- 段階ごとに「何が何時間動くか」の早見表と、自分で計算するための式
- 乾電池・モバイルバッテリー・ポータブル電源・発電機/太陽光それぞれの選び方と、詳しい解説記事
- 自分の家が何段目まで積めばいいかを決める判定フロー
4つの段階は、それぞれ守る物が違います。乾電池は明かりとラジオ、モバイルバッテリーはスマホの通信、ポータブル電源はコンセントで動く扇風機や電気毛布、発電機と太陽光は燃料や日照がある間の家電。下の図のように「段階」と「守る物」を1対1で覚えておくと、売り場で迷いにくくなります。

停電は数時間で終わるとは限らず、房総半島台風では99%解消まで約280時間かかった
ここでいう長期停電とは、電柱や配電設備が壊れるなどして、復旧までに数日以上かかる停電のことです。雷や設備トラブルによる停電は数時間で戻ることも多いのですが、台風や地震で設備そのものが被害を受けると、話が変わります。
資源エネルギー庁の「台風と電力〜長期停電から考える電力のレジリエンス」(2020年1月23日公開)は、2019年の房総半島台風(台風15号)について、停電被害は最大約93万戸で、2018年に近畿地方をおそった台風21号(最大約240万戸)には戸数でおよばないものの、千葉県を中心に停電が長期化したと説明しています。台風15号で破損・倒壊した電柱は1,996本で、台風21号の1,343本の約1.5倍でした。
約280時間を暮らしの感覚に直すと、月曜日の朝に始まった停電が、翌週の金曜日まで続く長さです。冷蔵庫の中身も、スマホの充電も、1日や2日の工夫ではとても持ちません。停電した戸数が少なくても、壊れた設備が多ければ長引く、というのがこの事例から読み取れることです。
2024年の能登半島地震も、同じ傾向を示しています。経済産業省の発表「令和6年能登半島地震に伴う被害について(1月8日(月曜日)10:30時点)」では、石川県で約18,000戸の停電が続いていました。内訳は輪島市約7,500戸、珠洲市約6,400戸、能登町約2,100戸、穴水町約1,600戸、七尾市約340戸ほか。原因は送電線や変電所ではなく、配電設備の損傷によるものとされています。地震の発生は1月1日16時10分なので、およそ7日弱(6日と18時間ほど)たった時点の数字です。
| 災害 | 停電の規模 | 長さ・時点 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2019年 房総半島台風(台風15号) | 最大約93万戸 | 99%解消まで約280時間(約12日) | 資源エネルギー庁 |
| 2024年 能登半島地震 | 石川県で約18,000戸 | 発生から約6日半後(1月8日10:30時点) | 経済産業省 |
では、国は家庭に何を備えるよう呼びかけているのでしょうか。内閣府の防災情報のページ「家庭における地震時等の停電対策について」(2026年9月14日確認)は、家庭のチェック項目として次のような備えを挙げています。
- 停電時に作動する足元灯や懐中電灯などを準備している
- 家電製品が使えない状況を想定して、調理手段などを備える
- 暖(涼)をとる手段を備える
- 電力供給が必要な家庭用医療機器などを使っている場合は、予備バッテリーや代替手段を備える
- 停電による給水ポンプの停止などで起こる断水に備える
このページは「懐中電灯」「予備バッテリー」という一般的な言い方にとどまり、乾電池・モバイルバッテリー・ポータブル電源といった製品の種類までは踏み込んでいません。方向は国が示し、どの電源をどれだけ積むかは家庭で決める部分として残されている、ということです。そこで次の節では、その「どれだけ」を数字で見積もる早見表を作りました。
何が何時間動くかは「容量Wh×0.8÷消費電力W」で見積もれる
段階ごとの早見表とは、電源の容量(Wh=ワット時)と機器の消費電力(W=ワット)から、その機器を何時間動かせるかを当サイトが概算して並べたものです。特定の商品を比べる表ではなく、「この段階の容量帯なら、この機器がこれくらい動く」という目安をつかむために使います。
当サイトの計算式:使える時間(時間)=容量(Wh)×0.8÷消費電力(W)
表示どおりの容量をまるごと取り出せるわけではないため、2割を差し引いて計算しています(ポータブル電源の容量を解説した当サイトの記事と同じ係数です)。
計算の過程の例:250Wh×0.8=200Wh、200Wh÷55W≒3.6時間(小数第2位以下は切り捨て)
機器の消費電力は、Jackery Japan公式の製品ページ(2026年9月14日確認)が稼働時間の試算に使っている値をそのまま借りました。LEDライト5W、扇風機15W、電気毛布55Wです。スマホの充電回数は、エレコム公式が示す「10000mAhで3000mAhのスマートフォンを約1.9回」という実例と、Jackery公式の「256Whでスマートフォン約11回」という試算を参考値として載せています。
| 段階(容量の想定) | LEDライト(5W) | 扇風機(15W) | 電気毛布(55W) | スマホの充電 |
|---|---|---|---|---|
| 段階1 乾電池・手回し/蓄電ラジオ | 式は使わず、懐中電灯やラジオなど機器ごとに表示されている持続時間で見る | |||
| 段階2 モバイルバッテリー(10,000mAh級=38.5Wh) | 約6時間 | 約2時間(USB給電の機種) | 対象外(コンセントの出力がない) | 約1.9回(3,000mAhのスマホ・メーカー公表例) |
| 段階3 ポータブル電源(250Wh級) | 約40時間 | 約13時間 | 約3.6時間 | 約11回(256Whのメーカー試算) |
| 段階3 ポータブル電源(500Wh級) | 約80時間 | 約26時間 | 約7.2時間 | 250Wh級のおよそ2倍が目安 |
| 段階4 発電機・太陽光 | 燃料や日照がある間は補充しながら使うため、容量で区切らない | |||
※時間は「容量Wh×0.8÷消費電力W」で当サイトが概算した値です。10,000mAh級の38.5Whは、エレコムの表記(3.85V/5000mAh×2=38.5Wh)を例にWhへ直したもの。Jackery公式の256Whの試算では扇風機(15W)約16時間、電気毛布(55W)約3.7時間となっていて、メーカーの試算と当サイトの式で数字が変わる機器もあります。この表は短めに出る側の見積もりとして使ってください。
表を暮らしに置き換えてみます。寝苦しい夏の夜に扇風機を8時間回すなら、250Wh級で1晩はしのげても、2晩目は充電し直さないと届きません。冬に電気毛布を一晩(8時間)使うなら、250Wh級では半分にも届かず、500Wh級でようやく7時間ほど。ちょうど「寝ている間ずっと」に近い長さです。
もうひとつ見えてくるのは、スマホの充電だけならポータブル電源は大げさだという点です。モバイルバッテリーを家族の人数分そろえるほうが、軽くて扱いやすい。なお、mAhの表示はそのまま式に入れられないので、比べるときはWhの表記を見てください。
段階1の乾電池は、明かりとラジオを充電切れの心配なしに守る
段階1とは、乾電池と、手回しやソーラーで自分で電気をつくれる小型の機器で、明かりと情報(ラジオ)を確保する段階です。いちばん安く、いちばん長く保存でき、停電した瞬間から使えます。
夜に停電すると、多くの人はまずスマホのライトで足元を照らします。ところが、そのまま懐中電灯や電池を探し回るうちに、翌日の連絡に使いたいスマホの電池がみるみる減っていく。内閣府が「足元灯や懐中電灯」をチェック項目の最初に置いているのは、こうした場面を避けるためだと読めます。明かりを乾電池に任せれば、スマホの電池は通信のためだけに残せます。
乾電池の本数は、家族の人数から決めるより、家にある機器を単1〜単4のサイズ別に棚卸しして積み上げる乾電池の備蓄方法のほうが確実です。懐中電灯は単1、ラジオは単3、というように家の中でサイズがばらけていると、「本数はあるのに合う電池がない」ことが起こるからです。
- 懐中電灯・ランタンは何形の電池を何本使うか
- ラジオは何形の電池を何本使うか
- 手回し・蓄電ラジオが乾電池でも動くか
- 予備の電池は機器と同じ場所に置いてあるか
パナソニックの乾電池「エボルタNEO」の単3形(型番LR6NJ)は、シリーズの公式ページで「10年保存可能」と表示されています。注釈によると、これは単1形〜単4形についての製造後の保存期間で、自社基準、保存条件は温度20℃・相対湿度55%です。パナソニック自身も防災用のストックに触れており、ラジオや小型ライトに多い単3形をまとめて置いておく段階1の用途に合います。保存期間の条件は温度と湿度つきなので、高温になる場所を避けて保管する前提で、普段使うモールで本数や仕様を確認しておくと選びやすいです。
明かりとラジオを1台にまとめたいなら、クマザキエイムの「Solpa 手回し/ソーラー蓄電ラジオ【チャージオ ラムダ】SL-091」が段階1と段階2のつなぎになります。公式の仕様表では、内蔵リチウムイオン充電池3.7V/4000mAh、手回し・ソーラー・USB・乾電池(単4形3本)の4WAY充電、USB-A出力(定格5V/1A)、AM/FMラジオ(ワイドFM対応)、LED懐中電灯1W(30ルーメン相当)、SOSアラーム、防水等級IPX-3、質量約490g(乾電池含まず)。満充電でラジオ・ライトは約18〜20時間使え、スマホの充電は1回分です。電気が尽きても手回しや乾電池で動かせる点が、電池切れを避けたい段階1に向いています。
ただし、スマホの充電は満充電で1回分という公表値のとおり、この種の機器を通信の主力にするのは無理があります。手回し充電はスマホには力不足でもラジオとライトを絶やさない道具として実用的、という検証記事でも、優先順位は乾電池→モバイルバッテリー→手回しの順としています。スマホは次の段階2で守りましょう。
段階2のモバイルバッテリーは、スマホの通信を3日つなぐ役を担う
段階2とは、充電式のモバイルバッテリーで、スマホの通信を数日つなぐ段階です。災害の情報、家族との連絡、地図、決済。停電中にスマホが担う役割は多く、ここが途切れると判断そのものができなくなります。
当サイトの防災用モバイルバッテリーの選び方(1人1台20,000mAhクラスを3日分、複数台に分散)では、1台に家族全員分を詰め込むより、人数分に分けて持つことを基本にしています。1台だと、誰かが避難所に持って行った瞬間に家の電源がゼロになるからです。
Ankerの「Anker Power Bank (20000mAh, 30W)」(型番A1384)は、Anker Japan公式ページで容量20000mAh、最大出力30W、最大入力30W、サイズ約153×71×28mm、重量約462gと公表されています。USB-A出力は最大18W、複数ポートを同時に使うときは合計最大24Wです。1人1台20,000mAhクラスという段階2の基準にそのまま当てはまり、入力も最大30Wなので停電前に満充電へ戻す時間を短くしやすい。重さは500mlのペットボトル1本より軽いくらいで、非常用持ち出し袋にも入れやすいサイズです。普段使うモールで色や付属ケーブルを確認しておくと安心です。
もう少し軽いものを家族の人数分そろえたい場合は、エレコムの「EC-C61MN」が候補になります。エレコム公式の仕様表では、容量10000mAh(電池定格容量3.85V/5000mAh×2=38.5Wh)、電池の種類は充電式半固体リチウムイオン電池、くり返し使用回数2000回、重量約220g、USB Type-C最大35W、USB-A最大22.5W、PSE適合。先の早見表で使った「3000mAhのスマホを約1.9回」はこの製品の公表例です。約220gと軽く、子どもや高齢の家族にも1台ずつ持たせやすいので、「複数台に分散」という段階2の考え方に合います。
ソーラーパネル付きのモバイルバッテリーを検討している人もいるかもしれません。ソーラー一体型モバイルバッテリーは非常用の最後の一押しという解説記事のとおり、まずはコンセントで満タンにしたモバイルバッテリーを優先し、ソーラーは減った分を少し足す補助として考えるのが現実的です。
そして、しまい込んだバッテリーは少しずつ劣化します。モバイルバッテリーの交換時期は年数ではなく膨らみ・発熱・充電の持ちの3兆候で判断する記事にあるように、年1回の点検を習慣にしておくと、いざというときに「使えない」を防げます。
リチウムイオン電池の製品は、NITEの3つのポイントで火災事故を避ける
リチウムイオン電池搭載製品とは、モバイルバッテリーやポータブル電源、蓄電式のラジオのように、充電して繰り返し使う電池を内蔵した製品のことです。段階2と段階3の電源はほぼすべてこれに当たります。便利な反面、扱い方を誤ると火災につながる点は知っておく必要があります。
製品評価技術基盤機構(NITE)が2025年6月26日に発表した資料によると、2020年から2024年までの5年間に、リチウムイオン電池搭載製品の事故は1860件ありました。そのうち約85%にあたる1587件が火災事故に発展しています。事故は春から夏にかけて気温の上昇とともに増える傾向があり、6月〜8月にピークを迎えるとされています。
5年で1860件は、1日あたりほぼ1件のペースです。しかも夏に増える。防災用の電源は「使わない日のほうが長い」道具なので、夏の車内や日の当たる窓際に非常用袋ごと置きっぱなし、という保管のしかたこそ見直す価値があります。
NITEが示す火災事故を防ぐ3つのポイント(要約)
1. 正しく購入する:確かなメーカーの製品か、リコール対象になっていないかを確認する
2. 正しく使用する:高温の場所に放置しない、強い衝撃を与えない
3. 正しく対処する:膨らみや発熱など異常に気づいたら使用を中止する。発火したときは大量の水で消火し、119番通報する
1つ目の「正しく購入する」は、価格の安さだけで選ばない、という意味でもあります。メーカー名と型番が公式ページで確認でき、仕様が公表されている製品を選ぶこと。この記事で紹介する製品は、いずれもメーカー公式ページで仕様を確認したものに限っています。
段階3のポータブル電源は、コンセントの家電を数時間〜一晩動かす
段階3とは、家庭用コンセントと同じAC出力を持つ大容量の蓄電池(ポータブル電源)で、扇風機や電気毛布などの家電を動かす段階です。スマホの充電にとどまらず「家電を止めたくない」家で、はじめて必要になります。
逆にいえば、困りごとがスマホの充電くらいなら出番はありません。在宅避難でスマホ充電程度ならポータブル電源は不要でモバイルバッテリーで足りる、という判断記事を先に読んでおくと、要らない買い物を避けられます。
必要な家なら、選ぶときに見る数字は2つです。容量(Wh)は「何時間動くか」、定格出力(W)は「どれだけ大きな家電を動かせるか」。水にたとえると、容量はタンクの大きさ、定格出力は蛇口の太さにあたります。タンクが大きくても蛇口が細ければ大きな家電は動かず、蛇口が太くてもタンクが小さければすぐ空になります。
容量の決め方は当サイトの計算記事で
・自宅の家電ラベルの「W×使用時間÷0.8」で容量を逆算する方法
・「消費電力×使用時間×停電日数」で必要容量を出してから選ぶ手順
家電ごとの具体例も用意しています。冬なら電気毛布1枚を一晩使うための容量を「W×8時間÷0.8」で出す記事、夏なら停電時の扇風機をW数と電源条件から選び、駆動時間を逆算する記事が参考になります。電気毛布は設定温度を下げれば必要な容量も小さくできる、というのは知っておいて損のない話です。ネット回線については、限られた電源ではWi-Fiルーターの維持よりスマホ充電を優先する考え方をまとめています。
Ankerの「Anker 535 Portable Power Station (PowerHouse 512Wh)」は、Anker Japan公式ページで容量512Wh、定格出力500W、瞬間最大出力750W、重量約7.6kg、電池はリン酸鉄リチウムイオン電池、サイクル寿命3000回(80%以上維持)と公表されています。早見表の500Wh級にあたり、電気毛布(55W)なら当サイトの式で約7.2時間、扇風機(15W)なら約26時間。「冬の一晩」「夏の丸1日」を1台で見込みたい家の段階3に向いた容量帯です。重さは2Lのペットボトル4本弱ほどあるので、置き場所から使う部屋まで運べるかを含めて、普段使うモールで寸法を確認しておきましょう。
持ち運びやすさと太陽光での補充を両立したいなら、Jackery Japanの「Jackery Solar Generator 240 New 40 Mini」があります。ポータブル電源本体と40WのソーラーパネルSolarSaga 40 Miniのセットで、公式ページでは本体の容量256Wh、定格出力300W、重量約3.6kg、電池はリン酸鉄リチウムイオン電池、充放電サイクル約4000回(4000回使用後も出荷時の70%の容量を維持)。フル充電の時間はAC急速充電で1時間、付属の40W Miniパネルで11時間と公表されています。約3.6kgと500Wh級の半分以下の重さで、扇風機や小型ライトを中心に使いたい家、ベランダで少しずつ補充したい家の段階3に合います。セット内容や保証(基本3年+登録で2年延長の5年)も含めて、普段使うモールで確認しておくと比べやすいです。
このセットの11時間という数字は、付属パネルだけで空から満タンにする場合の公表値です。日中の数時間で満タンに戻す、という使い方には長い数字なので、停電前にコンセントで満充電しておき、パネルは減った分を足す役に回すのが無理のない使い方でしょう。
段階4の発電機・太陽光は、置き場所と日照がある家だけが使える
段階4とは、カセットガス発電機や住宅の太陽光発電のように、燃料や日光から電気をつくり続けられる電源の段階です。容量が尽きたら終わりの段階1〜3と違い、補充しながら長期の停電に向き合えるのが特徴です。ただし、どの家でも使えるわけではありません。
カセットガス発電機は、排気ガスを屋外へ安全に逃がせる置き場所があって、はじめて運転できます。屋外の置き場所がなければ買っても運転できないので購入を見送るべき、とするカセットガス発電機の記事のとおり、集合住宅のベランダや、隣家と近い住宅地では条件が合わないことがあります。
屋根に太陽光発電がある家も、停電した瞬間に自動で家の電気がつくわけではありません。太陽光は停電時にパワコンを手動で自立運転に切り替える必要があり、日中しか使えないという解説にあるとおり、日没とともに止まります。夜の明かりと通信は、結局、段階1〜3に頼ることになります。
段階4を検討する前に確認すること
- 発電機の排気ガスを屋外へ安全に逃がせる置き場所があるか
- 太陽光がある家は、自立運転への切り替え手順を知っているか(停電時は手動・日中のみ)
- 後付けのソーラーパネルを考えるなら、ベランダの方角・日照時間・設置面積はどうか
- 夜の分の電気(段階1〜3)はすでに確保できているか
ポータブル電源用のソーラーパネルを足すかどうかは、ソーラーパネルの要不要は製品ではなくベランダの方角・日照時間・設置面積で決まる、という判断記事で自宅の条件から確かめてください。前の節のJackeryのセットのように、段階3に小さなパネルを組み合わせるのは、段階4の入り口にあたる選び方です。
何段目まで積むかは「3日を超えても動かしたい電気の機器」があるかで決まる
判定フローとは、家の条件を上から順に答えていくことで、電源を何段目まで積むかを決めるための当サイトの手順です。境目を「3日」に置いたのは、段階2のモバイルバッテリーを「3日分」で備える考え方に合わせたためです。房総半島台風のように約12日続く停電もあるので、3日を超えて止めたくない機器があるかどうかが、段階3に進むかの分かれ目になります。
電源の段階は、容量の大きさで選ぶものではありません。「停電が3日を超えても動かしたい電気の機器があるか」で、段階1・2で止めるか、段階3以上に進むかが決まります。
| 順番 | 問い | はい | いいえ |
|---|---|---|---|
| 1 | 電気で動く家庭用医療機器(在宅医療機器)を使っている家族がいるか | 電源を買い足す前に、在宅医療機器の停電対策(機器の型番確認と、供給業者・訪問看護などとの連絡体制づくりが先)へ。医療的な判断は主治医や機器の供給業者に相談する | 2へ |
| 2 | オール電化の住まいか | オール電化の停電対策(電気を貯める手段と、カセットコンロや乾電池の明かりなど電気を使わない手段を並行して持つ)を確認してから3へ | 3へ |
| 3 | 停電が3日を超えても動かしたい電気の機器があるか | 4へ(段階3以上を検討) | 段階1・2を厚くする(乾電池の棚卸し+モバイルバッテリーを人数分) |
| 4 | その機器はコンセント(AC)で動くか | 段階3:機器のW数と使いたい時間から、早見表の式で容量を計算して選ぶ | USB給電の機器なら、段階2の台数や容量を増やすことから考える |
| 5 | 1週間を超えても使いたく、発電機の屋外の置き場所か太陽光の条件があるか | 段階4を検討する(夜の分は段階1〜3で確保) | 段階3で止める |

フローの1番と2番を先に置いたのには理由があります。在宅医療機器を使っている家は、どの電源を買うかより先に、機器の型番とメーカーが示す停電時の対応、連絡先を確かめることが優先されるからです。オール電化の家は、調理もお湯も電気に頼っているぶん、電源を貯めることだけで解決しようとすると必要な容量が膨らみます。
向かない人・デメリット:電源を積んでも熱と明かりと水は別に要る
電源のデメリットとは、電気を「貯めて使う」ことにともなう重さ・劣化・手間と、電気では解決しにくい困りごとが残る点のことです。4段階を積めば停電中の暮らしがすべて元どおりになる、というわけではありません。
まず重さ。500Wh級のAnker 535は約7.6kgあり、2Lのペットボトル4本弱を片手で運ぶ感覚です。エレベーターが止まった集合住宅の上の階や、力仕事が負担になる世帯では、置き場所から使う部屋まで運ぶこと自体が難しい場合があります。重いものを1台より、軽いものを複数、という考え方のほうが合う家もあるでしょう。
次に手間。充電式の電源は、しまい込んでいる間にも減り、少しずつ劣化します。年に1回は充電して状態を見る、という手間を続けられないなら、高価な段階3より、保存期間の長い乾電池を中心に組み立てるほうが確実です。
こんな人・家は、段階3・4を急いで積まなくてよい(または向かない)
- 停電中に困るのがスマホの充電と明かりくらいの人(段階1・2で足りる)
- 年1回の充電・点検を続ける自信がない人(乾電池中心のほうが確実)
- 重い機器を運ぶのが負担な世帯(軽い電源を複数に分ける)
- 発電機の屋外の置き場所がない集合住宅(段階4の発電機は運転できない)
そして、いちばん見落としやすいのが「電気以外の備え」です。内閣府のチェック項目にも、調理手段、暖(涼)をとる手段、給水ポンプの停止などによる断水への備えが並んでいました。電源をいくら積んでも、熱と水と明かりの備えは別に要ります。電源以外の備えは、明かり・情報・熱・電源の4カテゴリで考える停電の備えの買い物リストでまとめて確認してください。
また、停電の原因になりやすい雷の季節には、電源を備えるのと同じくらい、家にある家電を守る視点も必要です。雷から家電を守る対策もあわせて見ておくと、停電の前後で慌てずに済みます。
よくある質問
防災の電源選びでよくある質問とは、4段階のどこかで迷いやすいポイントのことです。この記事の数字と判定フローに沿って答えます。
Q. ポータブル電源があれば、モバイルバッテリーは要りませんか?
要ります。ポータブル電源は約3.6〜7.6kgと重く、避難所へ持って行ったり家族がそれぞれ持ち歩いたりするのには向きません。スマホの通信は段階2のモバイルバッテリーを人数分、家電は段階3、と役割を分けておくと、1台に頼り切るよりも途切れにくくなります。
Q. 家に太陽光発電があれば、ほかの電源の備えは要りませんか?
要ります。停電時の太陽光は、パワコンを手動で自立運転に切り替えてはじめて使え、日没とともに止まります。夜の明かりと通信は、段階1〜3で別に確保しておく必要があります。
Q. 冷蔵庫はポータブル電源で動かせますか?
冷蔵庫は機種ごとに消費電力が大きく違うため、この記事の早見表には入れていません。本体に貼られた定格表示のW数を確かめ、「容量Wh×0.8÷消費電力W」の式に入れて、使いたい時間に届くか、定格出力が足りるかを計算してください。
Q. モバイルバッテリーは何年で買い替えればいいですか?
年数ではなく、膨らみ・発熱・充電の持ちが悪くなる、という3つの兆候で判断します。NITEも異常に気づいたら使用を中止するよう呼びかけているので、年1回の点検で状態を確かめる習慣をつけましょう。
まとめ:今日やることは1つ、止めたくない機器を3つ書き出すこと
防災の電源選びのまとめとは、4段階のうち自分の家に要る段階だけを、止めたくない機器から逆算して積むことです。停電は房総半島台風で約12日続いた例もありますが、だからといって全段階を一度にそろえる必要はありません。今日やることは、止めたくない機器を3つ書き出す、この1つだけです。
- 止めたくない機器を3つ書き出す明かり、スマホ、扇風機や電気毛布など、停電中に止まると困るものを紙やスマホのメモに3つ書く。
- それぞれの電源の種類とW数を確かめる乾電池式か、USB給電か、コンセント(AC)か。コンセントの家電は本体ラベルの消費電力Wを見て、「容量Wh×0.8÷消費電力W」で必要な容量をざっくり出す。
- 判定フローで何段目まで積むか決める「3日を超えても動かしたいか」で段階1・2か段階3以上かを決め、足りない段階だけ、各段階の詳しい記事で選ぶ。
停電が起きた直後の10分・3時間・1日で何をするかは、停電したらまず何をする?発生直後10分→3時間→1日の時系列やることリストとチェック表で順番に整理しています。
参考・出典
- 資源エネルギー庁「台風と電力〜長期停電から考える電力のレジリエンス」(資源エネルギー庁公式サイト)/2026-09-14確認
- 経済産業省「令和6年能登半島地震に伴う被害について(1月8日(月曜日)10:30時点)」(経済産業省公式サイト)/2026-09-14確認
- 内閣府 防災情報のページ「家庭における地震時等の停電対策について」(内閣府公式サイト)/2026-09-14確認
- 製品評価技術基盤機構(NITE)リチウムイオン電池搭載製品の事故に関する注意喚起(2025年6月26日)(NITE公式サイト)/2026-09-14確認
- Jackery Japan「Jackery Solar Generator 240 New 40 Mini」製品ページ(公式サイト)/2026-09-14確認
- エレコム「EC-C61MN」製品ページ(公式サイト)/2026-09-14確認
- Anker Japan「Anker Power Bank (20000mAh, 30W)」製品ページ(公式サイト)/2026-09-14確認
- Anker Japan「Anker 535 Portable Power Station (PowerHouse 512Wh)」製品ページ(公式サイト)/2026-09-14確認
- パナソニック「エボルタNEO」シリーズページ(公式サイト)/2026-09-14確認
- クマザキエイム「SL-091」製品ページ(公式サイト)/2026-09-14確認
