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通販サイトで「アレルギー対応」と書かれた非常食セットを見つける。商品画像の「28品目不使用」という文字を確認する。カートに入れる。ここまで、慣れていれば3分もかかりません。
ただ、その3分で決めてよいかは、表示の「どこ」を読んだかで変わります。結論から言うと、「◯品目不使用」という表記だけを見て選ぶのは、確認としては足りない。2026年8月10日時点の食品表示制度では、表示が義務づけられている「特定原材料」が9品目、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」が20品目。この2つはルールの強さが違うため、◯が9品目を指すのか29品目を指すのかで、その表記が担保する範囲は変わります。さらに消費者庁は「使用していない旨」の表示について、必ずしも「含んでいない」ことを意味せず、製造記録等により適切に確認したことを意味する、と説明しています。「不使用」は結果の保証ではなく、確認の記録なのです。
先に、この記事のいちばん大事な前提を置きます。食物アレルギーは医療の領域です。この記事は制度・表示ルール・メーカーの公表内容・公的機関の指針を整理するだけのものであり、特定の食品を食べられるかどうかの判断は主治医・専門医にご相談ください。最終的な可否は、必ず製品パッケージの最新のアレルゲン表示でご確認ください。当サイトは商品ごとの可否を判定しません。判定の材料が「どこに、どこまで公開されているか」を整理する立場です。
なお、アレルギーの有無にかかわらない主食・おかず・加熱の要否といった全体像は非常食の種類別の選び方(全体像)にまとめてあります。この記事は、その全体像のなかで「表示をどう読むか」だけを掘る回だと思ってください。
この記事でわかること
- 「◯品目不使用」の◯が何品目基準かで意味が変わる理由(義務9品目と推奨20品目の違い)
- 「同一設備で製造しています」という注意書きが示すこと・示さないこと(消費者庁のルール)
- 非常食のアレルゲンを型番単位で確認する5ステップと、メーカー5社の情報公開状況
- 避難所の食料について公的資料が何と書いているか、家庭で何日分を積む考え方
アレルギー表示は「義務9品目」と「推奨20品目」の二段構えで動いている
食品のアレルギー表示とは、加工食品にアレルゲンとなる原材料が使われている場合に、その名称を表示させる制度のことです。消費者庁の「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」は、この制度の目的を「全ての一般消費者に対して情報を提供するものではなく、食物アレルギー患者の健康危害防止を目的としている」と明記。一般的な参考情報ではなく、患者の危害を防ぐための仕組みです。対象となる原材料は、2つの層に分かれます。
| 区分 | 品目数(2026年8月10日時点) | 表示のルール | 直近の改正 |
|---|---|---|---|
| 特定原材料 | 9品目 | 表示が義務 | 2026年4月1日にカシューナッツを追加(2年間の経過措置期間あり) |
| 特定原材料に準ずるもの | 20品目 | 表示が推奨(義務ではない) | 2026年4月1日にピスタチオを追加。カシューナッツは同日付で特定原材料に追加された(準ずるもの側での扱いは消費者庁の最新一覧で要確認)。2024年3月28日にはマカダミアナッツを追加、まつたけを削除 |
義務の9品目は、えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)・カシューナッツ。くるみは2023年3月9日に特定原材料へ追加され、カシューナッツは2026年4月1日付の消費者庁事務連絡で追加されました。どちらも、比較的最近ルールが動いた品目です。
数字が続いたので、いったん翻訳します。要するに、29品目のうち、書かないと法令違反になるのは9品目だけ。残り20品目は「書くことが望ましい」という扱いで、書かれていないからといって入っていないとは限りません。強制力があるのは3分の1弱。ここを知らずに原材料欄を眺めると、「書いていない=入っていない」と読んでしまいます。
なお、この記事が「29品目」と書く根拠は、義務9品目と準ずるもの20品目の足し算です。合計数そのものを明記した消費者庁の公式文書は、2026年8月10日時点で編集部では確認できていません。改正前は義務8品目+準ずるもの20品目=28品目という数え方が広く使われていました。
「◯品目不使用」という表記に、法律上の定義はない
ここが記事の土台になります。特定原材料に準ずるものには表示義務がないため、「◯品目不使用」といった対象範囲の表記は事業者の任意表示。法律で「28品目不使用と書ける条件」が定義されているわけではありません。
だからこそ消費者庁のハンドブックは、表示例として「アレルゲン(28品目対象)」「アレルゲンは義務8品目を対象範囲としています」といった書き方を挙げ、対象範囲を明示すべきという考えを示しています。裏を返せば、範囲が書かれていない「不使用」表記は、読み手の側で範囲を確認しにいく必要があるということです。
「◯品目不使用」を見たら、確認する点は3つ。①その◯が何を母数にした数字か(義務9品目基準か、準ずるものを含む基準か)/②その表示がいつ時点のものか(2026年4月に基準が動いたばかり)/③意図しない混入についての注意書きが別にあるか。この3点がそろって、はじめて主治医に相談する材料になります。
「同一設備で製造」の注意書きは、何を示し、何を示さないか
コンタミネーションとは、原材料として使っていないアレルゲンが製造工程で意図せず混入することを指します。同じラインで別の商品を作っている、同じ工場で別の原料を扱っている、といった状況で起こりうるもの。消費者庁のハンドブックは、混入防止策を徹底しても排除できない場合に「本品製造工場では○○(特定原材料等の名称)を含む製品を生産しています」といった注意喚起表示が望ましい、としています。パッケージの隅にある、あの一文です。
読み方の要点は、この注意書きが「工場・ラインで何を扱っているか」の情報であって、「この個体に何が入っているか」の情報ではないという点。表示があること自体は、メーカーが混入経路を把握して開示している状態を意味します。逆に、注意書きがないことは、混入の可能性がゼロである証明にはなりません。
「入っている場合があります」という表示は認められていない。消費者庁のハンドブックは、「入っているかもしれません」「入っている場合があります」といった可能性表示について、一括表示欄の外であっても認められないとしています。もしこうした表現を見かけたら、それは制度が想定した書き方ではありません。
もう一点。水産加工品のえび・かにのように混入の頻度も量も少ないケースでは、注意喚起表示を求めると食物アレルギー患者の食品選択の幅を過度に狭める結果になるため表示は不要——というのが消費者庁の考え方です。「安全だから書かない」ではなく「選択肢を狭めすぎないために書かない」という判断が制度側に入っている。この背景を知らないと、注意書きの有無を過大にも過小にも読んでしまいます。
「商品名×アレルゲンの◯×表」を作るかどうかは最後まで迷いました。作らなかった理由は単純で、その表は仕様変更やロット違いですぐ古くなるからです。古い◯×表がいちばん危ない。代わりに「メーカーがどこに情報を置いているか」を並べる形にしました。
非常食のアレルゲンを確認する5ステップ
確認手順とは、商品を選ぶ順番ではなく判断材料を集める順番のことです。非常食は「買ってから食べるまでが数年空く」ため、確認と記録をセットにしておく意味が大きいジャンルでもあります。
- パッケージの一括表示を先に読む原材料名の欄と、アレルゲンの表示を確認します。「◯品目不使用」の文字だけを見ないこと。その◯が何を母数にした数字か、範囲の記載がどこかにあるかを探します。
- メーカー公式で、型番・フレーバー単位まで降りるブランド名やシリーズ名ではなく、実際に買う個袋・味・品番の単位で確認します。同じシリーズでも中身が違うことは珍しくありません。メーカーによっては全品番を並べたPDFや横断検索のページを用意しています。
- 意図しない混入の記載を別に探す一括表示の欄内だけでなく、欄外の注意喚起表示と、メーカーサイトの製造所・コンタミネーションに関するページを見ます。ここは商品ページとは別のページに分かれていることも多い。
- 主治医・専門医に相談するここまでで集まるのは「公開されている情報」であって「食べてよいかどうかの判断」ではありません。日本小児アレルギー学会の「災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット」も、2017年11月の改訂で「非常時に備えて」の項目が追加され、家庭での薬剤・食品の備蓄について主治医と相談することを促す内容になりました。
- 備蓄リストに「確認日」ごと記録する商品名・型番・確認したアレルゲン情報・確認日をセットで残します。日付が重要なのは、制度そのものが動くからです。2023年3月にくるみ、2026年4月にカシューナッツとピスタチオ。基準が変われば、以前確認した「◯品目不使用」の意味も変わります。
ステップ2で「型番単位まで降りる」と書いたのには、はっきりした理由があります。尾西食品が公式サイトで公開している製品規格一覧によると、同社のアルファ米の個袋タイプは、白飯・わかめごはん・田舎ごはん・たけのこごはん・赤飯・山菜おこわの6品目が「アレルギー物質(特定原材料等)27品目 不使用」と表記される一方、五目ごはん・松茸ごはん・ドライカレー・チキンライス・えびピラフの5品目は不使用に該当せず、小麦・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン等を含むとされています(2026年8月10日時点)。
同じ「尾西のアルファ米」でも、袋の中身で扱いが分かれる。11種類のうち5種類が不使用側ではないので、箱から目をつぶって2袋つかんだら片方は該当しない側だった、が普通に起こる比率です。「アルファ米ならだいたい大丈夫」という覚え方が、いちばん危ない覚え方だとわかります。
この「27品目」という表記は、2026年8月10日時点の制度上の区分(義務9品目+準ずるもの20品目)とは母数が異なります。表示基準が改正された直後の時期にあたるため、購入前には必ず最新の製品パッケージと、メーカー公式の最新情報をご確認ください。
ちなみに、加熱や水の量から候補を絞りたい場合はアルファ米以外にフリーズドライという選択肢もあり、重さと必要な湯量の比較はフリーズドライ非常食の軽さ・湯の量の比較で整理しました。ただし種類が変わっても、上の5ステップは同じです。
メーカー各社は、アレルゲン情報をどこまで公開しているか
ここからが、当サイトが手を動かした部分です。下の表は「どの商品が食べられるか」の表ではありません。自分で確認しようとしたとき、その材料がどこに、どんな形で置いてあるかを並べた表です。可否の判断はこの表からは出てきませんし、出すべきでもないと考えています。
| メーカー | 公式のアレルゲン情報 | どこで確認できるか | 形式 | 確認日 |
|---|---|---|---|---|
| 尾西食品 | あり | 公式サイトの「製品規格一覧」PDF | 全品番の原材料とアレルギー物質を◯×で並べた一覧表 | 2026年8月10日 |
| アルファー食品 | 一部あり | 商品ページ/食物アレルギーへの取り組みページ | ページ内のテキスト記述(一覧表PDFへの直接リンクは今回確認できず) | 2026年8月10日 |
| 井村屋 | 一部あり | 該当商品の公式商品ページ | 商品ページ内の記述(一覧表PDFは今回確認できず) | 2026年8月10日 |
| 江崎グリコ | あり | 商品ページ+全商品横断の「アレルギー情報検索」ページ | 商品ページへの明記と、検索システム | 2026年8月10日 |
| パン・アキモト | あり | 商品ページ+「製造所アレルゲンコンタミネーション」専用ページ | 味ごとの一覧と、混入についての専用ページ | 2026年8月10日 |
並べてみると、公開の「形」が分かれます。全品番を一覧表にしてPDFで置く型(尾西食品)、横断検索で引かせる型(江崎グリコ)、商品ページの中に書き込む型(アルファー食品・井村屋)。パン・アキモトのように、混入についての解説を本体から独立させている例もある。一覧表があれば家族分のアレルゲンとの突き合わせが1枚の上で終わり、商品ページ内の記述だけなら候補の数だけページを開くことになります。同じ「公開している」でも、確認にかかる手間は数倍変わるということです。
公開内容の実例も挙げておきます。江崎グリコは常備用カレー職人3食パック中辛の含有アレルゲン(特定原材料等)を小麦・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンと公式商品ページに明記。パン・アキモトのパンの缶詰は味によって異なり、オレンジ味は乳・小麦・オレンジ・大豆、ストロベリー味とブルーベリー味は乳・小麦・大豆と公表されています。アルファー食品は「安心米」全商品が特定原材料等(28品目)不使用商品であると公式サイトに記載(いずれも2026年8月10日時点)。
「あり」のメーカーが優れていて「一部あり」が劣る、という話ではありません。当サイトが確認できた範囲を確認日つきで書いているだけです。「一覧表PDFは確認できなかった」は「存在しない」ではなく「今回は見つけられなかった」という意味で読んでください。
避難所で配られる食料に、何を期待できるか
体育館の床に段ボールが積まれ、順番に配られていく。あの光景を思い浮かべて「うちの子の分はどうなるんだろう」と考えたことがある方は多いはずです。ここは公的資料が何と書いているかで確認します。
内閣府(防災担当)の「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(平成25年8月策定、令和6年12月改定)は、避難所の備蓄について「食物アレルギーを有する避難者にも配慮し、アルファー米等の白米と牛乳アレルギー対応ミルク等を備蓄すること」と明記。さらに市町村に対し、①食事の原材料表示の掲示、②避難者自身がアレルギー原因食品を周囲に伝えるための「ビブス、アレルギーサインプレート等」の活用、③管理栄養士等への相談体制、④文化・宗教上の食事配慮、の4点を求めています。アレルギー等の慢性疾患を有する者は、乳幼児・妊産婦などと並ぶ「要配慮者」と定義されています。
読み方が肝心なところです。これらは市町村に配慮を求める記述であって、全ての避難所に対応食が確実にあることを保証したものではありません。しかも②のビブス・サインプレートは「避難者自身が周囲に伝える」ための道具。制度の設計そのものが、本人側からの申告と確認を前提にしていると読める設計です。日本小児アレルギー学会も自治体向けの備蓄提案のなかで、「食物アレルギーの患者さんにとって、避難所に配給される食物がアレルゲンを含む『危険なもの』にならないような対策も重要」と述べています。
だから結論は一つに収束します。自分と家族の分は、自分で持つ。行政を信用しないという話ではなく、同指針が在宅避難者への支援物資に「食物アレルギーを有する者用の食材等」を挙げているように、届くまでには経路と時間差があるという話です。
周囲に伝える道具は、公的なものが用意されている
- ビブス・アレルギーサインプレート……内閣府の取組指針が、避難者自身がアレルギー原因食品を周囲に伝える手段として活用を挙げているもの
- カードによる情報発信……同指針は「要配慮者が周囲の避難者に対して支援して欲しいこと、知っておいて欲しいことについて、カード等を活用する」ことで自ら情報発信できるよう配慮を求めています
- アレルギーゼッケン……日本小児アレルギー学会が公開しているツール。厚生労働省・日本アレルギー学会のアレルギーポータルからもたどれます
- 避難所掲示用ポスター・災害対応パンフレット……同学会が患者・養育者向け、行政向けにそれぞれ公表しています
非常食の袋と一緒に、これを1枚入れておく。準備としては数分で終わります。特に本人が自分で説明しにくい年齢の場合、この1枚の有無が現場での確認のしやすさを変えます。子どもの非常食は量の考え方も大人と違うので、子どもの非常食(年齢別の量と工夫)もあわせてどうぞ。乳幼児がいるご家庭は食品以外に月齢で必要数が変わる物が多く、そちらは赤ちゃんの防災グッズ(月齢別の必要数)に一覧があります。
何日分を積むかは、確認済みの品だけで数える
必要量の考え方とは、「何日分か」を決めることと「その日数を何で埋めるか」を決めることの2段階です。日数の目安と早見表は非常食は何日分必要かの早見表にまとめてあるので、計算式はそちらに譲ります。
ここで足したいのは、アレルギー対応を考える場合の数え方のクセです。家族全員が食べられる品と、特定の一人だけが食べられる品を、同じ山として数えない。3日分を家族4人分そろえたつもりでも、そのうち1人が食べられない品が半分を占めていたら、その1人にとっての備蓄は1.5日分しかありません。
アレルゲンの確認が済んでいる品「だけ」で、対象の家族一人分の日数を数える。全体の合計から割り算をしない。これが、この記事で足す唯一の数え方のルールです。
もう一つの現実的な策が、普段から食べている物を回す形にすること。買い足しながら消費していくローリングストックなら、確認済みの品を切らさずに更新でき、災害時に初めて口にする食品も減らせます。手順はローリングストックのやり方にまとめました。ただし、リピート購入のたびに原材料が変わっていないかを見る工程だけは残してください。仕様変更は静かに起こります。
まず1つ選ぶなら、どこから手をつけるか
ここからは、確認の材料がそろっている商品を用途別に3つ挙げます。繰り返しますが、当サイトはこれらを「食べられる商品」として紹介しているのではありません。公表情報にたどり着きやすく、確認作業を始めやすい枠として挙げています。
1. まず「主食3日分」の骨格をつくる
最初の1箱に選びやすいのは、アルファ米を含む3日分の非常食セット。ここで挙げるのは、販売ページで「アレルギー物質28品目不使用」と表記され、防災士監修とされている3日分のセットです(2026年8月10日時点の販売ページ表記)。主食が最初からまとまっているので、確認する対象を1セットに絞れるという利点があります。
注意点をひとつ。この「28品目」という表記と、この記事で整理した2026年8月10日時点の制度上の区分(義務9品目+準ずるもの20品目)は、母数の数え方が異なる可能性があります。商品の表記をそのまま制度の説明として読み替えないでください。何を対象範囲とした28品目なのかは、販売ページとメーカーの表示で確認が必要です。
購入前に、最新のアレルゲン表示を必ずご確認ください。表記の対象範囲と、意図しない混入についての注意書きの有無を、この記事の5ステップの順で見ていくのが確実です。
2. アルファ米を種類ごとに確認したいとき
先に触れたとおり、尾西食品はアルファ米の全品番について、原材料とアレルギー物質を◯×で並べた「製品規格一覧」PDFを公式サイトで公開しています(2026年8月10日時点)。今回調べたメーカーのなかで、家族のアレルゲンとの突き合わせがいちばん1枚の上で完結しやすい形式でした。同社のアルファ米12種類セットは味の種類が多いぶん、そのPDFの上で「うちで使う味/使わない味」を仕分けしやすい商品です。ただし個袋タイプは種類によって扱いが分かれるため、セットの中身をひとまとめにせず、袋ごとに確認する前提で考えてください。
こちらも、購入前に最新のアレルゲン表示のご確認をお願いします。セットの構成は時期によって変わることがあるので、届いた実物の袋と公式の一覧を突き合わせるのが確実です。
3. 水も加熱もいらない補食を1つ
主食だけでは、停電で湯が沸かせない状況や移動中に手が止まります。そこで補食を1種類。井村屋のえいようかんは、公式サイトによると原材料が「砂糖(国内製造)、生あん(小豆)、水あめ、寒天」のみで、特定原材料・特定原材料に準ずるもののいずれも使用していない旨が公式商品ページに明記されています(2026年8月10日時点)。原材料が4つというのは、確認する側にとって意味があります。一括表示を上から下まで読み切るのに数秒しかかからず、主治医に見せるときも情報が短い。水も加熱も要らないため、持ち出し袋にそのまま入れておけます。
こちらについても、購入前に製品パッケージの最新のアレルゲン表示をご確認ください。原材料がシンプルであることと、特定の方が食べられることは別の話です。判断は必ず主治医へ。
この記事のやり方が向かないケース
ここまでの「自分で確認する手順」は万能ではありません。次の場合は、公表情報の確認だけでは足りず、医療者との相談が前提になります。
- 重度のアレルギーがある場合……ごく微量の混入でも影響が出る可能性があるなら、公開情報の読み取りだけで備蓄品を決めるべきではありません。主治医・専門医との相談が出発点です
- 複数のアレルゲンがある場合……組み合わせによって選択肢が急に狭まり、栄養面の検討が必要になります。管理栄養士への相談を含めて設計してください
- 治療の方針が進行中の場合……食べられる範囲が経過で変わることがあります。備蓄品の見直し時期も含め、主治医の指示に従ってください
- 本人が乳幼児で、保育園・学童など預け先がある場合……家庭外での備えとの連携が必要になり、この記事の範囲を超えます
「うちの記事では足りません」と書くのは、正直あまり気持ちのいいものではありません。それでも入れたのは、防災の記事が医療の判断まで踏み込むと、いちばん切実な人に間違った安心を渡すことになるからです。ここは譲らない線にしています。
よくある質問
Q. 「28品目不使用」と「29品目」は、どちらが正しいのですか
A. どちらかが誤りというより、数えている基準の時点が違います。2026年8月10日時点の消費者庁の区分では、表示義務のある特定原材料が9品目、表示が推奨される特定原材料に準ずるものが20品目です。2026年4月1日の改正前は義務8品目+準ずるもの20品目という区分だったため、「28品目」という数え方が広く使われてきました。商品側の表記が改正前の基準のままである可能性もあるので、「何を対象範囲とした◯品目か」を販売ページやメーカーの表示で確認してください。
Q. 「◯品目不使用」と書かれていれば、混入の心配はないと考えてよいですか
A. そうは言えません。消費者庁のハンドブックは、「使用していない旨」の表示は必ずしも「含んでいない」ことを意味せず、製造記録等により適切に確認したことを意味する、と説明しています。また、意図しない混入の可能性がある場合は別途、注意喚起表示が必要とされています。不使用の表記と混入についての注意書きは別の情報です。必ず両方をご確認ください。
Q. 同じメーカーのアルファ米なら、どの味も同じ扱いですか
A. いいえ。尾西食品の製品規格一覧では、個袋タイプのうち白飯・わかめごはん・田舎ごはん・たけのこごはん・赤飯・山菜おこわの6品目が「アレルギー物質(特定原材料等)27品目 不使用」と表記される一方、五目ごはん・松茸ごはん・ドライカレー・チキンライス・えびピラフの5品目は不使用に該当せず、小麦・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン等を含むとされています(2026年8月10日時点)。商品名やシリーズ名ではなく、味・品番の単位でご確認ください。
Q. 一括表示に名前が出ていなければ、そのアレルゲンは入っていないと考えてよいですか
A. 表示義務があるのは特定原材料9品目で、特定原材料に準ずるもの20品目は推奨にとどまります。また、特定原材料に由来する香料や、特定原材料等を原料とするアルコール類(酒類)は、現時点では表示義務の対象外とされています。表示に出てこない経路があることを前提に、判断は必ず主治医・専門医にご相談ください。
あわせて読みたい: 非常食のおすすめはどれ?種類別の選び方まとめ【保存版】
まとめ:今日やることは、1つだけ
今日やることは、家にある非常食を1つ手に取って、パッケージの一括表示を最後まで読むこと。それだけです。「◯品目不使用」の文字ではなく、その◯が何を母数にしているか、混入についての注意書きがどこにあるか。1袋でいいので、確認の目を先に作ってしまうのが早い。
- 1袋を手に取って読む一括表示の原材料名と、欄外の注意喚起表示。「◯品目不使用」の対象範囲が書かれているかを見ます。
- メーカー公式で型番まで降りるその商品の品番・味の単位で公式サイトのアレルゲン情報を確認。一覧表があるメーカーなら、家族分の突き合わせが1枚で終わります。
- 確認日つきで記録する商品名・型番・確認内容・確認日をメモに残す。制度も商品仕様も動くので、日付のない記録は次に使えません。
そのうえで、量の設計へ進んでください。日数をどこまで伸ばすか決めかねている場合は、7日分をセットで組む場合の中身の違いを非常食セット7日分の比較で並べています。
最後に、この記事の前提をもう一度だけ。ここに書いたのは制度と公表情報の整理であり、食べられるかどうかの判断ではありません。可否の判断は主治医・専門医にご相談のうえ、最終的な確認は必ず製品パッケージの最新のアレルゲン表示で行ってください。調べ方の手順は、その相談を実のあるものにするための下準備です。
参考・出典
- 消費者庁 食品表示課 事務連絡「アレルゲンを含む食品に関する表示について」(令和8年4月1日)PDF(2026年8月10日確認)
- 消費者庁 事務連絡(令和6年3月28日)PDF(2026年8月10日確認)
- 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」ページ(2026年8月10日確認)
- 消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」(令和5年3月作成・令和6年3月一部改訂)PDF(2026年8月10日確認)
- 内閣府(防災担当)「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(平成25年8月・令和6年12月改定)PDF(2026年8月10日確認)
- 日本小児アレルギー学会「災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット」ページ(2026年8月10日確認)
- 日本小児アレルギー学会「大規模災害対策におけるアレルギー用食品の備蓄に関する提案」ページ(2026年8月10日確認)
- アレルギーポータル(厚生労働省・日本アレルギー学会)/日本小児アレルギー学会「アレルギーゼッケン」ページ(2026年8月10日確認)
- 尾西食品「製品規格一覧」PDF(2026年8月10日確認)
- アルファー食品「安心米」/食物アレルギーへの取り組みページ(2026年8月10日確認)
- 井村屋「えいようかん」商品ページ(2026年8月10日確認)
- 江崎グリコ「常備用カレー職人3食パック中辛」商品ページ/アレルギー情報検索(2026年8月10日確認)
- パン・アキモト「パンの缶詰」商品ページ(2026年8月10日確認)
