感震ブレーカーの選び方|分電盤・コンセント・簡易の3タイプと費用の目安

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深夜に大きな揺れが来て、収まった数分後に部屋の明かりが一斉に消える。感震ブレーカーを付けた家では、地震のあとにこういう順番で物事が進みます。停電したのではありません。装置が意図して、家の電気を止めた状態です。

感震ブレーカーとは、設定値以上の揺れを感知して電気を自動的に遮断する装置のこと。内閣府「感震ブレーカー等の性能評価ガイドライン」(平成27年2月)は、作動の目安を震度5強相当以上と定め、装置を①分電盤タイプ ②コンセントタイプ ③簡易タイプの3つに区分しています。費用の幅は大きく、簡易タイプの3,000円〜4,000円程度から、分電盤内蔵型の約5万円〜8万円まで(内閣官房国土強靱化推進室ほか4省庁資料/2026年8月19日確認時点)。

先に結論を書きます。値段や製品名を調べるより先に、自宅の分電盤の扉を開けて、感震機能がすでに付いていないかを見てください。付いていなければ、決め手になる質問はあと2つだけです。「バッテリーを積んでいない医療用機器が家にあるか」「分電盤を交換・増設できるか」。この2問で、あなたの家に合う型式はほぼ一つに絞れます。

この記事でわかること

  • 過去の地震で電気火災が占めた割合と、設置率を上げたときの減災効果(内閣府・消防庁の一次資料と確認日つき)
  • 3タイプの作動方式・電気工事の要否・費用の目安・出火予防の範囲を並べた比較表
  • 内閣府リーフレットの3段階フローをそのまま使った、自宅に合う型式の判定リスト
  • 競合記事がほとんど書いていない「作動したあと、どうやって電気を戻すか」の手順
目次

感震ブレーカーが必要とされる理由と、公的資料が示す効果

感震ブレーカーが対策の対象にしているのは、地震そのものではなく電気に起因する火災です。倒れた電気ストーブに可燃物が触れたまま、あるいは傷ついた配線に電気が流れたままになると、そこから出火する。この経路を、揺れの直後に電気を切ることで断とうという発想の装置です。

数字で見ると輪郭がはっきりします。内閣府「感震ブレーカー等の性能評価ガイドライン」(平成27年2月)が整理したところでは、阪神・淡路大震災の地震火災139件のうち電気火災は85件で約61%。その内訳は電熱器具が50%(42件)、配線・配線器具が29%(25件)、電気機器・装置が20%(17件)でした。東日本大震災については、内閣府が現在の啓発資料で採用している数値で、地震火災108件のうち電気火災58件、約54%です(内閣官房国土強靱化推進室・内閣府〈防災〉・総務省消防庁・経済産業省・国土交通省「感震ブレーカーの設置促進に向けた取組の強化」令和8年1月27日/2026年8月19日確認)。

つまり、地震のあとに燃えた家のうち半分以上は、電気が原因側に回っていたということ。「地震=倒壊」のイメージが強いぶん、この割合は見落とされがちです。ネット上では出典の書かれていない「66%」といった数字も流通していますが、当サイトでは上に挙げた内閣府・消防庁ルートの数値だけを使っています。

数字の出どころについて:阪神・淡路の61%は、消防庁委託調査「地震時における出火防止対策のあり方に関する調査検討報告書」(平成10年)を内閣府ガイドラインが引用したものです。東日本大震災の54%は、日本火災学会の調査報告を基に内閣府等が整理した数値。同じ東日本大震災でも集計方法(本震の直接要因のみか、余震や復旧後の火災まで含めるか)によって別の割合が示されている資料もあるため、本記事では現行の啓発資料が採用している54%に統一しています。

設置率を上げると焼失棟数はどれだけ減るのか

内閣府は、都心南部直下地震(冬・夕方・風速8m/s)を想定した試算も公表しています。感震ブレーカーの設置率が現状の20%から100%になった場合、焼失棟数は約268,000棟から約74,000棟へ、約72%減という結果です(前掲・5省庁資料/2026年8月19日確認)。差し引きで約194,000棟。数字が大きすぎて実感しづらいのですが、これは「自分の家が助かる」話ではなく「街が燃え広がらない」話だと読むのが正確でしょう。

だから国は普及率そのものを目標に置いています。首都直下地震緊急対策推進基本計画は令和8年6月12日に閣議決定で変更され、感震ブレーカーの設置率目標は「首都直下地震緊急対策区域の都県で20%(令和6年度実績)→ 令和17年度(2035年度)までにおおむね設置」へと刷新されました。同時に対象地域も、従来の木造密集市街地から緊急対策区域の1都9県309市区町村へと広がっています。約10年ぶりの改定です。

現況の普及率は都県ごとに出ていて、令和6年度で東京都23区21.8%、多摩地域19.9%、神奈川21.6%、千葉20.7%、埼玉19.0%といった水準(令和6年度内閣府調査/2026年8月19日確認)。おおむね5軒に1軒、という並びです。裏を返せば、あなたの隣の4軒はまだ付けていない可能性が高い。延焼という現象の性質上、これは自分の家だけの問題ではありません。

感震ブレーカーは「自宅の火災保険」ではなく「街の延焼を止める設備」です。内閣府の試算が示すのは、設置率20%→100%で焼失棟数が約72%減るという地域スケールの効果。個人の判断としては、費用が数千円から選べる装置に対して、効果の説明が国の計画レベルで裏づけられている——ここが判断材料になります。

感震ブレーカーの3タイプの違いと費用の目安

公式の型式区分は3つです。内閣府ガイドライン第2章が示すのは、①分電盤タイプ(内蔵型・後付型)②コンセントタイプ(埋込型・差込型)③簡易タイプ。この3つは「どこに付けるか」ではなく「どこまでの電気を止められるか」で性格がまるで違います。

分電盤タイプは、分電盤に内蔵または外付けしたセンサーが揺れを感知し、家全体のブレーカーを落とすもの。電気工事士による電気工事が必要です。コンセントタイプはコンセント自体にセンサーが入っていて、そのコンセントだけを遮断します。壁に埋め込む製品は工事が要り、差込型(タップ型)は工事不要。簡易タイプは、おもりの落下やバネの力でブレーカーのノブを物理的に操作する仕組みで、工事は不要、住んでいる人が自分で取り付けられます。

言い換えると、分電盤タイプは家の元栓、コンセントタイプは蛇口ひとつぶん。簡易タイプは元栓を紐で引っぱる装置、というイメージが近いでしょう。

タイプ 作動のしくみ 電気工事 費用の目安
(2026年8月19日確認時点)
出火予防の範囲
分電盤タイプ
(内蔵型)
分電盤内蔵のセンサーが揺れを感知し、通常3分後にブレーカーを遮断 必要
(電気工事士)
約5万円〜8万円
(標準的なもの)
屋内配線/コンセント/電源コード/電熱器具等(屋外・変圧器等は対象外)
分電盤タイプ
(後付型)
既存の分電盤に感震装置を外付けして遮断 必要
(電気工事士)
約2万円 同上。漏電ブレーカーが設置済みであることが前提
コンセントタイプ
(埋込型・差込型)
コンセント内蔵のセンサーが感知し、そのコンセントのみ遮断 埋込型は必要/差込型は不要 約5,000円〜2万円 設置箇所のコンセント/電源コード/電熱器具等のみ(屋内配線・屋外は対象外)
簡易タイプ おもりの落下やバネの作動でブレーカーのノブを操作 不要
(自分で設置)
3,000円〜4,000円程度 屋内配線/コンセント/電源コード/電熱器具等(屋外・変圧器等は対象外)

費用はすべて内閣官房国土強靱化推進室ほか4省庁「感震ブレーカーの設置促進に向けた取組の強化」(令和8年1月27日)の添付資料に載っている金額です。メーカーの店頭価格ではなく、公的資料が示す目安である点にご注意ください。

感震ブレーカー3タイプと電気工事の要否・費用の目安の対応表

「震度5強で作動」はどのくらいの揺れか

作動の目安は震度5強相当以上。性能評価試験では、震度5強相当の地震波で作動することと、震度4相当の地震波では作動しないことの両方を確認します。誤って落ちないことまで試験項目に入っている、と考えるとわかりやすい。

震度5強がどれくらいかというと、気象庁の震度階級の解説で「テレビが台から落ちることがある」と説明される揺れです。棚の上のものが落ちてくる段階、と読み替えてよいでしょう。日常でときどき体験する震度3や4では、装置は落ちない設計になっています。

もうひとつ知っておきたいのが、分電盤タイプの遮断待機時間。揺れを感知してすぐ切るのではなく、通常は3分後に落ちる仕様です。カップ麺ができあがるくらいの時間、と言えば体感が近いはず。この3分は、暗くなる前に避難の準備をしたり、機器の電源を切ったりするための猶予として設けられています。製品によっては待機時間を変更できるものもあります。

規格と認定マークの位置づけ

製品を選ぶときの目印になるのが、性能評価の枠組みです。分電盤タイプについては、一般社団法人日本配線システム工業会が「感震機能付住宅用分電盤規格 JWDS0007 付2」を制定し、自主認定を行っています(試験は一般財団法人電気安全環境研究所)。コンセントタイプと簡易タイプには、一般財団法人日本消防設備安全センターの「消防防災製品等推奨制度」による推奨マークという別の仕組みが用意されています。

「JIS規格」と書かれていたら、その説明は不正確です。JWDS0007 付2 は国のJIS番号ではなく、業界団体の自主規格・自主認定です。国が定めた規格に適合しているという意味ではないので、他サイトで「JIS規格適合」といった表記を見かけたときは、根拠の記述を確かめてください。当サイトでは同規格の制定年月日を確認できていないため、年月日は記載していません(2026年8月19日時点)。

自宅に合うタイプを3つの質問で決める判定フロー

内閣府リーフレット「感震ブレーカー等の選び方」(令和8年3月)は、選定の道筋を3段階の分岐で示しています。これがいちばん迷いません。順番に自分の家で確かめてください。

  • 質問1:分電盤に感震ブレーカーがすでに付いていますか。
    分電盤の扉を開けて、「感震」「地震」といった表示や、リセットボタンのある小さなユニットがないかを見る。→ 付いている場合はここで終了。追加購入は不要です。作動時のリセット方法だけ取扱説明書で確認しておきましょう。
  • 質問2:災害時でも電気を止めてはいけない機器がありますか。
    バッテリーを装備していない医療用機器などが該当します。→ ある場合はコンセントタイプ。家全体を落とす型式ではなく、コンセント単位で遮断する型式を選び、その機器は感震ブレーカーを設置していないコンセントにつなぎます。
  • 質問3:分電盤の買い換え・機能追加ができますか。
    持ち家か賃貸か、分電盤の設置年、工事の予算などで決まります。→ できるなら分電盤タイプ(内蔵型 約5万〜8万円/後付型 約2万円)。できないなら簡易タイプまたはコンセントタイプ(3,000円〜2万円)。
感震ブレーカーのタイプを分電盤の交換可否で選ぶ判定フロー図

この3問がうまくできているのは、予算の話を最後に持ってきていないところだと感じます。まず「もう付いていないか」、次に「止めてはいけない電気があるか」。安全側の条件で先に絞り、お金の話は最後。順番を逆にすると、医療用機器のある家が家全体を落とす型式を買ってしまうことになります。

確認した内容の書き込み欄(スマホのメモにコピーしてお使いください)
・分電盤の設置場所:〔     〕(玄関上/洗面所/廊下 など)
・感震機能の有無:〔 あり / なし / 判断できない 〕
・止めてはいけない機器:〔     〕
・住まいの区分:〔 持ち家 / 賃貸 〕
・選んだ型式:〔 分電盤 / コンセント / 簡易 〕

分電盤の工事は資格が必要な作業です。分電盤タイプ(内蔵型・後付型)の取り付けは電気工事士の業務であり、無資格での作業はできません。当サイトは分電盤への自力施工を一切おすすめしません。電力会社・電気工事店・購入した販売店に依頼してください。自分で設置できるのは、工事不要と明記された簡易タイプと差込型のコンセントタイプに限られます。

設置前に知っておきたい4つの注意点

感震ブレーカーの注意点は、故障や不具合の話ではありません。正しく作動したときに起きることが注意点です。内閣府の資料も、この4つを設置前の留意事項として並べています。

1. 作動すると、照明も一緒に消える

家全体を落とす型式では、当然ながら明かりも消えます。内閣府リーフレット(令和8年3月)は「夜間の照明確保のために、停電時に作動する足元灯や懐中電灯などの照明器具を常備しましょう。」と明記していて、5省庁資料でも「夜間等に大規模な地震が発生し、感震ブレーカー等が作動した場合、避難時の照明が確保できない可能性がありますので、一般的な防災対策としても、停電時に作動する足元灯や懐中電灯などの照明器具を常備してください。」と書かれています。装置を売る側ではなく、普及を進める側の国がこう書いている。ここは軽く扱えません。

据え置きで部屋全体を照らす明かりが1つあると、暗い中での判断がまるで違います。パナソニックの多機能強力ランタン BF-BL45M-W は公表値で本体520g、USB給電に対応した製品。乾電池だけに頼らず、手持ちのモバイルバッテリーからも電気を回せる構成にしておくと、復旧までの時間が読めない場面で選択肢が増えます。リビングや廊下など、家族が集まる場所に1台置いておく用途に向きます。

何個あればいいのかは、世帯人数と間取りで変わります。目安は防災用ランタンは何個必要かを世帯人数×間取り別に整理した早見表にまとめているので、買う前に自宅の部屋数で数えてみてください。あわせて、寝ている時間に作動する可能性を考えるなら、寝室の地震対策として枕元に置いておくものも見直しどきです。装置は3分待ってくれますが、暗い中で階段を降りるのは3分では終わりません。

2. 医療用機器を使っている家庭は型式選びが変わる

内閣府リーフレットは「生命の維持に直結するような医療用機器を設置している場合、停電に対処できるバッテリー等を備えてください。」としています。分電盤タイプと簡易タイプは待機時間のあとに建物全体が遮断されるため、この点は特に重要。一方でコンセントタイプは、設置していないコンセントの通電が続くので、医療用機器をそのコンセントにつなげば影響を避けられます。判定フローの質問2が効いてくる場面です。

なお、公的資料に書かれているのは「医療用機器」「在宅用医療機器等」という総称までで、個別の機器名を挙げた注意喚起は見当たりませんでした。該当する機器をお使いの場合は、機器の提供元や主治医に確認するのが確実です。

3. 蓄電池を設置した住宅は、電気が止まらないことがある

これは他の解説記事でほとんど触れられていない、令和8年3月のリーフレットで示された論点です。原文はこうなっています。

「蓄電池を設置した住宅については、感震ブレーカーを設置した場合であっても、通電する仕様となっている場合があります。地震発生時に蓄電池から供給される電気についても停止することが望ましい場合がありますので、ご留意ください。」
(内閣府「感震ブレーカーをつけましょう!」令和8年3月/2026年8月19日確認時点)

太陽光発電と蓄電池を導入した住宅が増えている以上、「ブレーカーを落とせば家中の電気が止まる」という前提が崩れているケースがあるということ。感震ブレーカーを検討する前に、蓄電池側が地震時にどう振る舞う仕様なのかを施工業者かメーカーに確認しておく必要があります。

4. コンセントタイプは屋内配線が守備範囲外

比較表の右端の列をもう一度見てください。コンセントタイプが対象にできるのは、設置箇所のコンセント・電源コード・電熱器具等まで。壁の中を走る屋内配線は対象外です。分電盤タイプと簡易タイプが屋内配線まで含むのと比べると、カバーする範囲が明確に狭い。安さと工事不要という利点の裏側にある条件なので、納得したうえで選ぶのが大事です。

そなえぐらし管理人

この記事では感震ブレーカー本体の商品リンクを置いていません。分電盤に関わる設備は、住まいの条件と工事の可否で正解が変わるからです。編集部の整理としては、ここで製品を推すより、内閣府が「常備してください」と書いている明かりのほうを具体的に紹介するのが誠実だと考えました。

感震ブレーカーが作動したあとにやること

ここがこの記事のいちばんの目的です。上位の解説記事は「設置するまで」で終わっているものが多いのですが、感震ブレーカーの本当の分岐点は電気を戻すときにあります。復電=止まっていた電気を再び流すこと。ここを急ぐと、装置を付けた意味が薄れてしまいます。

内閣府リーフレット(令和8年3月)と性能評価ガイドライン(平成27年2月)が示す手順は明快です。「復電する場合には、事前にガス漏れ等がないことの確認や、電気製品の安全の確認を行ってください。」そして「仮に復電後、焦げたような臭いを感じた場合には、直ちにブレーカーを遮断し、再度安全確認を行いましょう。原因が分からない場合には電気の使用を見合わせることが必要です。」

  1. まず明かりを手に取る作動直後は家中が暗い状態です。ランタンや懐中電灯を確保してから動く。スマートフォンのライトは、あとで連絡手段として使う電池を削ることになるので、応急にとどめます。
  2. ガス漏れ等がないかを確認する内閣府が復電の「事前に」と指定している確認項目です。においを確かめ、ガスの元栓の状態を見る。ガス臭さを感じる場合は電気のスイッチに触れず、窓を開けて換気してから、ガス事業者の指示に従ってください。
  3. 電気製品の安全を確認する倒れている暖房器具はないか、電源コードが家具の下敷きや水濡れになっていないか、コンセント周りに焦げはないか。倒れた器具はプラグを抜いておきます。
  4. 不要な機器のプラグを抜いてから復電する使う予定のない電気製品はプラグを抜いた状態でブレーカーを戻します。全部つないだまま戻すと、どれが原因か切り分けられません。
  5. 戻したあとも、においと熱を確かめる焦げたようなにおいがしたら、直ちにブレーカーを遮断してもう一度安全確認。原因がわからない場合は、電気の使用を見合わせます。ここは我慢のしどころです。

この5手順、ほとんどが手を使う作業です。暗い中でガスの元栓を見て、コードをたどって、プラグを抜く。片手に懐中電灯を持ったままでは、正直やりにくい。両手が空く照明が要る理由についてはヘッドライトが防災で推される理由で整理しています。手元を照らしながら作業できるかどうかで、確認の精度が変わります。

とはいえ、家族の人数ぶんのヘッドライトを揃えるのは現実的ではないという家庭も多いはず。持ち運べる軽い明かりを何個か分散させておくのが折衷案になります。GENTOSのEX-136Sは公表値で355gのLEDランタン。据え置き型より軽く、部屋から部屋へ持ち歩きながら確認作業をするのに向くサイズ感です。玄関、寝室、キッチンのように動線に沿って置いておくと、暗い中で「どこに明かりがあるか」を探さずに済みます。

なお、感震ブレーカーが作動したケースと、送電側が止まった本物の停電とでは、その後の行動が変わります。復旧を待つのか自分で戻すのかの見極めを含めて、停電したらまず何をするかを時系列で並べたやることリストもあわせてご覧ください。ブレーカーを戻しても復旧しないなら、原因は家の外にあります。

感震ブレーカーは電気が原因の出火を予防するための装置であり、これを設置すれば地震火災が起きないというものではありません。内閣府も、避難時のブレーカー遮断や、家具の固定・火気の管理といった一般的な地震対策と組み合わせることを前提に説明しています。

補助制度の調べ方と、感震ブレーカーがなくてもできること

補助金は「あるかないか」ではなく「自分の自治体にあるかないか」で決まる制度です。内閣府リーフレット(令和8年3月)にも「自治体で感震ブレーカーに関する補助を行っている場合があります。詳しくは、お住まいの自治体ホームページ等をご確認ください」と書かれています。総務省消防庁の調査でも、住民向けに購入・設置費用の補助等を行っている自治体が全国に存在することが確認されています。

当サイトは特定の自治体名や金額を挙げません。制度は年度で変わり、記事に書いた瞬間から古くなるからです。かわりに、調べ方だけ置いておきます。

  • 自治体サイト内の検索窓で「感震ブレーカー 補助」と入力する(防災危機管理課・住宅課のページに置かれていることが多い)
  • 年度の表示を確認する。前年度のページが残っていることがあるため、今年度の受付期間かどうかを見る
  • 申請のタイミングを確認する。購入・工事のあとでは申請できない制度があるので、買う前に窓口へ問い合わせる
  • 対象者の条件(住宅の所在地、木造密集市街地かどうか、世帯の要件)を確認する
  • 電話で聞くのがいちばん早い。自治体の代表番号から防災担当部署につないでもらう

制度側の動きもひとつ紹介しておきます。経済産業省は令和7年度から、電気事業法に基づく登録調査機関が各家庭の電気設備点検(漏電調査等)を行う際に、感震ブレーカーの概要と必要性を冊子で案内する取組を始めています。密集市街地の未解消地区を持つ自治体では、その自治体の補助制度もあわせて案内される仕組みです。数年に一度訪ねてくる電気の点検が、情報の入口になりつつあるということ。

電気を止めても、倒れた家具や割れたガラスは防げない

感震ブレーカーは電気に起因する出火を予防する装置であって、揺れそのものの被害には手が届きません。家具が倒れれば逃げ道が塞がりますし、割れたガラスが床に散れば、暗い中を歩けなくなります。作動後の安全確認をしようにも、足元が危険では動けない。ここは別の対策が受け持つ領域です。

まず動かしたいのが背の高い家具。アイリスオーヤマの家具転倒防止伸縮棒M KTB-40R は、天井と家具の間に突っ張って固定するタイプで、壁や天井にねじ穴を開けずに設置できます。分電盤の工事と違って資格も工事も不要なので、感震ブレーカーの検討と並行して、今日のうちに手を付けられるのが利点です。

次に足元。窓ガラスや食器棚のガラス面が割れると、避難時にも復電の確認作業のときにも、床が歩けない状態になります。スリッパを履いていない深夜なら、なおさらです。ニトムズのガラス飛散防止シート 平滑面用 M6120 は、平滑なガラス面に貼るタイプで、公表スペックとしてUV99%カットをうたっています。飛散対策と日常の紫外線対策を兼ねられるので、貼ったままにしておける点が実用的でしょう。

ここまで書いたとおり、電気・家具・ガラスはそれぞれ別の対策です。抜けがないかを一度通しで見るなら、地震の備えリスト(家具の固定と備蓄の点検表)で自宅の状況を1項目ずつ埋めてみてください。感震ブレーカーだけを買って安心してしまうのが、いちばんもったいないパターンです。

明かりを「使い続ける」ための電池

ランタンや懐中電灯を揃えても、電池がなければただの筒。しかも防災用品の電池は、使わないまま数年が過ぎるという特殊な使われ方をします。長期保存をうたう単3形の防災電池(型番 BD-LR06-40-001・40本入り)は、その用途を想定して売られている製品です。ブランド名・型番は、Amazonの商品ページ表示にもとづきます(2026年8月19日確認)。メーカー公式の仕様ページは確認できていないため、当サイトでは重量や素材などの詳細スペックは記載しません。

選ぶときのコツは、家にある明かりの電池サイズを先に数えること。単3形で統一できれば、備蓄も入れ替えも一本化できます。逆に単4形やボタン電池が混ざる構成だと、いざというとき足りない側だけが切れます。

設置の有無にかかわらず、避難のときはブレーカーを切る

最後にもうひとつ。5省庁資料には「感震ブレーカー等の設置の有無に関わらず、地震発生後に自宅から避難する際にはブレーカーを切ることも重要です。」と書かれています。装置を付けていない家でも、今日から実行できる対策です。玄関の分電盤の位置を家族全員が知っているか、暗い中でも手が届くか。この2つを確かめておくだけでも意味があります。

感震ブレーカーが向かないケース

すべての家に必要な装置ではありません。次のいずれかに当てはまる場合、優先順位は下がります。

  • 分電盤にすでに感震機能が付いている家。判定フローの質問1でここに該当したら、買う必要はありません。取扱説明書でリセット方法だけ確認しておきましょう。
  • バッテリー未装備の医療用機器を使っていて、コンセントタイプでも運用の見通しが立たない家。この場合は装置より先に、停電に対処できるバッテリー等の確保が優先です。
  • 蓄電池からの給電が地震時も継続する仕様で、その挙動を把握できていない家。感震ブレーカーを付けても電気が止まらない可能性があるため、まず蓄電池側の仕様確認から。
  • 賃貸で分電盤に手を入れられず、火気・電熱器具をそもそも置いていない住まい。工事不要の簡易タイプという選択肢は残りますが、費用対効果では家具の固定やガラス飛散対策のほうが先に来ることもあります。

裏返せば、木造の戸建てで電気ストーブや電気カーペットを使っていて、分電盤にまだ感震機能が付いていない——という条件が重なるほど、優先度は上がります。

感震ブレーカーのよくある質問

Q. 感震ブレーカーは自分で取り付けられますか。

A. 型式によります。簡易タイプは電気工事が不要で、住んでいる人が自分で設置できる仕組みです。コンセントタイプも、壁に埋め込まない差込型なら工事は要りません。一方、分電盤タイプ(内蔵型・後付型)は電気工事士による電気工事が必要で、無資格の作業はできません。分電盤の中に手を入れる作業は、必ず電気工事店や販売店に依頼してください。

Q. 震度3や4の揺れで、いちいち電気が止まったりしませんか。

A. 作動の目安は震度5強相当以上です。性能評価では、震度5強相当の地震波で作動することに加えて、震度4相当の地震波で作動しないことも確認されています。加えて分電盤タイプは、揺れを感知してから通常3分後に遮断する仕様。この待機時間のあいだに、避難の準備や機器の電源オフができます。

Q. 賃貸住宅でも設置できますか。

A. 分電盤は建物側の設備なので、分電盤タイプを検討する場合は所有者・管理会社への確認が必要になります。一方、簡易タイプや差込型のコンセントタイプは電気工事を伴わないため、賃貸でも選びやすい型式です。原状回復の考え方は物件ごとに違うので、貼り付けや突っ張りを伴う対策とあわせて事前に相談しておくと安心でしょう。関連して、賃貸で穴を開けずに家具を固定する方法も同じ判断軸で整理しています。

Q. 感震ブレーカーを付ければ、地震のあとの火災は防げますか。

A. 「防げます」とは言えません。内閣府は、感震ブレーカーを電気に起因する出火を予防する手段と位置づけ、設置率を上げた場合の焼失棟数の低減効果を試算で示しています。ただし出火の要因は電気だけではありませんし、屋外の設備や変圧器などは装置の対象範囲外です。避難時のブレーカー遮断、家具の固定、復電時の安全確認と組み合わせて初めて機能する対策だと考えてください。

Q. 作動したあと、すぐにブレーカーを戻していいですか。

A. 内閣府は、復電の「事前に」ガス漏れ等がないことの確認と、電気製品の安全の確認を行うよう求めています。戻したあとに焦げたようなにおいを感じた場合は、直ちにブレーカーを遮断して再度安全確認を。原因がわからないときは、電気の使用を見合わせる判断が必要です。急がないことが、そのまま対策になります。

まとめ|今日やることは、分電盤の扉を開けることだけ

感震ブレーカーの検討は、製品比較から始めると必ず迷います。出発点は自宅の分電盤です。すでに感震機能が付いていれば買う必要はありませんし、付いていなければ質問はあと2つ。医療用機器の有無と、分電盤を替えられるかどうか。それだけで型式は決まります。

そして、忘れずに用意しておきたいのが明かり。装置が正しく作動するほど、家は暗くなります。内閣府自身が「常備しましょう」と書いている以上、これは装置とセットの備えです。電源方式ごとの向き不向きは防災ランタンの電源方式4種の比較にまとめているので、乾電池・充電式・ソーラー・手回しのどれを何個持つかは、そちらで決めてください。

  1. 分電盤の扉を開ける「感震」の表示やリセットボタンがないかを見る。写真を撮っておくと、販売店に相談するときそのまま使えます。
  2. 判定フローの質問2・3に答える止めてはいけない機器の有無と、分電盤を替えられるかどうか。この2問で型式を1つに絞ります。
  3. 停電時に使う明かりの置き場所を決める寝室・玄関・トイレへの動線に、暗い中でも手が届く位置を確保する。買うのはそのあとで構いません。

感震ブレーカーが作動した家では、まず明かりが要ります。部屋数と間取りから必要な数を出す手順は防災用ランタンは何個必要か(世帯人数×間取り別の早見表)に、電源方式ごとの違いは防災ランタンの電源方式4種の比較にまとめてあります。

参考・出典

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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

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