家庭用蓄電池は停電で何日もつ?自動切替の条件と使えない家電をメーカー公式で確認

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家庭用蓄電池があれば、停電しても何日かは普段どおり暮らせる。そう考えている方は多いと思います。けれども、メーカーの取扱説明書や公式FAQには、停電した瞬間に自動で切り替わるかどうかも、使えるコンセントも、停電中にどこまで電池を使い切るかも、メーカーと設定で違うと書かれています。この記事では、オムロン・ニチコン・京セラ・パナソニック・シャープの公式資料と、三重県の防災冊子、日本電機工業会(JEMA)の資料をもとに、停電時の蓄電池の動きを整理します。

先に結論です。何日もつかは「停電時に使える電力量 ÷ その家の1日の消費量」で決まり、メーカーが公表している試算はどれも「時間」で書かれた目安です。停電の瞬間は、自動切替の機種でも数秒から十数秒は電気が来ません。そして、出荷時の設定が「手動切替」の機種や、停電中に太陽光で充電しない初期設定の機種があります。今日のうちに取扱説明書の停電のページで「自動か手動か」「特定負荷か全負荷か」「残量の設定」の3つを確かめておくのが、停電前にできる備えの一つです。

この記事でわかること

  • 何日もつかの計算の仕方と、メーカー3社の公式試算(前提つき)
  • 停電の瞬間に自動で切り替わるか・何秒かかるかを、5社の公式の記載で比べた表
  • 特定負荷と全負荷の違い、エアコン・IHなど200V機器が使えるかの分かれ目
  • 停電に備えて残しておく残量の設定と、気象警報に合わせて充電する機能
  • 太陽光がある家で、停電中に充電できない初期設定がある点
  • 今日、取扱説明書で確かめる3つのこと
目次

何日もつかは「停電時に使える量 ÷ 1日の消費量」で決まり、公式の試算は時間で書かれている

蓄電池で何日暮らせるかは、2つの数字の割り算で見積もれます。

停電時に何日もつかの見積もり方

日数 = 停電時に使える電力量(kWh)÷ 停電中の1日の消費量(kWh/日)

三重県の防災冊子は、1日の電力量を「1か月の使用量 ÷ 30日」で出す例を示しています。1か月300kWhの家なら、300kWh ÷ 30日 = 10kWh/日です。

注意したいのは、割る前の数字です。カタログで目に入りやすい「蓄電池容量(kWh)」は、停電中に家電へ回せる量と同じではありません。日本電機工業会(JEMA)の蓄電システムの性能表示ラベルは、「蓄電池容量」とは別に、「初期停電時放電容量」(新品で、停電時に満充電から利用できる電力量)を表示する項目として定めています。比べるなら、この停電時の数字のほうです。手元の機種にラベルの表示があれば、そこを見ます。

割る側の「1日の消費量」も、停電中は普段と変えられます。月の使用量から出した数字は、エアコンも電子レンジも使う普段の暮らしの値です。たとえば、停電時に使える量が8kWhの蓄電池で、普段どおり1日10kWhを使えば、計算上は1日もちません。使う家電を冷蔵庫・照明・スマホの充電などに絞れば、同じ8kWhでも日数は延びます(この8kWhは計算のための仮の数字です)。

メーカーの公式試算は、前提をそろえて読む

メーカーが公式に出している停電時の使用時間の目安を並べました。ここに挙げた3社はどれも「時間」で書かれています。使う家電と合計の消費電力の前提が違うので、横並びで優劣を比べる表ではありません。

メーカー・機種 試算の前提(公式の記載) 使用時間の目安
パナソニック 創蓄連携システム 太陽光の発電がない状態で、冷蔵庫50W・テレビ100W・照明器具100W・携帯電話充電15Wの計265W 蓄電容量5.6kWhで約16時間、11.2kWhで約32時間
京セラ Enerezza Plus II(11.4kWh) 満充電で、冷蔵庫120W・テレビ170W・ノートパソコン30W・携帯電話10W・LED照明100Wの計約430W 約21時間
ニチコン 単機能 ESS-U4X1/ESS-U4M1 満充電で、冷蔵庫・テレビ等の合計消費電力が400W程度 ESS-U4X1で約30時間、ESS-U4M1で約21時間

※各社の公式FAQ・取扱説明書の記載(2026年10月8日確認時点)。いずれも保証値ではなく目安です。パナソニックは、実際は太陽電池の発電量や消費電力量により大きく異なるとしています。京セラは「おおよその目安」、ニチコンは「保証値ではありません」と明記しています。

表の試算は、合計265〜430W程度で、冷蔵庫・テレビ・照明・スマホの充電に絞った使い方です。エアコンは入っていません。三重県の冊子が資源エネルギー庁の資料を参考に示す消費電力の目安では、冷蔵庫200W・エアコン1000W・炊飯器1000W・電子レンジ1200Wです(実際は製品によって違うとの注記つき)。エアコンを入れると、同じ容量でも時間は大きく縮みます。シャープも公式ページで、周囲の温度で消費電力が変わる冷蔵庫やエアコンは使用時間が短くなることがある、と断っています。

停電が何日続くかの目安は、3日間を想定するのが公的資料の考え方

三重県の冊子は、停電の復旧までに3日間(72時間)かかることを想定して必要な電力量を考えるよう案内しています。同じ冊子が挙げる過去の停電のおおよその日数は、熊本地震(2016年)約5日、台風21号(2018年)約5日、北海道胆振東部地震(2018年)約3日、台風15号(2019年)約12日などです。

冊子の試算では、3日間に必要な電力量は4人世帯の夏で約36kWh(エアコン1000Wを3日間で18時間使う前提などを含む)、2人世帯の冬で約17kWh、単身世帯の夏で約1,100Whです。家族構成と季節、エアコンを使うかどうかで、必要な量が何倍も変わることがわかります。

蓄電池で何日もつかの見積もりの対応図。停電時に使える量は初期停電時放電容量を見る、1日の消費量は1か月の使用量÷30日、停電中に使う家電は冷蔵庫・照明・スマホに絞る、何日もつかは使える量÷1日の消費量

停電の瞬間は自動でも数秒〜十数秒は電気が止まり、初期設定が手動の機種もある

「停電したら蓄電池に自動で切り替わる」と思われがちですが、各社の公式の記載を読むと、切り替わり方は一律ではありません。

メーカー・資料 出荷時・初期の設定 切り替わるまで(公式の記載) 復電したとき
オムロン マルチ蓄電プラットフォーム KPBP-A 自動(切り替え操作は不要) 停電発生後、約5秒後に自立運転へ 復電後、最大5分程度で自動的に連系運転へ
オムロン フレキシブル蓄電システム 蓄電池は自動 5秒後に自動切替で電力供給 —(太陽光のパワーコンディショナは、復電後に手動で連系運転に戻す場合がある)
ニチコン 単機能 ESS-U4X1/U4M1 出荷時の設定なら自動(室内リモコンで手動にも変えられる) 数秒 通常運転への切り替えの際も数秒間電源が切れる
京セラ Enerezza Plus II 自動(特別な操作は不要) 停電を検知すると約15秒後 電力会社との協議で定められた時間内(最大300秒)は「準備中」
パナソニック 住宅用蓄電システム 初期設定は手動切換(「自動切換」に設定できる) 機種によって違う。創蓄連携システム(5.6kWh)は、手動で切り換える操作をしてから約5秒で給電が始まる。自動切換の設定での秒数は公式資料に記載なし —
シャープ 蓄電池システム 自動切替には初期設定の変更が必要 自動切替の設定でも、一時的に電気が供給されない時間がある —

※各社の公式ページ・取扱説明書・FAQの記載(2026年10月8日確認時点)。「—」は公式の停電ページに記載がない項目です。同じメーカーでも機種・世代で違うため、手元の取扱説明書を優先してください。

表からわかることは2つです。1つ目は、自動切替でも、切り替わるまでの数秒〜十数秒は電気が止まることです。ニチコンの公式FAQは「数秒間電源が切れます」と書き、パナソニックは「本機はUPS(無停電電源装置)ではありません」と明記しています。2つ目は、パナソニックとシャープのように、買ったままの設定では自動で切り替わらない機種があることです。手動切換のままなら、停電に気づいて操作するまで、家の中は暗いままです。

パソコンや録画機器は、切り替えの数秒で止まる前提で考える

ニチコンは、デスクトップパソコンや録画機器などデータの保存が必要な機器には、UPS(無停電電源装置)の接続を推奨しています。京セラの取扱説明書は、途中で電源が切れると不具合を生じるおそれがある電気製品(デスクトップ型パソコンなど)は接続禁止です。オムロンも、デスクトップパソコンなどのバッテリーを持たない情報機器を特定負荷につながないよう書いています。ノートパソコンやスマホのように電池を内蔵した機器は、数秒の停電では止まりません。

切り替えの数秒間や、手動切換の機種で操作するまでの間に、スマホの電池が切れていると、停電情報も家族への連絡も止まります。モバイルバッテリーを1台、充電した状態で置いておくと、蓄電池の切り替えを待つ間もスマホを使い続けられます。エレコムの半固体モバイルバッテリー EC-C61MNは、そうした「切り替えを待つ間」の備えとして手元に置ける1台です。容量や出力、スマホとの端子の組み合わせは、商品ページの仕様で確かめてから選んでください。

自動で給電が始まるからこそ、つないではいけない機器がある

自動切替の機種では、停電した瞬間に、誰も操作しないまま回路へ電気が流れ始めます。パナソニックは、自動切換に設定した場合は負荷の状態によらず自動で給電を開始するため、機器の接続に注意するよう書き、転倒時の安全装置がない電気ストーブなどの熱源機器を例に挙げています。ニチコンも、災害時に火災を発生させるおそれのある電熱器などは接続しないよう案内し、給電の開始を手動に設定しておくこともできるとしています。

医療機器は、3社が蓄電池への接続を禁止している

  • オムロン: 特定負荷に「すべての医療機器」を接続しない
  • ニチコン: 「電源が切れてはならない医療機器等は、蓄電池システムに接続しないでください」
  • 京セラ: 「生命にかかわる機器」として医療機器などを接続禁止

自動切替でも数秒〜十数秒は電気が止まり、残量がなくなれば給電も止まります。在宅で医療機器を使っている家の停電への備えは、主治医や機器の販売会社に相談したうえで、「在宅医療機器の停電対策」を参考にしてください。

ほかに各社が接続禁止・注意としている機器も挙げておきます。オムロンと京セラは、灯油やガスを使う暖房機器(石油ファンヒーター、ガスストーブなど)を接続禁止としています。京セラは、掃除機・冷蔵庫・エアコン・ポンプなど起動時に大きな電流が流れる機器、電子レンジ・電気ストーブなど消費電力が大きい機器、ドライヤーなど一部の機器は「動作しない場合がある」との記載です。ニチコンは、センサー機能や調光機能のある照明が停電時にちらついたり動作しなかったりする場合があるとしています。シャープの記載では、アースを必要とする機器は使用できない場合があります。

使えるコンセントは「特定負荷」か「全負荷」かで決まり、エアコンやIHは全負荷側の話

停電中に家のどこで電気が使えるかは、蓄電池の種類というより、設置するときの配線工事で決まります。ニチコンの公式FAQは、設置の際の配線工事で、全負荷対応か重要負荷対応(特定負荷)の配線を選ぶことで、停電時に供給できるコンセントが変わると説明しています。

特定負荷(重要負荷) 全負荷
停電中に使える場所 あらかじめ決めた回路・専用コンセントだけ(冷蔵庫の近くなど) 家中のコンセント
200V機器(エアコン・IH・エコキュートなど) 決めた回路に入っているか、機種の停電時の出力(100V/200V)で決まる。ニチコン ESS-U4X1/U4M1は停電時に100V・200Vのどちらにも出力 機種が200V出力に対応していれば使える(ニチコン ESS-U5、シャープの「家中まるごと停電対応」など)
電池の減り方 使う機器が限られるので、電気の使い過ぎを防げる 家中で使える分、ためた電気を早く使い切りやすい

※ニチコン・シャープ・オムロンの公式ページ・FAQの記載から整理(2026年10月8日確認時点)。どちらの配線かは家ごとに違います。

特定負荷の家では、停電中に使えるのは「停電時専用コンセント」や特定負荷用分電盤につながった回路だけです。オムロンの資料は、主分電盤に接続した機器は使用できないと書いています。シャープも、停電時に使う機器はあらかじめ専用配線に接続しておく必要がある、としています。自宅のどのコンセントが停電時に使えるかは、設置時の図面や施工店の説明で確かめられます。

全負荷なら200Vのエアコンや IH クッキングヒーターも使えますが、シャープは、分電盤につながる機器をたくさん使うとためた電気を早く使い切るため、停電時は使う機器に注意するよう書いています。ニチコンは、エコキュートは消費電力が大きく、停電時に電池容量が急に減ったり、過負荷で止まったりする場合があるとしています。オール電化の家で停電中に何が止まるかは「オール電化の家の停電対策」に、停電明けのエコキュートの戻し方は「エコキュートの停電・断水後の復旧手順」にまとめています。

停電中に同時に使える量には上限(kVA)がある

容量(kWh)が「どれだけ長く」使えるかの数字だとすると、自立運転の出力(kVA・kW)は「同時にどれだけ」使えるかの数字です。上限を超えると、蓄電池は止まります。公式に書かれている例は次のとおりです。

  • オムロン KPBP-A: 特定負荷は合計2000VA以下(AC100Vで最大20A以下)。長く使うために合計500W程度に抑えるよう推奨。全負荷は最大片相2000VA、両相4000VAを超えないように
  • ニチコン ESS-U4X1/U4M1: 停電時は100V・200Vともに15Aまで、合計3kVAまで(家電製品の起動時の電力を含む)
  • ニチコン ESS-U5M1(7.7kWh)/ESS-U5L1(9.7kWh): 自立出力の定格は4.0kVA/5.9kVA(単相3線式)
  • 京セラ Enerezza Plus II: 自立時の定格電力は1台で3.0kW、2台・3台で4.5kW

オムロンは、電気製品によっては定格のワット数(W)以上の電力(VA)を消費するため、定格の合計が上限以下でも使えない場合があるとしています。パナソニックは、消費電力が出力できる電力より大きいと運転を一時停止し、それを5回くり返すと機器保護のため異常停止の状態になる、と書いています。止まったときは、使っている機器を減らしてから、取扱説明書の手順で再開します。ブレーカーや分電盤の配線を自分で組み替えることはしないでください。配線の変更は販売施工店に相談する工事です。

特定負荷の家で、照明がない部屋とIHの代わりを用意する

特定負荷の家では、寝室やトイレの照明が停電時の回路に入っていないことがあります。手動切換の機種で操作するまでの暗い時間や、夜間に残量を温存したいときにも、電池で光る照明が1つあると動けます。パナソニックの多機能強力ランタン BF-BL45Mは、単1形乾電池3本で点灯し、明るさは400lmと800lmです。蓄電池とは別の電池で動くので、蓄電池の残量を減らしません。

IHクッキングヒーターは200V機器なので、特定負荷の家や、全負荷でも残量を温存したい場面では使えないことがあります。電気を使わずに調理や湯沸かしができるのがカセットコンロです。岩谷産業のカセットフー 達人スリムV(CB-TS-5)は、最大発熱量3.4kWの薄型のカセットコンロです。停電中は換気扇が止まるので、窓を開けて換気しながら使います。


停電に備えて残す量は設定で決まり、停電中に下限まで使うかはメーカーで違う

ふだん電気代の安い時間帯に充電して昼に使う運転をしていると、停電が起きた時刻によっては電池がほとんど空、ということもありえます。そこで多くの機種に、ふだんは使わずに停電用として残しておく量を決める設定があります。名前と動きはメーカーで違います。

メーカー 設定の名前(公式の表記) 内容 停電中の扱い
ニチコン 非常時安心設定 off(0%)・30%・40%・50%・60%・70%などから選ぶ。ESS-U4X1/U4M1の工場出荷時は30% 「OFF」なら蓄電池容量を全て利用できる(FAQ。停電時に限った記載ではない)
京セラ 非常時安心設定 通常時に使う残量を指定の%までに制限。10%単位。30%以上の設定を推奨 停電時は残量の制限をせず、0%まで使用
パナソニック 放電下限設定値(停電時に備える容量) 減らすと平常時に使える量が増え、増やすと停電時に備える量が増える —
オムロン KPBP-A SOC下限 10%以下に設定すると、停電時に電気をすぐに使用できない場合がある 過放電防止のため、停電時は規定の残量6%で放電を停止。再開は7%以上(A-2)/16%以上(B・C)

※各社の公式FAQ・取扱説明書の記載(2026年10月8日確認時点)。「—」は公式資料に記載がない項目です。

オムロンと京セラでは、停電中に電池をどこまで使うかが違います。京セラは停電時は0%まで使う、オムロン KPBP-Aは残量6%で放電を止める、と書いています。オムロン フレキシブル蓄電システムの資料も、停電時は0%まで使い切らずに蓄電池を保護する、としています。表示の残量がまだ数%あるのに止まったとしても、故障とは限りません。京セラの取扱説明書には、自立運転中に放電しているとき、現在の放電電力から運転を続けられる時間の目安を10分単位で表示する機能も書かれています。

設定ひとつで、停電時に蓄電池から電気が出なくなる例

オムロン KPBP-Aの資料は、「テイデンジモード」を「タイヨウコウキュウデン」に設定すると、停電時に蓄電池から電力が供給されないと書いています。設定画面の項目は機種ごとに違うため、自宅の機種で停電時の運転モードが何になっているかを、取扱説明書と照らし合わせて確かめてください。

天気予報や警報に合わせて、先に充電しておく機能がある

停電が起きそうな日に、あらかじめ満充電に近づけておく機能を持つ機種があります。公式に書かれている機能名と条件は次のとおりです。

  • ニチコン「気象警報自動制御」「早期注意情報自動制御」: 住んでいる地域に気象警報や早期注意情報[高]が発表されたら、自動で充電して停電に備える。事前に見守りサービスと本サービスに加入した人が対象
  • 京セラ「レジリエンスモード」: 停電の可能性がある悪天候の予報(特別警報・警報)を受信したときに充電を行う(気象庁の警報が対象で、雷などの注意報や地震は対象外。郵便番号の設定が必要)
  • シャープ「AI雷注意報連携」: HEMSと連携し、雷注意報が発令されたら、停電の間に必要な量だけを蓄電池に自動で充電する(HEMSとの連携が前提)

パナソニックにも「気象警報連動」があります。創蓄連携システムS+のページによると、HEMSのAiSEG2があれば、大雨や暴風などの警報が出たときに、停電に備えて自動で蓄電池への充電が始まります。こうした機能は、加入や初期設定、対応する機器が必要なものがあります。台風シーズンの前に、機能が有効になっているかをリモコンやアプリで見ておくと安心です。

太陽光がある家は昼に充電・夜に使えるが、停電中に充電しない初期設定の機種がある

太陽光発電と組み合わせていると、停電が長引いても、晴れた昼間に充電し、夜に使うことができます。パナソニックは公式ページで、停電時は昼間は太陽光で充電し、夜間の電気として給電すると説明しています。三重県の冊子も、家庭用蓄電池は別途ソーラーパネルを導入して太陽光で充電することもできる、としています。

ただし、停電中に太陽光の電気が蓄電池に入るかどうかは、機種と設定で変わります。

  • オムロン フレキシブル蓄電システム: 「停電時充電電力」の設定が0W(初期値)・200W・500W・1000W・1500Wから選べ、0Wの場合は停電時に太陽光発電を充電できません。昼に停電が起きた場合は、太陽光ブレーカーを切り、太陽光のパワーコンディショナを自立運転に切り替える操作が要る(自動になっている場合もある)。翌日も停電していたら、太陽が出てから再び切り替えを行う
  • ニチコン: 停電時も太陽光パワコンを自立運転に切り替えずに発電を使える(ホワイトリストにない太陽光パワコンの場合、停電時は太陽光発電を使えない)。停電中の充電は残量90%で止まる。蓄電池が0%で太陽光も0Wになったときは、充電のために太陽光パワコンを自立運転に切り替える
  • オムロン KPBP-A(太陽光併設の構成): 太陽電池が発電した電力は、使う分と蓄電池の充電に回る。夜間は太陽光からの供給はない

オムロンの資料は、一般的な太陽光のパワーコンディショナの自立運転の出力は最大1.5kVA(約1500W相当、家庭用コンセントひとつ分)としています。太陽光の自立運転コンセントの使い方そのものは「太陽光発電の自立運転のやり方」で扱っています。停電が明けたあと、太陽光のパワーコンディショナが自動で連系運転に戻らない機種もあるため、復電後の操作も取扱説明書で確かめておきます。

停電時の蓄電池について取扱説明書で確かめることの対応図。自動か手動か、特定負荷か全負荷か、残量の設定、停電時充電電力と、それぞれ違うと起きること

今日やることは、取扱説明書の停電のページで3つを確かめること

ここまでの違いは、どれも自宅の機種の取扱説明書に答えが書いてあります。停電してから探すと、暗い中で紙をめくることになります。今日のうちに、次の3つを確かめておきます。

  1. 停電時の切り替えは自動か手動か取扱説明書の「停電時の使い方」「自立運転」のページで、出荷時の設定と、いま設定されている状態を確かめます。手動なら、リモコンのどのボタンを押すかに印をつけておきます
  2. 特定負荷か全負荷か設置時の図面や施工店の説明で確かめます。特定負荷なら、停電時に使えるコンセントの場所を家族で共有します
  3. 停電に備える残量の設定非常時安心設定・放電下限設定などの名前で、何%に設定されているかを見ます。太陽光がある家は、停電時に充電する設定(オムロン フレキシブルの「停電時充電電力」など)もあわせて確かめます

あわせて控えておくと迷わないこと

  • 蓄電池とパワーコンディショナのメーカー名・型番(本体の銘板や取扱説明書の表紙)
  • 販売施工店とメーカーの連絡先
  • 気象警報と連動して充電する機能があれば、加入・設定の状態
  • 停電中に使う家電の優先順位(冷蔵庫・照明・スマホの充電など)

三重県の冊子は、消費電力の大きな機器や冷蔵庫など長時間使う機器は電力量が大きくなるため、優先度をあらかじめ決めておくことが重要だとしています。停電した直後の家全体の動き(ブレーカー・冷蔵庫・情報の取り方)は「停電したらまず何をする?初動のやることリスト」にまとめています。

蓄電池がない家・特定負荷の外の部屋では、持ち運べる電源で補う

これから蓄電池を入れるかどうかを決める段階なら、太陽光の有無や売電の買取期間、置き場所から蓄電池が向く家・向かない家を判定する記事で先に確かめられます。

持ち家で太陽光発電がすでにあり、定置型の蓄電池をこれから設置するか考えている場合は、費用が容量・機種・工事の条件で変わるため、複数の施工業者の見積もりを並べると判断しやすくなります。

蓄電池だけの見積もりを最大5社にまとめて依頼できるサービスに タイナビ蓄電池 があります。公式サイトでは、見積もりを比べて業者を決めるまでは無料と案内されています。申し込むときは「蓄電池のみ」の窓口を選びます(「太陽光パネルとセット」は別の窓口です)。

※補助金の有無や金額は、自治体と年度で変わります。お住まいの自治体の案内で確認してください。

賃貸住宅などで定置型の蓄電池を置けない家や、特定負荷の回路が届かない部屋では、ポータブル電源が代わりの電源になります。三重県の冊子は、ポータブル電源の目安を最大出力200〜1500W程度・容量400〜2000Wh程度とし、家電を使うにはAC100V出力が正弦波(家庭用コンセントと同等)の機種を選ぶよう書いています。一方で、ポータブル電源だけで3日間の電力量を確保するのは難しいため、日中にソーラー充電器で充電するなどの工夫が必要、とも書いています。蓄電池の代わりになるというより、使う家電を絞って補う道具と考えるのが現実的です。

Jackery ポータブル電源 1000 Newは、容量1,070Wh、定格出力1,500W、瞬間最大3,000W(AC3ポート合計)、電池はリン酸鉄リチウム(LiFePO4)、本体は約10.8kgです。定格出力1,500Wは、三重県の冊子が示すポータブル電源の最大出力の目安の上の端にあたります。特定負荷の回路が届かない部屋で扇風機や照明を使う、といった使い方なら出力の範囲に収まります。容量・定格出力・重さを製品ごとの仕様表で見比べるなら、メーカーの公式サイトが手早く確認できます(Jackery(ジャクリ)公式サイトでポータブル電源を見る)。※価格・在庫は変動します。最新の情報は各リンク先でご確認ください。


何Whあれば何時間使えるかの計算は「ポータブル電源の容量の計算方法」で、乾電池・モバイルバッテリー・ポータブル電源・蓄電池をどの順にそろえるかは「防災の電源は4段階でそろえる」で整理しています。

カセットコンロのボンベも、停電が長引けば本数が要ります。岩谷のカセットガス CB-250-ORは、3本パックを8つまとめた24本の単位で、メーカーは製造から約7年以内の使い切りを目安としています。数年おきに使って入れ替えると、期限切れを防げます。


この記事の内容が当てはまらないケース

  • 表に挙げた以外のメーカー・機種: 切り替えの秒数、初期設定、残量の扱いは機種と世代で違います。同じメーカーでも、パナソニックは「機種によって切替時間は異なります」としています
  • V2H(電気自動車から家に給電する設備)を使っている家: 車からの給電は別の仕組みで、出力や操作が変わります(ニチコンのトライブリッドは、V2Hで放電できる場合などに停電時の最大出力が変わると書いています)
  • 地震・浸水で蓄電池や分電盤が被害を受けた家: 使い続けずに販売施工店・メーカーに点検を依頼します。本体を開ける・配線を触る作業はしないでください
  • 補助金で導入を考えている家: 国や自治体の補助事業は年度と予算で変わります。たとえば環境共創イニシアチブ(SII)の家庭用蓄電池の事業(令和7年度補正)は、交付申請額の合計が予算に達したため、2026年5月29日に公募を終了しています。最新の条件は各事業の公式ページで確かめてください

よくある質問

蓄電池があれば、停電したら自動で電気が使えますか?

機種と設定によります。オムロン・ニチコン・京セラは自動で切り替わるとしていますが、パナソニックの住宅用蓄電システムは初期設定が手動切換、シャープは自動切替に初期設定の変更が必要です。自動の機種でも、切り替わるまで数秒〜十数秒(オムロン約5秒、京セラ約15秒など)は電気が止まります。

停電中にエアコンは使えますか?

エアコンには100Vの機種と200Vの機種があります。200Vのエアコンが使えるかは、配線と蓄電池の機種で決まります。全負荷の配線で、機種が200V出力に対応していれば使えます(ニチコン ESS-U5、シャープの家中まるごと停電対応など)。特定負荷の配線では使えないことがあります。使えても消費電力が大きいため、電池は早く減ります。京セラは、エアコンは起動時の大きな電流で動作しない場合がある、としています。

停電中に蓄電池が止まりました。故障ですか?

故障とは限りません。同時に使う機器の合計が自立運転の出力の上限を超えると、保護のために止まります。オムロン KPBP-Aは停電時に残量6%で放電を止めます。使う機器を減らしてから、取扱説明書の手順で再開してください。パナソニックは、過負荷の停止を5回くり返すと異常による停止状態になるとしています。

停電時にブレーカーは操作する必要がありますか?

蓄電池側の切り替えは、自動の機種なら操作は要りません。太陽光と組み合わせた機種では、オムロン フレキシブル蓄電システムのように、昼の停電で太陽光ブレーカーを切ってパワーコンディショナを自立運転にする操作が要るものがあります。操作するのは取扱説明書に書かれたブレーカー・スイッチだけにし、分電盤の配線は触らないでください。

10kWhの蓄電池なら何日もちますか?

容量だけでは決まりません。停電時に使える量(JEMAラベルの初期停電時放電容量など)を、停電中の1日の消費量で割って見積もります。公式の試算では、11.4kWhで合計約430Wの家電を使って約21時間(京セラ)、11.2kWhで合計265Wを使って約32時間(パナソニック)です。いずれも保証値ではなく目安で、エアコンを使えば短くなります。

まとめ: 蓄電池は「何kWhか」より「どう設定されているか」で停電の日が変わる

家庭用蓄電池で何日もつかは、停電時に使える量を、停電中の1日の消費量で割って見積もります。メーカーの公式試算は、冷蔵庫・照明・テレビ・スマホの充電に絞った数百Wの使い方で、十数時間から30時間程度の「時間」の目安です。エアコンを使えば短くなります。

停電の瞬間は、自動切替の機種でも数秒〜十数秒は電気が止まり、パナソニックやシャープのように初期設定が自動でない機種もあります。使えるコンセントは特定負荷か全負荷かで決まり、200Vのエアコンや IH は全負荷側の話です。停電に備えて残す量、停電中に下限まで使うか、停電中に太陽光で充電するかも、メーカーと設定で違います。

今日やることは、取扱説明書の停電のページで「自動か手動か」「特定負荷か全負荷か」「残量の設定」の3つを確かめること。あわせて、停電中に使う家電の順番を家族で決めておくと、いざというときに電池を長く使えます。

参考・出典

  • オムロン ソーシアルソリューションズ「停電時の使い方(マルチ蓄電プラットフォーム KPBP-A)」 https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/energy/doc/po_mnu/power_outage_kpbp-a.pdf (2026年10月8日確認)
  • オムロン ソーシアルソリューションズ「停電時の使い方(フレキシブル蓄電システム)」 https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/energy/doc/inf/independent_operation.pdf (2026年10月8日確認)
  • ニチコン「16.6kWh 単機能蓄電システム ESS-U4X1/U4M1 Q&A」 https://www.nichicon.co.jp/products/ess/qa_ess-tanki-u4.html (2026年10月8日確認)
  • ニチコン「トライブリッド蓄電システム ESS-T1/T2 Q&A」 https://www.nichicon.co.jp/products/ess/qa_ess-tribrid-t1.html (2026年10月8日確認)
  • ニチコン「単機能蓄電システム ESS-U5シリーズ」 https://www.nichicon.co.jp/products/ess/series_ess-u5.html (2026年10月8日確認)
  • 京セラ「Enerezza Plus II 取扱説明書」 https://www.kyocera.co.jp/solar/support/download/uploads/Enerezza_Plus2_torisetsu.pdf (2026年10月8日確認)
  • 京セラ 太陽光発電・蓄電池 Q&A https://www.kyocera.co.jp/solar/support/qa/2/ (2026年10月8日確認)
  • パナソニック よくあるご質問「創蓄連携システムでは、停電時におよそ何時間使用できますか」 https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/89058 (2026年10月8日確認)
  • パナソニック 住宅用蓄電システム 停電時 https://sumai.panasonic.jp/chikuden/sochiku/failure/ (2026年10月8日確認)
  • パナソニック 創蓄連携システム かんたんガイド https://panasonic.co.jp/ew/pewse/pdf/easy_guide.pdf (2026年10月8日確認)
  • パナソニック 創蓄連携システムS+(気象警報連動) https://sumai.panasonic.jp/chikuden/sochiku/system/s_plus.html (2026年10月8日確認)
  • シャープ 蓄電池システム https://jp.sharp/sunvista/battery/ (2026年10月8日確認)
  • 三重県防災対策部「あなたの生活スタイルに必要な電源確保を考えてみよう!」 https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000983824.pdf (2026年10月8日確認)
  • 一般社団法人日本電機工業会(JEMA)「蓄電システムとは」 https://www.jema-net.or.jp/living/chikuden/what/ (2026年10月8日確認)
  • 一般社団法人日本電機工業会(JEMA)「蓄電システムの選び方(性能表示ラベル)」 https://www.jema-net.or.jp/living/chikuden/how/ (2026年10月8日確認)
  • 一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)「DR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正)」 https://dr-battery.sii.or.jp/r7h/about/ (2026年10月8日確認)
  • Jackery「ポータブル電源 1000 New」 https://www.jackery.jp/products/explorer-1000-new (2026年10月8日確認)
  • 岩谷産業「カセットフー 達人スリムV CB-TS-5」 https://www.iwatani.co.jp/jpn/consumer/products/cg/stove/cb-ts-5/ (2026年10月8日確認)
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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直しています。記事は、国・自治体の資料とメーカーの公表値を1つずつ開いて確かめて書いています。自分で使っていない商品を、使ったようには書きません。

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