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水没車・冠水車は、水が引いてもエンジンをかけず、販売店・整備工場かJAFに連絡して点検を受けるのが先です。国土交通省は、水に浸かった車は外見に問題がなさそうでも、感電や、電気系統のショートによる車両火災のおそれがあるとしています。修理か廃車かを分ける公的な線は見当たらず、手がかりになるのは浸水の高さです。日本自動車査定協会(JAAI)は室内フロア以上に浸水した車(または、その痕跡で商品価値の下落が見込まれる車)を「冠水車」と定め、査定の減点の目安を50〜70%としています。
この記事は、もう浸かってしまった車をどうするかの話です。冠水した道路を走るかどうかの判断は「冠水した道路は車で走れる?JAFの実験でわかる限界と、引き返す判断の決め方」に、台風・大雪・地震など場面ごとの車の備えは「車の防災対策は場面で決める」にまとめています。点検の結果を聞いて手放すことも頭に浮かんだら、廃車も考え始めたときの相談先と、頼む前に確かめることを先に読んでおくと、慌てて決めずに済みます。
車に近づく前に、自分の安全と、HV・EVかどうかを確かめる
大雨の翌朝、駐車場の車の窓に泥の線が残っている。ドアを開けて中を見たくなりますが、ここは一度止まってください。JAFは、車内まで冠水した車について、ご自身の安全を確認したうえでJAFを呼ぶよう案内しています。まだ水が残っている場所や、流れのある所に車がある間は、近づかないことが先です。
次に確かめるのは、車の種類です。ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)は、走るための高電圧のバッテリーを積んでいます。国土交通省は、HV・EVはむやみに触らないよう求めています。メーカーごとの言い方には、少しずつ差があります。
- トヨタ: HV・EV・水素で走る車は高い基準の安全対策が行われているが、念のためむやみに触らないように、としています
- 日産: EV・HV・e-POWERの車は、電気系統のショートによる火災事故や感電事故を防ぐため、車には触らずに直ちに販売店へ連絡するよう求めています。販売店が営業時間外でも触らず、営業時間になってから連絡する、とあります
- ホンダ: 車種を分けずに、エンジンの始動やPOWERスイッチをONにしないよう案内しています
「HVは感電しない」「EVは危ない」と一言で言い切れる公式の資料は、ここに挙げた範囲にはありません。自分の車の扱いは、買った販売店に聞くのが確かです。
海水に浸かった場合は、もう1段注意が要ります。JAFと日産は、海水に浸かった車は水が引いたあとも電気系統の腐食が進み、ショートして自然発火することがあるとしています。高潮や河口近くの浸水で車が浸かったときは、乾いたように見えても安心できません。
浸かった車に、自分でしないこと
- エンジンをかける。キーを回す、プッシュボタンを押す、POWERスイッチをONにする
- HV・EVの車体や、高電圧の部品まわりに触る
- 海水に浸かった車のバッテリーを、自分で外そうとする
- 電装品のスイッチを入れて動くか試す
水が引いても、エンジンはかけない。公式5か所の言い方を並べる
エンジンをかけないことは、国土交通省・JAF・トヨタ・日産・ホンダのどれもが同じことを言っています。違うのは、理由の書き方と、バッテリー端子の扱いです。確かめた5か所を並べました。
| 公式 | エンジン | 理由として書いていること | バッテリー端子 | HV・EV |
|---|---|---|---|---|
| 国土交通省 | 自分でかけない。水が引いた後もかけない | 感電事故、電気系統のショートなどによる車両火災 | マイナス側を外し、バッテリーと触れないようテープなどで覆う(2019年のページは、HV・EV・PHVは自分で対処せず整備工場等に相談) | 高電圧のバッテリーがあるので、むやみに触らない |
| JAF | 点検するまで始動させない。キーを回さず、ボタンも押さない | 電装系のショート、エンジン破損、ブレーキ機構の異常(水位による)。いずれも破損や感電のおそれ | 水に浸っていればマイナス側を外して絶縁(注意点のページ)。海水のときは自分で外そうとしない(Q&A) | むやみに触らない |
| トヨタ | 水がひいてもかけない。ロードサービスや販売店に電話 | エンジン故障や、電気系統のショートなどによる車両火災を防ぐため(防災のページ)。FAQには、感電事故や電気系統のショートなどによる車両火災を防ぐため、とある | HV・EV以外の車は、マイナス側を外してテープなどを巻く(防災のページ) | 安全対策はされているが、念のためむやみに触らない |
| 日産 | かけない。販売店で点検を受ける | 床面を超えた浸水では吸気系に水が入っている可能性があり、始動すると最悪エンジンが壊れる | EV・HV・e-POWER以外の車で、点検まで時間がかかるときの火災防止の措置として、マイナス側から外して絶縁 | 触らずに直ちに販売店へ |
| ホンダ | エンジン始動やPOWERスイッチをONにしない | 始動すると破損するおそれ | ― | 車種を分けた記載なし |
※国土交通省・JAF・トヨタ・日産・ホンダの公式ページから整理(2026年10月28日確認)。「―」は確かめたページに記載が無かったもの。
つまり、エンジンをかけてはいけない理由は2つの方向にあります。1つは電気で、ショートから火災や感電につながるおそれ。もう1つはエンジンそのもので、吸い込んだ水で壊れるおそれです。国土交通省は2019年の注意喚起で、水が引いた後もエンジンをかけないこと、そして運転できる状態であっても、一度浸水した車は点検整備を受けることを求めています。動いたから大丈夫、とはならないわけです。
キーを抜いていても安心できない理由も、JAFが書いています。キースイッチが切れていても、バッテリーがつながっていれば電流は流れている、というものです。国土交通省も、使うまでの間に発火するおそれがあるとして、バッテリーの端子を外す案内を載せています。ただし、HV・EVや海水に浸かった車は自分で外さず、次の項のとおり先に販売店かJAFに聞きます。

バッテリー端子は、自分で外す前に販売店かJAFに聞く
端子の扱いは、公式の間で言い方が割れています。国土交通省の現行ページとトヨタのよくあるご質問は、マイナス側の端子を外すよう書きます。ただし、国土交通省の2019年のページは、HV・EV・PHVは高電圧のバッテリーを搭載しているので自分で対処せず自動車整備工場等に相談するよう添えていて、トヨタの防災のページも、端子を外す手順は「それ以外のクルマ」の項に載せています。日産は、EV・HV・e-POWERの車は触らずに販売店へ、とし、外す手順を載せているのはそれ以外の車だけです。その手順も、外す順番や絶縁の仕方まで細かく決まっていて、誤ると危ないとしています。JAFは、注意点のページでは水に浸っていれば外すとしながら、Q&Aの海水の項では、自分でバッテリーを外そうとせずにJAFや販売店・整備工場へ、と書いています。
同じJAFの中でも場面で言い方が変わる以上、どれか1つの手順を全部の車に当てはめるのは無理があります。工具を手に取る前に、販売店かJAFに電話し、「車種」「浸かった水の高さ」「海水かどうか」を伝えて、外すべきかを聞いてください。
片づけや移動の前に、浸かった跡を写真に残す
車を動かすと、水位の跡や泥の様子は変わってしまいます。写真の使い道は2つあります。1つは、点検や査定で浸水の高さを伝えること。もう1つは、自動車税の減免などを申し出るときの書類です。京都府の資料は、水没した車の課税の取り消しの申し立てに、市町村のり災証明書・損害保険会社の書面・被災の写真のいずれかを使えるとしています。広島県は、市町村のり災証明書の写しを求め、難しいときは被災状況の報告書と写真などで申し出られると案内しています。り災証明書は市町村に申請するもので、家も浸水したなら、家の被害の写真もあわせて撮っておきます。申請の流れと撮り方は「罹災証明書の申請の流れ|片づける前に撮る写真と、判定に納得できないときの再調査」にまとめています。
撮るものは、JAAIが冠水車かどうかを見る「痕跡」と重なります。JAAIは、ふだんの使い方では出ない場所のさび(シートのスライドレール、ペダルの付け根など)、ふだん付かない汚れやシミ(粉のような泥、水位の跡)、泥やカビの臭いを挙げています。
- 車の前後左右の全体と、ナンバープレート
- 車体やガラスに残った水位の線。地面からの高さが分かるよう、引きで1枚
- 窓越しに見える床・シート・ペダルまわりの泥やシミ(HV・EVは触らず、外から撮る)
- 車が置かれていた場所のまわりの浸水の跡(塀や建物の水位の線など)
スマートフォンの写真には撮った日時が残ります。いつの水害で浸かったかを説明するときの助けになります。車検証は、このあとの廃車や売却の手続きで使う書類です。車の中にあるなら、取り出してよいかを点検を頼むときに販売店へ聞いておきます。
点検は販売店か整備工場へ。動かすときはレッカーか積載車で
国土交通省の案内は、買った販売店か、最寄りの整備工場に相談する、です。ホンダは、レッカーか積載車で販売店へ運んで点検を頼むよう案内し、Honda Total Careの会員でない人はJAFなどのロードサービスへ、としています。自分で運転して持ち込むよう書いた公式の案内は、確かめた範囲にありません。
JAFは、浸水した車のけん引にも対応しています。水が引いたあとに、自宅・販売店・整備工場など、行き先を決めて運べます。料金はJAFの会員なら20kmまでかからず、20kmを超えると1kmごとに830円、会員でない人は1kmごとに830円です(JAFのQ&A、2025年7月現在の表示。2026年10月28日確認)。ほかにかかる料金があるかは、呼ぶときに聞いてください。日産は、端子を外したあとの車を動かしたいときも、ギアをニュートラルにして押したりせず、販売店やJAFに相談するよう書いています。
点検で聞きたいのは、どこまで水が入っていたか、直すならどこを直すか、そしていくらかかりそうか、の3つです。ホンダは、もう一度使えるかどうかは車の壊れ方によって違う、としています。業界団体の自動車公正取引協議会(AFTC)の資料には、冠水した中古車を買った人が正規ディーラーで「当店では冠水車の修理対応はできません」と言われた相談例も載っています。直せるかどうかは、店に聞いて初めて分かることです。なお、車両の補償が使えるかは、契約先の保険会社に確かめてください。
修理か廃車か。公的な線は見当たらないので、浸水の高さ・見積もり・名義の3つで考える
先に、はっきりさせておきます。「この高さまで浸かったら廃車」という国や公的機関の基準は、国土交通省・JAF・メーカー・JAAI・AFTC・消費者庁の資料を見た範囲では見当たりません。あるのは、中古車の査定で使う「冠水車」の定義と、査定の減点の目安です。これは買い取りや下取りの値段を決める側の物差しで、直せるかどうかの線ではありません。それでも、どこまで水が来たかで話が変わることは分かります。
| 浸水の高さ・状態 | 公式に書かれていること | 判断の手がかり |
|---|---|---|
| 室内の床(フロア)より下 | 浸水の高さだけでは、JAAIの冠水車の「室内フロア以上」には当たらない。ただし、定義は「その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの」も含み、さび・泥やシミ・臭いの痕跡が複数あれば冠水車として扱うことができる(JAAI) | 運転できても点検整備を受ける(国土交通省)。痕跡が残っていないかも点検で見てもらう |
| 室内の床(フロア)まで | 冠水車の定義に当たる。査定の減点の目安は基本価格の50%(JAAI)。床面を超えると電気装置が故障するおそれ(国土交通省)。吸気系に水が入っている可能性(日産) | 修理の見積もりと、査定の扱いを並べて考える段階 |
| シートのクッションの上まで、それ以上 | 査定の減点の目安は基本価格の70%(JAAI) | 修理の見積もりが大きくなりやすいと考え、手放す場合の手続きも並べて調べる |
| 海水に浸かった | 水が引いたあとも腐食が進み、ショートして自然発火することがある(JAF・日産) | 高さに関係なく、触らずに販売店かJAFへ |
| 再生の価値が認められない | 冠水・冠没の車で再生される価値が認められないものは、査定上「全損」とすることができる(JAAI細則) | 査定の扱いの話。解体して廃車にする手続きへ進む目安になる |
※日本自動車査定協会「中古自動車査定基準及び細則」・国土交通省・JAF・日産の公式資料から整理(2026年10月28日確認)。減点率は査定の目安で、買い取りの金額そのものではありません。
表の読み方を言い換えると、室内のフロア(床)まで水が届いたかどうかが、最初の分かれ目です。届くと、査定では冠水車として大きく減点され、電気装置やエンジンの故障のおそれも公式に書かれる側に入ります。
そのうえで、決めるときは次の3つを並べます。
- 浸水の高さ: 上の表のどこに当たるか。写真に残した水位の跡で確かめる
- 修理の見積もりと車の価値: 点検で出た見積もりの額と、その車がこの先どれだけ使えるか。査定の減点は「基本価格×減点率」で計算する目安なので、見積もりと比べる材料になる
- ローンと名義: 車検証の所有者が自分か、販売店・信販会社か。名義が自分でなければ、廃車も売却も名義の持ち主との話が先になる
直して乗り続けるかを考えるときに、もう1つ知っておきたい見方があります。AFTCは、冠水車は納車後に突然エンジンがかからなくなる、電気系統に支障が出る、車両火災が起きるおそれがあるとして、中古車として消費者に売るには適さない、と書いています。業界団体が売る側に向けて書いた注意ですが、直したあとに長く乗るつもりかどうかを考える材料にはなります。
修理より手放すことも考え始めたら
決める前に、販売店か整備工場の点検で、修理の見込みと見積もりを聞いておきます。ローンが残っていて、車検証の所有者が販売店や信販会社になっているなら、手放す話はまずそちらへ連絡します。
カーネクストは、株式会社カーネクスト(大阪市北区大深町3番1号 グランフロント大阪タワーB 18階・古物商許可 大阪府公安委員会 第622172007374号)が運営する、車の買取サービスです。公式は、廃車や事故車、故障車、不動車、水没車なども買い取り・引き取りの対象として案内しています。公式サイトによると、引き取りは一部の離島を除く全国が対象です。FAQでは、水没歴のある車も査定でき、浸水の範囲や電装系・機関の状態、走れるかどうかを確かめて、中古車・部品・資源としての価値を判断するとしています。動かない車も、部品や資源としての価値を見て査定する、との説明です。値段がつくかどうかは査定で決まります。一方、2026年8月28日のお知らせ(石川・富山の豪雨を受けた相談受付の案内)には、車の状態や所在地、まわりの道路の状況、安全上の理由で、引き取りをすぐにできない場合がある、との注記があります。
申し込んだあとの流れは、公式の案内では次の順です。電話などで査定を受けて金額を聞きます(訪問査定は行っていません)。成約したら、引取業者から前日までに連絡が来て引き取りになります。名義変更や抹消登録の手続きはカーネクストが代行し、手続きの完了後1〜2週間程度で振り込まれます。利用規約には、申し込み後に契約を解除する場合の手数料として一律30,000円を負担すると定められています。取引の流れのページにも、成約後のキャンセルには契約解除手数料(30,000円)がかかる場合があるとあります。なお、手数料がいつから発生するかの書き方は公式の中でも揃っていません(規約は申し込み後の解除、取引の流れは成約後、FAQは査定・契約前なら無料)。自分の場合はいつからかを、契約の前に確かめてください。FAQでは、査定・契約前ならキャンセル料はかからないとしています。ただし、手数料がかかり始める時点は、規約が「申し込み後」、取引の流れのページが「成約後」、FAQが「査定・契約前は不要」と書き方が揃っていません。申し込む前に、どの時点から手数料がかかるのかを電話で確かめ、書面かメールで残してください。ローンが残る車は、完済か所有権の解除が必要です。規約には、提携する事業者に買い取りを頼む場合があり、その事業者からも電話などで連絡が来ることがある、引き渡したあとに車内に残った私物は所有権を放棄したものとみなす、とも書かれています(2026年10月28日確認)。
カーネクストの公式サイトで、申し込みの流れと水没歴の扱いを見る
※電話の前に、車検証(車種・年式・所有者の欄)、浸水の高さが分かる写真、ローンが残っているかを手元に用意します。査定を待つ間も、エンジンはかけないでください。浸水の高さは見たとおりに伝えます(事前に伝えた内容と実車の状態に大きな違いがあると価格が変わる場合がある、と公式FAQにあります)。査定額や引き取りの条件は書面で確かめ、その場で決めないでください。車の売却は、特定商取引法のクーリング・オフの対象外です。車検証や貴重品は、引き渡す前に取り出せるかを相談してください。
廃車にするなら、一時抹消か永久抹消か。軽自動車は窓口が別になる
廃車の手続きは、車を「使うのを一時的にやめる」のか、「解体する」のかで2つに分かれます。国土交通省の自動車検査登録のポータルは、一時抹消登録を「自動車の使用を一時的に中止した場合」の手続き、永久抹消登録を、車をリサイクル事業者に引き渡して適正に解体処分した場合の手続きとしています。水没した車を直さずに手放すなら、解体して永久抹消、という流れが中心になります。普通車(登録車)は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会が窓口です。
| 項目 | 普通車(登録車) | 軽自動車 |
|---|---|---|
| 窓口 | 運輸支局 | 軽自動車検査協会 |
| 解体したときの手続き | 永久抹消登録(手数料はかからない) | 解体返納(手数料はかからない) |
| 使うのを一時的にやめるとき | 一時抹消登録(手数料は登録手数料一覧で確認)。インターネットでの申請もできる | 自動車検査証返納届(あとで解体したら解体届出) |
| 重量税(ふだんの廃車) | 解体して、車検の残りが1か月以上あれば還付。永久抹消(または解体届出・解体返納)と同時に申請 | |
| 重量税(被災した車の特例) | 被災者生活再建支援法が適用された災害で被災した車が対象。災害の日から5年以内。運輸支局か軽自動車検査協会へ | |
| 毎年の税 | 自動車税(種別割)。災害のときの扱いは都道府県で違う | 軽自動車税。月割の制度も還付もない(名古屋市の例)。災害のときの扱いは市町村に確認 |
※国土交通省 自動車検査登録総合ポータル・軽自動車検査協会・国税庁・京都府・広島県・名古屋市の公式ページから整理(2026年10月28日確認)。
解体して廃車にするまでの順番
自分で手続きする場合の流れは、環境省・国税庁・軽自動車検査協会の説明を合わせると次のとおりです。
- 登録された引取業者に車を引き渡す使い終わった車は、自動車リサイクル法で登録を受けた引取業者に引き渡すことが必要です(環境省)
- 解体の報告を待つ解体が終わると、永久抹消登録などができるという連絡が来ます。軽自動車の解体返納は、引取業者から解体完了の連絡があったあとに申請します
- 永久抹消登録か解体返納を申請する普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会へ。重量税の還付もここで一緒に申請します
- 還付を待つ国税庁は、重量税の還付にはおおむね2か月半程度かかるとしています
普通車の永久抹消登録で出すものは、永久抹消登録申請書(解体報告記録日と移動報告番号を書く)、手数料納付書、所有者の印鑑証明書(発行から3か月以内)、自動車検査証、ナンバープレート、代理人が出すなら委任状です。車検証の住所や氏名が今と違うときは、つながりが分かる住民票なども要ります。軽自動車の解体返納は、自動車検査証の原本(コピーは不可)、移動報告番号(使用済自動車引取証明書のリサイクル券番号)、ナンバープレート、解体届出書です。重量税の還付を申請するときは、振込先の口座とマイナンバーの記入が要る、と軽自動車検査協会は書いています。
リサイクル料金は、原則として新車を買ったときに払っています。環境省によると、一般の車で6,000円〜18,000円程度です。買ったときに払っていない車は、引取業者に引き渡すときに払います(2026年10月28日確認)。
ローン中で名義が自分でない車は、名義の持ち主への連絡が先
ローンで買った車は、車検証の所有者が販売店や信販会社になっていることがあります。車検証にはAタイプとBタイプがあり、国土交通省のポータルは、Aタイプなら所有者欄に書かれた所有者の書類を用意するよう案内しています。Bタイプは、所有者が備考欄に書かれる形で、その情報が変わっていることもあるため、リース会社などに確認するよう同ポータルは書いています。つまり、所有者が自分でなければ、廃車の手続きには名義の持ち主の印鑑証明書や委任状などが必要になります。車検証の所有者欄(Bタイプなら備考欄)を見て、自分の名前でなければ、まず名義の持ち主に連絡してください。その先の手順は、名義の持ち主の案内に従うことになります。
戻るお金は重量税の還付が2通り。自動車税は都道府県で扱いが違い、軽自動車税は戻らない
廃車にしたときにお金が戻る仕組みは、税の種類ごとに別々です。いちばん全国で同じ形なのが、国の税である自動車重量税で、還付の道が2つあります。
1つ目は、ふだんの廃車と同じ還付です。国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在の法令による)は、自動車リサイクル法に従って適正に解体され、車検の残りが1か月以上ある車について、永久抹消登録(軽自動車は解体の届出)と同時に申請すると、残りの期間に応じた重量税が戻るとしています。水害で廃車にする場合も、適正に解体して条件を満たせば使えます。国税庁は、このページの注記で、自然災害で被害を受けて廃車になった車の重量税は別の項(No.8016)を見るよう案内しています。
2つ目は、被災した車の特例です。国税庁は、被災者生活再建支援法が適用される災害が原因でなくなった、または解体した車について、重量税を還付する手続きを設けています。申請は、自然災害が起きた日から5年を経過する日まで、運輸支局か軽自動車検査協会に出します。国税庁のタックスアンサー(No.8016)は、被災した車の例に「洪水などにより、水に浸り使用できなくなった」車を挙げていて、還付額の計算は次の形です。
被災した車の特例の還付額(国税庁の計算式)
納めた自動車重量税の額 ÷ 車検証の有効期間 × 車検の残りの期間(災害の日から車検満了までの月数。1か月未満は切り捨て、残り1か月以上が対象)
たとえば、有効期間が24か月の車検で、災害の日から満了まで10か月残っていたなら、戻るのは納めた重量税の24分の10です。すでにふだんの廃車の還付を受けていても、差額が還付されます。
ただし、この特例が使えるのは被災者生活再建支援法が適用された災害で、区域も災害ごとに決まります。自分の水害が当たるかは、国税庁の災害関連の案内と運輸支局で確かめてください。支援法そのものと、被災した世帯への支援金の仕組みは「被災者生活再建支援金はいくら?基礎支援金と加算支援金の額を罹災証明書の判定と対応させる」で書いています。当たらない場合でも、1つ目のふだんの還付は使えます。

自動車税(種別割)は、都道府県ごとに確かめる
普通車の自動車税(種別割)は都道府県の税で、災害のときの扱いも都道府県が決めています。京都府と広島県の案内を並べると、同じ水没でも書類や期限が違うことが分かります。
| 場面 | 京都府(令和8年度の案内) | 広島県(令和8年4月の案内) |
|---|---|---|
| 被災した車を廃車にする | 運輸支局で抹消登録した月の翌月から課税を取り消し、納めた分は月割で還付。府への申請は不要 | 災害が起きた翌月以降を月割で減額し、納めた分は還付。自動車税賦課保留申立書と、市町村のり災証明書の写し(難しければ被災状況報告書と写真など)を出す |
| 流失・水没で車が無く、手続きできない/被災の翌月以降に廃車 | 被災日の翌月から課税を取り消し。事故自動車申立書と、り災証明書など(市町村のり災証明書・損害保険会社の書面・被災の写真のいずれか)を出す | (上の廃車の扱いに含めて案内) |
| 修理しないと使えない | 被災日から修理が終わった日までの月割分を減免。修理が終わった日から2か月以内に申請 | 災害の翌日から6か月以内に修理が終わり、その期間が16日以上なら対象。修理が終わった日から60日以内に申請 |
| 軽自動車 | ― | 登録したときの住所の市町に問い合わせる |
※京都府「自動車税の災害減免」チラシ(令和8年度)・広島県の案内(令和8年4月)から整理(2026年10月28日確認)。他の都道府県は、それぞれの自動車税事務所の案内を確かめてください。
2府県だけでも、廃車にしたときに申請が要るかどうか、修理した場合の申請期限が2か月か60日か、と違いがあります。「水害なら自動車税が減る」と思い込まず、住んでいる都道府県の自動車税事務所の案内を確かめるのが確実です。修理で乗り続ける場合も、修理の期間の分が減免の対象になる府県があるので、修理の明細や完了日の分かる書類は捨てずにおきます。
軽自動車税は、廃車にしても戻らない(名古屋市の案内)
軽自動車の軽自動車税は市町村の税です。名古屋市は、軽自動車税には月割の制度が無く、4月2日以降に廃車にしても還付されないとしています。災害のときに減免があるかは市町村ごとに決まるので、登録した住所の市町村に問い合わせてください。広島県の案内も、軽自動車税は市町に問い合わせるよう書いています。
買い替えのときにかかっていた環境性能割(自動車税・軽自動車税の環境性能割)は、令和8年度税制改正の大綱で令和8年3月31日をもって廃止とされました。いまの扱いは、買い替えるときに販売店か都道府県の案内で確かめてください。
売るときは、その場で決めず、キャンセルの条件を契約の前に見る
浸かった車を業者に売る場合は、ふだんの中古車の売却と同じ注意が当てはまります。国民生活センターには、冠水車に限った注意喚起は見当たりませんでしたが、中古車の売却のトラブルについては2023年3月22日に報道発表を出しています。売却に関する相談は、2018年度1,151件、2019年度1,229件、2020年度1,211件、2021年度1,519件、2022年度1,157件(2023年1月31日までの登録分)でした。
同センターが挙げたトラブルの型は3つです。強引な勧誘や契約、高額なキャンセル料の請求、そして契約後の査定額の減額。査定の場で業者が居座った、断ったらキャンセル料を求められた、契約直後に解約しようとしたら高額なキャンセル料を示されたのに計算の明細が出てこなかった、といった相談が載っています。
この発表の助言で、水没車に特に関わるのが次の点です。
- 査定の場で契約しない: その場で決めず、条件を持ち帰って考える
- キャンセルの条件を契約の前に読む: キャンセル料の金額と、いつから発生するかを確かめる(国民生活センターの見守り新鮮情報 第455号)
- 浸水したことを先に伝える: 同センターの助言は、修復歴や事故歴を事前に適切に伝えていれば、契約後にそれを理由とした解除や減額に応じる必要はない、というものです(冠水そのものについての記載ではありません)。水が来た高さも、写真を見せて伝えておく
- クーリング・オフは使えない: 車の売却は、特定商取引法のクーリング・オフの対象外です
困ったときの相談先は、消費者ホットライン「188」と、一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)の車売却消費者相談室(0120-93-4595、平日9:00〜17:00)です。国民生活センターによると、中古自動車全体の相談は2025年度に8,642件ありました(2026年5月31日現在)。
代わりの車を中古で探すときにも、冠水車の話は関わってきます。AFTCは、冠水車であることを表示・説明しないまま売る契約をしていた場合は、買った人から錯誤による取り消しの申し出があれば応じる必要があると考えられる、としています。業界の規約も「冠水車」の不当な表示について改正され、2023年4月27日から施行されています。次の車は、台風の前に停める場所も一緒に考えておくと安心です。停める場所の決め方は「台風のとき車はどこに停める?冠水と飛来物から守る場所の決め方」に書いています。
まず、販売店かJAFに電話する
エンジンには触れず、浸かった跡を撮ったら、販売店かJAFに「車種・水の高さ・海水かどうか」を伝えて点検の段取りを決めてください。修理か廃車かは、その見積もりが出てから考えれば間に合います。
参考・出典
- 国土交通省 自動車:浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr09_000100.html (2026年10月28日確認)
- 国土交通省 報道発表「大雨で浸かったクルマ、水が引いても使用しないで」(平成30年7月9日) https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000189.html (2026年10月28日確認)
- 国土交通省 水深が床面を超えたら、もう危険!(2019年11月27日) https://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/carsafety_sub/carsafety033.html (2026年10月28日確認)
- JAF 車内まで冠水した自動車の扱いと対処方法 https://jaf.or.jp/common/car-trouble-qa/strange-inside-car/leakage/faq118 (2026年10月28日確認)
- JAF クルマ何でも質問箱「自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら?」(2025年07月現在) https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-natural/subcategory-heavy_rain/faq238 (2026年10月28日確認)
- JAF 台風・大雨時のクルマに関する注意点 https://jaf.or.jp/common/attention/flood (2026年10月28日確認)
- トヨタ自動車 災害後の対処法-浸水後のクルマ- https://toyota.jp/bousai/tips/fusuigai_shinsui.html / よくあるご質問 https://toyota.jp/faq/show/237.html (2026年10月28日確認)
- 日産自動車 クルマが台風や水害などで浸水・冠水してしまった場合の対処方法を教えて。 https://faq2.nissan.co.jp/faq/show/13175 (2026年10月28日確認)
- 本田技研工業 クルマが水没してしまった、どうすれば良いか教えて https://www.honda.co.jp/customer/auto/auto-maintenance/faq/qa029/ (2026年10月28日確認)
- 一般財団法人日本自動車査定協会 中古自動車査定基準及び細則 http://www.jaai.or.jp/images/jissiten/sateikijun240327/kijun-1.pdf / http://www.jaai.or.jp/images/jissiten/sateikijun240327/kijun-2.pdf (2026年10月28日確認)
- 自動車公正取引協議会 冠水車についての虚偽の表示や不表示は不当表示です(2020年12月4日) https://www.aftc.or.jp/content/files/pdf/aftc_info/aftcinfo_20201204.pdf / 資料一覧 https://www.aftc.or.jp/contents/am/press.html (2026年10月28日確認)
- 国土交通省 自動車検査登録総合ポータル 車を一時使用中止・解体・輸出するためには https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/about/register/erase/index.html / 必要書類 https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/scrapp/document/index.html (2026年10月28日確認)
- 軽自動車検査協会 解体返納 https://www.keikenkyo.or.jp/procedures/scrapped/dismantling.html (2026年10月28日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.7193 使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7193.htm (2026年10月28日確認)
- 国税庁 [手続名]被災自動車に係る自動車重量税の還付 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/jidosha/annai/23120160.htm (2026年10月28日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.8016 自然災害により自動車に被害を受けた場合の自動車重量税の還付制度 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/saigai/8016.htm (2026年10月28日確認)
- 国税庁 令和8年熊本地震 被災自動車に係る自動車重量税の還付(令和8年8月) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/r8/kumamoto/pdf/0026008-071.pdf (2026年10月28日確認)
- 国土交通省 令和8年度税制改正の大綱(抜粋) https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001993968.pdf (2026年10月28日確認)
- 京都府 自動車税の災害減免(令和8年度) https://www.pref.kyoto.jp/zeimu/documents/r8jidousyazei_saigaigenmen_chirashi.pdf (2026年10月28日確認)
- 広島県 災害により被害を受けた自動車の自動車税(令和8年4月) https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/663057.pdf (2026年10月28日確認)
- 名古屋市 軽自動車税 https://www.city.nagoya.jp/kurashi/zeikin/1035069/1012012/1012082/1012083.html (2026年10月28日確認)
- 環境省 知っておきたい自動車リサイクル法 Q&A https://www.env.go.jp/recycle/car/faq.html (2026年10月28日確認)
- 国民生活センター 報道発表「増加する中古自動車の売却トラブル−強引な勧誘やキャンセル妨害も−」(2023年3月22日) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20230322_1.html (2026年10月28日確認)
- 国民生活センター 見守り新鮮情報 第455号(2023年7月4日) https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen455.html (2026年10月28日確認)
- 国民生活センター 中古自動車(各種相談の件数や傾向) https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/ucar.html (2026年10月28日確認)
- 株式会社カーネクスト 会社概要 https://www.carnext.jp/company/ / 利用規約 https://www.carnext.jp/terms/ / 取引の流れ https://www.carnext.jp/service/flow/ / よくある質問 https://www.carnext.jp/support/105/ ・ https://www.carnext.jp/support/94/ ・ https://www.carnext.jp/support/15/ ・ https://www.carnext.jp/support/22/ ・ https://www.carnext.jp/support/23/ ・ https://www.carnext.jp/support/62/ / お知らせ(2026年8月28日) https://www.carnext.jp/notice/20260828/ (2026年10月28日確認)