防災アプリのおすすめは何個入れる?公表機能で比べる4本の役割分担と通知の整理

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スマホの通知欄に、防災アプリのアイコンが3つも4つも並んでいる。夜中に揺れがあると、同じ地震の通知が次々に鳴ることがある。うるさくて全部オフにしてしまい、気づけば「入れているのに何も届かない」状態になっている——防災アプリでいちばん起きやすいのは、入れ忘れではなく入れすぎて止めてしまうことです。

先に答えを置きます。役割ごとに数えると、入れるのは速報の担当1本と、生活情報の広さの担当1本。NHKの受信契約がある家庭は、状況把握の担当をもう1本足せます。これに、お住まいの自治体のアプリが必要な人だけ1本。全国向けは最大3本、自治体を足しても4本までで、多くの家庭は2〜3本で足ります。1本だけにするなら、地震以外の災害もまとめて通知する広さの担当(Yahoo!防災速報など)です。同じ役割に2本入れても届く情報はほとんど増えず、増えるのは通知の回数だけです。

どの役割を厚くするかは、住んでいる場所と家族で変わります。海や川の近くか、離れて暮らす親がいるか、日本語以外の言語が要るか。下の表で自分の行を探してください。

この記事でわかること

  • 防災アプリは何個入れれば足りるのか(役割ごとの本数と判定チェックリスト)
  • 高齢の親と離れて暮らす・海や川の近く・外国語が必要、といった条件別の入れ方
  • 主要4本の対応OS・公表機能・料金の比較と、公的機関・自治体が出している窓口(2026年11月3日確認時点)
  • 通知が重なったときの削り方と、アプリだけでは埋まらない穴
目次

住んでいる場所と家族で、入れるアプリは変わる

条件別の入れ方とは、機能の多さではなく「自分の暮らしでいちばん困る情報はどれか」から先に入れるアプリを決める見方である。下の表は、公式ページに書かれている機能だけをもとに、条件ごとに先に入れるものと足すものを並べたものです。

暮らしの条件 先に入れるもの(足すもの) 公式に書かれている根拠
高齢の親と離れて暮らす Yahoo!防災速報(足すなら NHK ONE ニュース・防災) Yahoo!防災速報は現在地と国内3地点まで通知でき、自宅付近を設定しておけば勤務先でも災害情報が届くと公式が説明しています。親の住む地域を1地点に入れておく使い方ができます。NHK ONE ニュース・防災も天気・災害情報を最大3か所まで設定でき、離れて暮らす家族に避難を呼びかけられるとアプリ紹介にあります。親のスマホに通知が届いても気づくとは限らないため、電話をかける人も決めておきます(穴3)
海の近く(津波が気になる) Yahoo!防災速報(足すなら 特務機関NERV防災) Yahoo!防災速報は津波予報として、大津波警報・津波警報・注意報の発表と解除を通知します。NERVは地震・津波・噴火の速報を、気象業務支援センターと接続した専用線から直接受信と公式が説明しています。端末の緊急速報メールでも緊急地震速報や津波警報が配信されるため(気象庁FAQ)、その設定は残します
川の近く Yahoo!防災速報(足すなら NHK ONE ニュース・防災。水位は川の防災情報) Yahoo!防災速報は、気象庁が発表する河川氾濫に関する警報の発表と解除を河川洪水として通知します。NHKのアプリはマップで雨雲レーダー・河川氾濫・河川カメラ画像を確認できます。国土交通省の「川の防災情報」は水位・雨量・河川カメラなどを載せたWebサイトです
日本語以外の言語が必要(外国籍の家族・同居人・来客) Safety tips(足すなら お住まいの自治体のアプリ) Safety tipsは外国人旅行者向けの災害時情報提供アプリで、観光庁が監修し、対応言語は15言語、緊急地震速報・津波警報・気象特別警報などをプッシュ型で通知します。自治体アプリは言語が自治体ごとに違います(例として東京都防災アプリは日本語・英語・中国語・韓国語・やさしい日本語)。App Storeの言語欄は、Yahoo!防災速報もNHK ONE ニュース・防災も日本語です
地震の通知を早く受けたい(揺れの前の数秒を重く見る) 特務機関NERV防災 現在地の予想震度と主要動までの秒数を表示し、専用線から直接受信と公式が説明しています。ただし気象庁は、内陸の浅い地震では震源に近い場所への緊急地震速報が原理的に間に合わない場合があると説明しています
毎日、天気アプリを開く習慣がある ウェザーニュース 「地震アラーム」は震度3以上の地震で知らせ、津波は発表から解除まで通知すると案内されています。会員向けのメニューで、ウェザーニュースライト会員は利用できません

「海の近く」「川の近く」に当てはまるかどうかは、自宅の想定で決まります。想定が分からないときは、ハザードマップの見方|色と浸水深の読み解き方と、自宅の想定を1枚にまとめる手順で想定を1枚にしてから、この表に戻ってください。

防災アプリを選ぶ基準は3つに絞る

選ぶ基準とは、アプリの機能一覧を上から順に見比べることではなく、「自分の生活で欠けている情報はどれか」を先に決める物差しである。機能の数で選ぶと、多機能なものが常に勝ってしまい、結局どれも入れることになります。

基準は3つだけで十分です。速さ、広さ、地域。この3つはそれぞれ違う情報源につながっていて、1本のアプリで3つとも最高になることはありません。

基準1: 速報がどれだけ速く届くか

速報の速さとは、気象庁が発表した情報が、どれだけ少ない中継を経て自分のスマホに届くかである。アプリ側が独自に地震を予知しているわけではなく、地震・津波などの速報の出どころは気象庁の発表です。差がつくのは、その発表を受け取ってから配信するまでの経路の短さになります。

たとえば特務機関NERV防災は、気象業務支援センター(気象庁本庁舎・大阪管区気象台内)と接続した専用線から直接受信していると公式に明記し、「国内最速レベルの情報配信」を掲げています(2026年11月3日確認時点)。ここは公表されている構成の違いなので、機能表の◯×よりも判断材料になります。

ただし、速さには原理的な天井があります。気象庁は緊急地震速報の仕組みについて、震源近くでP波(初期微動)を捉えた地震計のデータを自動解析して発表するため、解析と伝達に数秒程度かかり、内陸の浅い地震では震源に近い場所への提供が「原理的に間に合わない」場合があると説明しています。つまり、どのアプリを選んでも「揺れる前に必ず鳴る」わけではありません。速さは選ぶ価値のある基準ですが、速さを買えば安心が買えるわけではない、という前提で見てください。

基準2: 扱う情報の種類がどれだけ広いか

情報の広さとは、地震以外の「暮らしを止める出来事」を何種類カバーしているかである。大雨も、河川の増水も、熱中症も、そして避難情報も、届かなければ動けません。

Yahoo!防災速報は公式ページで、避難情報/緊急地震速報・地震情報/津波予報/豪雨予報/河川洪水情報/気象警報/熱中症情報/火山情報/国民保護情報(Jアラート)/防犯情報/自治体からの防災情報/異常感知情報という12種類の通知を挙げています(2026年11月3日確認時点)。地点は現在地に加えて国内3地点まで登録できます。自宅・職場・実家、と数えるとちょうど3つ。この「3つまで」という枠は、家族の住まいが散っている人ほど効いてきます。

ここでいう「避難情報」や「警戒レベル」という言葉の意味そのものが分からないと、通知が来ても手が止まります。言葉の側を先に押さえておきたい場合は、警戒レベル1〜5でいつ動く?レベル4までに避難する理由と、2026年5月に変わった情報名を読んでから通知設定に触れると、どの通知を残すかの判断がしやすくなります。

基準3: 自分の地域の個別情報が届くか

地域の個別情報とは、全国向けの気象情報には出てこない、自治体が自分の判断で出す情報のことである。避難所がどこに開いたか、給水はどこか、ごみの出し方はどうなるか。この層は、気象庁の発表を配信する全国型のアプリだけでは埋まりません。

自治体の情報がどう流れているかは、総務省が公開しているLアラート(災害情報共有システム)の説明が分かりやすい仕組みです。災害発生時に、地方公共団体等が放送局・アプリ事業者等を通じて地域住民に必要な情報を迅速に伝える共通基盤とされ、2011年6月に運用が始まり、2019年4月に全都道府県での運用が実現しています。運営は一般財団法人マルチメディア振興センターが担っていますが、2026年12月1日から総務省が運営主体になると総務省が案内しています。自治体の災害情報を放送局やアプリ事業者へ届ける土台が、この基盤です。

3つの基準は「どれが優れているか」ではなく「どれが自分に欠けているか」で使う。速さが欲しい人、広さが欲しい人、地域が欲しい人で、選ぶ本数も組み合わせも変わります。

入れる本数はチェックリストで決まる

適正な本数とは、機能の多さで決まるものではなく、自分が必要とする役割の数で決まるものである。役割が2つしか要らない人が5本入れても、増えるのは通知の重複だけです。

次のリストで、当てはまるものを数えてください。数がそのまま、全国型アプリの目安本数になります。

  • 揺れの直前に少しでも早く知りたい(食器棚の前で立っている時間を減らしたい、火を止めたい)
  • 地震以外に、大雨・洪水・熱中症・国民保護情報なども1本でまとめて受け取りたい
  • 自宅以外に、通知を受け取りたい場所が2か所以上ある(職場、実家、子どもの学校など)
  • 災害時に、文字だけでなく映像やライブ配信で状況を把握したい
  • 普段から天気アプリを開く習慣があり、そこに防災機能もまとめたい

当てはまった数の読み方
1〜2個 … 全国型は1本で足ります。広さ重視の1本を入れて終わり。
3〜4個 … 全国型は2本。速さ型と広さ型を1本ずつ。
5個 … 全国型は3本まで。ここが上限で、4本目からは役割が重複します。
これに加えて、次章の分岐で必要と判断した人だけ自治体アプリを1本。

4本目以降を足したくなったときは、「その4本目にしかない通知は何か」を先に書き出してみてください。書き出せなければ、それは重複です。

防災アプリを選ぶ3つの基準と、公表機能から見た担当アプリの対応表

役割分担の早見表

役割 その役割とは 担えるアプリ(公表機能から) 判断のめやす
速報の速さ 気象庁の発表を、少ない中継で受け取る 特務機関NERV防災(気象業務支援センターと接続した専用線から直接受信と公式に明記) 揺れの前の数秒を重く見る人は入れる
生活情報の広さ 地震以外の災害・注意情報まで1本で受け取る Yahoo!防災速報(12種の通知、国内3地点まで登録可) 1本だけ選ぶならここ
状況の把握 何が起きているかを映像・ニュースで確かめる NHK ONE ニュース・防災(災害時のニュース同時配信・ライブ視聴) NHK受信契約がある家庭は追加コストなし
日常の天気とまとめる 毎日開くアプリに防災機能を寄せる ウェザーニュース(地震アラーム) 天気アプリを別に入れているなら統合できる
地域の個別情報 避難所・給水など自治体独自の情報を受け取る お住まいの自治体アプリ(自治体ごとに機能が違う) 次章の分岐で判断

この表を見ると、上の4本が同じ役割で並んでいないことが分かります。裏を返せば、同じ列に2本入れても増えるものはほとんどないということでもあります。

公表機能の比較表(2026年11月3日確認時点)

アプリ(提供元) 対応OS 公式に書かれている主な通知・機能 料金
Yahoo!防災速報
(LY Corporation)
iOS 18〜/Android 10〜(公式ページの表記) 避難情報/緊急地震速報・地震情報/津波予報/豪雨予報/河川洪水情報/気象警報/熱中症情報/火山情報/国民保護情報(Jアラート)/防犯情報/自治体からの防災情報/異常感知情報の12種。現在地+国内3地点まで登録可。避難場所やハザードマップ、防災用品を確認できる「防災手帳」 無料(公式ページの表記)。Google Playの表示には「広告が表示されます」とある
NHK ONE ニュース・防災
(NHK)
iPhone・iPad(iOS 16.0以降、App Store表示)/Android(Google Play) 地震や津波、避難に関する情報などのプッシュ通知。天気・災害情報は最大3か所、地域ニュースは1か所の地域設定。ハザードマップ、マップ上の雨雲レーダー・河川氾濫・河川カメラ、災害時の臨時のニュース番組を含む同時配信とライブ映像 NHK ONEの利用には受信契約が必要。世帯で契約済みなら別の契約や追加の負担は不要。日本国外からは利用できない
特務機関NERV防災
(ゲヒルン株式会社)
iOS(App Store)/Android(Google Play) 地震・津波・噴火の速報、気象警報・注意報、キキクル、雨雲レーダー、Jアラート、ダム放流通知。現在地の予想震度と主要動までの秒数を表示。気象業務支援センター(気象庁本庁舎・大阪管区気象台内)と接続した専用線から直接受信し「国内最速レベルの情報配信」と公式が明記。アプリ内に広告はない 基本機能は無料。有料「サポーターズクラブ」はEプラン月額250円/EEプラン月額480円で、地点登録数の増加・雨雲接近通知・アーリーアクセス・クライシスマッピングの投稿権限など
ウェザーニュース
(株式会社ウェザーニューズ)
スマホアプリ(Pro機能はアプリのバージョン5.44.0以降) 「地震アラーム」は震度3以上の地震で通知、津波は発表から解除まで通知(ウェザーニュースライト会員は利用不可)。Proは登録地点の風速・雨量が閾値を超えたときや「避難指示」「緊急安全確保」の発表時に情報を把握できる 地震アラームなどのお天気アラームは会員向けのメニューで、ウェザーニュースライト会員は利用できません。App Storeの説明ではお天気アラームは有料メニューに含まれ、通常会員は月額360円(App Store表記)。Proは月額680円(税込)で、クレジットカード決済で初めて利用する場合は初月無料

電波の悪い場所では、緊急速報メールも受信できないことがあります。気象庁のFAQは、緊急速報メールを受信するには対応機種と受信の設定が必要で、移動中や電波の悪い場所では受信できないことがあると説明しています。どの手段も万能ではないので、通信回線を使わないラジオを手元に置いておくと、受け取れる経路が一つ増えます(穴3で触れる手回しラジオ)。

4本のアプリは公表機能が重なっていない

個別解説とは、順位をつけるための紹介文ではなく、各アプリが「何を担い、何を担わないか」を確かめる作業である。以下は各社が公表している内容のみを整理したもので、優劣を決めるものではありません。

Yahoo!防災速報(LY Corporation)

役割は「広さ」です。公式が挙げる通知は12種類あり、地震・津波だけでなく、豪雨予報、河川洪水情報、気象警報、熱中症情報、火山情報、そして国民保護情報(Jアラート)まで含まれます。防犯情報や自治体からの防災情報も同じアプリに乗っているため、1本しか入れないと決めた人が最初に検討する対象になりやすい構成です。

登録できる地点は現在地に加えて国内3地点まで。数字だけ見ると素っ気ないのですが、生活に置き換えると意味が変わります。自宅、勤務先、離れて暮らす親の家。この3つを登録した瞬間に、このアプリは「自分の身を守る道具」から「家族の様子を知る道具」へ性格が変わります。料金は無料で、対応OSは公式ページでiOS 18以降・Android 10以降と案内されています。Google Playの表示には「広告が表示されます」とあります。避難場所やハザードマップ、防災用品を確認できる「防災手帳」も同じアプリに入っています(2026年11月3日確認時点)。

NHK ONE ニュース・防災(NHK)

アプリ名は「NHK ONE ニュース・防災アプリ」(App Store・Google Playでの表記は「NHK ONE ニュース・防災」)です。探すときはこの現行名で検索してください。

NHK公式のアプリ紹介ページによると、地震や津波、避難に関する情報などをプッシュ通知で知らせ、天気・災害情報は最大3か所、地域ニュースは1か所まで地域を設定できます。ハザードマップ、ニュース番組の同時配信(災害時や緊急時のニュース・報道番組も)、ヘリやロボットカメラなどのライブ映像も同じアプリで見られます。App Storeの説明では、マップで雨雲レーダーや河川氾濫、河川カメラ画像も確認できるとされています。役割で言えば「状況の把握」。速報が鳴ったあとに「で、実際には何が起きているのか」を確かめる層を担います。離れて暮らす家族に避難を呼びかけることもできる、と案内されています。

NHK ONEのサービスを使うには、NHKの受信契約が必要です。すでに世帯で受信契約がある場合は、別途の契約や追加の負担は必要ありません(NHK公式、2026年11月3日確認時点)。受信契約がない家庭では、利用の前に契約の手続きが要ります。追加の負担なく1本増やせるかどうかが、この枠の分かりやすい線引きです。iPhoneは iOS 16.0以降が対象で、日本国外からは利用できません(App Store・Google Playの表示)。

特務機関NERV防災(ゲヒルン株式会社)

運営元の正式表記はゲヒルン株式会社です(「株式会社ゲヒルン」ではありません)。役割は「速さ」。地震・津波・噴火・特別警報の速報と、洪水や土砂災害などの防災気象情報を扱い、気象業務支援センター(気象庁本庁舎・大阪管区気象台内)と接続した専用線から直接受信していると公式に明記しています。現在地の予想震度と主要動までの秒数を表示し、アプリ内に広告はなく、宣伝のプッシュ通知も送らないと公式に書かれています。

基本機能は無料です。有料の「サポーターズクラブ」はEプランが月額250円、EEプランが月額480円で、地点登録数の増加、雨雲接近通知、アーリーアクセス、クライシスマッピングへの投稿権限などが特典として挙げられています(2026年11月3日確認時点)。登録する地点を増やしたい人が検討するプランです。

そなえぐらし管理人

「速いアプリを入れたから安心」ではないところが、正直むずかしいところ。気象庁も、内陸の浅い地震では震源の近くに間に合わないことがあると書いています。速さはあくまで数秒を取りに行く投資。その数秒で何をするかを決めておかないと、鳴っただけで終わってしまいます。

ウェザーニュース(株式会社ウェザーニューズ)

役割は「日常の天気とまとめる」。公式のアラームのページでは、地震は震度3以上の地震が発生したとき、津波は注意報や警報の発表から解除までを知らせると案内されています。地震アラームなどのお天気アラームは会員向けのメニューで、「ウェザーニュースライト会員」は利用できないと案内されています。App Storeの説明では、お天気アラームは有料メニューの1つです。

有料の「ウェザーニュースPro」は、クレジットカード決済で初めて利用する場合は初月無料、以降は月額680円(税込)。登録地点の風速・雨量などが閾値を超えたときや、「避難指示」「緊急安全確保」が発表されたときに情報を把握できる、とされています(2026年11月3日確認時点)。毎日天気を見る習慣があり、そのアプリを防災の窓口も兼ねさせたい人が検討する選択肢です。

逆に、天気アプリを別に持っていて開く習慣がないなら、ここは「入れない」という判断が正解になりやすい枠でもあります。

通知が重なったら「速報の担当は1本」に決める

通知の整理とは、通知をオフにして静かにすることではなく、同じ情報を伝える通知を1本に寄せて、残りを別の役割に使い直すことである。全部切ってしまうと、備えとしては入れていないのと変わりません。

複数本入れると、同じ地震について、速報型・広さ型・状況把握型のそれぞれから通知が届くことがあります。3回鳴っているようで、実は1つの出来事を3回聞かされているだけです。

重なりを整理する4ステップ

  1. 役割を1つずつ担当に割り当てる。「緊急地震速報の担当は◯◯」「気象警報と避難情報の担当は△△」と、紙でもメモアプリでもいいので書き出します。担当が2本になっている行が、重なりの正体です。
  2. 重なった行では、担当でないほうの通知だけをオフにする。アプリごと消す必要はありません。通知の種類ごとにオン・オフできるアプリなら、重複している種類だけを落とせば、そのアプリが持つ固有の通知は生き残ります。
  3. 音を分ける。命に関わる速報は音あり、参考情報は音なし(バナーのみ)に変えます。すべてが同じ音で鳴るから、どれが本命か分からなくなるわけです。
  4. 1か月後に見直す。「この1か月で、動くきっかけになった通知はどれか」を思い出して、一度も役に立たなかった種類を落とします。

削るときの優先順位は単純です。自分が動くきっかけになる通知は残す。動きようがない通知から落とす。たとえば遠い地域の震度情報は、知っておきたい気持ちはあっても、その場でできることはありません。夜中に起こされるコストのほうが大きいなら、それは落としてよい通知です。

残すべき通知の見分け方
その通知が鳴ったとき、60秒以内にやることが1つでも決まっているか。決まっているなら残す。決まっていないなら、通知を残すより先に「何をやるか」を決めるほうが近道です。

通知が届いても、そのあと家族がどう動くかを決めていなければ、結局その場で相談が始まります。集合住宅にお住まいなら、マンションの防災訓練で住民が確かめること|年2回の義務は共同住宅にはないで、通知のあとの動き方を建物単位で確かめる方法をまとめています。

安否確認はアプリの役割ではありません。今回比べた4本は、いずれも公表機能の中心が「情報の受信」であって、家族と連絡を取り合う機能ではありません。安否の確認は、災害用伝言ダイヤル171や各社の災害用伝言板など別の手段で決めておく話になります。決め方は家族の安否確認方法の決め方|災害用伝言ダイヤル171と伝言板・SNSの使い分けにまとめました。

自治体アプリは「地域の個別情報が要るか」で決める

自治体アプリとは、全国向けの気象情報ではなく、住んでいる市区町村が自分の判断で出す情報を受け取るための窓口である。役割が全国型と重ならないぶん、入れる価値の判断も別軸になります。

前提として、自治体の災害情報を放送局やアプリ事業者へ配信する共通基盤が、Lアラート(災害情報共有システム)です(運用の経緯は基準3のとおり)。

ここが判断の分かれ目になります。全国型のアプリにも、避難情報や「自治体からの防災情報」(対応自治体が発表するもの)の通知があります(Yahoo!防災速報の例)。つまり自治体アプリを入れる価値は、「全国型では届かない情報が、その自治体アプリにあるかどうか」で決まるわけです。

自治体アプリを入れるかどうかを全国型では届かない情報があるかで判断する分岐図

入れたほうがよいと判断できる場合

  • お住まいの自治体のアプリに、全国型では扱っていない機能(避難所の開設状況、ハザードマップ連携、多言語対応、ごみ・給水などの生活情報)が公表されている
  • 川や斜面が近く、自治体独自の判断で出る情報を早く知りたい
  • 家族に、自治体の窓口情報を必要とする人(要配慮者、乳幼児がいる世帯など)がいる
  • すでに入れている全国型が1本だけで、通知枠に余裕がある

反対に、自治体のアプリが「広報紙の閲覧が中心」「防災情報は全国型と同じものを転送しているだけ」という構成であれば、無理に入れる必要はありません。確かめ方は単純で、アプリストアの説明文や自治体の公式ページに書かれている機能一覧を、上の比較表と突き合わせるだけです。新しい項目が1つも見つからないなら、それは重複です。

公的機関や自治体が出している窓口の例

全国型とは別に、公的機関や自治体が自分で出している窓口があります。公式ページで内容が確かめられたものを並べます(2026年11月3日確認時点)。自治体のアプリは自治体ごとに機能が違うため、東京都は一例です。お住まいの自治体の分は、その自治体の公式ページで見てください。

名前と形 出している所 公式に書かれている内容
Safety tips(スマホアプリ) 観光庁が監修 外国人旅行者向けの災害時情報提供アプリ。対応言語は15言語。日本国内の緊急地震速報、津波警報、気象特別警報などをプッシュ型で通知し、対応フローチャートやコミュニケーションカードなどのリンク集もある
川の防災情報(Webサイト) 国土交通省 水位・雨量・河川カメラのほか、ダム、洪水予報、水防警報、浸水想定、レーダ雨量、潮位などの項目を掲載
東京都防災アプリ(スマホアプリ。自治体アプリの一例) 東京都総務局総合防災部 iOS・Androidに対応。対応言語は日本語、英語、中国語(繁・簡)、韓国語、やさしい日本語。地震・気象の情報に加え、停電・断水の情報(マイエリア設定で区市町村ごとに確認)、防災マップ、発災時に使える帰宅困難者モードがある

もっとも、避難するかどうかの判断そのものは、アプリの数では決まりません。最終的な避難の判断は、気象庁やお住まいの自治体が出す情報と指示に従ってください。アプリは、その情報を受け取るための入り口にすぎません。

アプリだけでは埋まらない穴が3つある

アプリの限界とは、機能が足りないという意味ではなく、アプリが動く前提(電気・通信・端末)が崩れたときに何も残らないという意味である。ここを埋めずに本数だけ増やしても、備えの厚みは変わりません。

穴1: スマホの電池が切れたら、入れたアプリは全部使えない

速報型も、広さ型も、状況把握型も、自治体アプリも、動く条件は同じです。スマホの電池が切れた瞬間に、入れている本数に関係なく全部が止まります。3本入れていても4本入れていても、この点だけは1本のときと変わりません。停電が長引く場面では、アプリを増やすことより電源を確保するほうが先です。

だから、アプリの整理と同じ日に電源の確保も一度見ておくと効率がいいわけです。

手元に置く電源として選びやすいのが、AnkerのAnker Power Bank (20000mAh, 30W)です。Anker Japan公式の製品ページ(2026年11月3日確認時点)では、型番はA1384N11(ブラック)、容量20,000mAh、合計最大出力30W、ポートはUSB-C×2とUSB-A×1、重さは約462gと案内されています。この用途に向く理由は2つあります。ひとつは容量。スマホを複数回ぶん充電できる容量帯なので、家族で1台を回す使い方に耐えます。もうひとつは30Wという出力で、対応する端末なら短時間で必要なぶんだけ入れて次の人に回す、という運用がしやすくなります。


容量を何mAhにすべきかは、表記容量がそのまま使えるわけではないという前提も含めて、防災用モバイルバッテリーの容量の決め方|表記の6〜7割で計算するにまとめています。停電中に電池の減りを抑える設定は、停電時の情報収集の手段一覧|ラジオ・スマホ・公的発信の使い分けと電池を守る設定が詳しいです。ここで押さえておくのは、アプリを何本入れても電源がなければゼロになる、という一点です。

ただ、大容量を1台だけ持つ形には弱点もあります。停電中にその1台を持った人が外に出てしまえば、残った家族は充電手段ごと失う。家族で回す本命の1台とは別に、1人1台の小型を配っておく——持ち出し袋、職場のロッカー、離れて暮らす親の家。分散させたほうが、通知を受け取り続けられる人数は増えます。

その小型側の選択肢が、エレコムの半固体電池モバイルバッテリー EC-C61MN。エレコム公式の製品ページ(2026年11月3日確認時点)によると、容量10,000mAh、USB Type-C単独の使用でUSB Power Deliveryの最大35W、ポートはUSB Type-C×2とUSB-A×1で最大3台を同時に充電でき(複数ポート同時使用時は合計最大20W)、重量は約220gです。半固体リチウムイオン電池を採用し、発火しにくい高い安全性と約2000サイクルの長寿命をうたう製品として案内されています。持ち出し袋に入れる小型の1台として、重量約220gという数字が目安になります。

穴2: アプリの通知と、緊急速報メールは別の経路である

この2つは混同されがちですが、届く仕組みが違います。気象庁の説明によれば、緊急速報メールは携帯電話事業者(ドコモ・au・ソフトバンク等)が無料で提供しているもので、国や地方公共団体による災害・避難情報等を、回線混雑の影響を受けずに特定エリア内の対応端末へ一斉配信する仕組みです。「エリアメール」はこの緊急速報メールの呼称の一つにあたります。

一方、アプリの通知は、アプリの提供元が気象庁の発表などを受信して配信し、そこからインターネット経由で各端末へ届きます。アプリ側の通知設定に依存するのはこちらです。整理すると、経路は次の三層に分かれます。

層 経路 アプリの要否 特徴
1 気象庁の発表 →(携帯電話事業者)→ 緊急速報メール/エリアメール 不要 回線混雑の影響を受けずに特定エリアへ一斉配信
2 気象庁の発表 →(アプリ提供元が受信・配信)→ 各アプリの通知 必要 アプリの通知設定に依存する
3 自治体の発表 →(Lアラート経由)→ 放送局・アプリ事業者 アプリまたは放送 地域の避難情報が中心

ここから言えることは1つ。アプリの通知を全部オフにしても、第1層は残ります。逆に、アプリだけを頼りにして端末の緊急速報メールの設定を触ってしまうと、回線混雑の影響を受けにくいとされる経路を自分で閉じることになります。整理するのはアプリ側の通知であって、端末側の緊急速報メールではありません。

穴3: スマホを使わない家族には、そもそも届かない

アプリは、スマホを持っていて、通知を見て、意味が分かる人にしか働きません。離れて暮らす高齢の家族がいる場合、その人のスマホに同じアプリを入れても、通知に気づけるとは限らない。この層は、アプリの本数ではなく「誰が電話をかけるか」を決めることでしか埋まりません。

薬や介護用品まで含めた高齢の家族の備えは、高齢者の防災の備え|持病の薬は何日分そなえるか、介護用品と食事の量の決め方に分けて書いています。情報の届け方は、その一部として決めておくと抜けにくくなります。

終了しているサービスに注意。au(KDDI・沖縄セルラー)の「災害用音声お届けサービス」は2022年3月31日をもって終了しています。いまでも現行サービスとして紹介している情報を見かけることがあるため、家族の連絡手段を決めるときは各社の現在の案内を確認してください。NTTドコモの「災害用伝言板」については、公式ページに「ファミリー割引グループ安否確認機能」と「登録お願いメール機能」を2026年3月31日(予定)をもって終了するという案内が載っています(2026年11月3日確認時点)。日付はすでに過ぎているため、使う前に、ドコモの現在の案内で機能を確かめてください。

では、その家族の手元に何を置くか。アプリではない受信機です。ラジオなら、アカウントも通知設定も要らない。電源を入れれば音が出る。スマホを使わない人に渡せる情報の入り口として、いまでも手元に置きやすい手段です。

クマザキエイムのSolpa 手回し/ソーラー蓄電ラジオ【チャージオ ラムダ】(SL-091)は、その置き方に合う1台。クマザキエイム公式(2026年11月3日確認時点)によれば、電源は内蔵リチウムイオン充電池3.7V/4000mAh。充電方法は手回し(毎分130〜150回転で10〜12時間)、ソーラー(直射日光を当てた合計で約45〜50時間)、USB(6〜7時間)、単4形乾電池3本の4通りです。受信バンドはAM 522〜1620kHz/FM 76〜108MHzで、ワイドFMに対応。LEDライトは1W(30ルーメン相当)、本体サイズは幅202×高80×奥90mm(突起部を除く)、重量490g(乾電池含まず)、防水はIPX-3。スマートフォンを1回充電できるとも記載されています。

数字を並べましたが、読み替えると要点は1つです。充電の道が4通りあるということは、そのうち3つが塞がっても情報が止まらないということ。手回しは最後の手段で、普段はUSBで満充電にして棚に置いておけば足ります。SL-091は、渡す側が満充電にして棚に置き、使い方を一度伝えておく形が合います。

この整理が向かない人もいる

向き不向きとは、防災アプリの良し悪しではなく、この記事の前提(スマホで情報を受け取り、通知を自分で整理する)が成立するかどうかである。次に当てはまる場合、ここまでの手順はそのままでは当てはまりません。

  • スマホを持っていない、通知の操作が負担になる人 … アプリの本数の話より、テレビ・ラジオ・防災行政無線・家族からの電話といった経路を決めるほうが確実です。
  • 仕事で端末の通知を細かく管理できない人 … 勤務中に通知を切らざるを得ない環境なら、第1層(緊急速報メール)を最後の砦として残す設計にしてください。
  • すでに自治体アプリ1本で運用が回っている人 … 不便を感じていないなら、無理に全国型を足す理由はありません。足すのは「届かなくて困った」経験があった役割だけで十分です。
  • 圏外になりやすい場所で過ごす時間が長い人 … 気象庁のFAQでは、電波の悪い場所では緊急速報メールも受信できないことがあるとされています。通信が切れる前提の場所では、ラジオなど別の手段を主役にしたほうが確実です。
  • 「アプリを入れれば備えが完成する」と考えている人 … 通知は動く合図であって、備蓄や家具の固定の代わりにはなりません。

そしてもう一段だけ地味な話を足します。ヘッドライトやランタンは、最後は乾電池に戻ってくる。アプリを1本入れるのは3秒で終わりますが、停電した夜に効くのはアプリの本数ではなく、引き出しに何本の乾電池が入っているかのほうだったりします。

まとめ買いの単位として扱いやすいのが、パナソニックのエボルタNEO 単3形アルカリ乾電池 8本パック(LR6NJ/8SW)です。パナソニック公式の仕様ページ(2026年11月3日確認時点)では、アルカリ乾電池・単3形・1.5Vで、8本入のお買得パック、1本あたりの質量は約24gとされています。下のカードの商品名には【×3】とあり、このパックを3つ組にした販売です。使用推奨期限や連続点灯時間は、停電時の情報収集の手段一覧|ラジオ・スマホ・公的発信の使い分けと電池を守る設定で扱っています。

ひとつ注意を。形が違うと融通が利きません。SL-091が乾電池から充電できるのは単4形3本ですが、家庭の懐中電灯やランタンには単3形を使うものもあります。買う前に、手元の機器の電池ぶたに書かれた形と本数を見て、形ごとに合計してください。エボルタNEO(LR6NJ/8SW)は単3形です。数えるのはそれだけです。


電池が切れたあとに残る手段をもう少し詳しく見るなら、防災ラジオの選び方|要否の判定フローと電源方式・ワイドFM対応の比較(2026年版)で、電源方式とワイドFM対応の違いを比べています。アプリの本数を決めたあとに読むと、抜けている経路が見えます。

いま入っているアプリを、役割の欄に当てはめる

最初の一歩とは、アプリを足すことではなく、いま入っているものがどの役割を担っているかを見ることである。速報・広さ・状況把握・地域の4つの欄に、スマホの防災アプリを1本ずつ当てはめてみてください。欄が埋まらないアプリは通知を増やしているだけの可能性があり、同じ欄に2本あるところは重なりです。

同じ欄に2本あるときは、担当でないほうの該当通知だけを切ります。端末側の緊急速報メールの設定は、そのままにしておきます。空いた欄があれば、先の条件表から1本だけ足します。そのうえで、停電したときのスマホの電源をどう確保するかを家族で話しておくと、アプリの整理は一巡です。

アプリは、情報を受け取るための入り口です。入り口をいくつ作っても、そのあと誰がどう動くかを決めていなければ、玄関で立ち止まったまま終わってしまいます。本数を増やす前に、役割を決める。順番はそれだけで十分だと考えています。家具の固定や備蓄も含めて自宅の状態をまとめて見直したいときは、地震の備えリスト|家具の固定と備蓄を1枚で点検する家庭のチェック表から点検すると、アプリに何を任せるかも決めやすくなります。

なお、避難するかどうかの最終的な判断は、気象庁やお住まいの自治体が出す情報と指示に従ってください。アプリの通知は、その判断を早く受け取るための手段にすぎません。

停電中に電池を減らさず情報を取り続ける設定は、停電時の情報収集の手段一覧|ラジオ・スマホ・公的発信の使い分けと電池を守る設定でまとめています。

参考・出典

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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直しています。記事は、国・自治体の資料とメーカーの公表値を1つずつ開いて確かめて書いています。自分で使っていない商品を、使ったようには書きません。

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