在宅避難の準備リスト|成立する3つの条件と、人数×日数でわかる水・トイレの必要量早見表

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在宅避難で必要になる量は、先に数字で決められます。大人1人・7日分なら水21L(1人1日3L×7日)携帯トイレ35回分(1人1日5回×7日)。4人家族なら水84L、携帯トイレ140回分です(出典: 港区「在宅避難のための備え」)。ここが在宅避難の土台になります。

ただし、数字より先に決まっている前提があります。備蓄をしていても、自宅が安全でなければ在宅避難はできない——横浜市は「在宅避難のすすめ」でそう明記しています。つまり在宅避難は「備蓄した人が選べる方法」ではなく、「建物と周辺の安全が確認できた人が選べる方法」です。順番を間違えないでください。

この記事は、その判定から必要量の計算までを一本の流れにまとめたハブページです。電気・水・トイレ・食料・情報という5つのライフラインごとに何を用意するかを整理し、細かい計算や選び方は当サイトの各詳細記事へつなぎます。

この記事でわかること

  • 在宅避難が成立する条件と、満たさないときにどう動くか
  • 人数×日数で引ける水・携帯トイレの必要量早見表
  • 電気・水・トイレ・食料・情報の5分野で、それぞれ何を用意するか
  • 備蓄を続けるための収納の分け方とローリングストックの回し方
目次

在宅避難とは、自宅の安全が確認できたときに自宅で生活を続ける避難方法

在宅避難とは、火災や爆発、建物の倒壊等の危険がなく、自宅で身の安全が確保され、引き続き住める場合に、自宅で生活を続けることです(出典: 目黒区「在宅避難とその備え」)。港区も同様に、災害時に自宅へ倒壊や焼損、浸水、流出の危険性がない場合に、そのまま自宅で生活を送る方法と定義しています。

ここでよく混同されるのが、非常持ち出し袋との関係です。持ち出し袋は「家を出て避難所などへ移動するとき」に背負うもの。在宅避難の備蓄は「家に残って暮らし続けるため」に置いておくもの。目的が違うので、中身も量も別々に考えます。

持ち出し袋と在宅備蓄は「両方」いります。在宅避難を選ぶ人でも、途中で状況が変わって家を出る可能性はゼロになりません。持ち出し袋の中身は防災リュックの中身リストで別途そろえたうえで、この記事の在宅備蓄を積み上げる形が安全です。

在宅避難が成立する3つの条件と、満たさないときの行き先

在宅避難の条件とは、備蓄の量ではなく「建物・周辺環境・備えの十分性」が揃っているかを見る判定基準です。首相官邸「避難はいつ、どこに?」は、水害の場面について次の3点を確認し、自宅が安全と判断できる場合は自宅にとどまる(屋内安全確保)ことも選択肢になる、としています。

  • ハザードマップで家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていないこと
  • 想定される浸水深より高いところに部屋があること
  • 水がひくまで我慢でき、水・食糧等の備えが十分にあること

地震の場合はこれに加えて、建物の倒壊・焼損の危険がないこと(出典: 港区)が前提になります。3つのうち1つでも「わからない」があるなら、その時点では在宅避難を選べる状態ではありません。

条件を満たさないときは、公的機関の案内に従ってください。自宅にとどまれるかどうかの最終判断は、この記事ではできません。自治体からの避難情報、消防・警察の指示、住宅の被災状況調査の結果が優先です。「備蓄があるから残れる」という判断は成り立ちません。迷ったら、お住まいの自治体の防災ページとハザードマップを先に確認してください。

逆に言えば、条件を満たしているなら在宅避難は現実的な選択肢です。では、実際にどれだけの量が必要なのか。ここから数字の話に入ります。

人数×日数でわかる、水と携帯トイレの必要量早見表

備蓄量の基準とは、「1人あたり1日に必要な量 × 人数 × 日数」で機械的に出る数字のことです。水は1人1日3L、携帯トイレは1人1日5回。この2つを覚えておけば、あとは掛け算だけで自分の家の数字が出ます(出典: 港区「在宅避難のための備え」)。

水 = 3L × 人数 × 日数 / 携帯トイレ = 5回 × 人数 × 日数

世帯人数 水(3日分) 水(7日分) 携帯トイレ(3日分) 携帯トイレ(7日分)
1人 9L 21L 15回分 35回分
2人 18L 42L 30回分 70回分
3人 27L 63L 45回分 105回分
4人 36L 84L 60回分 140回分

※水1人1日3L・携帯トイレ1人1日5回(出典: 港区)を当サイトで人数×日数に展開したもの。

数字だけだとピンと来ないので、体積に置き換えてみます。1人7日分の水21Lは、2Lペットボトルで約10.5本。市販の2L×6本ケースなら2ケース弱です。4人家族の84Lになると42本、7ケース。これは押し入れの下段が一段まるごと埋まる程度のボリュームで、「置き場所を先に決めないと買えない量」だと分かります。

携帯トイレも同じです。4人家族7日分の140回分は、50回分入りのセットなら3セット前後。トイレットペーパーの買い置きと同じくらいの場所を取ります。

日数を何日で見るかは、公的機関でも幅があります。首相官邸は飲料水について3日分・1人1日3Lを目安としつつ、大規模災害発生時には1週間分の備蓄が望ましいとしています。世田谷区も、一人最低3日分、できれば1週間分の備蓄を呼びかけています。まず3日分を確実に確保し、置ける家庭は7日分へ伸ばす、という二段構えが現実的です。

そなえぐらし管理人

正直に言うと、いきなり7日分をそろえようとすると置き場所で詰まります。当サイトでも記事を作るたびに悩むところで、まずは3日分を全分野そろえてから、水とトイレだけ7日分に伸ばすのが一番つまずきにくい進め方だと考えています。

電気の備え:復旧の目安は約4日、停電直後の初動を先に決めておく

電気の備えとは、明かり・情報端末・冷蔵庫という3つの用途をどう食いつなぐかの設計です。目黒区が示すライフライン復旧までの目安では、電気は約4日。固定電話も約4日で、この2つは比較的早く戻る側にあります(出典: 目黒区「在宅避難とその備え」)。

つまり電気については、「1週間まるごと自家発電でしのぐ」より「数日を明かりとスマホの電源でつなぐ」ほうが設計として素直です。懐中電灯やランタン、モバイルバッテリー、乾電池。ここが基本線になります。

あわせて、停電した瞬間に何をするかを決めておくと迷いません。ブレーカーを落とすか、冷蔵庫を開けないか、通電火災をどう防ぐか。目黒区は在宅避難の備えとして感震ブレーカーの設置も推奨しています。停電直後の手順は停電したらやることリストで順番に整理しています。

水の備え:1人1日3Lは飲用の目安、生活用水は別枠で考える

飲料水の備蓄とは、飲む・調理に使う分として1人1日3Lを確保することです(出典: 首相官邸「災害が起きる前にできること」)。注意したいのは、この3Lに手洗いや食器洗い、体を拭く水は含まれていないという点です。

生活用水は、風呂の残し湯やポリタンク、給水拠点からの運搬で補うのが一般的な考え方になります。ここでマンション住まいの人が直面するのが運搬の問題です。エレベーターが止まった状態で上階まで水を運ぶとなると、2Lペットボトル1本でも往復のたびに重い荷物になる。上階ほど「運ぶ前提」ではなく「置いておく前提」で量を確保しておくほうが無理がありません。

保存水の選び方、保存年数の違い、ペットボトルとウォーターサーバーの使い分けは水の備蓄量の計算と保存方法にまとめています。

トイレの備え:1人1日5回が基準、水道の復旧目安は約30日

携帯トイレの必要量とは、1日の排泄回数に日数を掛けた回数分のことです。内閣府の広報誌「ぼうさい」では、成人の1日の平均排泄回数は1人あたり5回とされ、簡易トイレの備蓄目安は1週間分で1人当たり35回分/週と示されています(出典: 内閣府「防災情報のページ」)。

そして、ここが在宅避難でいちばん軽視されやすいポイントです。目黒区の復旧目安によれば、水道・トイレは約30日、ガスは約6週間、鉄道は約30日。電気の約4日と比べると、水回りの復旧は桁が違います。電気が戻ってスマホが充電できるようになっても、トイレはまだ流せない——その状態が数週間続き得る、ということです。

停電と断水が重なった日に最初に困るのは、実は食事ではありません。食事は数時間待てますが、トイレは待てないからです。だからこそ、備蓄の優先順位ではトイレを水と同格に置く価値があります。

必要個数の出し方と家族構成別の考え方は簡易トイレの必要回数の計算で、断水中に既存のトイレをどう扱うかは断水中のトイレの使い方で扱っています。目黒区は、組み立て式や個包装の携帯トイレのほか、代用でも備えられるとしています。

必要な回数分が出たら、あとはその回数に合う製品を選ぶだけです。凝固剤と防臭袋がセットになったタイプは回数がそのまま単位になるので、早見表の数字とそろえやすくなります。普段使っているモールで、いま何回分のセットが出ているかを確認しておくと計画が立てやすいはずです。



食料の備え:最低3日分、できれば1週間分を目標にする

非常食の備蓄日数とは、ライフラインが止まった状態で自宅の食事をまかなう日数のことです。世田谷区は一人最低3日分、できれば1週間分の備蓄を呼びかけており、首相官邸も大規模災害発生時には1週間分の備蓄が望ましいとしています。

中身の考え方はシンプルで、目黒区は在宅避難の準備として加熱調理や水がなくてもすぐ食べられるもの——缶詰、レトルト等を挙げています。停電と断水が同時に起きている前提で、「開けたら食べられる」ものが何食分あるかを数えるのが実務的です。

  • そのまま食べられるもの(缶詰・レトルト・ビスケット類)が何食分あるか
  • お湯だけで戻せるもの(アルファ米・カップ類)が何食分あるか
  • 加熱が必要なものに偏っていないか

1日3食×人数×日数で必要食数を出す方法と、主食・主菜・副菜の配分は非常食は何日分必要かの計算で詳しく整理しています。

情報の備え:入手手段を複数の系統で持っておく

災害時の情報収集手段とは、停電や通信混雑で1つが使えなくなっても別の系統で情報が取れる状態のことです。目黒区は、防災行政無線・自治体ホームページ・SNS・防災アプリなど複数の手段を確保することを在宅避難の備えとして挙げています。

スマホ1台に全部を寄せていると、電池が切れた時点で情報が止まります。電池式ラジオ、自治体の防災アプリ、家族との連絡手段(災害用伝言ダイヤル等の使い方の共有)——用途の違うものを最低3つ、別々の電源で持っておくと途切れにくくなります。

収納は1か所にまとめず、家の中で分散させる

備蓄の分散収納とは、同じ品目を複数の場所に分けて置いておく保管方法です。1か所にまとめると、その部屋が家具の転倒や浸水で入れなくなった瞬間、備蓄全体が使えなくなります。

マンションでも戸建てでも考え方は共通で、「毎日使う場所(キッチン)」「寝室の枕元」「玄関付近」「納戸やクローゼット」のように用途で分けます。水のように重いものは低い位置へ、明かりは寝室と玄関へ。具体的な4か所の分け方と、何をどこに置くかは防災グッズの収納を4か所に分散する方法にまとめています。

ローリングストックで、備蓄を「置きっぱなし」にしない

ローリングストックとは、普段食べる食品や日用品を少し多めに買い、古いものから使って買い足すことで在庫を一定に保つ方法です。専用の非常食を買い込む方式と違い、期限切れに気づかないまま数年放置される事故が起きにくくなります。

在宅避難の備蓄は量が多いぶん、更新の手間も大きくなります。水84L・携帯トイレ140回分を一気にそろえて、5年後にまとめて入れ替える——この運用は現実には続きません。日常の買い物の中に組み込む形にしたほうが長持ちします。回し方の具体例はローリングストックのやり方で解説しています。

在宅避難が向かない場合とデメリット

在宅避難は万能ではありません。次のような場合は、そもそも選択肢に入らないか、選ぶとしても負担が大きくなります。

  • 建物や周辺に危険がある場合:倒壊・焼損・浸水・流出の危険があるなら在宅避難は成立しません(出典: 港区)
  • 浸水想定区域で低層階に住んでいる場合:浸水深より高い部屋がないなら条件を満たしません(出典: 首相官邸)
  • 備蓄の置き場所が確保できない場合:4人家族7日分なら水だけで84L。物理的に置けないなら日数を短く見積もる必要があります
  • 支援や情報が届きにくくなる場合:避難所に集まる人と比べ、給水・物資・生活支援の情報を自分から取りに行く必要があります

デメリットも正直に書いておくと、在宅避難は「自宅が無事だった人の自助が前提」の方法です。水道・トイレの復旧目安が約30日(出典: 目黒区)という数字は、その期間の生活を自力で回すことを意味します。避難所に行くほうが負担が軽いケースは確実にあります。どちらが良いかを一律に決めることはできませんし、最終的な判断は自治体の案内に従ってください。

まとめ:今日やることは、わが家の数字を出すことだけ

ここまで読んだ方は、もう必要量を計算する材料が揃っています。買うものを決める前に、まず数字を出しましょう。

  1. ハザードマップを開く自宅が家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていないか、浸水深より高い部屋があるかを確認する。ここが在宅避難の入口です。
  2. 人数と日数を決めるまず3日分、置ける家庭は7日分。早見表から水と携帯トイレの数量を書き出す。
  3. 置き場所を先に決める水の量は場所を取ります。押し入れの下段など、置く場所を決めてから買う順番にすると失敗しません。

先に数字と場所を決めてしまえば、あとは条件に合うものを選ぶだけです。各分野の詳しい計算は、それぞれの記事に用意しています。

参考・出典

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この記事を書いた人

登山が趣味の会社員。山で非常食を食べてきた経験から「食べ慣れないものは災害時つらい」と実感し、家庭の備蓄を見直し中です。実際に買って食べたものだけ「おすすめ」と書きます。失敗も隠しません。

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