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家庭の備蓄品リストは、突き詰めると2つの数字の掛け算で決まります。水は1人1日3L、携帯トイレは1人1日5回。この2つに、家族の人数と、想定する日数を掛けた数が、あなたの家に置いておくべき量です。
4人家族で1週間分なら、水は84L。2Lのペットボトルで42本、6本入りのケースにして7箱ぶんです。携帯トイレは140回分。数字だけを見ると、ずいぶん多く感じます。ただ、家族4人が1日に合計20回トイレに立つと考えれば、普段の暮らしとそう変わらない量でもある。多いのは日数のほうであって、1日あたりの量ではありません。
本記事では、その掛け算の元になっている内閣府・農林水産省・経済産業省の数字を出典つきで示したうえで、人数×日数の早見表、自分の家の数字を書き込むシート、そして品目を家のどこに置くかの割り付け表までを1ページに置きました。リストを眺めて終わり、にしないための構成です。
この記事でわかること
- 備蓄日数が「3日」と「1週間以上」に分かれる公的な理由
- 水と携帯トイレの必要量が一目で出る、人数×日数の早見表
- わが家の数字をその場で埋められる書き込み式シート
- 7分類の品目それぞれを「何を基準に選び、どこに置くか」
備蓄は最低3日分、南海トラフ想定では1週間以上が公的な目安である
備蓄日数とは、支援や店舗の再開が届くまでのあいだ、自宅にある物だけで暮らすと想定する長さのことです。まずここを決めないと、掛け算の相手が決まりません。
内閣府防災情報のページ「広報ぼうさい 第73号」には、こう書かれています。「これまで、備蓄は3日分あれば十分と言われていましたが、非常に広い地域に甚大な被害が及ぶ可能性のある南海トラフ巨大地震では、『1週間以上』の備蓄が望ましいとの指摘もあります」。3日が消えたのではなく、3日の上に1週間以上が積み増された、というのが正確な読み方です。
食料についても同じ方向です。農林水産省の「家庭での備蓄」では「最低でも3日分、出来れば一週間分程度の食料品の備蓄に取り組むことが望まれます」とされ、ハザードマップの状況によっては2週間分等の推奨もあると補足されています。さらに、中央防災会議が令和7年7月1日に改定した「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」でも、「可能な限り1週間分程度の備え等への理解を進めることに取り組む」と明記されました。
つまり、どこの資料を開いても答えは同じ形をしています。下限は3日、目標は1週間。迷ったら、まず3日分をきっちり揃える。そのうえで、置き場所が許す範囲で7日分に伸ばしていく。この二段構えが、公的資料の言っていることをそのまま実行する形になります。
9月に入って、押し入れの奥にしまった箱のことをふと思い出す。あの中の水、いつ買ったんだったか——毎年その季節がやってきます。9月1日は防災の日です。この日が生まれたきっかけは、昭和35年6月17日の閣議了解でした。国立国会図書館の資料には、その趣旨が「政府、地方公共団体等関係諸機関をはじめ、広く国民が台風高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備するため、『防災の日』を創設する」と記録されています。
心構えを準備する日、と書かれている。備蓄リストの見直しは、まさにその中身にあたる作業です。日付を決めてしまえば、記憶に頼らずに済みます。当日にやることは防災の日に家庭でやること10に、自宅で過ごす前提での準備全体は在宅避難の準備リストにまとめています。
人数×日数の早見表|水とトイレは掛け算で出る

早見表とは、公表されている1日あたりの数値に、人数と日数を掛けただけの表です。難しい計算はどこにも入っていません。
元になる数字は2つあります。水は、農林水産省の「大事な水、どうやって備えますか?」に「飲料用と調理用だけで一人当たり1日3リットルの水が必要と言われており、最低3日分として9リットルの備蓄が必要になります」とあります。携帯トイレは、内閣府防災情報のページが掲載した経済産業省の記事「トイレ備蓄、忘れていませんか。」に「経済産業省では、備蓄目安として、1人当たり35回分/週を推奨しており」と書かれています。
そして、内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(令和6年12月改定)では、使用回数の平均を1日5回として備蓄・整備計画を立てることが推奨されています。
水 = 3L × 人数 × 日数/携帯トイレ = 5回 × 人数 × 日数
ここで、ひとつ気持ちのいい一致があります。トイレの式に1人・7日を入れると、5回×1人×7日=35回。経済産業省が示している「1人当たり35回分/週」と、ぴったり同じ数になります。避難所の計画基準として使われている1日5回と、経済産業省の週35回は、同じ数字の裏表だということです。だから、この掛け算は安心して使えます。
| 人数 | 日数 | 水(3L×人数×日数) | 2Lボトル換算 | 携帯トイレ(5回×人数×日数) |
|---|---|---|---|---|
| 1人 | 3日 | 9L | 4.5本 | 15回 |
| 1人 | 7日 | 21L | 10.5本 | 35回 |
| 2人 | 3日 | 18L | 9本 | 30回 |
| 2人 | 7日 | 42L | 21本 | 70回 |
| 3人 | 3日 | 27L | 13.5本 | 45回 |
| 3人 | 7日 | 63L | 31.5本 | 105回 |
| 4人 | 3日 | 36L | 18本 | 60回 |
| 4人 | 7日 | 84L | 42本 | 140回 |
この表は、公的機関が発表した表ではありません。内閣府・農林水産省・経済産業省が公表している「1日あたり」の数値を、当サイトが人数と日数に展開したものです。掛け算の元になった数値の出典は記事末尾に、そのまま並べてあります。数字を疑いたくなったら、元の資料をご確認ください。
では、この数字は現実の家でどれくらいの大きさになるのか。2人暮らしで7日分の42Lは、2Lボトルで21本。段ボールケース(6本入り)にすると3箱半で、押し入れの下段のひと区画にちょうど収まるくらいです。4人家族7日分の84Lになると7箱。これは1か所にまとめて置ける量ではなくなります。
ここが、リスト作りの本当の分岐点です。7日分を選んだ時点で、置き場所を分散させるかどうかという別の問題が発生する。だから当サイトでは、この記事の後半に置き場所の割り付け表を入れています。量を決めることと、置き場所を決めることは、切り離せません。
品目ごとの詳しい考え方は、水は水の備蓄は1人何リットル?、携帯トイレは簡易トイレは何回分必要?で個別に扱っています。
【書き込み式】わが家の必要量シート
必要量シートとは、一般論の数字を自分の家の数字に置き換えるための記入欄です。ここを埋めた紙が、そのまま買い物リストになります。
やり方は単純で、上から順に空欄を埋めるだけ。人数と日数さえ決めれば、あとは掛け算が勝手に答えを出してくれます。印刷して冷蔵庫に貼るか、スマホのメモに写して持ち歩いてください。
| 項目 | 計算式 | わが家の数字 | 決め方のメモ |
|---|---|---|---|
| 家族の人数 | — | _____ 人 | 同居している人数。ペットは別枠で数える |
| 想定する日数 | — | _____ 日 | 下限3日/目標7日。迷ったらまず3日で埋める |
| 水 | 3L × 人数 × 日数 | _____ L | ÷2で2Lボトルの本数。飲用と調理用の合計 |
| 携帯トイレ | 5回 × 人数 × 日数 | _____ 回 | 1袋あたりの回数が製品で違うので要確認 |
| 食料 | 人数 × 日数 × 3食 | _____ 食 | 公的な「1人1日◯g」の固定値は確認できていない |
| 明かり | 使う部屋の数 | _____ 個 | 寝室・トイレ・台所の3か所が最低ライン |
| 電池 | 機器の数 × 1本あたり必要数 | _____ 本 | 手持ちの機器の電池サイズを先に数える |
| カセットボンベ | —(世帯単位の目安) | _____ 本 | 内閣府の目安は世帯で15〜20本。後述 |
食料の欄に「3食」と置いたのは、生活の実感に合わせた仮置きです。1人1日あたり何グラム、という公的な固定値は、今回の調査では見つけられませんでした。農林水産省が示しているのは日数(3日〜1週間)までで、量の内訳までは踏み込んでいません。だから当サイトも踏み込みません。食数で数えるほうが、買い物のときに数えやすいという実務上の理由もあります。
ここまでで、必要な量は出ました。次は、その量を何で満たすかです。
品目別リスト|水・食料・トイレ・明かり・電池・衛生・情報の7分類
品目別リストとは、買うものを並べた表ではなく、何を基準に選ぶかを決めるための分類です。商品名を並べたリストは、その商品が売り場から消えた瞬間に使えなくなります。基準のほうを持っておけば、どの売り場でも判断できる。
1. 水|「何日分を、どの形で持つか」を分けて考える
選ぶ基準は2つだけです。ひとつは保存期間。もうひとつは1本あたりの大きさ。長期保存水は賞味期限が長く設定されていて、たとえば富士ミネラルウォーターの公式オンラインショップでは、保存水について「賞味期限:未開封にて製造日より5年6ヶ月(キャップに記載)」と表示されています。
いっぽう、普段飲んでいる一般的なペットボトルの水にも当然賞味期限はありますが、その年数は製品によって異なります。ネット上には「1〜2年」といった数字も見かけますが、当サイトでは確認できた一次情報がないため書きません。お手元のラベルに書いてある日付が、その1本にとっての正解です。
大きさのほうは、2Lと500mLを混ぜて持つのが扱いやすくなります。2Lは調理と生活用、500mLは飲用と持ち出し用。全部を2Lにすると、一度開けたぶんを飲みきれません。
1人あたり何リットルという基準の詳細は水の備蓄は1人何リットル?にまとめています。
普段使っているモールで、長期保存水の現在の本数と保存期間の表示を見ておくと、何箱で足りるかの計画が立てやすくなります。
2. 食料|3日分と1週間分の分かれ目は「温めるかどうか」
農林水産省の家庭備蓄のページは「最低でも3日分、出来れば一週間分程度」としています。この3日と7日のあいだには、実は質的な違いがあります。3日分は温めなくても乗り切れますが、7日分となると、温かい食事がないほうがつらくなる。だから、日数を伸ばすときは食品と同時に熱源も考えることになります。
選ぶ基準は、常温で食べられるか/水を使わずに済むか/家族が普段から食べているものか、の3点。3つ目は軽視されがちですが、食べ慣れていないものは結局残ります。
種類ごとの比較は非常食のおすすめはどれ?種類別の選び方、必要な食数の考え方は非常食は何日分必要?3日分と7日分の早見表で扱っています。
熱源のカセットボンベについては、正直に書いておきたいことがあります。内閣府防災情報のページ「広報ぼうさい 第73号」には「カセットボンベの買い置きを少し多め(15〜20本)にして災害時に備えましょう」とあります。ただしこれは世帯単位の目安であって、人数×日数の式ではありません。
メーカー側はどうか。岩谷産業は、気温や調理内容によって消費量が変わる試算表を公開しています。たとえば25℃でレトルト食品を調理する場合、1日あたり約0.6本という数字が示されています。逆に言えば、気温が下がったり、調理内容が変わったりすれば、この数字も動くということです。
調べた範囲では、カセットボンベに「1人1日◯本」という公的な固定値はありません。内閣府は世帯で15〜20本、岩谷産業は条件つきの変動値。この2つを並べて、自宅の条件に近いほうを採るしかない、というのが実態です。水やトイレのようにきれいな掛け算にはなりません。本数の詰め方はカセットボンベの備蓄は何本?で条件別に整理しています。
熱源の話が出たので、食料そのものに戻します。3日分の起点として当サイトが置いているのは、尾西食品のアルファ米12種類セットです。アルファ米は水またはお湯で戻して食べる形式で、お湯が用意できれば温かい食事に、できなくても水のままで1食が成立する。上に挙げた3つの基準のうち「水を使わずに済むか」だけは満たしませんが、そのかわり熱源が確保できるかどうかに左右されません。12種類入っているので、7日分へ伸ばしたときに必ず来る「飽き」も分散できる。なお、公式の型番は確認できていないため、ここには書きません。
3. トイレ|1人1日5回が、計画の基準になっている
選ぶ基準は、回数と、凝固のしかたです。製品によって「1袋=1回分」のものと、便袋と凝固剤の組み合わせで回数が決まるものがあります。パッケージに書かれているのが袋の枚数なのか回数なのかを見ないと、35回分のつもりが半分だった、ということが起きます。
もうひとつは保存期間。トイレ用品は食品と違って消費期限を意識しにくいぶん、一度買うと十数年そのままになりがちです。長期保存をうたう製品を選んでおけば、その間は買い替えを考えずに済みます。
数え方の詳細と、家族構成別の内訳は簡易トイレは何回分必要?にあります。
普段使うモールで、1パックあたりの回数表示と保存期間を見ておくと、早見表の数字を何パックで満たせるかがすぐ計算できます。
4. 明かり|「1つを強く」より「複数を分散」
選ぶ基準は、置いて使えるか(手で持たなくていいか)と、電源の種類です。停電の夜に必要なのは、遠くを照らす光ではなく、部屋全体をぼんやり明るくする光。懐中電灯は移動用、ランタンは滞在用と役割が違います。
個数について、公的機関が「1世帯に◯個」と定めた数値は確認できていません。当サイトが基準にしているのは「人が長くとどまる部屋の数だけ」という考え方です。寝室、トイレ、台所。この3か所が動かせない最低ラインになります。
選び方と個数の詰め方は防災用ランタンは何個必要?で扱っています。
役割で分けたときの「滞在用の1台」に当てはまるのが、パナソニックのBF-BL45M-Wという多機能LEDランタンです。電池式で、停電中の部屋を面で照らす用途のもの。懐中電灯のように一点を遠くまで飛ばすのではなく、家族が集まっている場所をまとめて明るくする。寝室・トイレ・台所という3か所のうち、人が長くとどまる部屋に置く1台として考えてください。重量は公式の仕様ページに記載が見あたらないため、当サイトでは書きません。
5. 電池・電源|サイズを揃えることが、本数を減らす
選ぶ基準は、本数より先にサイズの統一です。ランタンが単1、ラジオが単3、ヘッドライトが単4——こうなると、それぞれに予備を持たなければならず、総本数が膨らみます。買い足すときに電池サイズを揃えておけば、同じ本数でカバーできる機器が増えます。
本数についても、乾電池・モバイルバッテリーの公的な推奨本数や推奨容量は確認できませんでした。手持ちの機器を数えて、1台あたりの必要本数を掛ける。逆算する以外に方法がありません。
逆算のやり方は乾電池の備蓄は何本必要?にまとめました。
いつも使っているモールで、単3の入り数と使用推奨期限の表示を見ておくと、まとめ買いの単位を決めやすくなります。
6. 衛生|切らすと代用が効かないものから揃える
基準は「代用できるかどうか」の一点です。ウェットティッシュや歯みがきシートは、水があれば代わりが利きます。代わりが利かないものほど、優先度が上がる。生理用品、常備薬、乳幼児用品、ペットの餌がそれにあたります。
生理用品の必要量は生理用品の備蓄、ペットのぶんはペットフードの備蓄量で個別に扱っています。どちらも「家族の人数×日数」の式には乗らない品目で、その家ごとの事情に合わせるしかない領域です。
いっぽう、代用が利く側の筆頭がウェットティッシュです。利くとはいえ、断水中にまとめて使える枚数が手元にあるかどうかで、体を拭く段取りも手の汚れを落とす段取りも変わってきます。枚数の見当をつけるときに当サイトが物差しにしているのが、シルコット 厚手やわらかシート ウェットティッシュ 344枚(ノンアルコール除菌・詰替)のような詰替の大容量タイプ。344枚という数字は、Amazonの商品ページ表示(2026年9月18日確認)です。詰替は容器ぶんの厚みがないので、洗面所と持ち出し袋の両方に分けて置きやすい。
乳幼児や高齢の家族がいる場合、当サイトでは推奨量を数字で書きません。今回の調査でも、乳幼児・高齢者向けの具体的な推奨品目量を示した公的資料は確認できませんでした。かかりつけの医療機関やお住まいの自治体の窓口で、その方の状態に合わせた助言をお受けください。
7. 情報|電源が切れても届く経路を1本持つ
基準は、スマホ以外の経路を最低1本持っているかどうか。スマホは充電が要るうえ、基地局側の状況にも左右されます。乾電池式のラジオは、その両方から独立している数少ない手段です。
情報の分類だけは、必要量が人数にも日数にも比例しません。家に1台あれば足りる代わりに、0台だと家族全員が同時に困る。掛け算の表に載らない品目ほど、買い忘れたまま何年も過ぎます。
その1本を、電池が切れたあとにも残る形で持っておきたいなら、クマザキエイムのSL-091のような手回し充電のラジオライトが候補になります。乾電池式のラジオが「充電と基地局に依存しない」手段だとすれば、手回しはその乾電池すら尽きたあとに残る最後の一段。普段の情報収集に使うものではありません。引き出しの奥で何年も眠っていて構わない、回せば動くという一点のための道具として考えてください。公式に記載のない仕様は、当サイトでは書きません。
停電時に情報を得る手段の一覧は停電時の情報収集の手段一覧に整理しています。避難するかどうかの判断そのものは、必ずお住まいの自治体の避難情報と気象庁の発表に従ってください。備蓄リストは、判断の代わりにはなりません。
置き場所まで決めて、はじめてリストは完成する

置き場所の割り付けとは、品目ごとに「使う場所のいちばん近く」を決めておく作業です。リストが完成しても、全部が押し入れの奥の1箱に入っていたら、暗闇の中でその箱まで辿り着かなければ何も使えません。
考え方は3つに集約できます。水は分散、トイレは各階、明かりは寝室。これだけ覚えておけば、あとは自宅の間取りに当てはめるだけです。
| 品目 | 置き場所 | 理由 | 置きすぎたときの困りごと |
|---|---|---|---|
| 水(2L) | 台所の床下収納・押し入れ下段・玄関の3か所に分ける | 1か所が家具の下敷きになっても、残りが取り出せる | 1か所集中だと、その部屋に入れない時点で全損 |
| 水(500mL) | 玄関と寝室に少量ずつ | 持ち出すときにそのまま掴める | 奥にしまうと持ち出しに使えない |
| 携帯トイレ | 各階のトイレの中、または扉のすぐ外 | 使う場所と保管場所が同じなら、迷わない | 別室にあると、夜中に取りに行くことになる |
| 明かり | 寝室の枕元・トイレ・台所に1つずつ | 停電は寝ている時間にも起きる | まとめて1か所だと、その1か所まで暗闇を歩く |
| 電池・ラジオ | 明かりと同じ引き出しに同居させる | 電池切れのときに探し回らない | 別管理にすると、片方だけ使えない状態になる |
| 食料 | 台所(普段使う棚の一段を空ける) | ローリングストックが回りやすい | 納戸に置くと期限を見ないまま過ぎる |
| 衛生用品 | 洗面所と持ち出し袋に分ける | 在宅用と持ち出し用は別の役割 | 1か所だと、持ち出すときに家の分がゼロになる |
共通しているのは「1か所にまとめない」という一点です。まとめたほうが管理は楽になります。でも、災害時にその1か所へ行けるとは限らない。管理の楽さと、取り出せる確実さはトレードオフの関係にあります。
4か所への分散という具体的な設計は防災グッズの収納場所は4か所に分散が基本で詳しく扱っています。
分散させるときの注意がひとつ。どこに何を置いたかを、家族が全員わかる形で残してください。置いた本人だけが知っている分散は、分散ではなく紛失です。冷蔵庫に貼った紙1枚で足ります。
ローリングストックで、リストを一度きりで終わらせない
ローリングストックとは、普段食べている物・使う物を少し多めに買い、古いものから使って、使ったぶんを買い足す方法です。特別な備蓄品を別枠で管理するのではなく、日常の買い物の延長で回します。
この方法の本当の利点は、期限切れを防げることではありません。「備蓄を見る回数」が増えることです。台所の棚から順に取っていけば、残りの量が自然と目に入る。押し入れの箱にしまい込んだ備蓄は、次に見るのが来年の9月になります。
回し方の骨格は3つ。棚の手前に古いもの、奥に新しいものを置く。使ったら、次の買い物で同じ数を戻す。月に一度、残りの数を数える。手順の詳細はローリングストックのやり方5ステップに分解してあります。
水や長期保存水のように、日常では回しにくい品目もあります。この場合は、ローリングストックの対象から外して、期限の日付をカレンダーに入れてしまうほうが確実です。全部を同じ方式で管理しようとすると、どこかで破綻します。
必要量の目安を自分で計算せずに出したい場合、東京都防災ホームページの「東京備蓄ナビ」という仕組みがあります。家族構成(性別・年代)、住まいの種類(戸建てか集合住宅か)、ペットの有無に答えると、必要な備蓄品目と数量の目安が1週間分でリスト化されるものです。ただし、品目別にどういう計算をしているかという内部の根拠は公開されていません。この記事の早見表は計算式を全部見せる方式、東京備蓄ナビは結果を受け取る方式。用途で使い分けるのがよいと思います。
このリストが向かない人・当てはまらないケース
向かないケースとは、在宅避難を前提としたこのリストが、そのままでは機能しない状況のことです。当サイトのリストは万能ではありません。ここは正直に書きます。
- 立ち退き避難が前提の地域にお住まいの方——洪水の浸水想定区域、土砂災害警戒区域、津波浸水想定区域などでは、そもそも自宅にとどまらない判断が先に来ます。7日分の水を家に積むより、避難先へ持って出るものを軽くするほうが優先です。ご自宅がどの区域に該当するかは、お住まいの自治体のハザードマップでご確認ください。
- まだ持ち出し袋を用意していない方——順番が逆になっています。備蓄は「家にいられる場合」の話、持ち出し袋は「家を出る場合」の話。先に必要なのは後者です。中身は防災リュックの中身リストにまとめています。
- 乳幼児・要配慮者・ペットがいるご家庭——人数×日数の掛け算では出てこない品目が、それぞれに存在します。ミルクやおむつ、常備薬、療養食。これらは「1人分」として数えられません。個別の最適化が要る領域なので、自治体の窓口やかかりつけ医にご相談ください。
- 賃貸のワンルームにお住まいの方——1人7日分の21Lでも、2Lボトル10本以上。ワンルームでこれを置ける場所を確保するのは、物理的に難しい場合があります。この場合は日数を3日に落として9Lにするか、置ける量から逆算して日数を決めるほうが現実的です。置けない量をリストに書いても、リストが守られないだけです。
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よくある質問
Q. 3日分と1週間分、結局どちらを目指せばいいですか
まず3日分を完成させてください。内閣府も農林水産省も、下限として3日を示しています。そのうえで、中央防災会議の南海トラフ地震防災対策推進基本計画(令和7年7月1日改定)が「可能な限り1週間分程度の備え」と書いているとおり、置き場所が許すなら7日分へ伸ばす。3日分が中途半端なまま7日分を買い足すより、3日分を完璧にするほうが先です。
Q. 水は本当に1人1日3Lも要りますか
農林水産省が示している3Lは、飲料用と調理用の合計です。手洗いや洗い物、歯みがきなどの生活用水は含まれていません。つまり3Lは「口に入るぶんだけ」の数字であって、生活全体で必要な量はこれより増えます。減らす方向の根拠にはなりにくい数字だと考えてください。
Q. カセットボンベは1人1日何本と考えればいいですか
その形の公的な固定値は、今回の調査では見つかりませんでした。内閣府が示しているのは世帯で15〜20本という目安、岩谷産業が公開しているのは気温と調理内容で変わる試算表(25℃でレトルト調理なら1日あたり約0.6本という例)です。水やトイレのような「1人1日◯本」の式は存在しないというのが、現時点での正直な答えになります。
Q. 東京備蓄ナビの結果と、この記事の早見表が違ったらどちらを信じますか
どちらも目安なので、多いほうに合わせておけば困りません。ただ性格が違います。東京備蓄ナビは家族構成や住まいの種類まで反映した結果を返してくれますが、品目別の内部計算根拠は公開されていません。この記事の早見表は水とトイレの2品目に絞る代わりに、掛け算の元になった公的資料をすべて明示しています。結果が欲しいなら前者、根拠が欲しいなら後者という使い分けです。
Q. 備蓄した水や食料が古くなったかどうか、自分で判断していいですか
賞味期限や消費期限の表示は、パッケージに書かれているとおりに読んでください。表示を超えたものを口にしてよいかどうかの判断について、当サイトは責任を持てません。製造元の問い合わせ窓口、お住まいの自治体の保健所、消費者ホットライン(局番なしの188)などにご相談ください。
まとめ:今日やることは1つ
家庭の備蓄品リストは、水3L・トイレ5回という1日あたりの数字に、人数と日数を掛けるだけで骨格ができます。日数の下限は3日、目標は1週間。この2つが公的資料の言っていることの全部です。あとは、決めた量を置ける場所へ割り付けて、ローリングストックで回していく。
今日やることは1つだけ。家族の人数と、想定する日数を紙に書いてください。この2つが決まれば、水もトイレも掛け算で出ます。買い物はそのあとで構いません。余裕があれば、下の3つを順にどうぞ。
- 人数と日数を決める紙かスマホのメモに2行書くだけ。上の早見表から自分の行を探せば、水とトイレの必要量はその場で出ます。
- いま家にある量を数える水は何L、携帯トイレは何回分。必要量から引けば、足りない数がそのまま買い物リストになります。
- 置き場所を3か所決める台所・押し入れ・玄関のように分散させ、どこに何を置いたかを家族に共有します。ここまでやって、リストは完成です。
出典: 内閣府防災情報のページ「広報ぼうさい 第73号」/農林水産省「大事な水、どうやって備えますか?」/農林水産省「家庭での備蓄」/内閣府防災情報のページ「トイレ備蓄、忘れていませんか。」(経済産業省記事の転載)/内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(令和6年12月改定)/中央防災会議「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」(令和7年7月1日改定)/岩谷産業「カセットボンベの備蓄」/東京都防災ホームページ「東京備蓄ナビ」/富士ミネラルウォーター公式オンラインショップ(保存水)/国立国会図書館(「防災の日」の創設について・昭和35年6月17日閣議了解)(すべて2026年8月6日確認)
